雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

曽根崎心中

2012-05-29 19:49:38 | 
角田 光代
リトル・モア
発売日:2011-12-22

原作近松門左衛門、角田光代著"曽根崎心中"を読みました。
人形浄瑠璃、歌舞伎などで演じられる近松門左衛門作の
ものを現代語でわかりやすく書いたものです。
大阪新地の遊郭の遊女お初と、客の徳兵衛との恋の
話です。
遊郭での遊女と客という立場を忘れて恋に落ちます。
徳兵衛は叔父の店で小さな頃から働いています。
縁談を進められています。
徳兵衛にひどい仕打ちをしてきた義理の母に叔父から
結婚をさせるということでお金が渡されます。
徳兵衛は結婚を断りたいため義母からお金を取り
返そうとします。
やっと取り返したお金を帰り道で偶然会った友人に
貸してしまいます。
友人は返そうとしません。
友人は証文は偽物で徳兵衛が書いたのだと言います。
徳兵衛はにっちもさっちもいかなくなります。
徳兵衛とお初は追い詰められます。
二人は死を決意します。

遊女には何の自由もありません。
恋をしてもかなうことはまずありません。
それでも心だけは自由です。
いちずに徳兵衛を思います。
徳兵衛が本当のことを言っているのか、嘘を言って
いるのかわかりません。
追い詰められているという事実があります。
お初の切々とした恋心は胸を打ちます。
自分としては一度も感じたことのない感情ですが
本を通してお初の心は伝わってきます。
彼女にとって死は恍惚なんでしょうね。