雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ひなた弁当

2010-08-31 21:01:14 | 
山本 甲士
中央公論新社
発売日:2009-11-26


山本甲士著"ひなた弁当"を読みました。
住宅販売の会社勤めを27年続け50歳目前の芦原芳郎は
会社のレクレーションの野球でボールを常務の頭に
当ててしまいます。
その翌日芳郎は部長からリストラの話を切り出されます。
同様にリストラ対象になった課長から「受けます」と素直に
応じた者は残してもらえるとの情報をもらいます。
しかし実際は「はいそうですか」とその日のうちに追い出さ
れてしまいます。
斡旋された人材派遣会社ではそこに勤めるのではなく
登録していってくださいとまったくのだましに会います。
家族にも相手にされず朝から外に追い出されます。

何日もあてもなく過ごしているうちに公園のどんぐりを
みて食べられるのではないかと、食べ方を調べて食べて
みます。
タンポポ、ウド、ぜんまい、わらび、なずな、ミツバ、
きくいもなどの山菜も採集して食べてみます。
川で釣りをしている人に何が釣れるのか聞いてみます。
釣れる魚の話、釣り方を親切に教えてくれます。
さっそく釣り道具を買ってきて釣りを始めて釣れた
魚を揚げたり焼いたり南蛮浸けにしたりと食べてみます。

会社の近所で弁当を販売していた老人が仕事が辛くなって
店を閉めたことを思い出して従業員として雇って欲しいと
相談にいきます。
商売は自分でやるから場所と道具と名前を貸して欲しいと
いうことです。
承諾してもらって山菜や魚を自分で調達して公園で売り
始めます。
前の会社に訪問販売させてほしいと依頼に行きましたが
よく来られたものだとけんもほろろに追い返されて
しまいました。
買った人たちがブログで紹介してくれたりクチコミで
しだいに売れるようになります。

リストラの方法、アコギですね。でも現実でもこんな
こと行われているのでしょう。
日本中の多くの会社がこんな体質になってしまって
いたら日本は働き難く住み難く、生き難い社会に
なってしまいます。
仕事は楽しくやりたいものです。
仕事を自分で生み出し良郎は営業当時の自信のなさは
影をひそめいきいきとしてきます。
本の中では一日30個の弁当を売ったらお終いと
なっています。店主と利益は折半ですから、これで
どうやって生活していくの?といいたいところですが
大事なことは自主的に働くということ、いろんなことに
興味を持つこと、それを仕事につなげることなどでは
ないでしょうか。

自分がリストラされた立場になったらおそらくもう
仕事に就くことはないのではないかと思います。
良郎はえらいです。 8/17

キッチンの床

2010-08-30 22:25:53 | 日常の出来事
この前の土曜日に汚れてきて気になっていたキッチンマット
を洗ってやりましょうととりはずしました。
そしたらその下に敷いてあった滑り止めのマットがべたっと
床にくっついてたいへんなことになっていました。
5月に掃除した時にはなんともなかったのですから
その後の3ヶ月の間にこうなってしまったようです。
暑さで溶けてしまったということなんでしょうが、いままで
だってこれぐらい暑い年はあったのになぜ今年は、
と疑問に思います。
べたつく部分は苦労してようやくはがしました。
でも床はもうひどいありさまです。
塗料が剥げてしまったのか、溶けたものが床に染み込んだ
のか見るも無残な状態です。

100円ショップで買った滑り止めです。
今回の教訓、あれは使ってはいけません。つくづくわかりました。
でも滑り止めがないとマットが滑って足の骨を折りそうです。
床を傷めない滑り止めってなんかないものでしょうか。
マットはよく物を落とすので床がぼこぼこにならないよう
保護を目的にひきました。

キッチンマットの洗濯と床掃除で腰を痛めました。
その日はなんともなかったのに翌日、翌々日とだんだん
痛くなってきました。
今日は椅子から立ち上がって数秒間固まっていてそれから
ようやく歩き出せる状態です。
じっとしている分には問題ありませんがこのように行動を
起こす時がたいへんです。

さてキッチンの床はどうしたもんでしょう。
マットをひいてしまえば隠れてしまうのでよしとして
おきますか。
くっつかない滑り止めをさがさなくっちゃ。
ゆっくり考えてみます。

追伸:
ワックスはがし液を買ってきて使ってみました。
正解だったようです。
一面の水玉模様のポツポツが消えました。
そのあとワックスを塗りました。
滑らかさがなくてざらざらした感じですっきり
元通りとはいきませんがまあいいかというところ
までにはなりました。
ワックスはがしはワックスを塗るより2倍も3倍も
手間がかかります。
もうしたくはないです。しかし液はまだたっぷり残って
います。こういうものはぴったりの量で収まらないから
難しいですね。9/11

トイレット

2010-08-29 22:01:52 | 映画
昨日映画を見てきました。
もたいまさこさん主演の"トイレット"です。
カナダロケだそうですが場所はアメリカという設定だった
と思います。
パニック症候群でひきこもりのピアノストのモーリー、
真面目な化学者でプラモデルおたくのレイ、勝気の
しゃきしゃきしたリサの3兄弟の日本人の母が亡くなります。
亡くなる少し前に呼び寄せたのがばーちゃんです。
レイは家を出ていたのですが火事で焼け出されて同居する
ことになります。
ばーちゃんはぜんぜんしゃべりません。
食事もほとんど取ろうとしません。
朝の忙しい時に長時間トイレを占領し出てくるとため息を
つきます。
モーリーは足踏みミシンを見つけてばーちゃんにミシンの
使い方を教えてもらい縫い物をします。
そしてある朝ピアノに向かっているモーリーが見出されます。
足元は明るい柄のロングスカートで覆われています。
なぜスカート?ホモなの?と言われ違うと答えるモーリー。
リサはばーちゃんと夜中に見ていたエアーギターに魅せられて
コンテストに出たいと言い出します。
ばーちゃんは孤高の人、ひとこともしゃべりません。
でもモーリーが4年間の閉じこもりから抜け出て出場した
ピアノコンテストでパニックを起こした時に客席から
「モーリー、クール」と声をかけます。

いい映画でした。
ぼーとした長男、生真面目な次男、はっきりした長女
3兄弟それぞれ個性的でいい感じでした。
問題は抱えているけどおだやかで仲がいい兄弟です。
ばーちゃんは何をするではないけどこの家の中心と
なって均衡を保っていたという気がします。

エンドロールでの3兄弟のエアーギターそれぞれの
個性に合った轢き方でうまいものです。

さくら色 オカンの嫁入り

2010-08-27 22:17:55 | 

咲乃月音著"さくら色 オカンの嫁入り"を読みました。

(この本お盆のころに読んで感想を書いておきました。
今日の夕刊にこの映画のCMが大きく載っていました。
映画を見ようという方は以下読まない方がいいです。)

映画化されると聞いてどんな話なんだろうかと読んでみました。
登場人物のほとんどが過去の悲しみを抱えています。
看護師の陽子とその娘の月子はいっしょに暮らしています。
陽子がある晩酔っ払って家にほとんど月子と同じ年頃の
男を連れて帰ってきました。
捨て男を拾ってきた、この人と結婚すると宣言します。

陽子は両親を十七の時に交通事故で亡くし二十歳の時に
一生の伴侶と思っていた人を病気で亡くします。
その時にお腹に月子がいました。一人者は出て行けと
アパートを追い出され途方にくれて電車に飛び込み
そうに見えたのを、助けてくれたのが隣に住むサク婆です。

月子は転勤してきた人が不慣れで心細そうにしていたを
たこ焼きやにさそいました。
そしたらつきまとわれ、暴力をふるわれ怪我をしました。
会社を辞めるように追い込まれてしました。
電車に乗ることもできず、仕事もできずに家で過ごして
います。

捨て男こと研二は板前でした。母親に祖父の家に
置き去りにされ大人になって祖父の店を手伝っていました。
おじいさんが怪我をして入院していた時に、店を手伝って
くれた友達に借金の保証人になるよう頼まれました。
保証人になったらその友人は姿をくらましました。
借金の取立ての激しさでおじいさんは自殺を企てます。
自殺は失敗したのですがその後は車椅子で痴呆のような
状態になってしまいます。

こんなふうに辛い過去があります。
病気で別れることになったのは辛いことですが、どうする
こともできないことです。
でも月子や研二の過去はなんとも痛ましいものです。
保証人にはなるなといわれます。簡単になってしまった
という世間知らずはいなめませんが人生をぼろぼろに
されてしまって悔しく悲しい話です。

こんな陽子と研二が結婚することになります。
酔った日に拾ってきたわけではなく数年前からの
知り合いです。
実は陽子はもう長くは生きられないのです。
「僕に残りの人生見守らせてください」研二の言葉です。
この言葉は陽子が月子のお父さんに対して言った言葉
でもあります。

陽子に研二、明るく前を向いて生きていく人たちです。
月子も外に向かって生きようとしはじめます。

なでしこ御用帖

2010-08-26 21:00:45 | 
宇江佐 真理
集英社
発売日:2009-10-05


宇江佐真理著"なでしこ御用帖"を読みました。
八丁堀の町医者麦倉洞雄の長男の助一郎は医者を目指し
小石川養生所で修行中です。
次男の流吉は医者には向かないと呉服屋で働き始めます。
末っ子のお紺は父親の仕事を手伝っています。

"八丁堀のなでしこ"
流吉の借りている家の大家さんが殺され流吉が犯人と
疑われ捕まってしまいます。
知り合いの岡っ引きの金蔵を手伝ったり情報を引き出し
たりしてお紺は兄を助けるため動きます。
このことをきっかけに流吉は実家で祖父、母の仕事の
着物の仕立ての仕事を自分の仕事と定めます。

"養生所の桜草"
助一郎の職場の小石川養生所での出来事です。
運営、事務を行っている武士の与力、同心の腐敗が
蔓延しています。助一郎はこんな養生所に減滅を
感じています。
何人もの患者が自殺に走る状態になりました。
女性の看護人が暴力をふるわれ怪我をします。
養生所をさぐるためお紺は養生所に看護人として
潜り込みます。

"路地のあじさい"
居酒屋を営むおきえが洞雄の診療所に診療にやって来ます。
おきえの病気が重く長く生きられないことがわかります。
そんな時に店にやって来た酒癖が悪い安治がおきえとけんか
して店を出たあと殺されます。
おきえに疑いがかかります。
お紺がのりだします。

"吾亦紅さみし"
長沢三之丞は年番方の書物同心です。長沢家に養子に
入って暮らしの不足を補うために絵を描いています。
奥さんは嫉妬深い人です。三之丞が上司から依頼された
絵が苦労の末に描き上がろうとした時に、その絵を見て
傷つけてしまいます。
三之丞は家督を息子にゆずった後家を忽然と出て行って
しまいます。
しばらくして完成した絵が上司に届けられます。

"寒夜のつわぶき"
お紺の家に野良猫がやってくるようになりました。とらと
呼んで餌を与えています。
一人ばたらきをしている定吉という盗人が捕まりそうに
なりながらも逃げました。
その定吉が飼っていた猫がとららしいとわかりました。
とらを利用して押し込みをしようとしている定吉です。

"花咲き小町"
行き倒れて養生所に連れてこられた男は耳が聞こえない
ようでぼんやりしています。半鐘と呼ばれて掃除をして
暮らしています。
お紺には同心の有賀勝興との縁談があります。
洞雄の弟子の根元要之助に結婚して欲しいと望まれています。
お紺はどちらにも心ひかれることがなくそのままにして
いました。
要之助が押し入った盗賊に刺されたことで事態が変わって
いきます。

宇江佐さんの本は安心して読めるので好きです。
でもこの本は切れ切れの時間の合間に読んでいたためか
何かすっきり物語りの中に入っていけなくて物足りない
感じがしました。

女子レスリング 壮行会

2010-08-25 19:54:51 | その他
2010 女子レスリング世界選手件大会 ロシア 9/7-10
第16回アジア競技大会 中国 11/21-26
昨晩 名古屋マリオットアソシアホテルで開かれた壮行会に
母と行って来ました。
吉田沙保理選手、西牧未央選手、新海真美選手が登場
しました。
レスリングが好きだというわけではありません。
弟がお付き合いで券を何枚か買うことになってその券を
くれたので行くことになりました。
北京オリンピックの時の壮行会にも行きました。
あの時は身動きできないほどの人でしたが昨日はそれほどの
人ではなくゆったりとしていました。
バイキング形式のパーティでしたが、品数、量は少なく
人がわっと集まってあんまり食べられません。
遠征費用を賄うのに毎回このような壮行会を催さなければ
ならないのはたいへんですね。
3選手、がんばってください。


訪問者

2010-08-24 21:38:54 | 
恩田 陸
祥伝社
発売日:2009-05-14


恩田陸著"訪問者"を読みました。
山中にたたずむ古い洋館を井上と長田が訪ねます。
三年前に死んだ朝霧千沙子が建てた家です。
幼いころ千沙子に面倒を見てもらっていた映画監督の
峠昌彦が事故で死にました。
井上は昌彦の友人であり弁護士です。
昌彦の遺言を持ってきたのです。
洋館には千沙子の兄弟が住んでいます。
千蔵、千次、千衛、千恵子とその夫の宮脇協一郎
わけあって預かっている子供の愛華、家政婦の
更科がいます。
昌彦の遺言には自分の父親はこの館にいる4人の
中にいる。名乗った人に財産をゆずるというものです。
途中から登場する愛華の母親の澄子
後半には千沙子の幽霊のまねをするために誰かに
雇われた役者の小野寺も加わります。

事故死と思われている千沙子と昌彦は誰かに殺された
のではないかという疑いや雨の中現れたもう一人の
男の事故死など館に住む人たちと、井上たち、後から
加わった小野寺との間でやり取りが交わされます。

真実はなんだったかがけ崩れで閉じ込められた
空間で駆け引きが繰り返されます。

一応この館で今回起こった出来事の真実が表されます。
そして過去の出来事や昌彦の父親は誰だったか、みんなが
そういうことだったのかと受け入れられる推測が語られます。

でもなんかすっきりしません。小説はありえないことを
さもあるように思わせるものですが、この本はすっきり
受け取れないのです。
なんだか無理があって、それはないでしょうと思ってしまいます。

にわか大根 猿若町捕物帳

2010-08-23 21:06:04 | 

近藤史恵著"にわか大根 猿若町捕物帳"を読みました。
"吉原雀"、"にわか大根"、"片陰"の3篇からなります。
猿若町捕物帳シリーズの"寒椿ゆれる"の前の話になります。
まだこの前の話があるようで後ろから逆に読み登って
しまいましたが問題ありません。
登場人物は前と同じ玉島千蔭、いつも行動を共にしている
助手の八十吉、千蔭の父の千次郎、その妻の年若いお駒、
吉原のおいらんの梅が枝、女形の巴之丞、絵師の歌川国克
など興味深い人たちです。

"吉原雀"は吉原の違う見世の三人の遊女がほぼ同時期に
死んだのを不審に思って調べる事件です。
いずれも同じ医者にかかっておりその医者は老齢で
美しい十二歳の弟子がいます。
何か三人の死と関係があるのか…
この事件とは関係なく千蔭の義母のお駒の従姉妹の
おふくが家にいるのが嫌だから、千蔭の家に置いて
ほしいと言ってきます。

"にわか大根"は巴之丞の小屋の隣の小屋の役者の
村山達之助はよい役者だと言われていました。
何年か上方へ修行に行って戻ってきた後の芝居は
まったく下手で「にわか大根」と野次がとぶほどです。
その達之助の幼い息子が小屋の天井近くの窓から
落ちて死にます。
達之助がにわか大根となった理由、息子が死んだ理由は…

"片陰"は天水桶から死体が見つかります。
殺されたのは船芝居の役者の円蔵です。
船芝居は船遊びをする人に、船でやって来て二人の
役者で芝居を見せるものです。
誰もが円蔵はやさしい、面倒見がいい人といいます。
そのやさしさが二人の人を苦しめていました。
最初に登場したおふくが母親や店の者たちから手代の
長吉と結婚するよう追い詰められています。

千蔭は真面目で酒は飲まないし吉原のおいらんの梅が枝
にせまられても興味をしめさない男です。
登場人物のみんながそれぞれ性格がはっきりしていて
おもしろく読めます。

ヘアメイク神井結の芸能界ミステリー案内

2010-08-22 21:05:08 | 

山田邦子著"ヘアメイク神井結の芸能界ミステリー案内"を
読みました。
タレントの山田邦子さんが書いた本です。
美容師10年で芸能界のヘアメイクに転身した結が主人公です。
芸能界に出入りしている宝石販売、レンタルをしている
輝子さんとひょんなことから知り合い、いろんなことに
出会います。
人気ものの十代の女性タレントの犬が逃げ出した話。
二人の美しいの若者の対立、よく話題になる幽霊の話。
物が無くなった、知らないかとしょっちゅう聞いて回る
嫌われ者の女優の話。
落ち目になってきた落語家の話。

芸能界を知っている著者が書いているのですから
この話と似たようなことは起きているのでしょう。
読んでいてため息がでます。
よくこんなむちゃくちゃな世界で生きているなぁと
思ってしまいます。
暴力や暴言は日常茶飯事で誰も止めないで横行している
というのはやはりどうかしています。
常識からずれていますがどうしようもないのでしょうね。
嫌なら抜ければいい。歌やお芝居に生きがいを見出すなら
芸能界の雰囲気に浸かってしまうか、さらっとかわして
気にしないで生きていくかですね。
軽く読めます。
輝子さんのキャラクタがいいです。

夜を守る

2010-08-22 11:15:09 | 
石田 衣良
双葉社
発売日:2008-02-13


石井衣良著"夜を守る"を読みました。
アメ横に暮らす川崎繁、橋本直明、服部要、近所の施設
のりすの家で暮らしている岡田由紀夫の4人の話です。
夜にアメ横で自転車を整列させている老人増井さんに
会います。4年前息子がアメ横で倒れて亡くなり殺人と
思われ、今でもその犯人を捜し求めています。
街を歩いているうちすこしでも街の空気をいいものに
変えたいとゴミを拾い自転車の整理をしています。
その話に感動した4人は自分たちも町をみまわることに
します。そういうボランティアのことをガーディアンと
呼ぶそうです。
おそろいのジャンパーにベレー帽でゴミを拾い酔っ払いの
介抱をし、自転車の整理をして回ります。
4人はアポロ、サモハン、ヤクショ、天才とニュックネームで
呼び合います。

"プロローグ"、"アメ横の女"、"グリーンハウス"、"Xペリエンスの姫"、
"夜のジャングルクルーズ"、"雨に踊れば"、"夜の自警団"、
"アメ横ランナバウト"から成ります。

"グリーンハウス"は粗大ゴミとして捨てられた電気製品を
拾うお婆さんにたのまれ業務用大型冷蔵庫を家まで運んで
やります。息子が修理をして外国人の客に売っています。
家がゴミ屋敷のようで近所で問題視され強制執行でかたずけ
られそうなのを手助けしてやります。

"夜のジャングルクルーズ"は暴力団から手助けを依頼されます。
ペンキを撒いたり接着剤を鍵穴に塗ったりといういやがらせを
している者がいる。それをパトロール中に見かけたら知らせて
欲しいという依頼です。
暴力団と関係を持ちたくないというと思っていた4人ですが
巻き込まれていきます。

"雨に踊れば"はパトロール中に知り合ったダンサーの女の子が
4日間行方不明になりその相棒の女の子に行方の捜査を
頼まれます。付き合っていた男が暴力をふるう男で
心配されます。

"夜の自警団"はアメ横の横行する泥棒を突き止めて欲しいと
依頼されます。
そしてアポロは雑貨屋のコズミックスへの就職が決まります。
ゆくゆくは自分の店としてやっていってほしいという話です。

"アメ横ランナバウト"は最初に登場した増井さんの再度の
登場です。田舎に引っ込んでいた増井さんですが犯行を
目撃したという手紙をもらって上野に出てきたのです。
手紙を出した人物、犯人探しが始まります。

小さなことをやろうとしている4人ですがいろんな事件に
出会います。
言いたいことを言い合って、ガーディアンズの活動が
生きがいになっていく4人のやりとりがとても楽しい
本です。8/22

寒椿ゆれる 猿若町捕物帳

2010-08-21 23:03:18 | 

近藤史恵著"寒椿ゆれる 猿若町捕物帳"を読みました。
同心玉島千蔭が主人公です。
"猪鍋"、"清姫"、"寒椿"の3篇から成ります。
猪鍋は京都で修行してきた主人を、京都の店の親方の
息子が父親のかたきとねらっています。
味は息子でさえ教えてもらっていない味です。
食中毒が起きてその味の秘密が解き明かされます。
千蔭はおろくという風変わりな女性と見合いをします。
数字や計算に強くはきはきと自分の意見をいう女性です。
千蔭はおろくと結婚してもいいと考えます。

清姫は安珍清姫の清姫です。
女形の巴之丞がさされて一月ほどの静養が必要に
なります。
代役に雪弥が抜擢されます。
誰がなんのために巴之丞を刺したのか。

寒椿は金貸しに盗賊が侵入して被害に会います。
北町同心の大石が手引きをしたのではないかと疑われ
謹慎させられます。
そのぬれ衣を晴らすため千蔭が奔走します。
寒椿はぽろりと落ちるため武士では嫌われる花だそう
ですがその木が大石の庭に植えられています。
その理由はおろくを想ってとのこと。
千蔭は大石とおろくを結ばせるため身を引きます。

千蔭もおろくにひかれていたのにあっさりと
大石にゆずるなんてそんなことできるものでしょうか。
千蔭とおろくは相性がよさそうでしたのに。
なんだか不自然な気がします。

"モップの精は深夜に現れる"&"モップの魔女は呪文を知っている"

2010-08-20 21:12:30 | 


近藤史恵著"モップの精は深夜に現れる"と"モップの魔女は
呪文を知っている"のモップシリーズの2冊を読みました。
お掃除を仕事としているキリコが主役です。
連作短編集です。
前の"天使はモップを持って"は場所が特定されていて
大介が働いていたビルだけでしたがこの2冊は特定の
ビルではなく話のたびに場所が変わっています。
読み始めた時はどの順番で出版されたのかわからなくて
大介に出会う前の話なのかな、それともあとの話
なのかなと思いつつ読んでいました。
どうやら順番通りに読み進んだようです。
第一巻が大介と出あって結婚するまであとの2冊は
その後の話です。
書き留めておかないと忘れてしまうのですみません、
ねたばれになるかもしれませんがざくっと書き留めて
おきます。

"モップの精は深夜に現れる"
・悪い芽
上司が部下を不正をするように誘導する話
中学生の娘とどう接したらいいかわからない父親の話
・鍵のない扉
女性4人と女性の社長の出版社の社長がマンションで
死んでいた話
・オーバー・ザ・レインボウ
売れてないモデルの葵が屋上に締め出されたり、売れっ子
モデルに葵が出したと思わせた嫌がらせのメールが送られ
たりする話
・君に会いたいと思うこと
キリコが一ヶ月行き先も言わないで旅行に出かけて
しまいます。大介はキリコは何を思っているのだろうと
やきもきと待っています。その旅行の目的は意外な
ことでした。

"モップの魔女は呪文を知っている"
・水の中の悪意
スポーツ・クラブのプール内でやけどをしたという人が
現れます。何かが水の中に入れられたのではないかと
さわぎになります。
ある目的で会員を去らせようとする目論見で騒ぎが
起こされます。
・愛しき女王様
地方から出てきた大学一年生の奈津はペットショップで
一目ぼれした猫を買いたいためむちゃなアルバイトに
精を出します。
そうして手に入れた猫が別の猫を入れ替えられてしまいます。
善意から行われた内緒の入れ換えだけど奈津は自分の猫を
探します。この理由は悲しい理由です。
・第二病棟の魔女
子供病棟での話です。検査をすると正常なのに何かが
あるはず、もっと詳しく検査をとヒステリックになる
母親。代理ミュンヒハウゼン症候群 (子供を病気にしたて
それを熱心に看病することで満たされる心の病気)
でもこの話には裏があったのです。
・コーヒーを一杯
妹をはずみで死なせてしまった姉のアクセサリー通販会社の
社長の姉、死体を隠そうとしますがキリコに出会ったため
あきらめることになります。

仕事もきっちりとこなし、家事も介護もこなすキリコ、
二十歳そこそこなのにがんばっています。
キリコ好きです。

おそろし 三島屋変調百物語

2010-08-19 21:00:04 | 
宮部 みゆき
角川グループパブリッシング
発売日:2008-07-30


宮部みゆき著"おそろし 三島屋変調百物語"を読みました。
川崎の旅籠の娘おちかはある出来事で心を閉ざして
しまいます。
それを心配した叔父夫婦がおちかをひきとります。
江戸で三島屋という小間物屋を経営しています。
そこで女中として働き始めます。
叔父夫婦が突然出かけてしまい、約束していたお客様の
おもてなしをすることになりました。
お客様はおちかを相手に心に秘めていた昔の思い出を
語り始めます。
それは兄を死に追いやってしまったつらい出来事です。

この話を聞いて叔父はいろんな不思議な話を持っている
人を集めて一人ずつ家に読んでおちかに聞かせようとします。
そうすることでおちかの心を開かせることができるのでは
ないかと考えます。

次に来て話をしたのはおたかです。
両親、兄弟4人である不思議な屋敷に一年の約束で
住むことになります。
そして残ったのはおたか一人です。
魔力を秘めた家に飲み込まれてしまいます。
そしてその家はおたかの中に住み着いています。

おちか自身が自分に起こった出来事をいっしょに仕事を
しているおちかを相手として語ります。
雪の中がけから投げ捨てられていて助けられた松太郎と
いう子供がいました。
おちかの家で松太郎はひきとられいっしょに育ちました。
大人になりおちかの婚約者を松太郎が殺し自殺をして
しまいます。
こんなことになった原因は自分にあると自分が許せずに
います。

あと病気のため十何年と療養のため温暖な地へやられて
いた姉が健康を取り戻し帰宅し、弟と恋愛関係になって
一家が滅亡してしまった話があります。

最後はおちかがおたかの中の屋敷と対決する話に
なります。

おちか自身の話が一番印象が強いです。
意識しないまま誰かを傷つけるという取り返しがつかない
ことをやってしまうことありそうです。
おちかや兄や両親が松太郎をないがしろにしていることに
まったく気づかず便利に使っていて最後にとんでもない
ことが引き起こされてしまう。
自分だってやってしまいそうです。

いままで読んだ宮部さんの本の中では一番すっと
頭に入ってくる話でした。

螺旋階段のアリス

2010-08-18 19:49:15 | 
今日の暑さは尋常ではありません。
家にいる時は、寝る時以外ほとんどエアコンは入れません。
でも今日は帰宅してしばらくしたら気分が悪くなってきて
これはまずい、意識を失くしたらえらいことだとエアコン
のスイッチを入れました。しばらくしたら気分がよく
なってきたのでやはり暑さにやられたみたいです。
パソコンの置いてあるここはエアコンが設置してないので
入ってきたらむわっとすごい熱気です。
扇風機を回していますが暑い空気が肌にあたります。
温度計は37度を示しています。
また目がまわりそうです。さっさと用事をかたずけて
逃げ出した方がよさそうです。


加納 朋子
文藝春秋
発売日:2000-11


加納朋子著"螺旋階段のアリス"を読みました。
仁木順平は転身退職者支援制度を利用して私立探偵を
始めます。1年間給料は出すからその間に何か一人
立ちできる仕事を探せという制度です。
奥さんは高収入のある仕事を持っています。
お客さんのこない事務所にすわってまっていると
やってきたのが十八、九に見える女性が猫を抱いてやって
きました。名前を安梨沙、猫はダイナです。
そして安梨沙は助手として事務所へ毎日くるように
なります。
やがてお客さんもやってくるようになり二木と安梨沙は
二人で事件を調べます。
離婚と結婚を繰り返していた夫婦の夫が亡くなり金庫の
鍵を探す依頼。
浮気をしていないと証明してほしいという依頼。
犬を探して欲しいという依頼。
地下室の鍵のかかった倉庫の中で鳴り続ける電話の謎の
解明の依頼。
ペースメーカを利用している何もできない夫をお使いに
出す妻の真意は何かの依頼。
産院から生まれたばかりの赤ん坊の世話の依頼。
最後は安梨沙がどこかへ行ってしまったのはどうして?
連作短編集です。
安梨沙は頭の回転が速い女の子です。
何かをかかえています。
話のなかにルイス・キャロルの不思議の国のアリスや
鏡の国のアリスに出てきた人物や出来事がひき合いに
出てきます。
会社を辞めて私立探偵に転職とはおもしろい選択です。

思い雲 みをつくし料理帖

2010-08-17 20:59:29 | 

高田郁著"思い雲 みをつくし料理帖"を読みました。
"八朔の雪"、"花散らしの雨"のシリーズの三冊目です。
料理人の澪、御寮さんの芳、つる屋の店主の種市、
おりょうと伊佐三の夫婦、ふきに健の兄弟、澪が思いを
寄せている武士の小松原、医者の源斉、戯作者の清右門
清右門が連れてきた版元の坂村堂などいつもの人々が
出てきます。
芳が探している息子の消息が昔の奉公人富三から
聞かされますがその話は辛くなるような話です。
でもそれは真実なのかどうかはわかりません。
今は吉原でおいらんとなっている幼馴染の野江と
会えるかどうか。
まだ七と小さな健は借金のかたに登龍門で下働きを
していますが、辛くて逃げ出し行方不明になる事件が
おきます。
連作短編です。そのそれぞれに澪が考え出すおいしそうな
料理が出てきます。
お料理が好きな人にはたのしい本です。
もちろんお料理をしない人にもたのしい本です。