雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

緑の窓口 樹木トラブル解決します

2017-12-31 21:00:00 | 

下村敦史著"緑の窓口 樹木トラブル解決します"を
読みました。
天野優樹は区役所に勤めています。
岩波先輩と共に緑の窓口に移動になりました。
樹木に関するトラブル、相談事を取り扱う部署です。
優樹は移動に不満はありませんが、岩波は花粉症で
あるため不満一杯です。

"スギを診せてください"
嫁と姑との争いです。
大きくなったスギを嫁は切ってしまうといい、姑は
切らせないと争っています。
訪れた家で樹木医と名乗る柊紅葉と出会いました。
彼女の提案で剪定することで決着しました。
しばらくしてスギの木を見に行くと元気がなくなって
いました。
その根元にはアジサイが植えられていました。

"クヌギは嘘をつきません"
隣の子ども家庭支援課の荻村という女性職員が
樹木がらみのトラブルで窮地に立たされています。
庭のクヌギが車の上に倒れたので、莫大な修理代を
要求されています。
柊に助けを求めます。

"モッコクの落とし物です!"
仕事の帰りにモッコクの葉を拾った柊はモッコクの
植わった庭に侵入しました。
剪定をしていた人は認知症とみられる症状で、1年ほど
剪定していません。
木に虫を撒くといって家の人たちは困っています。
しかし樹木の専門家の柊には何が起こったのか
わかりました。
家の人たちの勘違いがとんでもないことを引き起こして
いました。

"ソメイヨシノは実は、"
華月という少女にタイムカプセル探しを依頼されます。
女性から父親に来た手紙に書かれていたタイムカプセルが
ソメイヨシノの根本に埋めたと書かれていました。
しかし桜の木がありません。
あるのは若いヤマザクラです。

"チャボヒバを前に無力です"
病院の病棟から見える位置にチャボヒバが2本ありました。
元気なものと、ほとんど葉が付いてないものの2本です。
オー・ヘンリーの小説の"最後の一葉"に見立てて木を見ていた
子いました。
しかし木は誰かに切られてしまいました。
残った方の木に思い入れのある別の子がいます。

"全ては、樹木が語ってくれました"
柊の母親は植物学者として忙しく働いています。
子供の時にユリノキの苗木を渡され、妹として育てて
きました。
しかし母親が相談もなく木を切り倒してしまいました。
それ以来、柊は母親を許すことができません。

母からエドヒガンサクラの木で揉め事が起こっている
田舎へサクラを見に行って欲しいと頼まれます。
サクラは急激に弱ってきました。
切り倒したい人と残したい人の地所の境界あたりに桜は
植わっています。
木に問題はなさそうなのに元気をなくしてきた原因を
優樹や柊たちは村の人たちに話を聞いて回ってつきとめ
ようとしました。

柊の母がユリノキを切ったのには理由があるのではと、
優樹は柊に話しかけます。

おもしろかったです。
柊、優樹、岩波とそれぞれ個性的でいい雰囲気です。
柊が一人優秀な能力で問題を解決していくのではなく
優樹らの助けも借りて問題にあたるというのもいいです。
樹木がらみで起きるいろんな出来事でした。

花しぐれ 御薬園同心水上草介

2017-12-30 15:51:01 | 

梶よう子著"花しぐれ 御薬園同心水上草介"を
読みました。
シリーズ3冊目です。
これが最後なのかな。

水上草介は小石川にある幕府御薬園で働く同心です。
薬草を育て薬にする仕事です。
二年後には紀州へ医学の勉強のため旅立ちます。
草介の母はそれまでに妻を娶り子供もとせかします。
草介は剣術道場に通う千歳という女性に惹かれています。
小石川養生所の医師の川島とは仕事仲間です。
彼は美鈴という女性に好かれています。

同心の鳥居が養生所や御薬園の周りを嗅ぎ回っています。
蘭学者を目の敵にしていて特に高野長英と付き合いが
あるものを捕まえようとしています。
川島は深い付き合いがあるわけではありませんが
高野を尊敬しています。

鳥居をさけながら庶民のため医者として働くもの、
薬草作りに励むものの姿が描かれます。

二年後の予定が早まって、草介は紀州に旅発ちます。
千歳とはさてどうなったのでしょうね。

隠密味見方同心 七 絵巻寿司

2017-12-25 11:11:53 | 

風野真知雄著"隠密味見方同心 七 絵巻寿司"を
読みました。
いつの間にかシリーズ七冊目です。
月浦魚之進が殺された兄の波之進の痕を継いで
味見方同心となり、食べ物がらみの事件を追っていきます。
兄が殺されたことの真実も追っています。

"絵巻寿司"
金太郎飴のように切った面が絵になっている巻き寿司が
人気です。
絵巻寿司を思いつき作っているのはおこうという
絵師をめざしている女性です。
彼女が朝早く絵巻寿司を作っている最中に殺されているのが
発見されました。

"甘辛納豆"
一つの袋に甘い納豆と辛い納豆が混ぜたものが人気と
なっています。
金次という博打がとにかく好きという男がいます。
博打打ちですが姿かたちと博打を打つときの思い切りの
よさに憧れる者がいるという人物です。
金次が甘辛納豆を使って博打をしているようです。
豆を取り出し口に入れてしまってそれが甘い、辛いと
いっても確かめることができません。
いったいどのように賭けが成り立っているのだろうと
魚之進らは不思議に思います。

"まぐろの千切り"
一流料亭おくやまの板長の丁次が殺されました。
お腹を裂かれ胃まで裂かれていました。
そこからはいい匂いが洩れていました。
江戸時代には好まれなかったまぐろを千切りにしていました。

"幽霊酒"
いくら飲んでも飲んだ気がしない、いくら喰っても喰った
気がしない店の噂を聞きました。
やっているのは幽霊みたいな女将だといいます。
魚之進はうらみという名の噂の店に行ってみます。
人を殺したと疑われた男は現場で姿を見られたのですが
うらみ屋で飲んでいたこともわかっています。

お兄さんの件はなかなか解決に向かっていきません。
どんなふうに解決するのかな。

怪しい店

2017-12-22 21:00:00 | 
KADOKAWA/角川書店
発売日 : 2014-10-31

有栖川有栖著"怪しい店"を読みました。

"古物の魔”
粟島時也は叔父の左衛門の骨董あわしまで働いています。
叔父が殺されて押入れに隠されているのを発見しました。
叔父は仕事にやる気を失っていました。
時也は仕事がおもしろくなってきていました。
買い取った机の引き出しから前の持ち主に不利になる
遺言書が出てきました。

"燈火堂の奇禍"
古本屋の主人が人を追っている途中倒れました。
この本屋は主人の蔵書だったものを並べたものです。
買いたいといってもすぐは売ってくれず10日後に
再度来るよう言われます。

"ショーウィンドウを砕く"
夕狩は芸能プロダクションの経営者です。
事業は倒産しそうな状況です。
夕狩には柄沢というお金を使いまくる愛人がいます。
夕狩は現状を部下に言えず、愛人と手を切ることも
できません。
夕狩は柄沢を殺しました。
倒叙的な話です。

"潮騒理髪店"
氷村は日本海に面した小さな村に調査に行きました。
帰りの電車の発車時刻まで数時間あったので村を
歩いていました。
出会った理髪店へ入りました。
店主は今日で店を閉めることになっていて火村が最後の
客だと話しました。
小学生のころに来ていたりかという女性が久しぶりに
きて顔を剃ったと言います。
彼女は役場に勤めていて課長に辛くあたられています。
店を出た後、岬で彼女はハンカチを振っていました。

"怪しい店"
磯原紀久子が絞殺されました。
彼女はみみやという商売をしていました。
人の話しをひたすら聞くだけの商売です。
夫は何年も決まった仕事をしていません。
紀久子の預金に振り込みがありました。
彼女はただ聞くだけでなくその中から恐喝できそうな
相手を見つけてお金を得ていました。

臨床犯罪学者の火村と推理作家の有栖川有栖が活躍する
いろんなお店が登場する短編集です。
仲の良い二人に再会できました。

東京すみっこごはん

2017-12-21 21:00:00 | 

成田名瑠子著"東京すみっこごはん"を読みました。

"いい味だしてる女の子"
楓は高校生です。
学校では真理亜を中心としていじめにあっています。
家具職人の祖父と二人暮らしです。
幼馴染みの同じ学校に通う純也が心配しています。
街を歩いていて「共同台所 すみっこごはん」という
看板のある家に行き当たりました。
誘われ中に入りました。
人々が集まってお金を出し合いくじ引きで当番を決めて
料理をし、食べるという場所でした。
料理をしたことがない楓は味噌汁の作り方を教えて
もらうことになりました。
主婦の田上、プロの料理人の金子、丸山さ、口の悪い
柿本等が集っています。

"婚活ハンバーグ"
奈央は35歳です。
正社員として働いていますが、派遣社員の若い女性たちが
どんどん結婚して辞めていきます。
結婚したいと焦っています。
料理はあまりできずハンバーグは焦がしてしまいます。
柿本にはへただとさんざん言われます。
誰が書いたのか料理の作りり方を丁寧に説明したレシピ
ノートがあります。
個性を出すのではなくレシピノート通りに作れと柿本は
いいます。

"団欒の肉じゃが"
タイから来た留学生のナームケン・サイはコンビニで
アルバイトをしています。
お客とトラブっていたのを柿本に助けられ、すみっこごはんに
来るようになりました。
家族のためと思って生きてきましたが、家族は自分の力で
生きるようになり、サイは人生の進み方を見失い
かけています。
柿本と交流するようになります。

"アラ還おやじのパスタ"
丸山は定年間近です。
洋風の料理が得意です。
ゆうたんのブログを熱心に見ています。
同棲相手はろくでなしですが彼女は彼から離れることは
考えていません。
丸山は彼女のことが心配でなりません。
すみっこごはんの成り立ちを調べ始めました。
NPO法人すみっこごはんとして登録されています。
代表者は前川清と登録されています。

"楓のレシピノート"
すみっこごはんの成り立ちがわかります。
偶然にも楓が深く関わっていることがわかります。

最初はあまり入り込めませんでしたがだんだん
おもしろくなっていきました。

ストレンジ・シチュエーション 行動心理 捜査官・楯岡絵麻

2017-12-20 09:06:01 | 

佐藤青南著"ストレンジ・シチュエーション 行動心理
捜査官・楯岡絵麻"を読みました。

受け答えする相手のしぐさを見て心の内を見抜く捜査官の
楯岡絵麻が活躍するシリーズです。
部下は西野です。

"信じる者は足をすくわれる"
江口夫妻が旅行から帰ったばかりのところを包丁で刺され
殺されました。
大学生の息子は別に暮らしています。
小学生の娘は学校行事で家を空けていました。
空き巣が居直っての犯罪と思われました。
近くの派出所の警官の宮出がピストル自殺をしました。
彼が空き巣の一人と見られました。

"ホーム・スイート・ホーム"
マンションから大学生の溝脇千尋が行方不明になったと
妹の麻友から届け出がありました。
玄関先に血の跡があります。
千尋には城田という恋人がいます。
真面目な千尋とは釣り合いが取れないチャラチャラした
男です。
千尋は管理人にもきちんと挨拶する女性でした。

"センターは譲れない"
星野真理恵が殺されました。
彼女はアイドルグループのさくらんぼアーミーの一員でした。
彼女には熱烈なファンで、しつこくつきまとっていたの芳村が
いました。
真理恵にはセンター争いをしていた美季子と舞がいました。

"非家族の肖像"
高校生の笹崎奈穂が誘拐されました。
父親は飲食チェーンの経営者です。
従業員を何人も過労死させています。
新聞に謝罪広告を載せるように要求がありました。
傲慢な父親は女性に対しても威圧的でした。
娘は死体で見つかりました。

最初の事件で自殺した宮出の警察学校の同期の綿貫は
どうして宮出が事件を起こしたのか調べていました。
離婚をし、賭け事におぼれていました。
江口家の娘の芹香とはよく話をしていました。
息子の毅人と娘の芹香はとても仲がいいのですが両親の
ことは二人ともよく思っていません。
彼らの家族には重大な秘密がありました。
辛いものです。

連作になっていますが、最初の事件のことが全体を通して
登場してきています。
子供たちは逃げることはできなかったのでしょうか。
救いを求める場所はなかったのですね。

幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ

2017-12-19 11:07:56 | 

知念実希人著"幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ"を
読みました。
シリーズになっています。
今回は長編です。

小鳥遊は天医会総合病院の統括診断部で働いています。
上司は鷹央という少々変わった女性です。
鴻ノ池舞は天医会綜合病院で研修中です。
鴻ノ池は先輩である小鳥遊をからかう言動をとるため、
小鳥遊は苦手に思っています。

その鴻ノ池が虫垂炎になり清和総合病院で手術を受けました。
麻酔を受け持った湯浅は鴻ノ池の大学の先輩です。
手術が終わり、人工呼吸の気管内チューブを外せる状態に
なりました。
鴻ノ池と湯浅の二人だけが手術室にいました。
別の部屋にいた複数の人が湯浅が透明人間と争っている
ような動きをしているのをモニターで見ました。
手術室へ行ってみると湯浅は喉をメスで切られて死んでいました。
唯一部屋にいた鴻ノ池が疑われました。

鷹央は鴻ノ池の疑いをはらすために行動を起こそうとしました。
しかし警察は鷹央を絶対関わらそうとはしません。
外科医が少なく医者を求めていた清和総合病院へ小鳥遊を
関係を伏せて潜り込ませます。
湯浅が死んだ第八手術室は幽霊が出るという噂が流れていました。

清和の医師と看護師を味方につけ鷹央は事件にせまっていきます。

読みながらなるほどと感心する結末になるのかしらと心配
しながら読みました。
結果は満足するものでした。
作者がお医者さんらしいものでした。

でも素人でも、全身麻酔から覚めたばかりの人に無意識にも
メスを振るって人は殺せないでしょうとは思いました。
鷹央や小鳥遊、鴻ノ池など個性的な人物達が出てきて
おもしろかったです。
鴻ノ池は統括診断部での研修を望んています。
次作があるとすれば鴻ノ池は統括診断部の一員となって
登場するのでしょうね。

手がかりは「平林」神田紅梅亭寄席物帳

2017-12-11 11:45:37 | 

愛川晶著"手がかりは「平林」神田紅梅亭寄席物帳"を
読みました。
シリーズになっています。
落語を元にした事件を解いていきます。

亮子は私立小学校の事務員です。
夫は山桜亭馬春という真打ちの落語家です。
お伝という二十歳になり弟子がいます。
馬春の師匠は山桜亭馬伝です。
一時倒れて落語から遠ざかっていましたが今は
復帰して時々高座に上がります。

"手がかりは「平林」"
平林という落語をお伝は亮子の小学校で演じることに
なりました。
お店の使用人の権助が主人に命じられて平林という家に
お使いに行く話です。
権助はすぐ忘れてしまいます。
平林という名を忘れて人に手紙の宛名を見せて人に
聞きます。
タイラバヤシ、ヒラリン、イチハチジュウにモクモクと
人は平林をそれぞれ別の読み方をします。
子供たちには面白さがどこにあるか理解されずに終わりました。
アメショーさんと呼ばれる高次脳機能障害を患っているらしい
人が現れます。
子供たちは落語を聞いた時は理解できませんでしたが後に
なって面白さがわかってきました。
新しい言葉を作り上げました。
「シエターオウに、カロオウヒ」というものです。

そういえば中学の国語の先生のあだ名がこんな感じのもの
だったなあと思い出しました。

"カイロウドウケツ"
お伝がテレビのインタビューを受けました。
彼女の出自には複雑なものがありました。
テレビに出たことで母親から手紙が来ました。

お伝自身が知らない親や親類のことでいろんな思惑が
絡まり合います。

ざっと読んでいると最後になっていったいこれはどうなって
いるのって感じで頭の中は??です。
こんな複雑な形で結婚するってあるんでしょうか。
あっても不思議ではないですね。

落語の好きな人にはもってこいの本でしょう。

青い服の女 新・御宿かわせみ

2017-12-02 21:00:00 | 

平岩弓枝著"青い服の女 新・御宿かわせみ"を
読みました。
明治になって子供たちが主役となった御宿かわせみです。

連作短編集です。
子供たちが主役となった新・御宿かわせみは江戸時代の
親の代の話しがおもしろかったのでつい読んでいます。
ですがこちらのは惰性で読んでいる感じでおもしろい
とは言えません。
今回のは特に読み終わって満足したという感じがなくて
もやもやとした物足りなさが残ります。
新はなくてもよかったのではとつい思ってしまします。

東京カウガール

2017-12-01 13:19:32 | 

小路幸也著"東京カウガール"を読みました。
カウガールってカウボーイの女性形だそうです。
大学生の英二は映像を取ることを仕事にしたいと
思っています。
英二は夜の公園で三人の半グレたちが女性に
生涯普通の生活を送れないほどに叩きのめされて
いるのを映像におさめました。
女性の強さは並外れていました。

英二の叔父の繁はゲイで酒も出すし食事もおいしい
店をやっています。
裏の世界にも詳しく、相談するには心強い人物です。

英二には女性に見覚えがあります。
以前に町工場を映像に収めた時によく行っていた
コンビニで働いていた女性です。

町工場の経営者の岡島を英二は久しぶりに訪ねました。
そこで男たちを叩きのめしていた女性に出会いました。
奈子という名前の岡島の孫でした。

繁がつてを頼って調べてくれました。
奈子が復讐をしている理由がわかってきます。
英二は奈子を守ろうと決心します。

ハードボイルドめいた出だしですが、闘争場面は
最初だけでこれ以降ありません。
悪に対抗するのにいくら強いといっても一人では
できることはたいしてありません。
端っこの数人が寝たきりなるぐらいのものです。
そうなれば介護をしなければならない不幸な人を作る
だけで彼女は加害者の立場になるだけです。
正体が知られればたちまち抹殺されるでしょう。

中途半端で悪人がやっつけられるわけでもなく、英二と
奈子の青春物語という感じの物語でした。