雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

古道具屋 皆塵堂

2012-05-07 21:17:58 | 
輪渡 颯介
講談社
発売日:2011-02-24

輪渡颯介著"古道具屋 皆塵堂"を読みました。
この本なんか変なんです。
最初読み出してなんかぜんぜん内容が頭に入らなくて
これ日本語で書いてある?って思って読むのをあきらめました。
1日おいて何か読むものはないかと、再度この本を
手に取り読み始めました。
不思議?難しい文章なんてない、普通の文章です。
いったいどうしたのでしょう。
一時的に頭がどうかしたみたいです。
それとも本の中の幽霊にまどわされたのかしら。

太一郎は道具屋の長男として生まれました。
しかし十歳で奉公に出され店は弟が継ぐことになりました。
太一郎は何度も奉公先が変わっています。
やっと経師屋としてやっていけるようになりました。
ところが弟が病気で亡くなりました。
弟は今わの際に太一郎に店を継いでくれるよう言い残します。
父親の重松に店を継ぐ前に道具屋の再修業を皆塵堂で
するように言われます。

皆塵堂の主人は伊平次です。峯吉という小僧がいます。
がらくたのようなものまでごちゃごちゃと店にはあります。
店によく顔を出す清左衛門が店の大家さんです。
巳之助は子供のころの遊び仲間で今はぼてふりの魚屋です。

皆塵堂の前に商売をしていた主人夫婦が強盗に押し入られ
殺されています。
それ以来家に幽霊が出ます。
皆塵堂が買い付けてくる品物にもいわくあるものがあります。
太一郎は幽霊が見えるのです。
見たと人にいうとおかしな目でみられるので隠しています。
この本は品物についている幽霊の話です。

殺した女房を自分が作った箪笥に押し込んで川に捨てた
箪笥職人の女房の話。
これを読んだ直後に鰻は食べられません。

刀鍛冶がある娘を好きになりました。
娘の父親は彼がいい刀を打てるようになったら娘と結婚を
許すとその場限りのことを言いました。
彼は何年もかけて満足いく刀を作りました。
しかしその時には娘は別の人と結婚していました。
彼が作ったその刀を持つと人を殺したくなります。

簪を贈ったのに受け取りを拒否されて自殺してしまった
男の幽霊の話。

最後の話は太一郎の子供のころの話です。
太一郎は5歳以前の記憶がまったくありません。
連れていかれた廃墟となった屋敷に入って昔のことを
思い出します。
その屋敷は太一朗が子供の時に住んでいた家です。
太一郎には妹がいました。
二人して川で溺れ太一郎は助かり妹は亡くなったことを
思い出します。
太一郎は現れた妹の幽霊を抱きしめてやります。

父親が太一郎に家を継がせないと決めたのは幽霊が
見えることに気がついていたからです。
幽霊がついている道具は多いので道具屋では幽霊が
見えてつらいだろうと思ってのことです。
修業を終えて太一郎は皆塵堂を去り自分の店へ
帰ります。

太一郎、皆塵堂の主人の伊平次や、清左衛門、峯吉、
友達の巳之助等みんな味のある人たちです。
幽霊ものですがこわくはないです。