雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎

2018-12-29 21:00:00 | 

永井紗耶子著"絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎"を
読みました。
十九歳の金四郎は家を出て歌舞伎の森田座の笛方の
見習いをしています。
狂歌師であり戯作者である大田南畝について吉原に
行った金四郎は朝早く帰る途中で雛菊という
花魁が死んでいるのを見つけました。

金四郎は雛菊の死を調べることになります。
雛菊は武士の娘で父親が死に周りの者に吉原に
売られました。
幼いころから許婚だった男は去っていきました。
彼女は客の誰かれなく心中をしてくれと言いました。
糸物問屋の万屋吉三郎という男が雛菊の客だった
ことがわかります。
吉三郎は生きる気力を失くしています。
雛菊の心中の誘いを受け入れました。
ところが約束の場所にあらわれませんでした。
万屋で火事があり行けなかったのです。
雛菊は裏切られるかもしれないと思っていました。
その場合は吉三郎を殺すよう依頼していきました。
同心の息子の瀬川兵蔵はうつうつとした日々を
過ごしています。
金で人殺しを請け負うようになります。

登場する人々のほとんどが人生に絶望しています。
どうしようもないやりきれなさが発散しています。

金四郎も生きづらさを感じていますが、別の
場所で生きてみるという行動を起こしています。

江戸時代というのはがんじがらめの時代だった
のでしょうか。
彼らは別の場所で生きることはできなかったの
でしょうか。

穢れ舌

2018-12-28 21:00:00 | 
著者 : 原宏一
KADOKAWA
発売日 : 2018-03-02

原宏一著"穢れ舌"を読みました。
"星をつける女"の続編です。
牧村沙英は真山幸太郎、門倉七海、五十嵐智也
とレストランの星を付ける仕事をしています。
飲食ビジネスに携わっている人たちが依頼人です。

"ユウコの厨房"
ユウコはテレビ出演したり本を出したりとファンが
大勢います。
外国で修行をしたとか、管理栄養士の資格があるとか
公表しています。
しかし店に行ったり、講演会を見たりして彼女に
料理ができるのかと疑問を抱きます。
カリスマ料理研究家と言われている彼女ですが
彼女自身が苦しみを抱えています。

"酒蔵烏鵠"
長野に酒蔵がある酒蔵烏鵠は酒の販売だけでなく
直営料理店の経営もしています。
酒蔵烏鵠の前経営者の娘と結婚している早川が
現在は経営しています。
インターネットでのプレミアム価格がついています。
長野の直売店で買ったものとネットで買ったものと
飲み比べをしてみます。
この酒造には何かからくりがあると感じます。

"すし梅将"
すし梅将は高級すし店でありながらかなり安い店です。
沙瑛は知り合いの寿司職人の久志を誘って店に
食べに行きます。
寿司は申し分のない食材を使っています。
しかし塩味が強いです。
職人は客に勧められると酒を飲んでいます。
沙瑛たちについた職人は別にして、職人たちは客に
酒を飲むことを意識して勧めています。
塩味のきつさは酒を飲ませるためです。
久志は食材の魚の中に時期的に獲れないものが
あることに気がつきます。
裏に大きな犯罪があるのではと考え始めます。

店に星をつける仕事ですが、店の不正を見つけてしまう
彼らです。

ツバキ文具店

2018-12-27 21:00:00 | 

小川糸著"ツバキ文具店"を読みました。
雨宮鳩子は祖母の残したツバキ文具店を
継ぎました。
祖母の時代から代書屋をしています。
鳩子は祖母に育てられました。
祖母との間には確執があり高校2年の時から
祖母との間は冷たいものとなりました。
小学一年生の時から厳しく書を教えられました。
厳しく友達と遊ぶことも許されませんでした。

代筆は表には出していませんが口づてで依頼人が
やってきます。

訃報を聞いてお悔やみの手紙を書きます。

隣の家のバーバラ婦人と呼ばれている一人暮らしの
婦人と仲良くなりました。
食事やお茶を楽しむ仲になりました。

学生の時に結婚を約束していた女性に手紙を
書いて欲しいと依頼がありました。
自分別の人と結婚しています。
すでに20年が経過しています。
彼女に普通の手紙を書いて欲しいという依頼です。

雨の日に店に飛び込んできた女性がいます。
店の近くのポストに手紙を投函してしまったが
取り返したいが、時間がない。
集配の人がやってきたら取り返して欲しいと
頼まれます。

彼女はバーバラ婦人と知り合いの教師でパンティと
呼ばれています。
帆子という名前であること、パンを焼くことが好きな
ティーチャということでついたニックネームです。

男爵と呼ばれている近所の男性から、借金の無心を
きっちりと諦めさせる手紙を書いて欲しいと
頼まれます。

綺麗な女性に姑に出す手紙を頼まれます。
どのように努力してもきれいな字を書くことができません。
鳩子は字というものはその人を現すものではないと
いうことを知ります。

死を間近にした老婦人が亡くなった夫からの手紙を
待っています。
夫からの手紙を書いて欲しいと息子から頼まれます。

祖母は鳩子に優しい言葉をかけることはありませんでした。
祖母がイタリア人に嫁しイタリアに住んでいた女性と
長年本心を打ち明ける文通を続けてきたことを
知ります。
祖母が鳩子にどんな気持ちでいたのか初めて知りました。

長年つきあってきた友達と絶縁する手紙を頼まれます。

近所の幼い女の子と文通するようになりました。

あまり友達がいなかった鳩子ですが次第に知り合いが
増えていきます。

鳩子のおばあさんは、鳩子に何を求めていたのでしょうね。
書道家をめざしていたわけではなさそうです。
代書屋というマイナーな職業につくことを願っていた
のでしょうか。
代書屋って、人の心の深くを読み取り、思う方向に誘導
するような能力がないとできないですね。

手紙を書いて依頼人に見せないまま発送しています。
それってあるんでしょうか。
相手が感想を言ってきてもうまく話しを合わせられ
ないのではと思ってしまいます。

鎌倉を舞台にした穏やかな話です。
こんな静かな生き方もいいかなと感じました。

カーテンコール!

2018-12-26 12:49:09 | 

加納朋子著"カーテンコール!"を読みました。
萌木女学園は閉校が決まっていて来年はありません。
今年卒業出来なければ留年はできません。
卒業が難しい学生には補習、追試など手を尽くし
ましたが、それにもこぼれた学生がいます。
角田理事長は買取先と交渉してサークルが合宿に
使っていた建物を半年借りて、卒業できなかった
学生を合宿させて補習をすることにしました。
外出、ネット、面会すべて禁止の合宿です。

集まった学生はいろんな問題を抱えていました。
ただ怠けていたとは言えません。
性同一性障害を抱えている綾部桃花。

ナルコレプシーを患っていてちょっとのストレスで
突然倒れてしまう有村夕美。
朝どうしても起きられない梨木朝子。
彼女は起立調節障害ではないかと思われます。
夕美と朝子は睡眠という似たような問題で同室で
助け合うことになります。

夜中に物語を書くことに熱中している金剛真由美。
眠らないために飲んでいたエナジードリンクの
過剰摂取でカフェインの中毒状態になっています。

細井茉莉子は摂食障害です。
同室の小山千帆は反対に肥満ですが、自分では
気づいてはいません。
どちらも家庭に原因があります。

今行きたいところ、観たいもののために他大学へ
編入覚悟で休学したのはフリーライター希望の
矢島夏鈴です。
問題児ばかりの中で唯一どうしてここにいる
のだろうと思わせるのは北川奈々子です。
彼女だけ時々外出が許されています。

清水玲奈はほっておいたら確実に死ぬと思わせる
人です。
24時間監視の目が光っています。
宿舎も理事長夫妻と共です。

理事長は昔の辛かった出来事を皆に語ります。
半年の間に皆少しだけ生きてゆく力を身につけます。
理事長は言います。
もう駄目だ、耐えられないというときに逃げられる
力をつけなさい。
「助けて」と言える人を探してくださいと。
あぁ、これは生きていく上で大切なことだなと
思います。
でも「助けて」と言える人というのは、ほんとうに
辛い時にはいないんだよなというのが私の生きて
きた上での感想です。

店仕舞い 鎌倉河岸捕物控 二十七の巻

2018-12-23 21:00:00 | 

佐伯泰英著"店仕舞い 鎌倉河岸捕物控 二十七の巻"
を読みました。
政次は町廻りの途中で加賀金沢藩御用達の箔屋の
岩倉屋が店を閉じると張り紙を出しているのを
知りました。
商売が傾いたと噂を聞いたことはなく、蔵に
金がため込まれていると言われていた店です。
政次が力になると話を聞こうとしても頑なに
何も話そうとしません。
雇われている者たちは何もしりませんし、自分
たちの行く末もどうしたらいいかわかりません。
3人いる子供たちの姿が見えません。
跡取りの長男はまだ子供のくせに素行が悪いです。

岩倉屋の主人が拷問されて殺されて見つかりました。
彼は何かを画策していてすべての財産を失い
殺されたようです。
彼を操ったのは誰か金座裏の宗五郎と政次らが
真実を突きとめようとします。

長いシリーズで安心して楽しめます。

濱地健三郎の霊なる事件簿

2018-12-22 21:00:00 | 

有栖川有栖著"濱地健三郎の霊なる事件簿"を
読みました。
心霊探偵を名乗る濱地健三郎は幽霊を見る能力が
あります。
志摩ユリエという助手がいます。

倉木宴というホラー小説家の妻が相談に来ました。
夫に女性の霊が付いているのを見たといいます。
錯覚するのは生きている人間だけではなく幽霊
にもあるというおもしろい話でした。

駒井鈴奈の家が全焼してから二月近く経って
首から下の遺体が見つかりました。
彼女の父親から依頼がありました。
彼女はフリーライターとして芸能関係者の
取材をしていました。
女優の母親を持つ熊取寿豊が浮かんできました。

ユリカは霊感はなかったのに助手として柊の側に
いて霊感を感じるようになっていきます。
人が住んでない家に入った人が原因不明の高熱に
なって倒れる出来事が起きました。
その家には美術教師がアトリエとして使っていました。
奥さんが行方不明になった後自殺しています。

幹也と未耶は恋人同士でした。
新潟の海に行った帰りからおかしくなりました。
未耶は幹也にさけられていると感じていましたが
幹也は彼女のことを考えると気分が悪くなる
ようになっていました。
海岸で何かにとりつかれたらしいです。

現場で須崎等次は目撃されていて犯人だと思われ
ました。
しかし須崎の近所の住人が別の場所で彼を
見かけています。
同時に二ヶ所に現れることができるのか。

東北の霧氷館という屋敷に招かれました。
桐山昂輔と楚乃子の夫婦とその息子の昴太、
ほかに友人や親せきの者が3人住んでいます。
楚乃子の母親は少し前に亡くなっています。
昴太が家の中に何かがいると言うようになった
ため柊に依頼がありました。

柊とユリエは仕事で遠出した帰りに、柊が前に
仕事で訪れた場所へ寄ることになりました。
辺鄙な場所です。
駅についてみるとたまたま前に知り合った
人物に出会いました。

現実ではありえない話は読んでいてどう感じたら
いいかわかりません。
そんなことありえないでしょと言ってしまったら
読む意味がなくなってしまいます。
不可思議な話はあまり楽しめません。

リアルフェイス

2018-12-21 21:00:00 | 

知念美希人著"リアルフェイス"を読みました。
こんな話読んだような気がするような、ないような
と思いながら読んでいました。
半分過ぎあたりの話になってやっぱり読んだと
気づきました。
ブログに書いてあるかと思いましたが書いて
ありません。
なぜ書かなかったのかな。
なお改題して前は"改貌屋 天才美容外科医・柊
貴之の事件カルテ"だったそうです。

麻酔医の朝霧明日香が柊美容整形クリニックで
週一回働くことになりました。
柊は自ら天才美容外科医だと言う医者です。
どんな注文でもそれに応えられます。
ちょっと軽々しい人物です。
明日香自身は美容整形をあまり受け入れられません。

年若い女性と再婚した死期が迫った老人が
妻の顔を前妻と同じにして欲しいと連れてきます。

やくざが息子を連れてやってきます。
別の組で働いていましたがお金を横領して追われる
立場です。
全然別の顔にして欲しいとの依頼です。

藤井舞子という昔有名だった女優がやってきて
美しくして欲しいと手術を求めます。
彼女の体には何回もの手術が施されています。
どれだけやっても満足感を得られない精神的な
問題を抱えています。

整形外科医神楽誠一郎がまた現れた模様です。
連続女性殺人事件を引き起こした人物です。
タイに逃げ別の顔となっているようです。
柊の弟子だったといいます。
クリニックが火事になります。
神楽の仕業とみられます。
柊はクリニックを閉じ明日香にひまを出します。

柊と神楽との関係、事件の真相がややこしいです。
びっくりする結末です。
顔をまるっきり変えることになんの抵抗もなく
過去の経歴もなくしてもいっこうに気にならない、
そんな風にはなれないなぁと思います。

名古屋駅西喫茶ユトリロ

2018-12-20 21:00:00 | 

太田忠司著"名古屋駅西喫茶ユトリロ"を読みました。
場所が名古屋でよく知っている場所がたくさん
出てきます。
登場するレストランなども実在する店がたくさん
出てきます。
喫茶ユトリロ自体は架空のようですが、モデルと
なった店は実在するようです。
ご近所の出来事を読んでいる感じがして本の中へ
すんなり入っていけます。
名古屋以外の人にはわかってもらえないかも
しれませんね。

鏡味龍(とおる)は東京育ちですが名古屋大学の
医学部に通うため、祖父母が経営する喫茶ユトリロに
住んでいます。
常連さんがモーニングサービスにやってくる店です。

平井駿という同級生と友人となり、明壁麻衣という
先輩と知り合いになりました。
名古屋名物だという手羽先を三人で食べに行きました。
喫茶店で聞いた手羽先の骨が置かれるという出来事を
彼らに話しました。

カレーうどんを食べに行きました。
同じ格好をしたおかしな2人に出会い後をつけました。

名古屋では海老フライを海老ふりゃーと言うと
聞きました。
しかし実際にはそんなことを言いません。
名古屋の名物というわけでもありません。
常連さんが泥棒を捕まえました。
泥棒が「あんたはえびふりゃーだ」と意味不明な
ことを言いました。

常連の水野は昔はもっと話をする人でした。
しかし今は話をしようとしません。
昔は家族で寿がきやへよく行ったと話していました。
今は奥さんは亡くなり息子たちとは疎遠です。

常連の若い本間が初めてのデートをすることになりました。
事前に行くところの予習を充分にしました。
しかしデートはうまくいきませんでした。

紳士さんと呼ばれている常連客は二階のユトリロの
絵の見えるいつもの席に座ります。
ユトリロの絵を見つめています。
偽物だと言われているユトリロの絵が盗まれました。
名前も知らない紳士さんが誰なのか龍は知ります。

手羽先って名古屋名物ですか。
でも私はたぶん食べたことがないです。
寿がきやはよく行きます。
美味しいともまずいともいえない名古屋のソウルフード
なんですって。たしかに。
でも名古屋の全員が食べたことがあるというわけでも
ないような・・・

おもしろかったです。

大奥づとめ

2018-12-19 14:42:51 | 

永井緋耶子著"大奥づとめ"を読みました。
大奥で生きた女性たちを描いたものです。
先日読んだ朝井まかて著"残り者"とどこか似ています。
表紙まで横向きの女性の姿で似通っています。
どちらも読みやすく後味いい本でした。

大奥って大勢の女性たちがいがみ合って生きる醜い
世界で、庶民を顧みず贅沢をしている人たちという
感覚がテレビドラマなどから植え付けられていました。
2冊の本を読んでもしかしたら女性たちが自分の
能力を精いっぱい発揮できる、数少ないのびのびした
世界だったのかもと思いを新たにしました。

"ひのえうまの女"
お利久は親に決められた出来の悪い男を蹴り倒しました。
大奥勤めをするようになりました。
御次となって舞、歌、琴といったものを見せることに
なります。
そこそこに出来てもどれも秀でているわけではありません。
楽しそうではありません。
祐筆になって大奥の出来事を書き残さないかと誘われます。

"いろなぐさの女"
松は呉服の間の女中となりました。
家ではずっと息を殺すようにして暮らしてきました。
着物も目立たないものを着てきました。
御台様らの衣装を整える役目となって、どのような
物を選ぶべきかまるでわかりません。
呉服商の女将、役者の女形に指南を求めます。

"くれなゐの女"
玉鬘は大柄な女性です。
御半下として掃除、洗濯、水仕事をしています。
大きいということにコンプレックスを持っていました。
大奥で大きな目的を持ってそれに向かって努力している
同輩を見て彼女の心持も変わっていきます。

"つはものの女"
お克は大奥での出世を目指しています。
お三の間、祐筆と出世してきました。
表使いをしている初瀬が出家のためその職があきます。
お克は表使いを目指します。
初瀬に見込まれ表使いとしての心構えを教えられます。

"ちょぼくれの女"
町人の女房である坂東三津江は舞いに精進しています。
大奥で舞いを指南する御狂言師として、お三の間の
お正とお美乃に教えることになりました。
二人の見た目と反対の役をやりたいといいます。
楽しく踊り見ている人々の笑いを得られるような
舞いを目指します。

"ねこめでる女"
お蛸は煮炊きを取り仕切る御仲居となりました。
御膳所で食事をしている時に猫があらわれます。
小萩さんと呼ばれる白に茶色の斑点のある猫です。
小萩は御中老のお倫の方が飼っている猫です。
お志賀は十歳で御年寄の小姓となるため大奥へ
きました。
お倫の方、お志賀、お蛸は小萩を介在して
繋がりができました。

諦めない女

2018-12-10 21:00:00 | 

桂望実著"諦めない女"を読みました。
ライターの飯塚桃子が事件関係者にインタビュー
して事件のことや心の動きを描いたものです。
京子は6歳だった娘の沙恵と買い物に行きました。
娘を店の前に一人にして中へ入りました。
娘はいなくなっていました。
京子は娘のことだけを考えてくらしました。
夫とも離婚しました。
仕事の休みの日には沙恵の情報を求めるビラを
配ってまわりました。
そんな生活をずっと続けました。

沙恵はある場所で子供たちと暮らしていました。
7年後に救い出されて京子の元へ戻りました。
京子は自分だけが沙恵が生きていることを信じ
待っていたと、父親と会うことを禁じました。

教育をうけていない沙恵は初めは家庭教師に
付き、学習が進んだところでフリースクールに
通いました。
高校は定時制を選び通いました。

京子は沙恵を束縛しました。
何もかも自分のコントロール下に置こうとしました。
しかし沙恵はしだいにそこからのがれようとします。
そんな時に事件が起きました。

沙恵が会った事件は世界では起こっていると聞きます。
日本では現実ではたぶんないのではと思います。
人間であることを捨てた事件です。
こんなことの犠牲になってしまったら本当に
悔しくてやるせないことでしょう。

京子は沙恵が普通に生活できていたらどんな母親で
あったことでしょう。
沙恵は若い。これからしっかり生きていくことが
できるでしょう。
京子はもう壊れてしまったのでしょうか。

紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官

2018-12-09 21:00:00 | 

川瀬七海著"紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官"を
読みました。
女性法医昆虫学捜査官赤堀が昆虫の生態から
事件にせまる物語です。

新設された捜査分析支援センターに3人の専門家が
配置されました。
法医昆虫学の赤堀と犯罪心理学者の広澤晴美、
技術開発の波多野光春です。
広澤と波多野は仕事が評価されることなく片隅に
追いやられたと憤っています。

今まで何件かの事件をいっしょにやってきた刑事の
岩楯と鰐川は赤堀の力を見てきて評価しています。

古ぼけた家に住む遠山家に切り取られた3人の
左手の小指が転がりあたりは血まみれの状態です。
二つは正和と亜佐子の夫婦のものでもう一つの
ものは突き止められません。
死体は見つかりません。
赤堀は指に付いていた蛆の状態から切り取られた時を
日付から時間まで断定します。
しかし捜査員たちは解剖医の出した予想から10日
あまりもずれる予想を鼻で笑います。

プロファイラーの広澤は昔にも同じ殺人が起こって
いること、犯人の年齢等をプロファイルします。
しかしこれも無視されます。

岩楯と鰐川は昔の事件で相似する橋爪家の事件を
調べます。
23年前女性二人の足の指が家の中で見つかりました。
二人の死体は見つかっていません。
一人は妻ですがもう一人の身元はわかっていません。
家に行った時二人の刑事は家の形や間取りがあまりに
今回の事件と似通っているのにびっくりしました。

遠山夫婦がどのようなところに行っていたか
何をしようとしていたのかがわかってきます。
アルコール依存症のボランティアグループや
徹底的な菜食主義者のヴィ―ガンと関わっていた
ことがわかってきます。

遠山家を訪れた赤堀は大量発生しているやけど虫の
アオバアリガタハネカクシに刺され顔は真っ赤な
状態です。
痛みに襲われたあとはかゆみがやってきます。

橋爪家でも23年前にやけど虫が大量発生した
記録がありました。

二人の刑事を除いて無視され続ける捜査分析支援
センターの面々ですが協力して調査します。
彼らが導き出したことから事件は実体があきらかに
なります。
赤堀は虫にやられてぼろぼろです。
がんばる赤堀を見ているの気持ちはいいです。

福家警部補の考察

2018-12-08 21:00:00 | 

大倉崇裕著"福家警部補の考察"を読みました。
シリーズ5冊目です。
優れた女性警部補の福家が活躍します。
倒叙形式です。
犯人が殺人を犯す場面があって福家が登場します。
刑事コロンボと解決の方法が似ています。

"是枝哲の敗北"
是枝哲は聖南総合病院の皮膚科の医師です。
以前の病院の時に取引があったMR(医薬情報
担当者)の足立郁美と付き合っています。
郁美に結婚を迫られ殺すことを決意します。
近くの駐車場のビルに呼び出して殺しました。
福家は現場で聖南病院へ行く道順を書いた
地図を手にしました。

"上品な魔女"
中本誠は太陽光パネルの開発をしている経営者です。
経営は追い詰められています。
毎日家の屋根に取り付けられている試験用の
パネルのデータを集めに屋根に登っています。
誠は妻の保険金を目当てに彼女を殺そうと
計画します。
彼がデータを取れない時は妻のさゆりが屋根に
登って代わりをします。
その時に事故に見せかけ殺そうと計画しますが
準備をしている時に自分が落ちて死にました。

"安息の場所"
小さなバーを経営しているバーテンダーの
浦上優子は1つだけ弾が込められた拳銃を
知り合いから手に入れました。
強請屋の久義英二を銃撃して殺しました。
尊敬する師匠の原町の名誉を傷つけさせない
ためです。

"東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き"
証券会社のボルケラー・ジャパンの蓮見は
ライバル会社のトンダイル証券の上竹肇を
呼び出しました。
蓮見の恋人だった坂下ゆきは顧客データを
盗まれたことや上司のパワーハラスメントに
追い詰められ自殺しました。
上竹がデータを盗みました。
銃殺しました。
蓮見は京都へ行くため新幹線に乗りました。
隣の席には同じく京都へ行くために福家が
乗ってきました。

福家の活躍が楽しいです。
最後の話は事件自体を知らない状態で隣の
席の人物が殺人を犯したと見破ってしまいます。
とんだ人物の隣になったものです。
でもいいかげんに女性が警部補で現場の責任者
だというと驚くという設定、止めて欲しい
ものです。
女性だって男性だってどうでもいいでは
ありませんか。

ここは神楽坂西洋館 2

2018-12-07 10:22:45 | 

三品みり著"ここは神楽坂西洋館 2"を読みました。

"君とエンドウ豆のお節介"
面倒見のいい神楽坂西洋館の大家の陽介が
インフルエンザで寝込みました。
陽介が好きな店子の泉はそっと看病します。
エンドウ豆が彼女が部屋にいたことを教えて
くれました。

"自覚なき呪いの花"
泉がアルバイトしている店の客の大学生の
芹沢結衣子が陽介に相談に来ました。
大学の友人たちとバーベキューに行きました。
準備中に半分ぐらいの者たちが気分が悪くなりました。
まだ飲食はしてません。
何年か前にも同じようなことが起こったと先輩たち
から聞きました。
植物に詳しい陽介が現場に行って原因を突きとめます。
この原因はミステリーにはよく出てくるものです。

"紫苑の子"
西洋館の食事作りをしている三島の話です。
三島は前はバリバリ働いて成功していました。
それが下火となって荒れていました。
そんな時に陽介と出会いました。
奥さんの美樹とは離婚しました。
息子だと名乗る光太郎という少年が突然西洋館を
訪ねてきました。
三島は息子がいることを知りませんでした。
元妻が何を考えて息子をよこしたのか考えます。

"そこにある、幻の木"
陽介は昔西洋館に父親と住んでいました。
しかし父親は突然姿を消しました。
陽介は当時の大家のサクラおばあちゃんに
育てられました。
105号室のレイちゃんさんは亡くなったサクラ
おばあちゃんに陽介の父親を探してくれるよう
頼まれていました。
レイちゃんさんが父親の映像を見つけたと知らせて
くれました。
陽介と泉はその場所へ訪ねていきました。

西洋館の大家と住人達の出来事を描いたものです。
それほどべったりした関係でもなく、それでも
ゆるくつながっている人々です。