宇江佐真理著"川岸の夕映え 神田堀八つ下がり"を
読みました。
読み始めたら前に読んだことがあるのに気づきました。
書き残してあるかと検索してみましたがないので書きます。
"どやの嬶 御厩河岸"
おちえは水菓子屋でした。お嬢様として育ってきました。
火事で焼け出され父親は死に一文無しとなりました。
番頭が下舞屋を見つけてくれすぐに八百屋を始めました。
母とおちえと弟と卯之助とで働かなければなりません。
近所の船宿の川藤の女将は大きくて威勢がよくどやの嬶と
人に呼ばれています。
実の息子は一人ですが大勢の子を養ってきました。
その子たちと店をやっています。
おちえは川藤の息子に勘次に見初められます。
"浮かれ節 竃河岸"
三十路保胤は小普請組に所属しています。
町人に混じって端唄を習っています。
都々逸が流行り始めました。
都々逸の扇歌と都々逸合戦をすることになりました。
賞金は50両です。娘を行儀見習いに出す費用に
するため勝ちたいと思います。
"身は姫じゃ 佐久間河岸"
橋の下に女の子が居ついています。
声をかけると"身は姫じゃ"と答えます。
岡っ引きの伊勢蔵は娘婿の龍次と女の子に出会います。
おかみさんのおちかを読んで女の子を家に連れ帰ります。
言葉づかいや汚れていても上等な着物から本当に
お姫様かもと身元を探すことになりました。
やがて両親を亡くし京都から侍女と中間が付いて
江戸の奥女中の叔母の元へやってきた姫だとわかります。
「わらわは、いつまでも忘れぬ」という言葉を残して
伊勢蔵の家を出て行きました。
"百舌 本所・一ツ目河岸"
横川柳平は津軽の出身です。
横川家は裕福な百姓です。
学問が出来た柳平は江戸へ学問をするため出てきました。
そのまま江戸で学問を教えていましたが抗争で無職と
なりました。
今は子供たちに読み書きを教えてくらしています。
弟の金吉とは仲違いしていましたが数年前からいっしょに
暮しています。
津軽の姉からの荷物が届けられます。
姉は柳平を江戸へやるために好きな人と別れて結婚
しました。
柳平は後でそのことを知りました。
もう一度姉に江戸見物をさせたいと兄弟は姉にお金を
送ります。
姉が江戸へ出て来るのを心待ちにしています。
"愛想づかし 行徳河岸"
旬助は勘当されて蒲鉾屋へ3年の修業に出されました。
3年が過ぎ家に帰らず居酒屋末広屋に働くお幾の家で
暮し、魚河岸で働いています。
旬助の家は廻船問屋です。
父親は亡くなり母と姉夫婦が店をやっています。
大阪の本店の叔父が倒れ姉夫婦を大阪に呼びました。
江戸の店を継がせるため旬助を探しています。
旬助がお幾を妻として店に連れて行くといいました。
店に帰って義兄にお幾のことを悪く言われます。
お幾を迎えにいくとお幾は愛想づかしをします。
旬助は諦め妻を迎えようとします。
愛想づかしをしたお幾ですが旬助に付きまとい
刃物で刺してしまいます。
"神田堀八つ下がり 浜田河岸"
有名な料亭嶋村の板前が店の扱いにがまんできずに
逃げ出しました。
小料理屋おそめは狭くきれいとはいえない店でした。
身投げしそうな男を店に連れてきました。
この男が作る料理が安い上に驚くおいしさです。
江戸のちょっとしたお話です。
みんないい話です。
ほっとする話が多いのですが"愛想づかし 行徳河岸"は
ちょっとかわいそうな話です。
仲良く暮していたのにどうしてこんな風に行き違って
しまったんでしょうね。