雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

サム・ホーソーンの事件簿Ⅵ

2011-09-30 22:15:20 | 
エドワード・D・ホック
東京創元社
発売日:2009-11-30


エドワード・D・ホック著"サム・ホーソーンの事件簿Ⅵ"を
読みました。
図書館の棚にあるのをたまたま見つけました。
Ⅴまでは読みました。Ⅵが出ていることを知らなくて
これは読まなくてはと借りました。
Ⅴがあまりおもしろかったとは言えなかったのでこれは
どうなんだろうと思っていましたが、Ⅵはよかったです。
ただ物語りの時代は第二次世界大戦の時です。
アメリカの本土に残っている人々の口から日本に対する
感情が語られたりします。
ただおもしろいとばかりはいえない複雑な心境です。
ノースモンドで診療所を開業しているサム・ホーソン医師が
主人公です。
友人のレンズ保安官とともに12件の不可能犯罪を解決する
連作短編集です。

ホーソン医師が年取って昔の物語を語るという形式を
取っています。
この本でホーソンは44歳で動物病院を経営している獣医の
アナベルと結婚しています。
そして女の子を持ち孫も出来ます。
レンズ保安官は7期の保安官生活のあと最後の保安官
の選出選挙に出ています。
ホーソンとレンズの組み合わせがずっと続いてきたので
レンズの保安官生活が最後ということはこのお話も
終わりなのかと感じていました。
ほんの裏表紙に最終巻と明記されていました。
これが最後の巻です。

一つ一つの事件は区切られていますがサムやアナベル、
レンズなどの生活は全体を通じて連続しているので
事件以外の部分でも楽しめます。

事件数が多いので一つ一つ書いていては日が暮れますので
書きません。
ほとんどが密室物です。
小さな町みたいなのにこんなに多く殺人事件が起きる
なんて物騒な所ですね。
レンズ保安官が選挙がらみで相手参謀を殺したと疑われる
事件も起きます。
中にはきっとこういうことなんだろうと半分ぐらい
わかってしまう事件もあります。
それでもサム・ホーソン医師とレンズ保安官の事件物
のお話好きです。9/18

高齢者は災害時に避難したくない

2011-09-29 20:42:18 | テレビ・新聞から
今日の新聞の記事にこの前の台風の時に高齢者が避難を
嫌がったという記事が載っています。
台風12号で三重県紀宝町鮒田地区の話として載っています。
1階が水に浸かって2階に避難していた老夫婦は
自主防災会の人が避難を呼びかけてもがんとしてここに
いると避難を拒んだといいます。
2階も水に浸かるようになって、数回の説得の後やっと
避難したということです。
奥さんは病気とのこと、動くのは体がしんどい、これ
以上は水はこないという過信が避難したくない理由
だそうです。

老夫婦の気持ちはわかる気がします。
慣れないところで過ごせば体の調子が格段に悪くなる
可能性があります。
年をとればほんのちょっとの変化で体調はうんと
悪化します。まわりの高齢者をみていればわかります。
一方で何度も避難を呼びかけに来てくれる人たちを
危険にさらしていいわけではありません。
時間が経てばたつほど危険の度合いが増します。
本人がここにいると言うからそうしようというわけに
いきません。

動きたくないという高齢者の思いもわかりますし、
早く避難して欲しい人たちの気持ちもわかります。
ここは高齢者の人に折れてもらうしかないでしょうね。
どうか若い人たちの命を守るためだと思って避難の呼び
かけに応じてください。

片目の猿

2011-09-28 20:19:35 | 

道尾秀介著"片目の猿"を読みました。
三梨は盗聴専門の私立探偵をしています。
耳の形がおかしくて大きなヘッドフォンをしています。
隣り合ったビルの楽器会社の片方の谷口楽器に雇われて
います。社員として谷口楽器に勤め隣のビルの黒井楽器の
様子を探っています。
サングラスをしていつも外を眺め遠くの出来事を
あたかも目にしたかのような言葉を口走ったという女性が
いるという話を耳にします。その女性の冬子を探偵と
してスカウトします。
冬子は目にコンプレックスを抱いています。
大きな探偵社四菱エージェンシーの社員でした。
黒井楽器で人が殺されます。
三梨はその時女性の靴音と名前が呼ばれるのを聞きます。
四菱エージェンシーの仕事のやり方は調査先の弱みを
握って強請ることです。
四菱エージェンシーや谷口楽器の苅田との攻防が描かれて
います。

三梨の事務所兼住居のアパートには変った人たちが住んで
います。
三梨を始めみんながそれぞれに体に何か支障があります。
この本の主旨は体にコンプレックスがあったって元気に
生きていけるのだということだと思います。

"片目の猿"とは99人が片目の猿の集団に両目が見える
猿が生まれたがいじめられついに自分で片目をつぶして
皆と同じになったという話から付けられています。

錯覚を起こさせるような書き方がされており最後に
そうだったのかとわかります。
本の主旨はわかりますが、おもしろかったとは
いえません。9/18

歯が痛い!

2011-09-27 23:03:52 | 日常の出来事
涼しい日が続きました。
今日は朝のうちは涼しかったのですが、しばらく
したら暑いと感じるほどになりました。

今日は歯医者さんへ行ってきました。
飲んだり食べたりするとずきっとする痛さで
がまんしていても無駄だとあきらめて行きました。
歯が磨り減って痛むのだとか。
年のせいということなんでしょうね。
がっくりします。
痛みを引き起こしている歯がはっきりしなくて
これかあれかと調べていました。
見ただけではわからないということのようです。
それなのに前歯の2本を治療しておきましょうと
がりがり削られてしまいました。
「これでまだしみるようなら悪いのは別の歯です。」
だなんてそれはないと思ってしまいました。

歯医者さんは職場の近くです。
家から行くと結構時間がかかります。
ずっと昔からかかっています。別の歯医者さんへ
行くのは結構勇気が必要で(そんなことないですか?)
結局前にかかった所へ行くことになります。
時間を多めに見て家を出たので早く着きました。
近くにどうしてそんな場所があるのか知りませんが
水が流れている、感じのいいデザインの小さな
公園があります。
そこの木陰で時間までベンチで本を読んでいました。
突然ジョギングをしているらしい人に声をかけられました。
「ここ、いい場所でしょ。本を読んでいる人をいままで
見たことがないです。いい趣味ですね。」
本を読んでいる姿がよほどめずらしかったみたいです。
時間が在ったので読んでいただけですけど、確かに
外で本を読むというのはあまり見かけませんね。

亜愛一郎の狼狽

2011-09-26 22:22:38 | 

泡坂妻夫著"亜愛一郎の狼狽"を読みました。
1976年から77年にかけて書かれたものです。
30年以上前のものですが違和感はありません。
ミステリーは延々と書き続けられているのですね。
よく種がつきないものだと思います。
亜愛一郎が登場する本は3冊あるようです。
連作短編のミステリーです。

亜愛一郎が主人公です。苗字が亜(あ)です。
見た目は美しく好感が持てるのですが行動はちょっと
おかしなところがある人です。
推理力は抜群で事件を解決していきます。
職業は写真家で雲や鳥や昆虫などを撮っています。

以下の話から成ります。
・DL2号機事件
飛行機に爆弾を仕掛けたとの電話がありました。
到着する空港で写真を撮っていた亜が活躍する
最初の話です。

・右腕山上空
一人で乗っていた熱気球の中で拳銃自殺したかの
ように見える男はどのようにして殺されたのか。

・曲った部屋
建物が傾いている団地の最上階で殺された男がいます。
ステレオの足に詰め物がしてあります。もっと傾く
状態になっています。壁に向けると平行になります。
洗濯機の排水ホースも反対側です。この理由はどこに。

・掌上の黄金仮面
黄金仮面を被って大きな弥勒菩薩像に登って宣伝ビラを
ばら撒いていた男が拳銃で撃たれました。
拳銃を持っていた男は捕まりましたがその拳銃は弾が
どこへ飛んでいくかわからない代物でした。
はたしてどのようにして命中させたのか。

・G線上の鼬
タクシー強盗が頻発しています。
強盗に会った運転手が車から逃げ出してきました。
車に戻ってみると強盗が殴り殺されていました。
犯人は誰?

・掘出された童話
誤字脱字だらけの童話があります。
出版社が直して出版したところ激怒した作者に誤字脱字の
ままに印刷し直しをさせられます。
作者は有名な会社の社長の池本です。
池本の最初の奥さんは行方不明になっています。
この童話が暗号だと亜は気づきます。

・ホロボの神
戦時中のある未開の島で日本軍が遭遇した話です。
土地の酋長の妻である司祭が亡くなりました。
祭ってあった妻と二人きりでいた酋長が拳銃で
打たれて亡くなっていました。自殺と見えた酋長ですが
別の見方を亜がします。

・黒い霧
カーボンが運送途中に落ちて撒き散らされることが
ありました。
明け方またしてもカーボンが舞い、町の中はカーボンで
真っ黒になってしまいました。
そんな中死体が発見されました。解剖の結果カーボンを
吸い込んでいることがわかります。
殺人とカーボンの関係は?

"掘出された童話"が一番好きです。
暗号問題は解くのもたいへんだけど作るのもたいへん
でしょうね。
こうやって解くのだと解説にあるように自分で解いて
みるとおもしろいだろうとおもいます。
昔シャーロック・ホームズに出て来る踊る人形の
暗号を示された解き方で解いてみようとしたことがあります。
途中までやりましたが最後まではできませんでした。9/13

ゆりかごで眠れ

2011-09-25 21:40:23 | 
垣根 涼介
中央公論新社
発売日:2006-04


垣根涼介著"ゆりかごで眠れ"を読みました。
ギャング物です。
リキ・小林は南米コロンビアに入植した両親を持ち、
コロンビア生まれコロンビア育ちます。
時は無政府状態です。貧乏でも農業で暮らしを営んで
いた両親や日系人の仲間の多くが理由もなく撃ち殺されて
しまいます。
リキは近所に住んでいたベロニカに引き取られベロニカの
子供二人と共に暮らします。
再度の襲撃を受け農村を捨て都会の貧民街へ越します。
裕福な者は裕福に、貧しいものはその境遇から抜け出す
方法もなく暮らしています。
若者たちは次第にギャング団へとクループ化していきます。
リキの義兄弟のホルへはギャングのボスとなります。
どんどん危険な仕事を請け負うようになります。
敵対するクループにホルへとベロニカは撃ち殺されて
しまいます。
リキはこの時点までは影で仕事をサポートをするに留まって
いましたがギャング団のボスとして皆を統率することに
なります。

リキの一団は日本へも進出してきます。
コロンビアからいくつものギャング団が進出していて
日本でコロンビア勢力が争っています。
リキの仲間の一人が他のギャング団に売られて警察に
捕まってしまいます。
リキは仲間を見殺しにしない、必ず助けると仲間内では
硬く信じられています。
その代わり裏切ったら激しい報復が必ずされます。

リキは小さな女の子を連れて日本にやってきます。
カーサ(スペイン語で家の意味)と名づけられた子は
浮浪児だったときに関わりいっしょにいた兄を
殺されて一人になったのを引き取った子です。
一心にリキを頼り甘えかかっています。

後半は仲間を救い出すための準備や警察へはでに救出に
向かう様子になります。
リキの心は行動とは裏腹に生きることに醒めています。
同じような心情の元刑事の妙子とリキは出会います。
コロンビアで知り合った日本の会社のコロンビア駐在の
幹部社員竹崎とも日本で付き合っています。
リキは竹崎と妙子の二人にカーサの行く末を託していきます。

裏の世界の話はあまり好みではありません。
でも生きていくすべがなく取り込まれてしまうそんな地域が
いっぱいこの世界にはあるのだというのはつらいです。
一旦入ってしまったら抜けるのは至難の技です。
個人の責任だとは言い切れません。
人類は滅びるその時までほとんどの人が幸せに、平和に
暮らせるそういう世の中は作れないのでしょうか。
リキの孤独が伝わってきます。

暴力場面は残酷すぎます。
小さな女の子カーサの態度には無意識にしているとは
いえ、計算されたものを感じ不快感を感じます。
莫大なお金を託され後見人も用意されているけど
それが幸せにみえないのが哀れです。
妙子の人生を投げた態度も理解しがたいものがあります。
今まで読んだ垣根さんのアウトローを描いた作品には
明るさやたくましさ、救いがあったのにこの作品は
そういうものがありません。9/18

月のうた

2011-09-24 21:00:00 | 
穂高 明
ポプラ社
発売日:2007-10


穂高明著"月のうた"を読みました。
民子が小学4年の時、母は病気で亡くなりました。
母方の祖母と父との暮らしになりました。
六年の時に父が再婚して新しい母が出来ました。
祖母は施設に入所しすぐに亡くなりました。
母の高校の時の親友とその息子の陽一との交流など
淡々と書かれています。

民子は祖母に教えられ料理など家事は完璧にこなせます。
理科系に強くあらゆることに興味を持ち詳しく説明
できます。物静かな感じを受ける子です。
新しいお母さんの宏子は明るくむとんちゃくで
あまり知識を持ってない人です。
正反対という感じの二人です。
いつしか大人の宏子が民子にいろいろ教えてもらうと
いう関係になっていますがうまくいっています。

部活として打ち込む合唱のこと、陽一の家での
家庭教師についての勉強などが描かれます。
宏子に赤ちゃんが生まれ年の離れた弟ができます。
大学生になり親元を離れ東京へと旅立ちます。

静かな雰囲気をたたえた物語です。
民子の芯の強さやまわりの状況を受け入れていく
様子が描かれています。
実の母が真実を告げずに亡くなったことにわだかまりを
感じていたのを解きほぐしてくれる大人がいてくれて
よかったです。

家族は集まりそして離れていきます。
民子は出発し家族の形は変わっていきます。

子供にとって親が亡くなるのは世界ががらっと形を
変えることです。
新しい状況に慣れるのはほとんど平らな坂道を延々と
歩いていくようなものでしょうね。
何年ものちにやっとこれが自分の世界と言えるように
なるのではと思います。9/13

江戸の検視官 闇女

2011-09-23 21:00:00 | 
川田 弥一郎
講談社
発売日:2000-11


川田弥一郎著"江戸の検視官 闇女"を読みました。
連作短編集かと思っていたら長編でした。
定町廻り同心北沢彦太郎が主人公で検視官の仕事を
しています。
医師の古谷玄海と絵師のお月がサポートしています。
最初においねとの出会いの場面があります。
おいねは行方不明になった姉を探しに江戸に出てきました。
江戸に連れてきてくれた男に宿で襲われましたが、
男は突然に死んでしまいました。
おいねが殺したのではないかと疑われましたが、
彦太郎たちが病死と判断して家に連れ帰ります。
おいねは昼は医師玄海のところで働き、時間がある時は
姉を探すことになります。
ここまでは前置きのような話です。

長屋で一人暮らしの出会い茶屋勤めの女が殺されました。
その家に小間物商としておいねの姉お袖が出入りしていました。
岡っ引きの鶴次郎が殺されます。
女師匠が殺されます。
蝋燭屋の大和屋が捜査の対象となります。
女房のお里、妾のお継が次々と殺されていきます。

読むのが止められなくてどんどん読んでいきましたが
立ち止まるとこの話はどんな内容だったかさっぱり
わからないという状態になります。
いったい殺されたのはどんな繋がりのある人で今登場
している人はいつどこから出てきたのか、あれどうだった
のだろうという感じです。
突然登場してきて突然殺されたみたいな気になります。
事件の方はともかく主要登場人物は個性的で好感が
もてる人たちです。

新聞に掲載された小説だそうです。
その日その日に興味を引くよう書いていかなくては
いけないので続けて読むとなんだかわからなくなって
しまうのかなぁと思います。
検視や医学に詳しいのでもしかしてと思ったらやはり
作者はお医者さんだそうです。9/13

辛い飴 永見緋太郎の事件簿

2011-09-22 23:24:06 | 

田中啓文著"辛い飴 永見緋太郎の事件簿"を読みました。
表紙がちょっと見ると恐い感じがします。よくよくみれば
男性がテナーサックスを吹いている場面だとわかります。
JAZZを演奏する唐島英治クインテットが出会ったちょっと
不思議な出来事をテナーサックスの永見が鮮やかに推理
するという話です。

語り手はリーダーの唐沢です。
永見はサックスの練習をしているか部屋に閉じこもって
いるというあまり活動的ではない人物です。
連作短編集です。JAZZについてもいろいろ書かれています。

"苦い水"
昔知られていたトロンポーン奏者の安来は酒びたりに
なっています。
ストリート奏者に落ちぶれています。
今は力量がない安来がビッグバンドに高給で迎えられます。
このバンドが結成されたのにはわけがあります。
安来は酒を断つと決心しますが、決心したら止められる
ものではないのに、決心で止められるんだというふうに
書かれているのがちょっとひっかかります。

"酸っぱい酒"
名古屋の栄にマウンテンというライブハウスがあり
そこで伝説のブルースマンが歌ったと語り継がれています。
ブルース歌手のチエは4年前そこでブルースマンに
出会ったといいます。もう一度会いたいと唐沢たちと
いっしょに名古屋へ来ます。
一度きり歌った伝説のブルースマンの正体は誰でしょう。

"甘い土"
ある島の伝統の祭りを紹介するテレビ番組に唐沢と永見が
レポータとして出演することになりました。
祭りで演奏される大貝楽(だいかぐら)という雅楽が感動する
すばらしさだと前年島を訪れた民族学者の室田に教授が
発見しました。
島に行くと怪しげな人物が入り込んでいて人々が分裂
していました。
宝物が埋っていると村長に信じ込ませてしまいました。

"辛い飴"
JEFF CANDY AND HIS FIVE DROPS という一流のグループが
60年代のシカゴにいました。
不運にも契約不履行で莫大な借金を負い借金を返すため
苦労をしています。
そのメンバー全員が生きていることがわかり日本で
コンサートを開くことになりました。
契約は同じメンバー全員でやってくることとなっています。
事前に送られてきたテープの内容はとても聞けたものでは
ありません。企画者はどうなることかとはらはらです。
やって来た彼らの演奏は人々を興奮させました。
以下ネタバレです。
実は彼らは交通事故にあって楽器を交換したのです。
トランペットは口を怪我して吹けません。
テナーは左腕を切断しました。ドラムは両足がだめです。
トランペットはピアノに、テナーはトランペットに、
ドラムはベースに、ピアノはドラムに、ベースはサックスに
楽器を換えたった一月で別の楽器を自分のものにしました。
並大抵の努力ではありません。
別の楽器になっても前の楽器のように演奏しようとしていて
それが新鮮な味を出しています。

"酸っぱい球"
唐沢が野球場でアメージングクレースを演奏することに
なりました。4番打者金本のテーマソングです。
時々へんな音がどこからか混じって聞こえます。
野球をぜんぜんしらない永見は無理やり連れてこられます。
この音は実はサインが読まれていて相手に知らせている
のだと永見が見破ります。
野球はわかりません。この話はよくわかりません。
打つ側へのサインってあるのですか?ホームランを狙えとか、
どちらの方向へ打てとかサインで指示するのですか?
それを知って投手は打たせない球を投げれるものなんですか?
ちょっと不思議に思ってしまいました。

"渋い夢"
地方の会社の社長がジャズファンで自宅の敷地にライブが
出来るスペースを作ってしまいました。
定期的に東京からミュージシャンを呼んで演奏会を
開いています。
唐沢のグループが行くことになりました。
その建物内で物がなくなることが続出しており楽器は
持って歩くように注意されます。
社長は価値ある楽器を収集するのが趣味です。
自分で演奏することはなく持っていることに意義を
感じています。
そこには日本に3台しかないピアノが置かれています。
皆が席をはずした間にこのピアノが消えました。
はたして何のため、どのようにして大きなピアノは
消えたのでしょう。

"淡白な毒"
あるレコードがネットオークションで高値で売買されて
います。
最初期の盤のみを収集している誰かがいるようです。
よーく聞くと人の話し声が収録されています。
この話を聞かれたくないため回収を図っているのです。
この話は塩を奥さんに盛ったというアシモフの
短編の話と似てます。

永見の性格はあまりぱっとしたものではありません。
でも何となく好感が持てる人物です。
推理力は抜群です。
ジャズメンの話でとても楽しかったです。
本の題名になっている辛い飴が一番好きです。9/12

空飛ぶタイヤ

2011-09-21 23:00:05 | 
風も雨もたいしたことはなくて、台風が通り過ぎて
いったという感じはありません。
私の所は無事でしたが名古屋市内で浸水した
地域があります。お気の毒です。

池井戸 潤
実業之日本社
発売日:2006-09-15


池井戸潤著"空飛ぶタイヤ"を読みました。
本の最後にフィクションですと書かれていますが実話を
基にしていることが窺えます。
何年か前にトラックのタイヤが外れて歩いていた人を
直撃して死亡させたニュースが流れたことを覚えている
人は多いと思います。
最初のうちは整備不良と言われていましたが後にハブに
欠陥があることがわかりました。
同様な事故が多発しているにもかかわらず自動車会社が
リコール隠しをして死亡事故を発生させました。
この話が基になっています。

赤松運送のトラックが脱輪を起こして小さな子供と
歩いていた主婦を直撃して、主婦を死亡させて
しまいます。
原因は整備不良だとされ警察の家宅捜査が入ります。
整備は整備士門田がしっかりとしており、記録も
きちんと残っています。
社長の赤松は整備のせいではなくトラックの部品の
不良ではないかと疑います。
トラックはホープ自動車製です。事故車は警察から
ホープに持ち込まれ調査依頼されます。
結果は整備不良とされます。
赤松は部品を返してもらって他の調査期間へ持ち込もうと
考えますがどんなに返せと申し入れてもああだこうだと
言って頑として返しません。

大きな取引先が取引停止を申し入れてきます。
ホープは重工、自動車、銀行を抱える大企業です。
お客さんである赤松運送をどうでもいい中小企業として
話を聞くまでももないと横柄な態度です。
お客さんの方にぜんぜん目を向けていません。
会社内部の抗争が一番の関心事です。
数年前にもリコール隠しが発覚してマスコミにたたかれ
業績が下降しました。
企業の体質を改めると発表していたのにまったく
実現していません。

赤松運輸の取引銀行はポープ銀行です。
銀行は貸付を断ったばかりか今まで借りていた資金の
貸し剥がしをしてきます。
赤松運送は倒産の危機にみまわれます。
週刊誌の記者がホープの事故を調べています。
リコール隠しのことを暴く記事が出るはずでしたがホープに
潰されてしまいました。
記者から今まで発生した事故情報を貰って赤松は独自で
日本中の会社を聞いて回って部品の不良だと突き詰めていきます。
同じ事故を起こしたことがある会社が仕事を廻して
くれたりホープ銀行から借りていた資金を全額引き受けて
くれる銀行が現れたりして赤松運送はかろうじて倒産を
免れています。

ホープ自動車は隠すことは当然のことと考えています。
間違ったことをしているとはまったく考えません。
人が死亡することが発生することがわかっていてもそれが
どうしたという態度です。
どんなに赤字を出そうとも何億円とグループ銀行が出して
くれることが当然のことと要求するその思考回路が
どうなっているのか到底理解できないものです。

赤松の努力が実りリコール隠しの証拠が見つかります。
警察が動きます。
ホープ自動車の社長たちが逮捕されることになります。

一気に読んでしまいました。
中小企業の社長の心意気と大企業の驕り、両方の視点
から書かれています。
あきらめた会社がすべての中、自社の運営や社員を信じて
真実を追究した赤松社長の信念はすごいものです。
大企業の驕りは外から眺めればどれほどばかばかしいものか
簡単にわかるものです。
内部にいると内部だけで完結して広い世界は見え
なくなるものなんでしょうか。
たとえどんなに大企業でも潰れることはあるのに
どうしてありえないと考えられるのでしょう。9/11

台風15号がやってきます

2011-09-20 20:21:31 | 最近の話題
台風15号が近づいてきています。
ここ名古屋は朝から雨が降り続きました。
そんなに強い降りではありません。
でも天白川、庄内川で水嵩が増して氾濫の危険があると
約100万人に避難勧告や避難指示が出されました。
18時のニュースでは天白川の水位が下がったので一部
避難勧告が解除されたと言っていました。
それでもまだ全面的に解除されたわけではないようです。
職場では15時に帰宅するようにと、放送が流れました。
この時点で電車が運転を見合わせているところがあり
ました。みんな無事に家に帰れたのかしら。
今は17時半。雨は降っていません。
台風が一番近づくのはまだまだ先です。注意が必要です。

わが家も職場も同じ川の側にあります。どちらも1キロ
ぐらい離れているのでだいじょうぶだとは思いますが、
一番近くの堤防が決壊したら浸水するかもしれません。
最近は起こらないと思われていることが起こるので
だいじょうぶだと安心しきっているわけにいきません。
母が電話を架けてきて「避難勧告がでているらしいけど、
だいじょうぶか」といいます。
何もできません。通り過ぎるのを待つだけです。
情報化社会というけど現実には何がどうなっているのか
はっきりと伝わってきません。
私の地区には避難勧告は出てないと思います。
今どんな状態なのかよくわかりません。

長く名古屋市民やってますが今回のように広範囲に
避難勧告や指示が出たことはなかったように思います。
避難する場所は一応決められていますが考えてみると
その地域の人を全員受け入れられる広さがあるようには
みえません。
それに避難場所の方が川に近くて危険が大きそうです。
いままで現実味がなかったけど、この台風で現実味が
増しました。
まだ台風12号の被害から立ち直っていない中、また
15号がやってきます。
これ以上の被害がありませんように。

追伸:
地デジに切り替わってから家にはテレビありません。
ないことに気づかない生活送ってきましたが、今回の
台風で最新のニュースがわからないのにはまいります。
ラジオ、ネットではまったくといっていいほど
状況がつかめません。
新聞が一番詳しいのですが何しろ情報が遅いですから
今すぐ役にはたちません。
とほほ。9/21

猫と庄造と二人の女

2011-09-19 19:26:39 | 

谷崎潤一郎著"猫と庄造と二人の女"を読みました。
ずいぶん古めかしい話だと思ったら初出版が昭和26年
です。60年前に書かれた話です。

おかしいのかほろ苦いのかわからない、なんとも
言えない感覚の本です。
皆の愛情を一身に集めているのは猫のリリーです。
庄造が貰ってきた猫でもう15歳は過ぎています。
自分が食べているものを分け与え、顔をなめさせ
いっしょに寝るなど愛情を注ぎ込んでいます。
庄造は生活力がなく仕事もせず遊んで暮らすだめな
男です。
奥さんの品子が裁縫で暮らしをささえていました。
同居の母親と企んで品子を追い出してしまいます。
親戚の娘で品行の悪い福子を持参金目当てに
後添いにします。

福子のところへ品子から猫のリリーを譲ってくれるよう
手紙が届きます。
じょうずな手紙にのせられてリリーは品子の元へ届けられます。
最初のうちは品子にまったく懐かなかったリリーですが一度
家出をして戻ってきてからは品子にべったり甘えかかります。
品子は庄造と暮らしていた時はリリーに愛情を抱かなかった
のですが、別れてからきたリリーに庄造と負けないほどの
愛情を注ぐようになります。

寝ても覚めてもリリーを思う庄造は品子の留守を狙って
リリーに会いに行きます。
リリーの方は会っても知らん顔で喜びもしない態度
なのがおかしいです。

リリーに翻弄されている庄造、品子です。
重苦しさが漂う本です。
人間同士は愛情をいだきあってないのに猫に対して
切々と愛情をあふれさせているのですから悲しくも
こっけいです。

昔の話ですから今とは猫を飼う状況はかなり違います。
今の猫飼いの人たちが聞けば目をむいてしまうことが
あたり前に書かれています。
リリーは何度も何度もお産をします。その子供はもらわれて
いくのもありますが海岸や松の根元に捨てられます。
庄造は産まないようにしてやれないかと獣医に相談して
いますが雌はなんともしようがないと言われています。
今とお医者さんの技術や考え方も違っていたのですね。
食べ物も人間と同じものを食べています。
トイレの砂を海岸から持ってくるとか工事場や公園から
持ってくるなどとんでもないなぁと思ってしまいます。
でも庄造や品子が常識はずれというわけではなく昔の
猫はこんな扱いだったのです。
リリーはうんと大事にされた猫です。普通の猫は
どんなだったかは想像がつくでしょう。9/6

香菜里屋を知っていますか

2011-09-18 22:29:41 | 

北森鴻著"香菜里屋を知っていますか"を読みました。
シリーズ物のラストです。
シリーズの一冊の"桜宵"の読後感はあまりいいものでは
ありませんでした。
でもこちらは結構おもしろかったです。
同じシリーズの本でもいいと思うもの、あまりよくないと
思うものに分かれるのはどうしてでしょうね。

香菜里屋のバーテンダー工藤がおいしいお酒と食べ物を
出し、お客さんのちょっと不思議な話を聞いてこういう
ことなのではという見方を披露するというものです。
今回はラストの話で工藤が香菜里屋をたたんでどこかへ
消えてしまいます。
このシリーズはお仕舞いです、というきちんとした終了
宣言ですが、そうきちんと言われてしまうとそんなに
はっきり言わなくてもいいじゃないの、という気に
なります。

前に本屋さんで本の本体と箱を入れ替えるという話が
ありましたが今回は古本屋さんで本と表紙のカバーを
入れ替えるという話があります。
学生が買うにははずかしくてレジに持っていけないものを
詩集のカバーと替えて持っていくというものでした。
それはできるでしょうがなぜこんなことを考えつくので
しょう。二人の作家さんが同じような入れ替えを
思いつくということは、他にも大勢の人が考えたり
実際にやったことがあるということでしょうか。

工藤はぬれ衣で間違ったことを思われて別れた師匠の
娘の香菜をずっと待っていました。店名の香菜里屋は
香菜を思って付けた名前です。
香菜の助けの求めに応じてどこかへ行ってしまいました。
ずっと一人の人を待つというのは最近ではあまり
見かけないので新鮮な感じがしました。9/6

シアター!

2011-09-17 21:00:00 | 
有川 浩
アスキー・メディアワークス
発売日:2009-12-16


有川浩著"シアター!"を読みました。
おもしろい本でした。
ひきこまれてあっという間に読み終わりました。

小劇団シアターフラッグを主宰している春川巧が兄司に
300万円がないと劇団はつぶれる、お金を貸して欲しいと
泣きついてきます。
司は条件付きでお金を貸します。その条件は2年間で
お金を返すこと、返せなければ劇団は解散することと
いうものでした。
プロ声優として名を知られている羽田千歳が入団してきます。
演劇はやったことがない千歳ですが巧は才能があると
思っています。
今までは団員すべてが舞台に立つという方向でやって
きましたが、これからは登場人物を絞ってやって
いこうという巧に反発して団員が離れていき10人
ほどが残っているだけになりました。
司は条件の一つとして劇団の経理、渉外を自分が見ることを
受け入れさせます。

好きでやっているのだから儲けようとはしなかった劇団の
メンバーですが司は黒字にしようと改革を始めます。
団員に鉄血宰相というあだ名を奉られます。
巧は住まいをたたんで司の住む実家へ帰り家賃の出費
を抑えます。この家が団員が集まる場所となります。
お金は切り詰めようと思えば切り詰められるものです。
徹底的に切り詰めます。
練習場所は公共の施設を使うことになります。同じ場所を
続けて使うことはできなくて毎日電車に乗ってあちらこちら
の施設へ出かけることになります。
衣装や舞台道具に費用がかからない出し物を書けという
巧への命令です。
出費は極力押さえ、入場料以外の入金もいろいろ考えます。
パンフレットは広告を載せ広告料で作る、台本も印刷して
売る、1日目の映像を次の日からDVDにして売る等々
考えます。
ホームページや千歳のブログで舞台の宣伝をします。
巧と司、兄弟仲がとてもいいです。
司は子供のころいじめられっ子だった巧をかばってきました。
脚本書きと人を動かす才能を発揮していじめから
脱却した巧です。
兄弟のやり取りや、団員同士のやり取りもたのしいです。

舞台が始まります。

この本は1回目の舞台の終了までです。年2回の公演です
から半年過ぎたところです。
はたしてこの劇団は続けられるのか潰されるのかそこまで
知りたいです。
シアター!2が出版されています。
早く読みたいのですが、図書館の予約の行列は長いです。
読めるのはずっと先になりそうです。9/5

屋上ミサイル

2011-09-16 21:00:00 | 

山下貴光著"屋上ミサイル"を読みました。
高校生のグループが主人公の物語です。
いろんな出来事が起きるのですが最後になってみると
全てのことが関連しているという具合にうまくまとまって
います。
登場人物の設定もきちんとしていて納得いく人物たちです。
高校生たちは愛すべきキャラクターです。
それなのにどうにも読みにくい本でした。
ぜんぜん中に入っていけなくて物語がどうなっていくの
だろうというわくわく感がなく、付けっ放しのテレビを
遠くから眺めている感じで読んでいました。
第7回 「このミステリーがすごい!」 大賞を受賞している
と最後に書かれています。
ぐいぐい引き込まれて読む本と、夢中になれない本との
違いはどこにあるのでしょう。
しっかり読み解いて本の評論ができる人ならこうだと
言葉にして伝えられるのでしょうが私にはこんな感覚だと
しか言えません。

辻尾アカネ、国重嘉人、沢木淳之介、平原啓太は高校生、
昼休みを屋上で過ごしています。
"屋上部"を結成することになります。
アカネはデザイン学科、国重はリーゼントで不良として
知られています。
沢木は国重の幼友達で陸上部の宮瀬晴美に恋をしていて
練習を屋上から眺めています。
平原は幼いときに誤って猟銃を暴発させて弟を死なせて
しまいます。その時の負い目をずっと抱えて生きています。

アメリカでは大統領が誘拐され要求が受け入れられなければ
ミサイルを発射すると脅かしています。
この話の間中、東京にミサイルが飛んでくるのではと
人々は右往左往しています。
宮瀬へのストーカ騒動、死体の写真や、拳銃を拾い
それが何なのか調べ始めます。
国重がおかしな殺し屋に殺す、とつきまとわれます。
詐欺師を捕まえたり、ロックをやっている弟が殴られて
怪我をする事件が起こります。
解決したかにみえた宮瀬のストーカ騒動でしたが宮脇が
誘拐される事態になります。

このようにばらばらの出来事がうまくまとまります。
最後に登場の悪人は思いがけない人です。9/4