雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

電車屋赤城

2012-05-19 18:41:42 | 
山田 深夜
角川書店
発売日:2007-05

山田深夜著"電車屋赤城"を読みました。
この本よかったです。
それなのにブグログで見ると30人しか登録してません。
(表紙画像の横の「ブクログでレビューを見る」をクリック
するとブグログへ飛びます。)
なんででしょうね。

電車の点検、保守、修理をしている人々を描いたものです。
主人公は赤城です。優秀な技術を持っています。
神奈電の社員でしたが人を殴って解雇されました。
酒を飲み駅員に絡み電車に放尿したので殴ったのです。
彼は1000形電車については第一人者です。
時代は1000形を破棄して3000形に移ろうとしています。
人に知られていませんがギターの腕も一流です。

三郎はエース工業の社長です。
三郎の父親が神奈電の災害現場で復旧作業が進まないの
をみかねててきぱきと手伝ったことがあります。
それで神奈電へ会社ごと電車の整備をするように
引き抜かれました。
しかし神奈電の本工とエース工業の社員とでは大きな
格差があります。
本工はことごとくに差別的な態度を取ります。

佐島は神奈電の社員で数少ない赤城の親友で理解者です。
息子を交通事故で亡くしています。
音楽をやっていませんが絶対音感を持っています。

原口も神奈電の社員で赤城の理解者です。
前は漁師で反対を押し切って結婚した最愛の奥さんを
海難事故で亡くしています。

恵は小料理屋牡丹の女将です。
エースの社長の三郎と長年付き合っています。
牡丹はエースの社員がよく利用しています。
恵は苦労してきた人です。

純一は三郎の甥です。二十歳です。
4年間引きこもり生活をしてきました。
叔父の会社でアルバイトを始めます。
最初は作業着の洗濯作業から始めます。

赤城は数年行方不明となりました。
三郎や佐島が一生懸命探してやっと見つけました。
神奈電は横暴なことを言ってきます。
1000形を扱える技術者がいなくて赤城を必要とします。
そこでエース工業に赤城を雇え、雇わなければエースは
神奈電から撤退するようにと無謀なことを言ってきます。
1000形の電車が神奈電から姿を消した時には赤城を解雇
することという身勝手なことまで言います。
赤城は戻ってきました。

加藤は神奈電の社員です。
皆の鼻つまみ者です。やる気はぜんぜんありません。
彼は父親が誰か知りません。
神奈電の社員の誰かだとはわかっています。
彼を会社にコネで入社させて面倒を見ている役員が
います。

ユカリは神奈電の運転手をしていました。
女性運転手として珍しがられて人が集まるのにうんざりして
整備の方へ変ってきました。

仕事を愛し誇りを持っている人々を描いた物語です。
赤城の仕事に対する打ち込み様はすがすがしいです。
無愛想だけどそれと知らせずの他の人に差し伸べる手は
やさしいです。
まわりの人のやさしさも受け入れればそれは受けようと
しません。孤高の人です。
純一は赤城について仕事をするようになり電車に興味を
持つようになり変りました。
加藤も変りました。

エースの社長の三郎は神奈電からはずれて父親の最初の
時代に戻ろうと考えています。

理不尽なことを突きつけられながら仕事に情熱を
燃やす人たちです。
でもこんな風に頭の半分は不愉快なことで覆われていては
仕事に全力を注げないでしょう。
楽しく仕事をするというのとはかけ離れた状態です。
楽しいという状態で働けないのはもったいないことです。
最近の世の中ではこういうことは普通のことなんでしょう。

自分のやってきた仕事とは違いますが書かれていることは
理解できます。
このような状態で働いていたわけではないですのですが、
身近な話のように感じます。

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