E・D・ビガーズ著"鍵のない家"を読みました。
80年代に何々をしたってでてくるので1980年代のことかと
思って読んでいたらどうもおかしい。
奴隷商人とかアメリカ本土とハワイとの交通手段が船だったり
するので、1880年代のことだと気づきました。
100年ほど昔の話なんです。
でもぜんぜん違和感はありません。
アメリカでの初出版は1925年だそうです。
読んだ翻訳本は去年の出版です。
舞台はハワイです。
チャーリー・チャンという中国系の刑事が活躍するシリーズの
最初のものだそうです。
ボストンの名門のジョン・クィンシー・ウィンタースリップに
視点をおいて書かれています。
ジョン・クィンシーは真面目なかちかちの生き方をしている
ひとです。
ハワイに行ったきりになっている叔母を迎えにハワイに行きます。
ハワイの資産家のダン・ウィンタースリップは叔母の従兄に
あたります。
叔母はダンの家に滞在しておりジョン・クィンシーもダンの家に
滞在することになっています。
ハワイに向かう船にはダンの大学生の娘のバーバラと彼女の
恋人で弁護士のハリーも乗船しています。
船がハワイの港につき翌朝下船できるという夜にダンは
殺されます。
ダンは60代で若いころには奴隷商人をしていたことや
乗っていた船の船長の財産を盗みそれを元手に今の地位を
築いたことなどがわかってきます。
刑事のチャーリーと共にジョン・クィンシーも捜査に加わります。
ダンが付き合っていた女性や、ダンが財産を盗んだ船長の家族、
近所のさびれた椰子が浜ホテルの経営者、英国海軍将校、船の給仕、
椰子が浜ホテルに宿泊している怪しげな客などが調査対象になります。
ジョン・クィンシーはボストンに恋人がいるのにバーバラが
気になったり、椰子が浜ホテルの娘のカーロタに心惹かれたりと
ずいぶんいいかげんですね。
ハワイの雰囲気で考え方まで変わってしまったみたいです。
ボストンの恋人に"サンフランシスコか、おわりか"と電報を
打ったら、恋人からは"おわり"と別れを告げられます。
この返事を予想していて、ちょっとばかり卑怯な気がします。
犯行理由はなんとも…