雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

よろずのことに気をつけよ

2013-09-15 23:01:21 | 

川瀬七緒著"よろずのことに気をつけよ"を読みました。
図書館の棚で手に取りました。
初めて読む作家さんだと思っていたら"147ヘルツの警鐘
法医昆虫学捜査官
"、"シンクロニシティ 法医昆虫学
捜査官
"を書かれた方だったのですね。
第57回江戸川乱歩賞受賞作だそうです。

文化人類学者の中澤の家に18歳の女子学生の佐倉真由が
訪ねてきます。
真由の祖父は数日前に家で残酷な殺され方をしました。
物音がするので縁の下を調べて呪いの書かれた短冊を
見つけました。
中澤は呪術を研究しています。
短冊には人骨と髪がすきこまれています。
墨には血が入っています。
六十年ほど前に作られたものです。
三人の人の血判が押されています。
呪う相手の名前が入っていません。
相手が誰だかわからない前から相手を呪っていたのです。
祖父は真面目に生きた人です。
この呪いの短冊から祖父は若い時にこれほど恨まれる
何かをしたらしいとわかります。
子供の毛髪が発見されたことから子供三人に何か
したらしいのです。

短冊の作られ方や内容から代々の呪術師だった人達が
呪っているのだと考えます。
山里に隠れ住む知られざる呪術師たちの居所を
探っていきます。
こぼれていた塩に混じっていた鶴の血から鶴を
贄に使っていたと考えます。
鳥に詳しいホームレスの野呂から鶴について情報を
もらいます。

祖父は自分が呪われていることを知っていました。
罪を悔いて生涯を隠れるように暮らしてきました。
真由は実の孫ではありません。
息子の結婚相手の連れ子です。
父に暴力を振るわれ母に育児放棄をされた真由を救って
くれたのです。

祖父が誰にも見せたくないと捨てた写真を野呂が
持っていました。
若い時の写真です。
毎年訪れていた場所をぷっつりと訪れなくなっていました。
そこで何かがあったと、その場所を特定して中澤と真由は
出かけていきます。

彼らは犯人に遭遇してしまいます。
60年も呪っていた人たちですからすでに80代の人たちです。
祖父の犯した罪がなんだったのかも知ります。
二人も殺されそうになります。

つらい過去を持った真由ですが強い性格でまっすぐ真実を
追っていきます。
ずっと年上の中澤は自身の強い探究心からと、真由の
真実を知りたいという気持ちに押されて調べを進めます。

一生を呪うことに費やした人々はどうしても心を切り換え
ることはできなかったのですね。
つらかったことでしょう。
本当の悪人は栄誉を手にしてすでに亡くなっています。
真由の祖父を殺すことより真実を世間に公表して
化けの皮を剥いでやる事のほうがよほど復讐になった
のにと思います。

今もどこかに呪術を受け継いだ人がいるような気がして
ぞくぞくします。
しかし呪いで人は死なないようです。
なにしろ60年も呪っても死にはしなかったのですから。
でもずっと後悔して過ごし明るい人生ではなかった
のは確かです。
呪いの効果はあった、といってもいいのでしょうね。
呪いというおどろおどろしい話ですが引き込まれて
一気に読みました。

1 コメント

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怖いのに不思議と読後感が明るい (起き上がり小法師)
2014-04-20 01:22:07
川瀬七緒さんの新作『桃ノ木坂互助会』を読みました。
可愛らしい表紙に騙されたんだがどんどんブラックになっていってひぇ~っ怖・・・・

ttp://birthday-energy.co.jp/ってサイトは川瀬七緒さんのことを他人と同じ考えや生き方を好まぬ性癖 なんて書いてましたよ。ちょっと変化球な視点のコラムをぜひ読んでね♪
「ハレる運命2014」も配信中!!
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