雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

1Q84 BOOK1<4月-6月>

2012-09-30 18:02:37 | 

村上春樹著"1Q84 BOOK1<4月-6月>"を
読みました。
ベストセラーの1Q84です。やっと読みました。
しかし、なぜそんなに人気があって大勢の人に読まれて
いるのか理解できません。
いったいこの本に何を見出しているのでしょう。

半分近くまでたいくつでした。
そこを過ぎると止まっていた電車が動き出すみたいに
小説にも動きが感じられるようになります。
難しい文章ではないですし内容も理解できないわけでは
ありませんがそれでも先に読み進みたいという気分には
なれませんでした。
ようやく読み終わったという感じです。
次巻以降どうなるか興味はありますが読むのは億劫です。

青豆という女性と天吾という男性の世界が交互に描かれます。
出てくる宗教団体は実際の団体を参考に描いているの
だなぁと思われます。
青豆は宗教活動に励んでいる両親に育てられ日曜には
布教活動に連れて行かれます。
天吾の方も父親に子供連れの方が都合がいいと日曜は
NHKの集金の仕事に連れまわされます。
青豆と天吾の二人は小学校の一時期同じクラスでした。
しかしこの巻では二人は出会うことはありません。

青豆はスポーツのインストラクターをしていますが
その傍らでDVの加害者を殺す殺し屋でもあります。
天吾は塾で数学を教えています。
小説家をめざして小説を書いています。
ふかえりという17歳の変わった少女の書いた
小説に出会います。
編集者に書き直せばベストセラーになり賞がとれる
からと詐欺まがいのことを持ちかけられます。
ふかえりの了解のもとに書き直しに手を貸します。

ふかえりはさきがけという外部からはうかがい
しれない宗教団体から逃げてきた子らしいのですが
彼女自体もそのへんはわかっていません。

青豆はやはりさきがけから逃げてきた10歳ぐらいの、
宗教団体のトップにレイプされて心を閉ざしている
少女を知ります。

これから先どうなっていくのでしょう。
気がめいってくる内容でした。
おそらく登場人物たちの行動を何も考えなくて
遠くから眺めるつもりで読んだなら波乱含みの
人生をおもしろいと感じるかもしれません。
続きは当分読まないと思います。


台風17号の影響で激しい雨です。
ラジオでは台風のピークに入ったといっています。
これから21時ごろまで激しい風雨になるそうです。
滝のような雨ってどんなだろう。
どこの地方も被害がありませんように。

リンバロストの乙女 下

2012-09-29 22:42:43 | 

(下巻の表紙の絵がないので上巻のものです)

ジーン・ポーター著"リンバロストの乙女 下"を読みました。
昨日の上に続き今日は下です。
この巻では主題ががらっと変わってきます。
お母さんはすっかり変わってエルノラの理解者となります。
上巻で最後の蛾が捕まって大学へ行けそうでしたが残念
ながら蛾は鼠に食べられてしまうし以前に捕まえた分も
かなり傷んでしまい大学はあきらめます。
標本を示しながら授業をして小学校を回る仕事と高校で
バイオリンを弾く仕事を得ました。

エルノアはフィリップ・アモンという弁護士の青年と
出会いました。
フィリップは病気の回復後の静養にやってきた人です。
エルノラは仕事につく前の何ヶ月をアモンといっしょに
蛾の収集をしたり森のすばらしさを感じたりしながら
過ごします。
二人きりで過ごすわけではなく母のキャサリンもいっしょ
のことが多く食事を共にすることもあります。
出会った二日目にアモンは幼い頃からの婚約者がいると
エルノアに伝えています。
二人は恋愛関係にはなっていませんが惹かれあっている
のは確かです。

父の病気で呼び戻されたアモンは婚約者のエディスと
婚約パーティを開きました。
エルノアが探している蛾を見つけてアモンは夢中で
捕まえて処理をしてエルノアへ送る手はずをつけました。
その間は数分です。
エディスはかんしゃくを起こして大勢の面前で婚約の
破棄を申し渡します。
アモンがなだめてもがんとして聞きません。
アモンの心の中の思いが壊れました。
婚約破棄の申し出を人々の前で受け入れます。

アモンはその足でリンバロストのエルノアの元へ行きます。
エルノアはすぐには話を聞きません。
エディスが来るのではないかと待ちます。
エディスの気持ちを完全にアモンから離れさせたら
アモンを受け入れるといいます。
エディスはやってきます。
自信満々ですぐにアモンは元通り自分の元へ戻る
だろうとエルノアにいいます。

エルノアは姿を消します。
エディスも苦しんでいます。
アモンの家族はエディスに好意を持っていません。
ただ一人献身的にエディスにつくしているのは
ヘンダソンです。
エディスは自分の行動を反省しています。
また病気になって入院しているアモンにエルノアの
居場所を知らせてやります。
エディスはヘンダソンの愛情を受け入れ自分も愛している
ことに気づきます。
エディスはエルノアが探している蛾を見つけて彼女たちの
元へ届けに行きます。

下巻はエルノアとアモンの恋を描いたものです。
出会うべくして出合った二人の恋ではありますがちょっと
ばかりエディスがかわいそうになりました。
エディスとアモンは付き合いは長いのですがお互いを
理解していません。
かんしゃくを起こした行いはほめられたものではありませんが
なんだか待ってましたといわんばかりの別れです。
エルノアの取った行動は人間の心理を知り尽くした人
みたいです。
たとえもうどうしようもないとわかっていてもそれまでの
気持ちを切り替えられないということをわかっています。
エルノアとアモンが結びついてよかったというのと同じく
エディスとヘンダスンが結びついてよかったと思います。
エルノアは二十歳の女性というより人生を知り尽くした
中年か老年の大人という雰囲気の人です。
大学へ行くために努力をしていたのに大学のことは
どこかへいってしまいました。

リンバロストの乙女 上

2012-09-28 20:12:53 | 

ジーン・ポーター著"リンバロストの乙女 上"を読みました。
翻訳は赤毛のアン シリーズの翻訳をしている村岡花子
さんです。
内容も赤毛のアンに近いものがあります。
リンバロストは地名です。
エルノラは森林や沼地がある家で母のキャサリン・
コムストックと暮らしています。
エルノラが生まれた時に父親が底なし沼にはまって
母親の目の前で死にました。
母は父が死んだのは娘のせいだとずっとエルノアを
愛したことがありません。
母は夫のことだけを思い生きています。
高校に行きたいというエルノアにお金を出してくれません。
エルノアは自力で行こうと決心します。
近所に住むウェスレイとマーガレットのシントン夫妻は
ずっとエルノアを助けてくれました。
高校へ行った最初の日にあまりにもみじめな服装と
教科書を買うお金もなく授業料を払うあてもなく
打ちひしがれて帰ってきました。
娘がどんな思いをするかわかっていて母は送り出し
たのです。

見ていられなくてシントン夫妻がエルノアの服を用意
しようとしてくれます。
エルノアは鳥おばさんが出した蛾の標本やさなぎ、繭
等やインデアンの器具を買うというびらを見て鳥おばさん
を訪ねます。
彼女は蛾の収集をしておりたまった収集品を売ることに
しました。
蛾は高価で買い取られ高校に通う目途が立ちました。
洋服ももらうのではなくお金を出して作ってもらいます。
彼女はこうして学生生活を続けます。

バイオリンを聞いてエルノアは弾きたいと願うように
なりました。
マーガレットが父親がじょうずにバイオリンを弾いて
いてその思いでがあるので、母がエルノアが弾くのを
許さないだろうといいます。
それでもマーガレットは父のバイオリンを見つけて
きてくれて渡してくれます。
学校でシントンの家で練習します。

やがて高校を卒業する時期になりました。
成績は主席です。
しかしやはり母は卒業時に必要な洋服や記念品を買う
お金を出してはくれません。
貯金は底をついています。
洋服の注文を母に頼んでおきましたが当日に服は
ありません。
またしても母のひどいしうちです。
鳥おばさんの機転でおばさんの娘の服を大急ぎで
手直しして切り抜けます。

エルノアは大学へ行きたいと思っています。
そのためにあと一種類の蛾がつかまれば費用が
できます。
その蛾を目の前にした時、母は踏み潰してしまいました。

マーガレットは我慢できなくなりキャサリンの夫が
どういう人物でありどうして沼地を通るという危険を
おかしたのかをキャサリンに告げます。
夫が近所の女性と浮気をしていて内緒に帰るために
沼地を通ったのだと知ります。

母は真実を知ってすっぱと心の切り替えが出来ました。
一晩森でエルノアが探していた蛾を探し捕まえます。

上巻はエルノアと母との確執を描いたものです。
生まれたときのことをどうのこうのといわれて
愛されないのではたまりません。
赤ん坊にどう責任を取れというのだといいたくなります。
食べさせないとか暴力を振るうというところまでいって
ないのが救いかと思います。
こんな幼年期を過ごしたら打ちのめされて生きていく
力をなくしそうですがエルノアはそうではありません。
母を同等の立場で見ています。
その上で自分で稼いで勉強を続けます。
近所の見守ってくれる温かい人たちや鳥おばさんなど
がいてくれて心を打ち明けられる人がいるということは
ありがたいことです。
彼女は泣いている女性ではありません。
蛾の収集が重要な要素になっています。
蝶ならわかるのですが蛾なんですよね。
蛾の収集がさかんだという話をどこかで聞いたことが
あるのをぼんやり思い出しました。
日本では蛾はどちかといえば嫌われものです。
海外の蛾は美しいのでしょうか。

桜舞う おいち不思議がたり

2012-09-27 21:15:23 | 

あさのあつこ著"桜舞う おいち不思議がたり"を読みました。
"ガールズ・ストーリー おいち不思議がたり"の続編です。
おいちの父親は医者でおいちは助手をしています。
おいちは医者になりたいと思っています。
おいちには死者の姿や声が聞こえます。
前作に比べると幽霊ももうしわけ程度にしかでてきませんし
ミステリーとしても単純です。
でも普通の物語として読めばなかなか楽しい本です。

おいちには幼い頃に手習い所に通っていた時からの友達の
おふねとお松がいます。
おふねの家は中堅の呉服問屋です。
おふねが倒れたとおいちの所へ知らせがきます。
おふねは血だらけとなって亡くなりました。
妊娠していて死産でした。相手はわかりません。
来ていた医師は高い料金を取る山賀貝弦です。
おいちとお松は二人のならず者に帰り道に襲われます。
山賀の助手の田澄十斗に救われました。

母親がいないおいちは叔母のおうたにかわいがられて
きました。
叔母が体調を崩します。

おいちたちを襲ったならず者二人が殺されます。
刺し殺されたように見えますが毒薬を使ったものです。

お松の父親は酒びたりで借金の方にお松を売ろうと
しています。

おいちは田澄に心惹かれています。
田澄はおいちの父の松庵に母が殺された、恨んでいると
詰め寄ります。
おいちの出生の秘密、十斗との関係がわかってきます。

二人のならず者を殺した者はおふねの付き合っていた男です。
十斗とお松はこの男に殺されそうになります。

おいちにとって大事な家族の叔母のおうたを死ぬかも
しれない病気になるという設定にしなくてもと思って
しまいます。
おいちの出生の秘密が飛び出してきて話がこんな方向へ
進むのかとちょっとびっくりです。
まだ続くような感じがしますが、おいちは町医者の普通の
娘であって欲しかったなと思います。

アルパデュオ&ギター コンサート

2012-09-26 21:16:41 | 音楽
ランチタイム名曲コンサート "アルパデュオ&ギター
コンサート"へ行ってきました。
場所は栄にある宗次ホールです。
演奏は次の三人の方です。

アルパ: かとう ともこ、大宮陽子
ギター: 山田恵範

この三人での演奏を聞くのは初めてかもしれませんが
それぞれ前に演奏を聞いたことがある人達です。
演奏は11:30~12:30までの1時間です。
アルパは南米の楽器です。
ハープを小さくしたような形をしています。
ですから演奏される曲は南米のものが多くなります。
いい演奏会でした。

宗次ホールでのランチタイム名曲コンサートと銘打って
開かれるコンサートはすべて千円です。
おしゃれした中年以降の女性グループが多いです。
でもグループで来る人達の縦横無尽ぶりときたら
ちょっとばかりむっとします。
座席を先に来た人が荷物を置いてずらっと確保して
いい席は押さえられてしまっています。
音楽を聴くのに席はどこでもいいですけどね。
そうやって確保するものだからダブって確保したり
やって来る予定の人がやってこなかったりします。
満員なのに演奏が始まった時には私の右の席も左の席も
結局ダブったのと来なかったので空席になってしまいました。
かなりかっこ悪かったです。
千円で昼のコンサートですからグループで来るには
いいのでしょうね。
夜のコンサートでは二人連れは多いですがグループと
いうのはそうは見かけません。
グループで楽しむ、そういうコンサートなのだと
割り切るよりしょうがないですね。

帰りに近くの中区役所のビルの7、8階の市民ギャラリー
に寄ってきました。
いくつかのグループの絵、写真、書道、陶芸などの
展示会が開かれていました。
すべて無料です。
ここに寄るのは今日みたいに通りがかった時です。
何年かにいっぺんです。
アマチュアの人達の作品なのだと思います。
でも本当にうまいです。
美術館で開かれている展覧会の絵はうまいとは思っても
心に響いてこないのですが、却ってアマチュアの方の
作品の方がなんか心にすっと入ってきます。
ふらっと寄るといつもやっているのですからきっと年中
どこかのグループの作品が見られるのだと思います。
自分でも絵を描いてみたいものですががっくりするだけ
でしょうね。

玩具店の英雄 座間味くんの推理

2012-09-25 19:19:19 | 

石持浅海著"玩具店の英雄 座間味くんの推理"を読みました。
"月の扉"、"心臓と左手 座間味くんの推理"の続編です。
今回の本も前作と同様に大迫警視と本屋さんで待ち合わせ
して個室のあるレストランで食事をします。
今回はメンバーが一人ふえています。
20代後半の科学警察研究所の津久井という女性です。
彼女は過去の警備で成功した例、失敗した例を研究して
その共通点を見出して今後に役立てようとしています。
彼女が過去の事件の話をします。
座間味くんがその裏に隠された真実を見抜きます。
こうした話の連作短編集です。
どんどん座間味くんはしっかり者の推理力のすぐれた
魅力的な男性となっていきます。

"傘の花"
地雷を持つことに賛成の国会議員が同郷の画家の展覧会
から帰ろうとしたところを警備のすきを突いて魚を突く
やすで刺し殺されました。
雨が上がったばかりでやすを傘の中に隠していました。
やすをどうやってそこまで持ってきたのかに疑問を抱いた
座間味くんは真実はこうだったのではないかと語ります。

"最強の盾"
外資系企業が入ったビルを爆破するという脅迫状が届き
警察が警備をしていました。
通りがかった乳母車の中の赤ちゃんを人質にビルに入ろうと
した男が逮捕されました。
赤ちゃんは投げ出されました。泣き声をあげず母親は
頭を打ってないからだいじょうぶと去っていきました。
座間味くんは赤ちゃんがシートベルトがされていなかった
ことや母親がそっと赤ちゃんを抱き上げたこと、赤ちゃんが
泣かなかったことに疑問を持ちます。

"襲撃の準備"
運動に力を入れている高校があります。
怪我をして運動が続けられなくなった生徒に対して非常に
冷たくなんのケアもされません。
野球部で怪我をして退部した生徒が町で出合った野球部員
にひどいことを言われナイフで刺し殺してしまいます。
彼をよく知っている交番の警察官が高校を恨んでいるから
しっかり警備するよう上部にいいましたが下に言われたことを
あえて無視して新人を警備にあてました。
彼は坊主頭にして野球部のユニホームを着て入り口を突破し
野球部員を数人刺して自分は殴り殺されてしまいます。
座間味くんは交番の警察官の態度に疑問を持ちます。

"玩具店の英雄"
警察官が仕事の後、幼稚園児の娘を連れて玩具店に
行きました。
ナイフを持った男が店員を刺しました。
警察官は男に立ち向かおうとしましたが実際に格闘を
したことがなく立ちすくんでしまいました。
横から突き飛ばしてくれた人がいて助かりました。
助けてくれた人に犯人が向かっていきましたが反対に
頭を打ち付けられて死んでしまいました。
過剰防衛ということで捕まりましたが英雄扱いされます。
彼は警察官の娘と同じ幼稚園に通う息子を持っている
人です。
座間味くんはこの人の行動に疑問を持ちます。
普通は警察官が取り押さえるだろうと子供の側を離れ
ないだろうといいます。
犯人を逃がしたかったのではないかと推理します。

"住宅街の迷惑"
新興宗教の教祖が住宅街に家を建てました。
壁に大きな仏像を埋め込んで外がら見えるようにしました。
近所の住民や対抗する教団から抵抗を受けました。
新築祝いのパーティの日に警察は警備にあたりました。
爆弾を持った男が敷地に入りこみました。
爆弾ではなく火を点けた簡易コンロの上にガス缶が
乗せてありました。
警察が消火器を持ってこいというと家の中に走りこんだ
人がすぐ持ってきて消火されました。
男は取り押さえられました。
座間味くんは消化器がさっと持ってこられたことに
疑問を持ちます。

"警察官の選択"
休日に魚釣りに行った警察官二人が交通事故に遭遇しました。
自転車に乗った子供がトラックに跳ね飛ばされました。
子供は心拍停止しており二人で蘇生術を施していました。
トラックの運転手は死亡してます。ドアが開きません。
そのうちトラックは自然に動き出しました。
その先には懇意にしている釣具店があります。
家には死期間近の店主が寝ています。
一人がトラックを手で押さえようとトラックの前に立ち
ふさがりますが一時的に抑えられたのみでトラックは
家に突っ込んでいき店主は死亡しました。
座間味くんはトラックを手で止めようとした警察官の
行動に疑問を持ちます。

"警察の幸福"
新幹線を外国に売り込む商談が交渉中です。
その国の大臣にアピールするため新幹線のグリーン車
一両を貸切にしました。
男が警備の警察官二人にスプレーを吹きかけ発炎筒を
中に投げ入れようとしたところを捕まりました。
座間味くんは実際に起こったことは反対ではなかったかと
推理を述べます。

事件が語られすぐに座間味くんが真実はこうだった
のではないかと語ります。
問題が出され何の調査もされず回答が即座に出てくると
いうのは単純でいいではありませんか。
座間味くんは今の本では5歳児がいて途中で赤ちゃんが
生まれて二人の子持ちになります。

限界集落株式会社

2012-09-24 18:42:44 | 

黒野伸一著"限界集落株式会社"を読みました。
過疎の村の活性化を描いた話です。
中心になるのは融資担当の元銀行員です。
祖父が住んでいた村に気分転換にやってきて地域の
活性化のリーダーに名乗り出ます。
紆余曲折あって地域が活気ずくまでの数年間を描いたものです。
こういう成功物語は読み終わって気分が良くなるもの
ですがよかったねって気になれません。

人の気持ちはころころ変わります。
人を救おうとしたため起こした行動が過剰防衛となり
それまで順調に進んできた改革は危機にさらされます。
ちょっとした事件が起きるとマスコミは騒ぎ立て人は
手のひらを返したような行動を取ります。
出資者は1件を除いて手を引き借金の返済がのしかかって
きます。
その額が2億数千万円です。
私には潰れる危機に瀕している地域がそんな借金して
冒険に出ることが信じられません。
これがビジネスというものなんでしょうか。
農業をビジネスと見たら正しい選択というものなの
でしょうか。
なんかやり方が間違ってないのかと思えてしまうのです。

いずれその地を捨てて麓に下りるか別の場所へ移ること
になるのだろうと思っていた人々がここをよみがえらせると
いう人についていって活気を出し能力を発揮しだす部分は
気持ちいいです。

米作作業は楽だと再三書かれています。
米作から全面撤退して畑作へ移行していきます。
いったい何をもって米作は楽だというのかわかりません。
現在の米作とはそんなに楽になったのでしょうか。
田舎に暮らし忙しい時に手伝うぐらいしかしてませんが
米作を手伝ったことがある者にはぜんぜん楽ではないと
思うのです。
このへんは現在の農家の方に聞いてみないと本当のことは
わかりません。

テレビで農業を会社組織にして成功している例が
放映されたことがありました。
農業も古い殻を破って新しい仕組みで取り組めば利益が
上がりやりたいという人がやってくる仕事となりうる
のでしょうね。

農業の新しい方向を描いていて興味深いものがありますが
内容自体はすっきりおもしろかったとはいえません。

ばんば憑き

2012-09-23 19:26:06 | 
角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2011-03-01

宮部みゆき著"ばんば憑き"を読みました。
ちょっと不思議な話の短編集です。

"坊主の壺"
コロリの流行で次々に人が死んでいきます。
おつぎは家族をすべてコロリで失い材木問屋の田屋重蔵
が作ったお救い小屋にやってきました。
コロリが収まった後おつぎは田屋で働くことになりました。
おしげは重蔵が見ていた掛け軸を見てしまいました。
それには壺が描かれています。
おつぎには壺に入っているお坊さんが見えます。
しかし重蔵とおつぎ以外の人にはお坊さんはみえません。
お坊さんが見える人には流行病から身を守る方法が
わかるようになります。

"お文の影"
政五郎とおでこが登場します。
子供が遊びにきます。子供たちの影が子供の数より
ひとつ多いことに気づきます。
その土地に以前住んでいた女性は夫に別の女ができて
養女にした女の子と共に別邸に追いやられたのでした。
彼女は幼い子に折檻するようになり死なせてしまいました。
この子の影がまよっているのです。

"博打眼"
醤油問屋の近江屋に博打眼がやってきました。
蔵に押し込めてありますがどうしたらいいか困っています。
一族の一人に取り憑いて博打に勝てるようにしてくれます。
しかし儲けたお金はどんどん使い博打に打ち込まなくては
承知しません。
憑いていた人が亡くなったためやってきたのです。
近所の八幡宮にある狛犬がどこかのことばで話しだします。
竹兄と呼ばれている人がいます。
竹兄の故郷の言葉で博打眼の退治方法を教えてくれます。

"討債鬼"
青野利一郎は浪人で手習所で町の子供たちに教えています。
紙問屋の息子の信太郎も手習所へ通ってくる一人です。
番頭の久八が店主が信太郎を殺して欲しいといっていると
伝えにきます。
店に僧がやって来て信太郎が討債鬼で借金を返してもらえない
恨みを抱えて亡くなった人の生まれ変わりだといいます。
店主には店を継ぐ時に兄と争いになり兄は亡くなっています。
利一郎は信太郎を店主から引き離して手習所に引き取ります。
利一郎は僧に近づいていきます。
意外にも僧は気さくな男で泥鰌取りをしては手習所の
子供たちにもわけてくれます。
実は店主は僧の妹を囲っていて妹は身ごもっています。
妹を幸せにしてやりたくて芝居をうったのでした。
病気がちの奥さんと息子を追い出してくれたらと思って
いたのですが本気で殺そうとするので、利一郎が信太郎を
引き取ってくれてほっとしているのでした。

"ばんば憑き"
小間物商を営む佐一郎は養子でお志麻という妻がいます。
不自由なく育ってきたわがままな妻です。
箱根への湯治に出かけました。
その帰りの宿で雨に降られます。
いやがる妻をなだめて老婆との相部屋になりました。
妻はさんざんな暴言をはきます。
夜中に老婆が泣いているのに気づき佐一郎は老婆に
話しかけます。
老婆は昔のことを語り始めます。
若かったときに仕えていたお嬢さんの八重さんが富治郎と
結婚することになりました。
ところが村の有力者のお由が富次郎に横恋慕しました。
そして八重を殺してしまいました。
ばんば憑きという方法で八重の心をお由に乗り移らせて
心は八重で体はお由ということで富次郎と結婚しました。

"野槌の墓"
七つになる娘がいる柳井源五郎は笠張りの仕事をして
暮らしを立てています。
娘に化け猫は嫌いかと聞かれます。
娘がタマという猫は猫又で父親に頼みたいことがあるの
だといいます。
猫が姿を変えた娘が現れます。
木槌が物の怪になって人を傷つけるようになり仲間内では
どうしようもないので源五郎に退治して欲しいと頼みに
来ました。

"討債鬼"が一番気に入りました。
殺せと焚きつけておきながら本気にして息子を殺そうと
する店主をみて困ったと思っている僧の姿が目に浮かびます。
息子を殺そうなんて思う親なんてどうしようもないです。
"討債鬼"の方言でしゃべる狛犬もいいですね。

旅屋おかえり

2012-09-22 20:47:01 | 

原田マハ著"旅屋おかえり"を読みました。
すらすらと読めます。
旅番組1本だけしかないタレントの丘えりかが主人公です。
しかしスポンサーを怒らせて番組が終了してしまいます。
所属のプロダクションは社長の萬鉄壁と事務員の澄川のんの
三人だけです。
会社は丘えりか、通称おかえりの仕事だけでもっていました。
途方にくれた会社に仕事が持ち込まれます。
病気で身動きができない娘に代わって旅をしてきて欲しいと
いうものです。
一緒に旅番組を作っていたスタックがビデオの使い方や
化粧の仕方、構成の仕方などを教えてくれます。
ビデオを手に、依頼者が最後に家族そろって行った角館の
枝垂桜を見に行く旅に出発します。
着いたら雨です。
まず秘境の玉肌温泉へいくことにします。
そこは5月なのに雪が積もっていて一面の雪景色です。
温泉の親子との楽しい交流をビデオに録ります。
角館の枝垂れ桜を録ります。
人々との交流を録ります。
この仕事は依頼者を喜ばせました。

こうして旅屋の仕事を始めることになり順調に仕事の
依頼がくるようになりました。
旅番組のスポンサーから再度番組の提供者になっても
いいという話が舞い込みます。
スポンサーの会社の会長は高齢の女性です。
ひとつ条件があります。
会長には子供の時に別れた妹に娘がいます。
姪に会い妹のお墓に参り渡された袱紗に包まれたものを
置いてきて欲しいというものでした。
姪は母親の詳しい過去を知らないはずです。
社長の鉄壁を知る人たちからこの仕事を請けるなと
いわれます。
実は姪の国沢真理子は元アイドルでそして鉄壁社長の
別れた奥さんです。
娘がいましたが亡くなっています。
四国の愛媛県へ飛んでいきます。
真理子は喫茶店と一部屋だけの旅館をやっています。
娘の死亡時のことで鉄壁をずっと恨んでいます。
でもおかえりと過ごすうちに心がほぐれてきてお墓へ
いっしょにいってくれます。
袱紗の中身は母の母が着物をほどいて作ってくれた
服の切れ端でした。

会長へは姪からの品が届けられました。
悩んで四国の空港までおかえりを迎えにきてくれた
社長にも元妻からの言葉が伝えられました。

旅番組は再開するといわれますがおかえりは旅屋を
続けると断ります。

二つの旅の話が中心です。
ほろりとするいい話です。
調子がいい話のように見えますがいっしょうけんめい
生きて、いい人間関係が築けていれば道は開けていく
こともあるということですね。

個人的には角館の話が出てきて懐かしかったです。
二十歳過ぎのころふらふらと東北旅行に行きました。
電車の中で話しかけられた人達に角館は今お祭りの
最中だから途中下車して寄るといいと勧められました。
ちょうど5月の連休でした。
この話の枝垂桜の真っ盛りの時にまったくの偶然に
角館に立ち寄りました。
本当に美しい桜でした。
電車の中で会った人達が民謡のような出し物を
演じているのを見かけました。
またいつか桜を見に来たいと思いつつ数十年たちました。
それ以後一度も行っていません。
行こうと思えばいつでも行けるのになかなか行けない
ものですね。

ほそ道密命行

2012-09-21 20:01:37 | 

田牧大和著"ほそ道密命行"を読みました。
松尾芭蕉はスパイだったという話があります。
その話を元に書かれたものです。
最近は読み終わってから内容が理解できていないと
思うことがあります。
年取って理解力が落ちたのだと思います。
この本も読み終わっていったい何が書いてあった
のだろうという気になりました。
柳沢保明の密命を受けて芭蕉は弟子の曾良を連れて
東北に出発します。
出発する前に犬に出会いました。
梅丸という名をつけます。
この犬はずっと旅についてきます。
餌は自分で調達して時々姿を現します。
五左衛門という男もたびたび姿を現します。
芭蕉の弟子の一人の路通は出発前に破門されています。
しかし旅についてきています。
途中でぜんぜん現れなくて忘れ去れさられた人物
なのかと思ったら最後にまた出現してきます。
曾良も五左衛門もそれぞれが別々の主人を持ち
芭蕉を監視するため遣わされました。
芭蕉は常に命の危険にさらされています。
そのたびに曾良の機転で危険を回避していきます。
五左衛門も力を貸します。
芭蕉は命令した人からも狙われていて四面楚歌で誰も
味方がいない状態です。
曾良や五左衛門、そして犬の梅丸と身近に接した人
たちが一途に芭蕉を守ろうとします。

頼りない人、守ってやらなくてはいけない人と
感じさせるのでしょうか、実は敵側の人たちが
助けてくれます。
芭蕉はいったい何をしようとしていたのでしょう。
これといってなんかをしているように見えないのですが
なぜそんなにつきまとってじゃまをするのでしょう。
読んでいる分にはおもしろいです。
梅丸はかわいいし、曾良の一生懸命さや五左衛門の
神出鬼没さなど興味を引きます。
なんかわからない話でした。

狂乱廿四孝

2012-09-20 20:36:06 | 

北森鴻著"狂乱廿四孝"を読みました。
すっと読めます。が、ゆだんしていると読み終わって
からあれどういう話だったかなぁということになって
しまいます。
探偵役は誰なのかよくわからず戯作者見習いの女性の
峰なのかと思いつついや違うな、師匠の新七なのかなと
思ったりしながら読み進みました。

澤村田之助は人気者の若い女形です。
脱疽のため両足を切断しました。
それでも芝居を続けています。

絵師の河鍋狂斎が幽霊の絵を描いて尾上菊五郎へ届けます。
この絵に何かを込めてあって解いて欲しいといって
いるようです。
しかし狂斎は不届きな発言をしたと捕まって牢の中です。
田之助のかかっている医師が殺されます。
続いて大道具師の弟子が殺されます。
数件の芝居小屋に放火がされます。
この火は幸いにもすぐ消し止められています。
その後下っ端の女形が殺されます。

ちょっとややこしくてこれ以上あらすじを書くのは
難しいので興味ある方は読んでください。
北森さんの本は好きです。
この本は北森さんのデビュー作だそうです。
設定の時代は明治になったばかりです。
でも時代小説といっていいと思います。
北森さんの作品の中ではちょっと雰囲気が変わっている
感じがします。
澤村田之助は実在の人物なんですね。
手足を失っていくのも事実のようです。

長い年月が醸し出した事件、勘違いして書かれた
絵が触発した事件です。
登場人物は個性的です。

先頭に載せた本の表紙は単行本のものです。
私が読んだのは文庫本です。文庫本の表紙がなかった
のでこちらを載せました。
単行本は2作が入っているそうです。
1作はこの作品の原型になったものだそうです。
こちらだけで充分な気がします。

小暮写眞館

2012-09-19 22:00:04 | 

宮部みゆき著"小暮写眞館"を読みました。
楽にすらすら読めます。

花菱英一は高校一年生です。
花菱家はさびれた商店街にある元小暮写眞館を買って
リホームして引越ししました。
両親と光という名でピカちゃんと呼ばれている8歳年下の
小学生の弟がいます。
英一と光の間に4歳で亡くなった風子という娘がいました。

小暮写眞館という看板はそのままにしてあります。
英一は心霊写真ではないかという写真を小暮写眞館の
封筒に入っていたからと渡されます。
写真に写っている人達が誰か英一はいろんな人に聞いて
調べます。
写っているのはある家族と、その家族が信者になっている
宗教の関係者です。
その場所にいなかったのに写っていたのはこの家族の
息子の離婚した奥さんです。
両親は信者ではないものを家族にすることに大反対です。
結局この夫婦は宗教が原因で離婚しています。
彼女は死んではいません。

別の写真を学校の先輩から調べるよう渡されます。
両親と娘を写した写真ですが泣いているその三人が
別に写っています。
英一はまたしても関係者をまわって話を聞きます。
写真を写したのは娘の婚約者です。
しかし昔に付き合っていた女性が付きまとっているから
と男性から一方的に婚約破棄されました。
父親は町工場の経営者でしたが経営不振で工場を
たたみその後亡くなっています。
婚約者は大企業と小さいけど技術を持った会社を
取り持つ仕事をしていてこの家族と知り合いました。
彼は時勢を読み間違えました。
父親を苦しい状況に追い込んだのは彼です。

フリースクールの子供たちの誕生会パーティを
写した写真を英一はクラスメートの田中ヒロシに
渡されました。
ヒロシは鉄道愛好会で乗りテツです。
彼らは費用を作るためにアルバイトをしています。
そのアルバイトのひとつとしてフリースクールの
教師をしています。
写真にはぬいぐるみの鳥が写っています。
これをカモメだという子がいます。
なぜこの写真に写ったのかどういう意味なのか
英一は調べることになります。

3話は写真に写った不思議なものを調べることが
主な話です。
全体を通して花菱一家の様子や高校の友人たちとの
交流やその家族との交流、小暮写眞館を斡旋して
くれた不動産屋との交流が描かれています。
不動産屋の事務員の垣本順子はつっけんどんで
きついことをいいます。
英一は最初のうち垣本が苦手で避けていましたが彼女が
鉄道自殺を企てたのを見てから気にしています。
一緒に自主制作の映画を見たり学園祭に来てもらったり
昼休みの時間に話したりするようになります。

小暮写眞館には元店主の泰治郎の幽霊がいるといわれて
います。
泥棒に入った男が幽霊に脅されて家を逃げ出しています。
花菱一家は父方、母方の親類と縁を切っています。
風子が亡くなった時に父方の親類が母親の京子に
風子が死んだのは京子のせいだと悲しんでいる人に
むごい仕打ちをしました。
それを見て父親の秀夫は親類と縁を切りました。
秀夫の父が亡くなったことで葬式やその後の後始末で
親類と会うようになりました。

垣本は家族から逃げています。
母親に見つかってしまいました。
母は男にだらしのない人です。
彼女は両親にひどい目に会わされています。
またしてもつきまとわれそうです。

風子が亡くなったことで苦しんでいるのは家族全員です。
ピカはその時たった二歳半でしたが自分が最初に
病気になって母が疲れており姉の状況に手がまわらなくて
死なせてしまった、自分のせいだと思っています。
英一も妹が苦しんでいるのに積極的に動かなかった
ことを後悔しています。
父はその時出張でした。やはり苦しんでいます。
英一は祖父の法要の席で家族の鬱憤を吐き出してきます。

垣本は母と対決しその後仕事を辞めて姿を消してしまいました。
不動産屋の社長は垣本はだいじょうぶといいます。

英一の高校時代の三年間が描かれます。
店子でテンコと呼ばれている男性の親友がいます。
コゲパンと呼ばれる女性のクラスメートや橋口という
男性のクラスメートがよく登場します。
乗りテツの人達も出てきます。

花菱の家族はよく会話をして深く結び合っています。
クラスメートたちともよく話をして真剣に付き合っています。
登場する人達がいい人たちで読んでいて気持ちいいです。
こんな家族関係や友人関係を築いているということは
幸せなことです。

とてもいい本でした。

黒猫の接吻あるいは最終講義

2012-09-18 21:47:49 | 

森晶麿著"黒猫の接吻あるいは最終講義"を読みました。
"黒猫の遊歩あるいは美学講義"の続編です。
前の話のことを自分のブログで見たらシリーズになっても
読まないと書いてあります。
でも読んでます。いい加減ですね。
こちらは長編です。前のよりずっと読みやすいです。
やはり難しい文学的な解釈が黒猫と付き人との間で
交わされます。
大学教授と博士課程の学者をめざしている人との高尚な
話ですから私に理解できなくてもしかたがないです。

バレエの"ジゼル"を黒猫と付き人は見に行きます。
黒猫の知り合いの塔馬と席が並びになります。
プリマは川上幾美です。塔馬の婚約者です。
黒猫とも昔付き合っていたといいます。
舞台の半ばでジゼルの相手役の男性ダンサーが何らかの
アクシデントで倒れてしまいます。
幾美は再開することなく舞台を降りてしまいます。

5年前にも同じ出し物のジゼルで事件が起きています。
ジゼルが恋人に裏切られて刀で自殺する場面で作り物の
刀であるはずが本物の刀にすり替えられていてジゼル役の
プリマが亡くなりました。
彼女は花折愛美といって川上幾美の異父姉妹です。
彼女もまた黒猫とも塔馬とも付き合いがあったといいます。
事件は自殺ということになっています。

付き人は黒猫にかかわるなと言われます。
しかし興味があることにかかわらずにはいられません。
関係者に会いに行き5年前のこと、今回のことを
調べ始めます。
塔馬はガラスのアーティストです。
完璧な美を求めています。
完璧なジゼルが演じられることを望んでいます。

愛美と幾美との間には確執があります。
幾美は姉が持っているものを欲しがります。
愛美が死ぬことになったのにはちょっとした連絡の
くい違いがありました。

塔馬は幾美の心を追い込んでいきます。
ジゼルの感情を自分のものとして理解して完璧な
ジゼルを踊らせるために。

悲劇は起きました。
黒猫と付き人は止めることができませんでした。

黒猫はフランスの教授にフランスに来るよう招かれ
ました。黒猫は受けます。
フランスへ出発は一月後というあわただしさの中、
黒猫の最終講義が行われました。

付き人は黒猫に好意を持っています。
黒猫の家でよく食事を振舞われていますが学生時代
からの友人で、教授と付き人の関係でしかありません。
淡々とわかれわかれになります。
何日か後に宅配便が届きます。
亡くなった塔馬が手配したものです。
黒猫が大切な人に送るため製作を塔馬に依頼したものです。

塔馬の人生は命をかけた激しいものです。
対するに黒猫の恋愛は淡々とした淡い感じのものです。
付き人が学問を捨てるとは思えないし今後二人は
どうなっていくのでしょうね。

日本での最終講義ですが、このシリーズはこれで
終わるのでしょうか、それともまだ続くのでしょうか。

パズラー 謎と論理のエンタテイメント

2012-09-17 20:10:36 | 

西澤保彦著"パズラー 謎と論理のエンタテイメント"を読みました。
それぞれ独立した短編集です。
なかに別の作家さんの作品でこんな雰囲気のものあった
なぁというものがあります。
誰だったのか思い出せそうで思い出せません。
わざとそういうことを意識して書かれているのかもしれません。
"贋作「退職刑事」"、この話は題名からして都筑道夫さんの
パスティーシュだとわかります。
パズラーという題名の話がないのでどういうことなの
だろうと思いましたが最後の解説に書かれていますが
パズラー小説というものがあるのだそうです。
パズルのように謎解きを小説化したものだそうです。

"蓮華の花"
ずっと思っていたことが実際は違っていたという話です。
高校の同級生が亡くなっていると思い込んでいましたが
同窓会で元気なのを知りました。
作家という仕事に成功するきっかけになった先輩作家の
インタビュー記事ですが、本人に聞いてみるとそんな
こと言った覚えはないといいます。

"卵が割れた後で"
場所はアメリカです。
留学していた学生が暴漢に襲われて亡くなったように
見えました。
この土地では車を乱暴に扱って少々ぶつけたぐらいの
ことは何の問題にもなりません。
しかし日本人は現地の人達からみれば異常に車を
大事にします。
そこから起きた事件でした。

"時計じかけの小鳥"
高校生の奈々は小学生の時に1日学校をさぼり友達の
家で遊んでいたことがあります。
両親は大騒ぎしていました。とくに母親は。
同じ日に近所の本屋さんが心臓の発作で亡くなっています。
両親はこの日の出来事以降噛み合わなくなり離婚しています。
久しぶりに本屋へ行ってみて過去の出来事を振り返ります。
その時何が起きていたのかに気づきました。

"贋作「退職刑事」"
退職した刑事が息子の刑事に事件の話を聞いて事件の
真実を見抜くという形式の話です。
再婚した女性が家で殺されました。
前の結婚は夫が会社の不況で無職になりそうなことを
察知して次の結婚相手を探したのちうまく離婚に持ち
込みました。
現在の夫がまた前夫と同様な状態になっています。
前夫が殺したのだと捕まりました。

"チープ・トリック"
舞台はたぶんアメリカです。
高校生の不良というには悪すぎの男と取り巻きの
男たちがいます。
女性をさらってきては廃墟となった教会でレイプを
繰り返していました。
さらわれてきた女性が逃げ場の無い教会の中に
逃げ込みました。
その教会でレイプ犯の男が首を切り落とされて
死にました。
犯人はその女性しかいないように見えますがどこにも
いません。
さらに関係した男たちが殺されていきます。

"アリバイ・ジ・アンビバレンス"
両親が自宅で仕事をしています。
仕事が修羅場を迎える日に車で寝ようと駐車場へ行きました。
そこへ隣のスペースへ車がやって来て同じ学校の女子学生が
降りてきて中年男性と隣の敷地の蔵のような建物へ入って
行きました。
彼女の家で男子学生が殺されました。
彼女は自分が殺したと告白します。
しかし殺された時間は彼女が蔵にいた時間です。

重苦しい話が多いです。楽しくはありません。
じっくり考えたらこうだったのだろうという話の
"蓮華の花"や"時計じかけの小鳥"、こういう手法の話は
どうもなじめません。
"チープ・トリック"、人間とは呼べないような男たちの
することはあまりにも残酷です。
"アリバイ・ジ・アンビバレンス"は子供を大人が食い物
にしてとてつもないしっぺ返しをくう話です。
でもやった方も爽快な気分にはなれない方法です。

七度狐

2012-09-15 21:00:00 | 

大倉崇裕著"七度狐"を読みました。
"三人目の幽霊"、"やさしい死神"の落語編集者の緑、
牧コンビが登場するシリーズの1冊です。
2冊が連作短編集で犯罪とはいえない謎を扱ったもの
ですがこの本は連続殺人が発生するミステリーです。
緑は静岡の杵槌村へ春華亭古秋一門会へ行くよう牧に
命令されます。
牧自身は北海道にいて後から杵槌村へ行くといいます。
山の中の過疎の村に一軒だけ残っている御前館という
温泉旅館があります。
御前館で古秋の息子3人の中から古秋の名前を継ぐ者が
選ばれる一門会が開かれます。
別の一門から移ってきた弟子の夢風がかいがいしく世話を
しています。
夢風は杵槌村の出身で父親の元鍼灸医の亀山が今も村に
住んでいます。
村は豪雨に襲われ道路が崩れ陸の孤島となってしまいます。
第一の殺人が起きます。
二男の古春が裸で畑の中で発見されます。

緑は旅館の電話で牧の携帯に頻繁に連絡を入れて状況を
説明します。
次に三男の古吉が離れで殺されているのが見つかります。

古秋は六代目です。五代目は現古秋の兄です。
五代目は古秋は血族ではなく優れた技能を持った人に
継がせたいと発言していました。
五代目は45年前に杵槌村で行方不明になっています。
六代目は五代目の弟です。

長男の古市はライバルがいなくなり名を継ぐのは当然
自分だと思っています。
古市が一門会で演じてた後2階から降りようとした
古秋が階段から落ちて重症をおいます。
自分に来ると思った名前は妹の瞳子が指名されました。
瞳子の婿に継がせようというわけです。
自暴自棄になり走り出した古市は川で亡くなっているのが
発見されます。

豪雨から数日たちヘリコプターと徒歩でようやく牧が
杵槌村に到着します。
牧の後からは同様にして京がやってきます。
八十八歳の京は牧の元上司です。
牧はさえた推理力を発揮するのですが京は牧以上の
能力がある人とのことです。

犯人を追い詰めますが燈籠の下敷きになって死んでしまいます。
ただ彼は実行犯でその後ろで操っていた人がいます。
能力のないものに古秋の名は継がせないとの妄執からです。

一連の殺人は七度狐という落語の演目をなぞって見立て
殺人として行われました。
狐に恨みを買った旅人二人が七度狐に騙される話です。
七度といいますが現代では七度も騙される話を繰り返す
のは時間がかかり飽きられることから、二度騙される所で
終わりになります。
七度全部を演じてみたいと残りの話を考えていたのが
五代目古秋です。

五代目はどうしたのでしょうね。ここは読んでください。
45年という日時を経て起こった連続殺人でした。