雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

フリーター、家を買う

2012-02-29 20:21:15 | 

有川浩著"フリーター、家を買う"を読みました。
ベストセラー小説は読む気がしなくて今まで手が
出ませんでした。
読みやすい本でした。
今は働くということが厳しい時代です。
いつも意識しているというわけではありませんが、
過去の人たちが努力して作ってくれたこの世の中を
少しでも良くして次の世代に渡したいと思って
生きてきました。
みんながそうだと思います。
それなのに世の中は悪くなるばかりです。
私達は今まで何のために働いてきたのか、最近は
ほんとうに空しいです。

武誠治は大学を出て就職をしましたが意に染まない
新入社員教育や、職場の雰囲気に三ヶ月で辞めて
しまいます。
その後求職活動はしますが決まらずアルバイトを
してお金が貯まれば辞め、部屋に閉じこもり食事を
母親の寿美子に部屋へ運ばせる暮らしをしています。
父親の誠一とは顔を合わせるのを避けています。

ある日、姉の亜矢子が家にやってきます。
母親の様子がおかしいのに気づかなかったのかと
激しく誠治と誠一をなじります。
引越してきたときの誠一の態度が近所の人たちの
反感をかって寿美子へのいじめとなって返って
きました。
何十年も続いたことです。
亜矢子は気づいていました。
亜矢子は結婚して東京を離れています。
引越しをすればいいものを誠一は耳を貸さず
寿美子はとうとう病を発症させてしまいます。
病名は全般性不安障害です。

亜矢子が帰った後は誠治が寿美子の薬の管理を
してます。
仕事に就こう、貯金もしようと誠治は夜の現場仕事を
選んでアルバイトを始めます。
夜の薬の管理を父親に頼みます。
ある日寿美子が自殺未遂を起こし手首を切ります。
薬を飲ませていなかったのです。
誠治はかんかんになって誠一に怒ります。

就職活動はうまくいきません。
誠一が誠治の履歴書を見てアドバイスしてくれます。
使いまわすな、丁寧に書け、修正液を使うなと
心構えを説いてくれます。
面接の時の受け答も教えてくれます。

夜のアルバイトは長いこと続いています。
仕事仲間には暖かく接してもらっています。
医療機器の会社がうまくいきそうです。
同時期にアルバイト先から正社員にならないかと
声をかけられます。
土木関係の会社ですが、親会社から分離して会社を
大きくしていきたいと社長は考えています。

誠治は大悦土木に入社することに決めます。
やることは山ほどあります。
仕事の流れをIT化します。
倉庫を片付け資材を取り出しやすくします。
事務も外注化をさけ内部で行います。
簿記を父親に教えてもらい資格試験に挑みます。
そして人を雇うための試験官の役目まではたします。

寿美子は薬をきちんと飲み改善してきています。
お金をため父親に協同で家を買いたいと打ち明けます。

家を買って引越しをすることになります。

こんなになるまで何十年と気づかない家族って
必要なものなのでしょうか。
だめな夫や息子、残酷な近所、でしたが少しづつでも
良い方向に向かっていてやれやれです。
誠治はしっかりと働き始めました。

春秋の檻 獄医立花登手控え

2012-02-28 18:39:46 | 

藤沢周平著"春秋の檻 獄医立花登手控え"を読みました。
最初のうちはなんか重苦しい話だなぁと感じましたが
すぐにそんなことはなくなりさらっと読めました。
読み進むにつれ知っているような感じがしました。
テレビドラマでこのような話を見たような記憶が
あります。検索してみるとありました。
1982年にNHKで放映されています。
中井貴一が立花登、宮崎美子が小牧ちえ役だそうです。
ちえがいじわるく登にあたる場面をおぼろげに思い
出しました。
時代小説の事件物です。

医者になった登は江戸に住む叔父を頼って出てきました。
叔父ははやらない医者で副業に獄医をしていました。
登が獄医を手伝うことになります。
連作短編集です。

"雨上がり"
腹が痛いという獄中の男に頼まれ事をします。
仕事の分け前をもらってきて女に渡して欲しいと
いうものです。
男は女に手を出した男を殺して島流しに決まりました。
登は頼まれ事を果たすため仲間に会いに行きます。
分け前を出したくない仲間とひと悶着の末に手にした
お金を渡しに行くとその女は仲間といっしょにいた
女でした。

"善人長屋"
目が見えない娘を持つ吉兵衛が人を殺したと捕まりました。
無実だと登に訴えます。
吉兵衛の知り合いの源六と与五郎が娘の面倒をみています。
だんだんと真相が見えてきます。
三人で人を殺してお金を盗む事件を起こしています。
さらに昔にもう一人加えて4人で強盗をして大金を盗みました。
お金を隠した男が捕まって島流しになっています。
娘はその男の子供です。娘の面倒をみながら男が
島から帰ってくるのを待っています。

"女牢"
女牢を見回った時知った人に出会いました。
彼女の夫が怪我を見てやりに家に通ったことがありました。
その女房が夫を殺しました。
理由を言いません。
夫はばくちで大きな借金を作りました。
借金の方に女房を借金の相手の自由にさせました。
それで夫を殺したのです。
死罪になることが決まった女は昔心魅かれた登に抱かれ
たいと願い、牢名主が力を貸し登を牢の中にひっぱり
込みます。

"返り花"
ご家人の小沼が妻が差し入れた餅菓子を食べて死にかけました。
登は妻の登和を調べ始めます。
餅菓子は小沼の同僚の松波から渡されたものです。
登和は昔馴染みの井崎に松波に会ってくれるよう頼みます。
井崎は松波を強請ったため殺されてしまいます。
小沼の疑いは松波の罪だということがわかって解き放ちに
決まります。
井崎が死んで残念そうな登和というのがなんとも言え
ない話です。

"落ち葉降る"
平助が捕まり入牢しています。
盗みぐせがある男ですが娘のおしんのためにやめよう
としていました。
今回ははめられたようだというのです。
娘には恋人がいます。清吉というその男は親方の
娘との縁談があっておしんと別れたがっていました。
おしんを陥れるため父親をはめました。
おしんは清吉を刺してしまいます。

"風の道"
鶴吉はどんなに攻められても口をわろうとはしません
でした。
口を割れば女房の命が危なくなるからです。
牢内に入り込んだ仲間に鶴吉は殺されてしまいます。

"牢破り"
叔父の娘のおちえがかどわかされました。
登は牢破りの道具を牢内に持ち込むよう脅されます。
おちえは奔放な娘で叔母も手を焼いています。
おちえを救出するため登の知り合いたちが協力してくれます。

戸村飯店青春100連発

2012-02-27 21:50:12 | 
瀬尾 まいこ
理論社
発売日:2008-03-20

瀬尾まいこ著"戸村飯店青春100連発"を読みました。
高校時代、その後の数年間の兄弟の生き方を描いたものです。
ヘイスケとコウスケは1歳違いの兄弟です。
性格はまるで違います。
同じ部屋で過ごしていますがほとんど話をしたことが
ありません。
大阪に住み、家は戸村飯店という食堂です。
両親二人で経営してます。

ヘイスケは食堂の手伝いをしたことがありません。
文章を書くのがうまいです。
弟や同級生の作文の代筆をやってこづかいをかせいでいました。
家にいるのが嫌で早く出て行きたくてしょうがありません。
高校を卒業すると東京の専門学校にいくため家を出ていきます。

コウスケはお客さんに明るく接することができる男の子です。
ずっと配達など家の手伝いをしてきました。
兄が家を出て行き、家業は自分が継ぐよりしょうがないと
心に決めています。

ヘイスケは作家になるための専門学校に入学したのですが
続けるつもりは最初からありません。
1月間で辞めると入学金が返還されるためその間に
辞めるつもりです。
専門学校の先生のアリさんと付き合い始めます。
友達もできます。
レストランでアルバイトを始めます。

コウスケは最期の高校生活を楽しんでいます。
合唱大会で指揮をかって出てクラスをまとめいい成績を
残します。
店を継ぐつもりでいますが三者面談でそう言ったら
出席していた父親に継がせない、家を出て行けと言われて
しまいます。
お父さんは広い世界を見て来いといいます。
先生も進学した方がいいと言い出します。
もう3年生も後半です。
コウスケは今まで相談事をしたことがない東京の兄を訪ねて
相談します。

コウスケは試験勉強を初めます。
ヘイスケはアルバイト先のレストランで頼りにされています。

コウスケは猛勉強の結果、大学に合格して家を出る
ことになります。
勉強は兄がコウスケのガールフレンドを通じて見守って
いてくれました。

ヘイスケは家を離れて家や近所の人達のことを
見直しました。
1年経って家に帰ろうと思うようになりました。
家の扉を開け店のお客さんや両親に迎えられる場面で
終了しています。

1年間で兄弟の生き方が入れ替わってしまいました。
その1年間は貴重な1年だったことでしょう。
話すことがなかった兄弟がお互いを知ることも
できました。
後を継ぐという息子を外に出してやるお父さんはえらいです。
ヘイスケも地元で大きく羽ばたくことでしょう。
青春小説でした。

オペラ "フィガロの結婚"

2012-02-26 20:43:52 | 音楽
今日はオペラ"フィガロの結婚"を見てきました。
オペラは見るといったらいいのでしょうか、聴くといったら
いいのでしょうか?
唯一知っているオペラはフィガロの結婚です。
A氏のエッセイに感化されていろいろな公演のLDで
見ました。
愛知文化センターのアートライブラリーで現在も
見ることができると思います。
今日は愛知芸術劇場大ホールでの公演です。
名古屋音楽大学の主催です。
入場料は指定席2000円、自由席1000円です。
この安さですから学生さんの発表の場なのかと思って
いました。
違いました。学生さんも参加してますが重要な登場人物は
教授とか講師の肩書きがあるプロの方たちです。
最初のうちはなんかなじめなかったのですがすぐに
歌のすばらしさにひきこまれました。
左右に字幕がでます。
歌うような会話の部分は日本語です。
内容は知っていたはずですがかなりな部分忘れてしまって
いて字幕を読んで理解が追いつけない部分がありました。
この話は楽しいです。

伯爵に仕えるフィガロとスザンナが結婚しようとして
起こる騒動を描いたものです。
花嫁に手を出そうとするけしからぬ伯爵です。
それを阻止しようとする伯爵夫人、フィガロ、スザンヌの
攻防戦です。
自分は使用人の花嫁に手を出すことを当たり前に思って
いるのに、夫人が小姓の少年ケルビーノと話していると
浮気していると腹を立てまくります。
こんな男性のモラルが当時は当然のことなのかも
しれません。
でも阻止しようとやっきになっているのですから
当時だって受け入れられることではないのでしょう。

フィガロはマルチェリーナにお金を借りています。
返せない時は結婚することになっています。
マルチェリーナは、応援してくれるバルトロとやってきて
フィガロに結婚を迫ります。
フィガロが自分は捨て子でその時置かれていたのがこの
指輪だと見せると、自分が母親でバルトロが父親だと
名乗ります。突然の親子の対面は笑ってしまいます。
第一幕の最期の合唱は朗々と歌い上げてすばらしいです。

二幕は結婚式と森の中での駆け引きです。
伯爵夫人とスザンナのたくらみに男性たちは振り回されます。
最期近く伯爵が夫人に許してくれと誤ります。
夫人の"私は、いつも素直ですから"で始まる許しの曲は
いいです。

歌だけでなく衣装も舞台装置もしっかりしたものでした。
"フィガロの結婚"すばらしかったです。

家にフィガロの結婚のCDがあったはずです。聴いてみたく
なりました。

図書館革命

2012-02-25 20:54:49 | 
有川 浩
メディアワークス
発売日:2007-11

有川浩著"図書館革命"を読みました。
図書館戦争、図書館内乱、図書館危機に続くシリーズ
最終巻です。
敦賀原発で無差別テロが発生しました。
「原発危機」という本の内容とそっくりなことが現実
となりました。
テロの教科書となる本を書いた危険人物として当麻は
追われる立場になりました。
編集者の折口と共に当麻は図書館に逃げ込んできました。
最初は寮にかくまい、次に稲峰の家にかくまい郁の
チームが交替で護衛をすることになります。
しかし内部の裏切りで居場所がばれてメディア良化委員会
に踏み込まれることになります。
郁とは堂上は当麻を連れて車で脱出します。
車はトレーラに詰め込まれヘリコプターにつられて
図書館に戻りました。

手塚光の兄、未来企画の創始者の手塚慧と協力して
メディア良化法に対抗することになります。
出版界、放送と手を組んで徐々に世論に訴えかけて
いきます。
当麻は裁判で対決することになります。
でも結果は芳しくありません。
図書館では特殊部隊員らが集まって打開策をあれこれ
出し合って会議をしています。
郁がふともらした「当麻先生に亡命してもらえば」
という意見が、これだと受け入れられ実行に移すことに
なります。

雨の中堂上班が護衛して外国の受け入れを表明してくれた
外国の大使館、領事館を目指して車を進めます。
良化委員会がそのまわりを取り囲んで入れるところが
ありません。
車を捨て班を二つに分け歩いていくことになります。
その途中で堂上は良化委員の者に撃たれてしまいます。

当麻の知り合いの書店に逃げ込みます。
堂上を書店にまかせ、郁と当麻は嵐の中レンタカーで
大坂をめざすことになります。
夜を徹して朝に大阪につきます。
当麻はデパートの店員が助けてくれみやぶられない大阪の
女性に女装されます。
郁が途中で打った連絡の電報が図書館に届いて大阪の
図書館員の手助けが得られます。
こうして当麻は大阪のアメリカ領事館へ入ることが出来ました。

このことで外国の検閲に対する国際的な非難が政治にも
影響がでてきました。
緩やかながら法律が変っていきます。

何年か後、郁と堂上は結婚しています。

完全勝利とは簡単にはいきませんね。
少しづつ勝ち取っていけなくてはいけません。
まあいいやと許せばどんどん悪い方に傾いていって
しまいます。

闘争の部分が多いのですが、ロマンスの部分も多いです。
こういう部分もいいのですがちょっと閉口します。

ハナシはつきぬ!笑酔亭梅寿謎解噺

2012-02-24 20:43:00 | 

田中啓文著"ハナシはつきぬ!笑酔亭梅寿謎解噺"を
読みました。
笑酔亭梅寿謎解噺シリーズの5冊目です。
どこかにこの本がシリーズ最終巻だと書いてありました。
そうだったらさみしいです。
梅寿の弟子の梅駆こと竜二が主人公の物語です。
謎解噺という題名はちょっと違うなぁと感じます。
一冊目がちょっとミステリーじみていましたが以後は
落語家一門のてんやわんやの出来事を描いたものです。

竜二は修業もあけ、アパート住まいをしています。
一番下の弟子で今も師匠の面倒をみるのは竜二の
役目です。
竜二は出演できなくなった兄弟子に代わってテレビの
収録に参加することになりました。
みんなに混じって適当に合わせていればよかったはずが
突然マイクを向けられます。
先輩の梅雨が仲間うちで言ったギャグの「クイラトス」
と叫んでしまいます。
それがうけてしまって竜二はいちやく有名人に祭り上げ
られてしまいます。
ギャグ嫌いの師匠には打ち明けられないし、兄弟子には
人の持ちネタを盗んだと追求されることになります。

竜二の両親は早くに亡くなっています。
亡くなったのは実の両親だったのに有名になると、実の
母親を名乗る人が何人も現れます。
父親は写真が一枚あるだけでどんな職業についていたか
さえ知りません。
母親を名乗る人が現れたのは師匠がでたらめを
しゃべったためです。
父親は竜二と同じ落語家だったことがわかります。

どんどんテレビへの出番が多くなっていき落語から
離れていきます。
大型バイクを買い飲酒運転で事故を起こしたため
仕事はあっという間になくなりました。

竜二には梅の種という小学生の兄弟子がいます。
梅の種は引越しで離れて竜二は存在を知りませんでした。
師匠に梅の種との落語対決をするよう企てられます。
負けた方が落語家を止めるということになります。
結果は梅の種が勝ちました。
梅の種は実際には自分の負けだと、竜二の弟子になると
言いだします。

竜二は無免許運転を繰り返し、事故を起こして
あちこちを骨折して長期療養が必要となります。
おまけに落語家として大事な声が出なくなりました。

梅寿50周年記念の落語会で師匠が演じる「地獄八景
亡者戯」の前半をやるよう師匠に命じられます。
竜二は声がでません。
それでも姉弟子の稽古を受けて覚えます。
当日が来ました。まだ声はでません。
高座に上がっても声はでません。
紙芝居のように絵で客にわかってもらおうとします。

突然扇風機がまわり紙を吹き飛ばしてしまいます。
それが竜二の声が戻るきっかけになりました。
師匠が扇風機のスイッチを入れたのです。

今回は梅寿師匠がかっこいいです。
やっぱり長く生きてきただけのことはあると思いつつ
読みました。
竜二は若いだけにあっちこっちぶつかって失敗を
繰り返します。
失敗を繰り返して成長していくのだからしかたないけど
無免許のバイク事故はいただけません。
竜二は最期には落語が好きと落ち着いたようです。

そういえば梅寿は一度も竜二に稽古をつけてやったことが
ありません。師匠と呼ばれてそれはちょっとないのでは
ないか思います。

こなもん屋馬子

2012-02-23 19:02:18 | 
田中 啓文
実業之日本社
発売日:2011-10-20

田中啓文著"こなもん屋馬子"を読みました。
連作短編集です。
馬子(うまこ)という名前の女性が店主のこなもん、つまり
小麦粉を使った食べ物屋さんの店にやってくるお客さん
との出来事を書いた話です。
馬子は太っていて髪はちりちりです。
時々怒って物を投げつけます。
イルカという少女が店を手伝っています。
店を見つけて客がふらりと立ち寄ります。
材料はスーパーで買うといい、特別な調味料も使いません。
それなのに馬子が作るものはとてもおいしくて客は
毎日のように通ってきて同じものを食べ続けます。
別のお客がやってきます。なんか問題を抱えています。
馬子が解決してやったりアドバイスしてやります。
最初の客もそれに連動して自分の問題を解消していく
という形式の連作短編集です。
しばらく店にいかないことが続き、さあ行こうと
また行ってみると店はどんなに探しても見つかりません。
現実離れした話でもあります。

お客さんにつけたあだ名が題名になっています。
その時の店で出していた食べ物を表しています。

"豚玉のジョー"
ジョーと呼ばれる客がよくいっしょになる女性の二人
づれがいます。
片方の女性がもう一方の女性の個人情報を聞きだそうと
いろんな話題を持ち出します。
うまく聞き出したところで馬子がその裏を暴きます。
ジョーは警察官です。

"たこ焼きのジュン"
ジュンが食べている時よく会うのはラジオのデスク
ジョッキーです。
昔は人気者の歌手でしたが人気がなくなり仕事は
ディスクジョッキーしかなくなりました。
それが不満で店でぐだぐだ愚痴をいっています。
馬子が人間観察のおもしろさを伝えます。
彼女は変わっていきます。
ジュンは彼女と同業者です。

"おうどんのリュウ"
リュウがよくいっしょになるのは相撲取りの昼白虎です。
昼白虎は大関です。彼の行動が批判されています。
力任せの相撲で最近は勝てなくて悩んでいます。
腰を痛めているのを馬子に見抜かれます。
彼女にうどんを作るために小麦粉を練ったものを踏んで
腰を強くするよう勧められます。
リュウは落語家です。本当はうどんが嫌いです。
うどんを食べる場面がある話をやることになりました。
うどんを食べ続けていますがそれでもうどんは好きに
なれません。
馬子にうどんをそばに変えたらとアドバイスされます。

"焼きそばのケン"
ケンが食べていると暗い流しの歌手がギターをかかえて
やってきます。
店に来ていたラップ歌手にざんざんに嫌味を
言われます。
歌手はやれといわれラップを即興で歌います。
実は彼は有名なラッパーでした。
ケンはプロデューサーです。

"マルゲリータのジンペイ"
石焼き芋の屋台を改造して馬子はピザの屋台をしています。
許可がないから営業するなと見つかるたび警察官に
こごとをくらっています。
白い粉が入った鞄をめぐって騒動が持ち上がります。

"豚まんのコーザブロー"
経営難に陥った児童養護施設の経営者と施設で育った
男女が店にやってきます。
経営難につけこまれて施設を手放さなければならない
よう追い込まれています。
馬子の演出で芝居を打つことになりました。
コーザブローはテレビの制作をしています。

"ラーメンの喝瑛"
喝瑛は禅僧です。ラーメンが好きで食べ歩きをしています。
師にラーメンの定義はなにかと問われました。
ずっと食べ歩いていますがわかりません。
究極のラーメンはない、と馬子に言われます。
ラーメンは"無"です。

店が消えてしまうというのはおもしろい発想です。
馬子が次々と別の場所の別の店で別のものを売るためには
店が消えてしまうのが一番です。
人の心を見抜きうまく解決してやる結構かっこいい
おばさんです。
イルカももっと活躍するのかなと思っていたのですが
そこにいるだけみたいであまり存在感はりませんでした。

ラ・パティスリー

2012-02-22 20:35:33 | 
上田 早夕里
角川春樹事務所
発売日:2005-11

上田早夕里著"ラ・パティスリー"を読みました。
お菓子を作る職人の話しです。
夏織は専門学校を出てフランス菓子店ロワゾ・ドールで
働き始めたばかりです。
パティシエをめざしていますが今は売り子で併設の喫茶部の
ウェートレス、掃除や準備に後片付けに朝5時半から夜
10時ごろまで働いています。
パティシエだった前オーナの夫を亡くした現女性オーナーは
夫の味を守っていこうとする保守的な人です。
ある朝夏織が出勤してみると見知らぬ男性が作業を
していました。
彼はロワゾ・ドールを自分の店だと思い込んでいます。
お菓子作りの腕は一流です。
男は市川恭也と名乗りました。
すっかり記憶を失くしています。
頭に怪我の痕があります。
オーナーは家を出て行って8年になる息子の知り合い
ではないかと疑っています。オーナーも市川です。
恭也は店でやとってもらい働き始めます。
恭也は昔食べたケーキを再現して欲しいという依頼を
受け何種類も作り見事合致するものを作ります。
出店しているデパートからケーキを一新して人を
ひき付けるものにして欲しいという要望に答えて
新しいデザインを提供します。

夏織は朝の準備を恭也といっしょにしたり彼の
作業を見たりして惹かれていきます。
恭也は仕事熱心ですが、人を拒絶しているような感じの
人です。
デパートに自分のデザインのケーキを置くことに
よって知っている人が現れるのではないかという
恭也の目論みは当たって訪ねてきた人がいます。
美濃田というその人は昔ロワゾ・ドールで働いて
いた人でした。
恭也がロワゾ・ドールへやってきたのは偶然では
ありませんでした。
美濃田が働いていた当時恭也を店に連れてきたことが
あったのです。
記憶を失った原因もわかりました。

恭也は店を出て行くことにしました。
夏織は恭也に対する思いを打ち明けます。
恭也は受け入れませんが出発するまで二人でお菓子屋
さんの食べ歩きをします。
やがて恭也は出て行きました。
夏織は厨房で仕事ができるようになりました。

お菓子の作り方の説明や道具の説明などが挿入
されていますが、お菓子に興味がないものにとって
へぇで終わってしまいます。
ケーキ、嫌いではありませんがさりとて夢中になる
ものでもありません。
お土産に持って行っていっしょに食べるということは
ありますが、自分が食べたいから買うということは
ここしばらくありません。
デザインが斬新でも味は想像できる範囲です。
私には興味がない世界ですがお菓子に人生をかける
人はたくさんいます。
知らない世界が垣間見えました。

恭也のちょっとかたくな性格はいつか溶けるでしょうか。
夏織と恭也はたぶん離れていくでしょう。
何年か、何十年か先に再会して、やあとうちとけて
お菓子のことを熱心に語り合える二人になるでしょうか。

それにしてもいくら修行中だからと朝5時半から夜
10時まで働かせてそれが当たり前みたいな顔
しているのはどこかおかしいと思います。
正常な労働時間以上働かせるのは間違いです。
一人前になるために必要な努力とは別物です。

まぐだら屋のマリア

2012-02-21 19:12:29 | 
原田 マハ
幻冬舎
発売日:2011-07-26

原田マハ著"まぐだら屋のマリア"を読みました。
ありえないでしょうという設定ではありますがとても
よかったです。

紫紋は料理人になる夢がありました。
一流料亭で下働きを続けてきました。
紫紋の数年後に入ってきて紫紋を慕ってくれた悠太の
自殺を止められませんでした。
悠太の死に責任を感じ、自分も死のうとして海沿いの
村にたどり着きました。
崖っぷちに建っている小屋はまぐだら屋という定食屋でした。
お金がないのに食事をしてしまいました。
食堂をやっているのはマリアです。
紫紋は店を手伝うことになります。
店の女将は病身の老女です。
マリアをひどく憎んでいます。
マリアを悪魔と呼びます。
マリアは朝晩食事を持っていき女将を大切にしています。
毎朝魚を届けてくれる近所の克夫や食べにきてくれる
精錬所の男たちと馴染んでいきます。

ある朝行き倒れになった男が店に運び込まれていました。
丸弧という男は紫紋のアパートに居候することになりました。
何もしないでじっとアパートにいます。
何ヶ月の後打ち明けた話は母親を殺したというのです。
いじめから閉じこもりになって何年にもなっていました。
面倒をみてくれている母を疎ましく思っていました。
インターネットで殺してやると持ちかけられ冗談で
話にのってしまいました。
住所も氏名もわからないだろうと思っていたのにある日
帰ってきた母はぐったり倒れていました。
殺したと思って家を飛び出してきました。

丸弧は女将の元へ食事を届けにいくようになりました。
女将が丸弧にお母さんは死んでないから帰れといいます。
丸弧は家を出たあと救急車を呼んだといいます。
それを聞いて紫紋は丸弧の携帯のスイッチを入れます。
お母さんからのメールがいくつも届いています。

紫紋の勤めていた料亭は一流と言われていながら
手がつけられず戻ってきた料理は使いまわしをするわ、
通信販売の食材は期限切れをごまかしたり、産地を
偽ったりとなさけないことをしていました。
内部告発した一人が悠太です。
悠太は自殺する前に何度も電話をしてきたのに重大な
話だと思わず電話に出なくて悠太を死なせてしまいました。

マリアの過去も壮絶です。
高校生の時母親の付き合っている男のDVにあい
話を聞いてくれた高校教師と恋に落ちました。
教師の妻にばれ、妻は娘を道連れに自殺しました。
その妻の母親がまぐだら屋の女将です。
マリアを憎んで当然です。

やがて女将は亡くなります。
家に帰った丸弧は体が利かなくなった母を助け
働いています。
紫紋は母の元へ帰ることにしました。

憎んでいるといいながらも店をまかせている女将、
大きな度量の人ですね。
娘と孫が死ぬ原因となった人をいったい人は側に
置けるものでしょうか。
この部分は有り得ないと思います。

心に悲しみを抱えた人たちがこの地にやってきて
癒され帰っていきます。
まぐだら屋はずっと続くことでしょう。
丸弧が母を殺したという話しはなんて重いものを
背負ったのだろうと暗澹とした気分になりました。
生きていたというところでは、読んでいるこちら
までほぉーとしました。
泣かせてやろうというところ見え見えなのに
読んでいてうるうるしてしまいました。

図書館危機

2012-02-20 21:09:00 | 
有川 浩
メディアワークス
発売日:2007-02

有川浩著"図書館危機"を読みました。
"図書館戦争"、"図書館内乱"のシリーズ3冊目です。
登場人物は前作と同じです。
郁は高校生の時助けてくれた王子様が実は堂上だと
知ってしまいました。
小牧には打ち明けましたが他の人には言えません。
堂上に対して今まで通りの態度ではいられません。

最初のエピソードは図書館に出没する痴漢を捕まえる
話しです。小牧の恋人の鞠江が被害に会い堂上班は
郁、柴崎をおとりに痴漢を捕まえます。

同期の郁、柴崎、手塚は昇進試験を受ける時期に
なりました。
筆記と実技試験があります。実技試験は読み聞かせなど
で時間内子供達の興味を引き付けておけるかを見る
ものです。
柴崎、郁は問題ありません。
優等生の手塚は子供の扱いが苦手で柴崎に助けを求めます。
郁は筆記を堂上にしぼられやっと通過です。
実技は郁がトップ、手塚はとつとつと読み聞かせを
しますが子供達は時間中集中してくれていてパスしました。

出版社の折口は人気者の俳優の香田大地のインタビーに
行きます。いままで明かさなかった子供時代のことを
今回公表することになりました。
両親に捨てられ床屋をやっている祖父母に育てられました。
記事が校了したころ出版社と香田の間でトラブルが発生
します。
出版社はメディア良化委員会の検閲にひっかからないよう
床屋を理容師あるいは散髪屋さんと言い替えました。
香田は床屋でなければだめだと引きません。
困った折口は図書館特殊部隊隊長で元恋人の玄田に助けを
求めます。
玄田が出してくれた知恵は香田に裁判所に訴えてもらい
床屋を認めさせ良化委員会に手出しさせないことでした。

郁の故郷茨城の図書館に出動することになりました。
図書館の隣の美術館で開かれる絵は良化委員会の標的に
なり騒動は避けられません。
茨城の図書館は問題を抱えています。無抵抗者の会が
深く入り込んでいて防衛員は武器を取り上げられ地位も
最下位に落とされ自力で防衛することができません。
図書館長の事なかれ主義がまねいた結果です。
郁は女性寮で陰湿な嫌がらせを受けます。
うまくいってなくて苦手な母親に防衛隊にいることを
告げ口され母親が乗り込んでくる事態を引き起こします。
良化委員会との戦闘が始まります。
郁も堂上について参加します。
玄田は何十発もの銃弾を受けます。
関東図書基地指令稲峰は責任を取って退任することに
なります。

郁の堂上に対する恋心がいっぱいです。
仕事中や戦闘中までよそ事を考えていては危険な
仕事なのにどうかと思います。
母親との確執も表面化してきます。
逃げ回っていたことに直面しないわけにいかなくなります。
父親やお兄さんたちはわかっていてくれます。
メディア良化委員会と図書館との戦い、なんだか
不可解です。国民は無関心で一部の人たちの戦いと
いう感じを受けます。
いわば内乱なわけなのに突発的に行われる戦闘は
ゲーム感覚です。
命がかかったゲームなんてむなしいです。

本はどんどん読み進められます。
登場人物もしっかり性格付けられていておもしろいです。

ミッドナイト・ラン!

2012-02-19 20:21:35 | 

樋口明雄著"ミッドナイト・ラン!"を読みました。
おもしろかったです。
アクション映画を本にした感じの話しです。
ありえないけど楽しい。
5人の人がサイトの呼びかけで集まって集団自殺を
しようと丹沢の山の中へ入っていきます。
七輪に火を点け車に乗り込んだところへ十代の女の子が
助けを求めて必死で車のガラスを叩きます。
後ろから暴力団が追ってきます。
カオルという女の子を助けて車を発車させます。
こうして自殺は中止されます。
カオルを近くの駅で降ろしてやります。

レストランで休息していると警察がやってきてカオルが
誘拐されて5人が容疑者と見なされているといいます。
暴力団はカオルが持っているものが5人にわたったの
ではないかと警察とは別に追っかけてきます。
黒幕がいて警察の人間と、暴力団とを操っています。
警察と暴力団との間につながりはあるけど協同で
追っているわけではありません。

圭太はお金持ちの息子、生きる意味がわからなくて
死にたいと思っています。いつも音楽を聞いていて
軽い感じも男です。自殺の呼びかけ人です。
松井は元タクシードライバー、アルコール中毒から
抜け出せません。
入江は元自衛隊で脳腫瘍であとわずかしか生きられません。
沙希は鬱病です。
原は元銀行員です。仕事に失敗し借金があります。

警察を出し抜いて車で逃走をはかります。
カオルが残したキャバクラの名刺をたよりに彼女の
行方を捜します。
松井はお酒が切れると中毒症状に苦しみ、入江は痛みで
意識を失うという苦しい状況です。

暴力団と警察から逃げ回ります。
発砲され通りかかったタクシーに飛び乗ります。
タクシーの運転手は松井の元同僚でした。
松井は栗栖が暴走族時代に倒れていたのを助けて
やったことがあります。
優れたドライブテクニックでタクシーは走り抜けます。
車が空を飛びます。
車が空中を飛ぶ映画を思い出してください。あんな風です。
こうして栗栖が仲間に加わります。

小さなFM局のディスクジョッキの葵はこの出来事を
見ていました。
5人が誘拐犯ではないと信じ放送を開始します。
視聴者が増えていきます。

追われながら真実を突き止めていく6人の4日間の
出来事です。
車が何度も空を飛びます。
運転は栗栖だったり、松井だったりします。
正義は勝つで最期にはトップの悪者も捕まります。
このめでたしめでたしの後もパトカーを無断借用して
追われまたまた建設中の途中がない橋を飛びます。

4年後の彼らの様子が数行ずつ最期に書かれています。
橋では死ななかったようです。
自殺ももうする気はないようです。

読み終わってあぁ、楽しかったという娯楽の本です。

最近の出来事

2012-02-18 17:10:10 | 日常の出来事
ここ何十年も仕事が忙しかったことがないのに先週は
夜の八時、九時まで仕事が続いてぐったりしました。
いつも早々と夕食を食べているのでこの時間になると
目が廻ってきます。
人生最期の仕事(になるかも?)も山を越えたので、
忙しいのも終わりです。
先週は図書館に行く時間もなかったし、本を読む時間も
ありませんでした。
今日は久々に図書館に向かって出発です。
本を抱えて帰って来ました。

今日はノリタケの森へ行ってきました。
まだちょっと寒いです。
春はどこまできてるのでしょうね。
バイオリンの濱島秀行さんとベースの戸田裕久さん、
ピアノの鬼頭智子さんの演奏会でした。
とてもよかったです。
すっと音が体の中へ入ってきます。

中学の時に逃げ出したいほど嫌いな科目は音楽でした。
音楽は理数系科目だったと今でも思います。
どうしても理解不能でした。
もう一からまるでわかりません。
紙の上の理論もわからなければ音がどんなふうに変化
していくのかもどうしても聞き取れません。
いつも時間が過ぎていくのをひたすら願って身を
縮めていました。
大人になって音楽を聞いて楽しいと思える能力が
あったことに感謝しています。
これは本当です。聞くのが嫌いだったらすごく
人生の幅が狭くなったことでしょう。
スポーツはやるのも見るのも嫌いですからきっと
人生の幅をものすごく狭くしているのでしょうね。
このような状態ですのでもしかしたら他の人たちとは
違うふうに聞いているのかもしれません。

濱島さんのグループwingのメンバーとは違う構成
でしたが別の雰囲気で、楽しい時を過ごしました。
wingの新しいCD買いました。
コンピュータに演奏させながら、コンピュータを操作
してます。

火村英生に捧げる犯罪

2012-02-17 22:23:00 | 
有栖川 有栖
文藝春秋
発売日:2008-09-25

有栖川有栖著"火村英生に捧げる犯罪"を読みました。
火村と有栖が活躍する連作短編集です。

"長い影"
夜中に廃工場が窓から見える家で足を折った家主が
工場から男が出てくるのを見ました。
ちょうど同席していた奥さんは男が角を曲がっていく
影を見ました。
工場の主に連絡して工場へ行ってみたら横になった
状態で首をくくった人が死んでいました。
トリックを使って時間を調整する話です。

"鸚鵡返し"
殺人の現場にしゃべる鸚鵡がいて「ハンニンハ、
タカウラ」と言います。
死ぬ間際に言った言葉を覚えたのかと思われましたが
そうではありませんでした。
鸚鵡が別のことも覚えていたためトリックがばれました。

"あるいは四風荘殺人事件"
有名な社会派推理小説家が亡くなりました。
本格推理小説をけなしていた人です。
遺稿として結末のない本格推理小説が残されていました。
遺族の娘さんから結末はなんだったか考えて欲しいと
持ち込まれます。
丸い庭を挟んで東西南北に客室としてロッジがあります。
北のロッジで二人の人が死んでいました。
雪が降っていて足跡が南のロッジから西へそして北へと
あります。でも帰っていった足跡がありません。
この庭とロッジが関係しています。
私はトンネル物かと思いましたがはずれました。

"殺意と善意の顛末"
この話は私でもすぐにわかりました。
同じマンション内で引越しをしていてその部屋の人が
殺されたというものです。
引越し後の家には一度もいってないと容疑者はいいます。
でも指紋が検出されています。
これは探偵が容疑者を引っ掛けた話です。
襖に指紋が残っていました。
襖は簡単に移動できるんですよね。

"偽りのペア"
与論島で知り合った男にストーカーされていた女性が
殺されました。
部屋に残っていた写真の男をいくら捜しても見つかりません。
火村の下宿のお婆さんがいったことばから事件は
解決しました。
それは別のスリッパを片方ずつ履いている火村を注意
した言葉でした。

"火村英生に捧げる犯罪"
有栖が自分の作品を盗作したと、行っている人がいる、
その人と会うため東京へ出て来てくださいという
電話が掛かってきました。
警察へは氷村宛と思われる脅迫状が何度も届きます。
同じ頃マンションで女性の死体が発見されています。
有栖をおびき出したいのはどうしてでしょう。
火村に言われて有栖が殺人事件の捜査に加わったら
あっさりと事件は解決してしまいました。

"殺風景な部屋"
これはダイイングメッセージ物ですね。
部屋で亡くなっていた人は仰向けで携帯を握っていました。
天井にあるのは照明です。
そう照明を連想する名前の人が犯人です。

"雷雨の庭で"
早瀬は隣人の轡田にいやがらせを受けていました。
轡田が頭を打って自分の庭で死んでいました。
雷雨の夜でした。
轡田は女性が家に連れ込まれているとかいいふらして
いました。
早瀬の家の庭には作業で使ったはしごが置き忘れ
られていました。
とっさの出来事でした。

軽く読める本でした。
電車の中で読むのに本にいいです。

エデン

2012-02-16 21:11:39 | 
近藤 史恵
新潮社
発売日:2010-03

近藤史恵著"エデン"を読みました。
"サクスファイス"の続編です。
自転車のロードレースを扱った物語です。
今回は海外でのレースです。
白石誓、通称チカはスペインのチームで二年半を
過ごした後にフランスのチーム、パート・ピカルディーに
移り半年たちました。
このチームは強いです。エースはフィンランド人の
ミッコです。優勝を狙える力を持っています。
チカはエースを勝たせるためのアシストに徹しています。
三週間走り続けるグランド・ツールのレースが始まろう
としています。
グランド・ツールではずっとフランス人が優勝していません。
ロードレースの人気が低迷しています。
人々はフランス人のヒーローを待っています。
今回はフランス人の新人のニコラが期待されています。
彼はチーム、クレディ・ブルターニューに所属しています。

パート・ピカルディーのスポンサーが撤退してレース後
チームは解散されることになりました。
一部力のある選手を除いてレースが始まるのというのに
その後の行き先が気になり落ち着きません。
監督が別のチームのフランス人ニコラを勝たせるために
協力すると言い出します。
そうすればスポンサーがつきチームは存続できるといいます。
ミッコは監督に裏切られた気分です。
チームはまとまりがありません。

ニコラは新人でありながら力を発揮していきます。
ミッコも上位をキープしてレースは毎日5時間も6時間も
走り続けます。
平坦な道だけではなく山岳もあります。
チカはクライマーです。山岳を得意とします。
とくに下りには自信があります。

総合優勝だけでなくその日の順位でマイヨ・ジョーヌと
呼ばれるウェアが与えられ翌日は着て走ります。
レースを引っ張っていく責任も生まれます。
チカはある日山岳賞を取りました。
白地に赤の水玉のジャージをもらい翌日は着て走ります。

雨が降ってもレースは続きます。
チカは薬物をやらないかと知らない男から持ちかけられます。
断って振り切りますがその男はニコラが薬を使っていると
言います。
その男が流したらしく、そのうわさが広がっています。

レースも残り少なくなった時にニコラの子供のころからの
親友で同じチームのドニが朝ベットで亡くなっているのが
見つかります。

ここからは肝心は話しですので本を読んでみようと思う
方は読まない方がいいです。

薬物をやっていたのはドニでした。薬の飲みすぎで
亡くなりました。
ニコラは責任は自分にあるとルースを棄権し、ロードレース
も止めると落ち込んでいます。
ニコラのチームの監督に頼まれ親しくしているチカが
話しを聞くことになります。
ニコラは話し始めます。
子供のころ貧乏で自転車を買ってもらえなかったこと。
ドニの家はお金持ちで自転車を持っており、買い替える
時に古い自転車を譲ってもらい走っていたこと。
ドニに勝ったら自転車を譲ってもらえなくなると力を
抑えて勝ちをゆずっていたこと。
プロになって自転車は提供されるようになりドニに
遠慮することはなくなりました。
ドニを抜いてチームのエースとなりました。
でもドニは勝ちを譲られていたことに気づきませんでした。
勝てなくなったことがどうしてだかわかりません。
薬に手をだしました。
ニコラに絡んできます。ニコラは本当のことはずっと
話さないでおこうと思っていましたが怒りにまかせて
話してしまいます。
一瞬にしてドニは真実を悟りました。
そして死んでしまいました。

チカと話してニコラは今回のレースは棄権しますが
ロードレースは続けることになりました。
チカはニコラのチーム、クレディ・ブルターニに
誘われます。
ミッコはポルトガルのチームへ移ることになっています。
ミッコが同じチームにこないかと誘います。
監督が二人に来て欲しいと言っているといいます。
チカはその話しを受けます。
来年はそのチームで出場し、力をつけたニコラとまた
戦うために。

スポーツはするのも見るのも嫌いなんですが、この話し
には引き込まれます。
手に汗を握りどうなるか観戦しています。
チカは自分がトップになれるチャンスがある時でも
チームのエースのためにアシストに廻れる人です。
どうしても前に出てやるんだという闘争心がないと
いえばそうなんですがアシストに徹するという
生き方も悪くはないです。
アシストが認められて海外で競技が続けられているのですから。

あやし~怪~

2012-02-15 23:55:07 | 
若い人たちに付き合って仕事をしていたら家に
帰ったら10時半でした。
いつもだったらそろそろ寝ようかという時間です。
若いというのはすばらしい、疲れないんだろうね。

宮部 みゆき
角川書店
発売日:2000-07

宮部みゆき著"あやし~怪~"を読みました。
怪談めいた不思議な話の9編の短編集ですです。
どの話から読んでもいいです。

最初に読んだのが"安達家の鬼"です。
恐い感じはありません。
この話が一番気に入りました。
この話だけあらすじを書きます。
小さなころから奉公に出て働きずめで幸せを知らない
女性が望まれて笹屋の女房になりました。
夫はいいひとです。
姑がいます。
お義母さんは嫁を大事にしてくれます。
昔の話を聞かせてくれます。
お義母さんも彼女に劣らず苦労をしてきた人です。
ひどい父親がいて二人で旅に出て途中で父が病気に
なります。その村で直らない病人を住まわせる館に
やられます。
そこでお義母さんは鬼に出会います。
何も語りませんが鬼でありながら親しみを感じます。
父親を迎えに引き渡した後、鬼を連れて館をでます。
心にやましい人は鬼が見えて近寄ってきません。
結婚して店を大きくしてきました。
嫁はまったく鬼の気配を感じません。
辛いことばかりだったら鬼は見えないかもしれない、
人生はこれからだよとお義母はいいます。
苦労をしてきた年配の女性が自分と同じように
苦労をしていた年若い女性に対してだいじょうぶと
勇気づけやります。
優しさを知らなかった彼女にとってかけがいの
ない人でしょうね。
このお義母さんの子ですから夫もいい人です。
いい話でした。