雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

本所おけら長屋 四

2016-04-29 21:00:00 | 

畠山健二著"本所おけら長屋 四"を読みました。

"おいてけ"
おいてけ堀ではかっぱがでるとの噂がたっています。
口入れ屋の江島屋の娘のお紺はよくない男の与三郎と
付き合っています。
手代の常吉は子供のころから店で働いていてお嬢さんの
ことをずっと見つめてきました。
お紺は与三郎にお金を要求されて騙されていることを確信し、
与三郎ともみ合っているうち死なせてしまいます。

"あかいと"
左官の八五郎の親方の息子の文七が仕事先で怪我をしました。
お嬢さんのおつるをかばってのことです。
文七は医院の聖庵堂で静養していますが、おつるが世話をやきに
通ってきます。
文七は八五郎の娘のお糸のことを想っています。
お糸もまた文七のことを想っています。
二人とも打ち明ける度胸がありません。
万造や松吉、お染らが後押しします。

"すりきず"
お駒は元すりでした。
長屋の島田に見つかりその時に足を洗いました。
今は大黒屋で働いています。
お駒は島田に大黒屋の主が怪しい人物だと思うと話ます。
お駒のすりの頭のお露が現れて大黒屋の主が盗すっとの頭で
以前ひどいしうちをされたことを打ち明けます。
彼女らは大黒屋の主の伊八に仕返しをしようと計画します。

この話は他の話とはちょっと違って捕物物となっています。

"よいよい"
若芽錦之助は阿波国徳島藩の藩士でしたが酒の上の失敗で
お役御免になり江戸へ出てきました。
豆問屋北乃屋の娘のお雅は占いで侍と恋に落ちると言われました。
出会った錦之助をその相手なのだと思い込みます。
長屋の万造、松吉と酒を飲んだ錦之助は裸になって踊りだしました。

"あやかり"
松吉は一年前に家に入り込んできた子猫にミーと名付け
かわいがってきました。
ミーがいなくなりました。
金持ちの間で白地に黒の猫を飼うことが流行っています。
猫を捕まえて売る者が現れます。
ミーも捕まえられていました。
取り返すべく知恵を絞ります。

本所おけら長屋 三

2016-04-28 21:00:00 | 

畠山健二著"本所おけら長屋 三"を読みました。

"うたかた"
魚屋辰次の失恋話です。
出入りしていた家の手伝いの娘が好きになります。

"こばなれ"
武士の息子の龍之介が島田が師範代をしている誠剣塾へ入門
しました。
母親の勢力が強く、父親にも息子にも一日中口うるさくします。
息子は剣道に身が入らず、問いただすと父親に連れて行ってもらった
寄席で聞いた落語に心奪われ、落語家になりたいといいます。

"あいえん"
八五郎の娘のお糸は長屋のお染の元へお針を習いに行っています。
古着の中から手紙が出てきました。
「おりん おれはかならず おまえを むかえにくる だから
まっててくれ しょうすけ」
というものでした。
お糸は手紙の二人が気になり探し出そうとします。
長屋の万造、松吉や、八五郎の棟梁の養子の文七も手を貸します。

"ふろしき"
前川藩では水崎藩に嫁いだ朱鷺姫がお世継ぎを産んだお祝いの
品を求めているという知らせが、広まっています。
呉服屋に勤めている久蔵も買ってもらえる品を考えて夢中に
なっています。
久蔵にも亀吉という息子が生まれたばかりです。

"てておや"
大家の徳兵衛は居酒屋で薬種問屋の主の宗右衛門と知り合います。
店の者には倹約をしいています。
行き倒れていたお孝は母親の残した手紙に書いてあった父親に
会いに江戸に出てきました。
宗右衛門には娘がいて父親に反発して医者になる修行がしたいと
家を出てしまいました。

江戸の人情物です。
ほのぼのした話ですので安心して読めます。

松谷警部と目黒の雨

2016-04-27 21:00:00 | 

平石貴樹著"松谷警部と目黒の雨"を読みました。
小西のぞみ、二十七歳がマンションで殺されました。
彼女は大学時代にフットボールのチームのボアーズの
仲間の一員でした。
過去数年の間にボアーズの関係者が三人も亡くなっています。
櫂原は恋人の川邨玲子を妊娠させますが、関係を切ろうと
して川邨に殺されたとされています。
川邨は殺人の直後に自殺しています。
櫃田は事業の失敗からビデオにメッセージを残して拳銃自殺
したとされています。

松谷警部は女性の白石巡査と捜査にあたることになります。
過去の事件が川邨の殺人と自殺、櫃田の自殺はほんとうに
その通りか同一人の殺人なのではないかと疑います。
小西のぞみは事件の真実を知ったために殺されたのでは
ないかと考えます。

題名は松谷警部ですが白石巡査が中心となって推理して
いきます。

櫃田の妻の美鶴もボアーズのメンバーでした。
男性の誰もが惹かれてしまう女性です。
頼りなく自分一人では生きていかれないような女性です。

事件は美鶴が関係しているのではないかと思われます。

犯行理由と犯人は意外なものでした。
美鶴のような人は嫌いです。

花鳥茶屋せせらぎ

2016-04-26 21:15:29 | 

志川節子著"花鳥茶屋せせらぎ"を読みました。
江戸時代に動物園とか植物園のようなものがあったので
しょうか。
せせらぎは、庭の植物と飼っている珍しい鳥を入場料を
もらって見せています。
主な登場人物は勝次、ひなた、ひなたの兄の耕太、清一郎、
おゆりの十六から十八の若者たちと、彼らが子供のころに
手習いの師匠をしていた立花玄斎、松前藩のご隠居の守道公、
戯作者の曲亭馬琴です。
勝次はせせらぎで竹で鳥かごを編む修行をしています。
ひなたはせせらぎの茶店で働いています。
耕太は父親の元で眼鏡職人の修行中です。
清一郎は小間物屋の店を継ぐべく修行中です。
おゆりは植木屋の娘です。

あと少しで独り立ちする若者たちの遭遇するいろいろな出来事に
師匠の玄斎や、守道公、馬琴が一見冷たく突き放すような
態度を示しますが、彼らを見守っています。

勝次が丹精こめて作ったかごが注文主の気まぐれで反故に
されてしまいます。

玄斎が見せびらかした守道公から借りた南蛮渡りの虫眼鏡を
勝次と馬琴が取り合って壊してしまいます。
それと見合う品物を作るよう耕太と父親に頼みます。

清一郎はいままでにない商売をしようと考えます。
現代のカタログ販売にあたる飛脚売りをしようと考えます。
耕太の作る鳥かごを売り出しますが、詰めが甘く挫折
してしまいます。

おゆりは絵が好きです。
花合わせの会で本草の絵を書いている関口月旦の絵を見て
習いたいと思います。

せせらぎとせせらぎと関係が深い鴨料理屋の布袋庵を
中傷するうわさが広がり客が来なくなりました。
若者らは客足を取り戻す手段として子供たちに写し絵を
見せようと考えます。
仕事の合間に準備や練習をして子供たちを迎えます。

写し絵は子供たちに怪我人を出してしまいます。
追い詰められた状態になります。
悪い噂を流した人物がわかります。

最後の方は駆け足で解決してしまいます。
仲の良い幼馴染たちと、見守る大人たちといった感じで
気持ち良く読めます。
それぞれが頑張っています。

天空の救命室: 航空自衛隊航空機動衛生隊

2016-04-24 21:00:00 | 

福田和代著"天空の救命室: 航空自衛隊航空機動衛生隊"を
読みました。
小牧基地に航空機動衛生隊はあります。
大型輸送機に医療機器を組み込んだユニットを搭載して緊急患者を
遠方の医療場所まで運びます。
自衛隊の医大を卒業した若い内村彰吾は医療チームの一員です。
機長の鰐淵といっしょになることが多いですが、厳しく不愛想な
鰐淵とはうまが合いません。

北海道から腎臓と膵臓の移植手術を受ける患者を岡山まで
移送することになりました。
移動中に患者が移植は止めると言い出しました。

内村は週に何日か小牧市民病院の救急病棟で働いています。
民間病院で働くことによって経験を積むためです。
餅を詰まらせた患者、動脈瘤破裂を起こした患者など
緊急な患者を診ています。

鰐淵機長の母が小牧病院に入院していて、病院で二人は
会ってしまいます。

彰吾は大学入学以来、実家とは付き合っていません。
唯一妹の優衣とは時々連絡を取り合っています。
優衣は相談ごとを持っています。

母親の実家のある青森で事故にあった七歳の男の子が頭の怪我で
脳低温療法を受けていました。
ずっと意識不明のままです。
父親の要望で大阪に移送することになりました。
移送の機内で両親は大声でいがみ合っていました。
父親が突然倒れて危険な状態に陥りました。

彰吾は看護師の前島に歴史案内をしてもらうことになります。
妹の優衣から秘密を聞かされます。

事故で多数の怪我人が病院に運ばれてきます。
その中に退院した鰐淵の母親もいました。
鰐淵と優衣はその時に出会います。

題名から輸送中の出来事がすべてかと思っていましたが
それだけではなく、病院での救急医療の話や彰吾や鰐淵の
恋愛の話もあります。
読みやすい本でした。

星籠(せいろ)の海 上

2016-04-23 21:00:00 | 


島田荘司著"星籠(せいろ)の海 上"を読みました。
まだ上だけしか読んでいませんのでこれからどうなるか
わかりません。
御手洗潔が探偵として登場します。
瀬戸内海の松島沖の興居(ごご)島に連続して死体が流れ着く
出来事の調査を頼まれます。

視点がいくつもあります。
小坂井茂の話が脈絡なく語られます。
高校時代の同級生の田丸千春に演劇に誘われます。
卒業後、東京で暮らすよう誘われ上京します。
すぐに別れて小坂井は何の目標もなく喫茶店で働くようの
なります。
千春は順調に女優の道を歩き始めます。
しかしその矢先に、事故に会って女優の道を絶たれます。
二人は故郷に帰ってきます。
しかし彼女は…

島では新興宗教の真喜多教が勢力を伸ばしています。
島に流れつく死体は海流の実験から福山から流されたと
わかります。

福山では黒船来航時に当時の老中の阿部正弘が書かせた
出陣図が発見されました。

福山で女性が殺害されました。
歩道橋から突き落とされた男がいます

福山市立大学の助教授の滝沢加奈子は黒船来航時の歴史を
中心に研究しています。
新発見に興奮しています。
彼女は一時、真喜多教に関わって結婚相手を紹介され
その時の相手につきまとわれています。
大学の同僚の藤井は彼女に好意を持っています。

母親が酒場の女将をしている中学生の智弘はいじめに
会っています。
彼らに怪我をさせるような仕返しをしようとしています。
刑事の忽那が彼を諫めてやめさせます。
彼の母親が殺された女性の宇野芳江です。

藤井が失踪しました。

芳江の死体を処分しようとして現れた4人が捕まります。

いろんな話が登場してきて、関連があるのでしょうが今のところ
あやふやでどうまとまっていくかわかりません。

瀬戸内海の水軍の歴史もかなりのページがさかれています。

下を読むとは思うけどすぐにでも続きが読みたいという気分
ではありません。

師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録

2016-04-22 21:00:00 | 

澤田瞳子著"師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録"を読みました。
読んだ気がしたのは"ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録"の
続編だったからでした。

"糸瓜の水"
真葛は江戸の医師の元でしばらくの間学んでいます。
帰る日が間近になってきました。
小石川の薬草園に出かけました。
岡田家と芥川家の二家がそれそれ管理していました。
両家は仲が悪く使用人どうしも同じように仲がよくありません。
倒れていた老婆を芥川家へ連れていき真葛は薬を調合して
飲ませました。
老婆は隣の岡田家の使用人の母親でした。
芥川家を出て老婆は意識を失って倒れました。

"瘡守"
真葛は伏見へ行く喜太郎を共に京に帰る途中の熱田に来ました。
臭いを発して首を隠している女性に出会います。
旅館の女将の佐和は梅毒に罹っていました。
夫から移されたのは間違いないのですが夫につらく当たられています。
夫が冷たくしていたのにはわけがありました。

"終の小庭"
喜太郎は薬草を探す仕事に就いてきました。
家族をみず娘を預けたままにしていました、
娘は結婚し、子供がいます。
年老いて喜太郎は娘の家で暮らすことになります。
喜太郎は娘が受け入れてくれるか心配でしょうがありません。

"撫子ひともと"
真葛の元へ妊娠しているという女性がやってきます。
その相手は真葛に持ち込まれた縁談の相手の小笹でした。
真葛は小笹に会いました。
小笹は思っていたような人物ではなくやさしい人でした。

"ふたおもて"
薬種問屋の亀甲堂の隠居の宗平は仕入れの旅の途中で出会った
お久を連れて京へ帰り別墅で過ごさせました。
宗平が毒を飲まされ倒れました。
お久は宗平が加賀で医者の修行をしていた時に世話になった
慍卿の妻でした。
慍卿は仕事を辞めされられ旅の途中で亡くなっていました。

"師走の扶持"
真葛の母の里の公家の棚倉家とは付き合いがありません。
棚倉家からは暮に米と味噌が届けられて来るだけです。
棚倉家の家令の田倉から真葛の叔父にあたる祐光が長患いで
真葛に素性をあかさずに往診をして欲しいとの依頼があります。
棚倉家の台所は火の車で祐光は苦しんでいました。
真葛は棚倉家へ行ったことによりただ冷たいだけではない
祖父の心情を知りました。

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

2016-04-21 18:35:19 | 映画
久しぶりに映画を見てきました。
"Mr.ホームズ 名探偵最後の事件"です。
ホームズ役はイアン・マッケラン、"ホビットの冒険"で
魔法使いのガンダルフをやっていた人です。
ホームズは93歳で田舎に引きこもって養蜂をしています。
家政婦とその10歳ぐらいの息子と暮らしています。
このロジャーという少年とホームズとのやり取りがとても
いいです。
ホームズは初期の認知症になっていて昔のことが思い出せません。
探偵を止めることになった最後の事件のことを思い出して
書き残そうとしています。
ロジャーはその話を聞くのを楽しみにしています。
手助けをしてくれる人がいなくなった養蜂の仕事もロジャーは
手伝うようになります。
思い出しては書いていきます。

ロジャーの母親は別の仕事に移ろうとしています。
ホームズに優しく接してはいますがロジャーがホームズと
あまりに親密になるのを心配して時に冷たくなります。

やっと最後の事件のすべてを思い出します。
そんな時にある出来事が起きます。

題名からはミステリーを思わせますが、ミステリーでは
ありません。
高齢の老人と小さな男の子とその母親との交流の方が
主題だと思います。
年老いたホームズは寂しげです。
イギリスの田舎の風景がたっぷりと見られます。
映画の良さは行けない場所を見られることもひとつに
あります。

最後の方でジャーの母親が、それまで興味を示さなかった
養蜂の手伝いをする気になります。
蜂よけの網をかぶって、どうしたらいいのって出てくるのは
あらら、ずいぶんな変わりようとおかしくなりました。

日本が出てくるのですよ。
なんで日本なのって気がしないではありません。
ホームズは終戦直後の日本に山椒を求めてやってきます。
ウメサキという日本人として真田博之が出演しています。
山椒って山椒魚かと思ってしまいましたが植物の山椒でした。
山椒のスープなんてものがあるんでしょうか。
江戸紫の海苔みたいな山椒を持ち帰って食べていましたが
そんなものもあるんでしょうか。
認知症を遅らせる働きがあるのだそうです。

本所おけら長屋 二

2016-04-20 21:00:00 | 

畠山健二著"本所おけら長屋 二"を読みました。
長屋に住む人々の巻き起こす出来事を書いたものです。
おもしろかったです。
たくさんの長屋に住む人々が登場するのですが、それぞれが
個性的で飽きさせません。
26歳の米屋の万造と酒屋の松吉が物事を引っ掻きまわして
います。
浪人の島田鉄斎と大家の徳兵衛が常識人で物事をいい方向に
引っ張っていく役目をしています。
女将さん連中はおせっかいの世話焼きです。

長屋の娘のお梅が乱暴され身ごもってしまいます。
長屋の人々の世話焼きでお梅が好きなやはり長屋の若者の
久蔵と結婚することになります。
そう決めたものの久蔵は悩みます。

大家の徳兵衛がいんちき占い師に引っかかってしまいます。
大家の自尊心を壊さないよう占い師たちをやり込めようと
策を練ります。

万造は五歳ぐらいの迷子の勘吉を連れ帰ります。
勘吉はもらわれた子で実子が出来て両親につらく当たられています。

島田が前に仕えてい津軽の藩主の高宗が島田に会いに出かけました。
藩には藩の財産を不正に手にしている人物がいます。
不正を暴こうとしている人物から島田は手伝うよう頼まれます。

左官の八五郎にはいっしょに修行した為三郎がいました。
親方の跡継ぎを決める仕事の勝負をしました。
為三郎が勝負を譲って手を抜いたことから二人は二十年も
仲たがいをしています。

辻斬りがでました。
島田がその一つの事件の時に側にいたため捕まってしまいました。
真犯人を見つけようと長屋の人々は走り回ります。

長屋の人たちが仲良く暮らす様は気持ちいいです。

ひりつく夜の音

2016-04-19 21:00:00 | 

小野寺史宣著"ひりつく夜の音"を読みました。
ジャズのクラリネット奏者の下田保幸はそれまで組んでいた
グループが解散して現在は仕事をしていません。
ジャズ喫茶のマスターから警察が探していると連絡がきます。
佐久間音矢というギター弾きの若者がトラブルを起こし
たので引き取って欲しいと言われます。
音矢自身とは会ったことがありませんが母親の留美とは大学
時代に付き合っていました。
こうして音也は保幸の家で暮らすことになりました。
同居といってもお互いに干渉せずの生活です。

保幸は音楽教室の先生をしている以外に仕事にやる気を
失っています。
音矢のギターは認められてきています。

音楽、ジャズの話がいっぱいでてきます。
保幸と音矢がどんな関係かはだいたいわかってきます。
二人もなんとなくわかっているんでしょうね。
上り坂の音矢にひきずられるように元気になっていく
保幸という感じです。
打ち込むものがある人は強いなと思います。

お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂

2016-04-18 21:00:00 | 

似鳥航一著"お待ちしてます 下町和菓子 栗丸堂"を
読みました。
シリーズになっているようです。
この本は最初のもののようです。
浅草で和菓子屋の栗丸屋を継いだのは栗田仁です。
まだ十九歳です。
両親が事故で亡くなりました。
和菓子作りは幼いころから経験してきましたが店を継ぐと
いう決心がつかず大学に行っていました。
急遽大学を休学して和菓子屋を継ぐことになりました。
店はお客が減ってきました。
近所の喫茶店のマスターに葵という二十歳の女性を
和菓子コンサルタントとして紹介されます。

葵は人見知りをする女の子ですが、お菓子に対する知識は
驚くほど豊富です。

"豆大福"
栗田の両親に世話になったとブラジルから帰国してきた
男が訪ねてきます。
二十年前に大福を食べさせてもらったといいます。
栗田が出した大福を前のものとは違うといいます。

"どら焼き"
栗田には朝羽という喧嘩し合う友達がいます。
同じ大学に入学しました。
栗田は休学中ですが大学祭に来るよう朝羽から連絡がきます。
栗田は葵を連れて大学祭に行きます。
朝羽はベビーカステラの屋台を出していました。
和菓子は嫌いだと朝羽はいいます。
葵は和菓子が好きになるものを作ってみせると言い切ります。

"干菓子"
栗田の子供のころ面倒を見てくれた少し年上の小春と出会います。
結婚し二歳の息子がいます。
怪しい男が家をのぞいています。
小春と父は仲たがいをして結婚後会っていません。
怪しい男とは父親でした。
栗田と葵は二人の仲を取り持とうとします。

軽い感じの話でそういう本が読みたいという時にはいいのでは
ないでしょうか。

なんか変と思う部分があります。
干し柿が淡泊な味、と読んであれ?って思いました。
むかし砂糖を色付けしてお花を型どったお菓子がありました。
法事とかお祝いとかにお土産にされたと思います。
確かにあれはおいしいものではありませんでした。
あれのことを和三盆だと言っています。
和三盆って高級な砂糖の名前のはずですが、なぜお菓子の
名前として扱われるのだろうと疑問に感じました。
後で干し柿も和三盆も正しい説明はあるのですが、それって
大部分の人が知っていることではないって気がしました。

マスカレード・イブ

2016-04-17 21:00:00 | 

東野東吾著"マスカレード・イブ"を読みました。
"マスカレード・ホテル"の前の話だと聞いて、いったい
どういう意味なんだろうと不思議に思っていました。
読んでみてあぁ、こういうことだったのだとわかりました。
ホテル勤務の山岸尚美と刑事の新田の話が交互に短編として
描かれています。
さらさらと読める軽やかさがある本です。

4編あります。

"それぞれの仮面"
ホテルにはお客さんは仮面を被ってやってきます。
ホテルの従業員はその仮面を剥がさないように努めます。
尚美が学生時代に付き合っていた男性が元野球選手の
マネージャーとして付き添って宿泊に来ます。
別の部屋に泊まっていた付き合っていた女性の行方が
わからなくなったと言ってきます。

"ルーキーの登場"
料理の先生をしている田所美千代の夫が殺されました。
夫は夜にジョギングをする習慣がありました。
それを知っていて途中で待ち受けていて刺したとみられます。
犯人は捕まりますが、この裏にはまだ犯人もわかっていない
何かがあると感じています。

"仮面と覆面"
若い女性というだけでその他は一切わからない新進の作家が
ホテルに缶詰になる情報が洩れてファンだという男たちが
ロビーで待ち受けています。

"マスカレード・イブ"
大学の教授が殺されました。
新田は普段は事件調査とは関係ない部署の女性と組まされて
手こずっています。
あやしいのは教授の下についていて最近ウマが合わなくなった
准教授です。
しかし彼は大阪にいたといいます。
尚美は新規オープンした大阪のホテルに手伝いにいっています。

尚美と新田は会うことはないのですが、ちょっと関わりが
あります。
たぶん一生気づくことはないのでしょうね。

マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ

2016-04-16 21:00:00 | 

古内一絵著"マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ"を
読みました。
マカン・マランは昼は派手な手作りの洋服を売り、夜は
常連に夜食を出しています。
もともとはお針子さんに食べさせていた夜食が広まったものです。
ドラァグクイーンのシャールが経営しています。
仕事に疲れた塔子は貧血を起こしてシャールに助けられ
店を知ります。
二十年間編集の仕事に打ち込んできたのに、会社では早期退職で
揺れています。
おいしい食事や飲み物を振舞われ話を聞いてもらいます。

柳田はシャールの中学時代の同窓生です。
シャールは頭もよくスポーツも出来る男の子でした。
今は週に一回通っています。
シャールは男性として働いていましたが病気になって自分の
本当に生きたいように生きようとドラァグクイーンとなりました。
柳田は小学校の教師で、食事をしようとしない男の子を
マカン・マランへ連れてきます。

下請けでライターをしているさくらはマカン・マランを取材
しようとして店を探しています。
さくらも注文をこなす仕事のやり方に疑問を感じています。

マカン・マランの建物のある一体は古いアパートが多く
地上げの対象になって、不動産屋がうるさく訪れてきます。
店でお針子をしているジャダらは店を守ろうとします。

ドラァグクイーンというのは男性が派手なお化粧をし、女性用の
派手な洋服を着ることだそうです。
シャールは体と食事の関係をよく知りその人に適切なものを
出してくれます。
行き詰ってここを訪れる人々はシャールの作る料理や飲み物と
シャールとの会話で自分を見直して再出発します。

とても心地いい本でした。
シャールがとても魅力的です。

花咲小路二丁目の花乃子さん

2016-04-15 21:00:00 | 

小路幸也著"花咲小路二丁目の花乃子さん"を読みました。
"花咲小路四丁目の聖人"、"花咲小路一丁目の刑事"の続編です。
ちょっと現実離れしている話です。
花咲小路のシリーズ、あまり好きではないです。
すべて丸く収まってよかったよかったとなるのですが、何か
物足りません。

めいは高校でいじめに会い退校しました。
一人ですべての人と戦っての結果です。
ですから精神的に弱ってはいません。
従姉の花乃子がやっている花屋の花の店にらやまで働きながら
高卒認定を受けるための勉強をしようとしています。
花乃子には柾と柊という双子の弟がいます。
三人とも店で働いています。
柾は明るく外交的で、柊は家に籠って人とのコミュニケーションが
不得意です。

花乃子は花を注文した人が何か問題を抱えて花を贈ろうと
していることがわかる能力があります。
彼女の友人のミケには探偵の能力がありそういう場合には
調べてもらいます。

花乃子には信哉という恋人がいました。
花乃子の両親が事故死した時に信哉が一緒でした。
それ以来十年彼らの関係は止まっています。
近所のレストランの娘の美海は柊が好きです。
柊も彼女のことを好ましく思っています。
しかし両方とも引っ込み思案でまったく前進しません。

花を贈ろうとしている人々の屈託や思惑を悪い方に行かないよう
何とかしようとする話と、動きのない男女の関係をなんとかしようと
する話です。

築地の門出 ヤッさんⅢ

2016-04-14 21:00:00 | 

原宏一著"築地の門出 ヤッさんⅢ"を読みました。
築地市場がら豊洲市場への移転が近づいてきました。
大きな改革があるということはどの店にとってもたいへんな
ことです。
場外市場といわれている場所にある店は移転の対象にならず
残ります。
ヤッさんはホームレスをしています。
築地市場を中心に食品に関する情報を得て、多くの人々に
伝えたり相談にのったりしてまかない料理を提供して
もらっています。
前に弟子をしていたタカオは妻が蕎麦打ち職人です。
蕎麦農家で蕎麦の栽培を経験したいと単身で
行ってしまいます。
タカオは助手としてもう一度ヤッさんについて回ります。
今回はヤスオはアパートを保持したままで貯金もあり
アパートに戻ったりタクシーを利用したり緩やかに
なっているなあと感じます。
ヤッさんも深い付き合いのオモニのお金を借りて
店に食事をしに行っています。

女性の寿司職人の苦悩に苦言を呈したり、豊洲に作られる
施設に出店できるという詐欺にあったイタリア料理店の問題に
関わったりします。

ヤスオの妻のミサキはすぐに蕎麦の店を開店させたいと
決心します。
ヤスオはまだ時期が早いと反対します。

ヤッさんは豊洲市場は料理店等の人だけが利用できる閉鎖的は
市場になり自分は入れないことを知り、今までの生活を
終わらせようと考えます。

ヤッさん、今回は弱気なところを見せます。

築地市場の移転の話は、移転するんだということを知っている
ぐらいでした。
多くの人々にがらっと変わった人生が待っているわけでたいへん
ですね。
移転していく人も築地に残る人もファイト!ですね。