かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

「ドリームジェノミクス」もラスト1ヶ月、です。

2008-02-17 22:31:18 | Weblog
 今年はまれに見る多雪年ですね。今日も朝のうちは晴れ間も見えていたのに、昼過ぎには見る間に牡丹雪が降り乱れ、地面が瞬く間に白く変わりました。じきに止んだのですぐに溶けてしまいましたが、そもそも昼間に地面を変色させるほど降る、ということからして、ここ数年無かったことです。

 さて、乗り換える携帯をどうしようか、とサイトを検索してみたり、某「本部」から「指令」のあったとある企画の中身を考えたり、本を読んだり洗濯物を干したり雪にあわてて取り込んだりなどなどしている間に、一日が過ぎていきました。なべて世はことも無し、という平和な一日です。これで風邪が治ってくれたら言うこと無いのですが、これだけはなかなか改まる様子が無く、もうしばらくは困った状態を耐え忍ばねばならない模様です。
 そういうさなかではありますが、連載小説「ドリームジェノミクス」は、ようやくクライマックスの1章に取り掛かりました。予定では、この1章を7分冊して掲載し、最後に後日譚1章を付して文字通り、大団円、と相成ります。季節が順調に移り変わるなら、桜がほころび始めるかどうか、というころあいになることでしょう。連載開始からちょうど半年、となりますが、そんな長旅もあとがきまで加えたら、あと残すところ1ヶ月、最後まで気を抜かずきっちり手直しも入れて、物語をしめて参りたいものです。まあそうすると、「次」どうするか、は4月以降に決めることになるわけですね。そろそろ考えていかないとなりませんね。

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15.奇跡 その1

2008-02-17 16:38:54 | 麗夢小説『ドリームジェノミクス』
「高原さん!」
 美奈は思わず高原に駆け寄った。だが、もはや為す術もないことは美奈が見ても明らかだった。高原が薄い目を開けて美奈を見上げた瞬間、見事に両断された白衣の切れ目からぱっと赤い飛沫が飛び散った。見る見る白衣が内側から真っ赤に染まり、高原の顔から血の気が引いていく。
「し、しっかりして! 高原さん!」
 それでも美奈は高原に取りすがり、必死になって呼びかけた。この呼びかけが、高原に最後の気力を振り絞らせた。
「君か・・・無事だったのだな・・・」
「しゃべったら駄目! すぐ、直ぐに助けが来るわ!」
 だが高原も、自分が越えてはならない一線をまたいでしまったことは自覚していた。我が手で恨みを晴らすことが出来なかったことは悔しいが、まだやるべき事が残っている。旦夕に迫った命を強引につなぎ止めた高原は、震える手で今は消防車のように変化した白衣のポケットから、小さなアンプルを取りだした。
「いいか・・・この薬を、鼻から吸引・・・するんだ・・・」
 何とか言い終えると、高原はうっと目を剥き、激しくせき込んで大量の血を吐いた。
「高原さん!」
 わずかに残っていた襟元も赤く染めた高原は、すがりつく美奈の手を強引に振りほどき、その掌にアンプルを押し付けた。
「いいか・・・。生き残りたかったら、三人とも、この、薬を吸うんだ・・・。そうすれば・・・助かる」
「これを? これを吸えばいいの?」
 ようやく自分の手の中に注意を向けた美奈に、高原は弱々しく微笑んだ。
「そうだ・・・。では、よく聞けよ・・・、私からの、最後のレクチャーだ・・・。夢の中での闘いは、イメージする力が、全てを、決める・・・。自分が、もっとも強いと感じる姿を・・・、思い浮かべろ・・・。それが、君、達の、最強戦闘・・・、フォームになる・・・。いい、か、・・・お、思いを、思いを集中する・・・ん・・・だ・・・」
「美奈ちゃん! 早く逃げて!」
 突然の蘭の呼びかけに、美奈ははっと顔を上げた。その脇を、小さな影が猛然と走り抜けていった。一瞬遅れてその姿を追った美奈は、アルファとベータが、迫り来る死夢羅に飛び込んでいくのを見て息を呑んだ。
「よい機会だ。お前達もその男と共に果てるがいいぞ」
 死夢羅の鎌が飛び込んできたアルファとベータを水平に薙ぎ払った。一瞬の判断で飛び離れた二匹は、闇の瘴気を浄化する、真白き閃光に全身を包み込んだ。途端に真の力を開放し、数十倍に膨れ上がった聖なる魔獣が、三人の仲間を助けるべく、死夢羅の前に立ちはだかった。
「麗夢の使い魔どもめ、無駄なあがきよ!」
 死夢羅はマントを翻して魔の瘴気を倍増させると、その暗黒の奥から闇の眷属を召還した。ゆらゆらと揺れる半透明なウツボの如き夢魔達が次々と姿を現し、奇怪な実体を得て広がっていく。アルファとベータは、一匹も後ろにはやるまいと、脱兎のごとく飛びかかった。
「・・・今の・・・うちだ・・・、早く!」
 虫の息の高原が、最後の力を振り絞って美奈の身体を蘭とハンスの方へ押した。美奈はあふれ出る涙を拭い、二人にアンプルを渡した。
「ダ、大丈夫ナノデスカ? コノ薬?」
 ハンスは、まだ半信半疑で美奈からアンプルを受け取った。その気持ちは蘭も同じであるが、だからといって他に方法はない。
「あの高原がこれしか助かる方法がないって言ったんなら、きっとそうなんでしょうよ。もし毒だったとしても、あの様子じゃそれほど変わらないわ」
 アルファ、ベータの奮戦で夢魔達の動きは抑えられてはいた。だが、何分数が多い。さしもの二匹もじりじりと後退を余儀なくされている。程なく、自分たちもあの修羅場に巻き込まれるのは確実だった。
「私、高原さんが本当に夢魔を亡ぼしたいと思っていたその気持ちを信じます。だからきっとこれもそのための力になるはずです!」
「マ、待ッテ!」
 慌ててハンスが止めようとしたが、美奈は言い終わるとすかさずアンプルのふたを取り、中身の微粉末を鼻に吸い込んだ。
「ま、やるしかないわね、ハンスも覚悟決めなさいよ」
 続けて蘭もアンプルの先を鼻にあてがい、一気にその中身を吸い込んだ。ハンスはやれやれと首を振ると、美奈と蘭の後を追った。
「集中して思い浮かべるんです。自分の一番強いと信じる姿を。それが私たちの最強の戦闘フォームになるって、高原さんが言ってました」
「最強の戦闘フォーム・・・」
「一番強イ姿・・・」
 美奈の一言に、蘭とハンスも目をつぶってイメージを追った。美奈も自分の強いと思う姿を念じた。その脳裏に、凛々しくも弓を引く先輩の姿が浮かんできた。ついで夢魔の女王と闘う麗夢の姿。数瞬後、死夢羅と夢魔達、そしてアルファとベータは、次第に強く輝く三人を包み込んだ暖かい光に気がついた。その中で、何かが息づきはじめている。やがてその光の中から現れてきた三人の姿に、アルファとベータは喜びに満ちた驚きを覚え、死夢羅と夢魔達はわずかな怯みを帯びた驚愕に囚われた。高原の遺志を継いだ三人の戦士が、今まさに生まれようとしていた。
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いつに無くしつこい風邪にいい加減焦れてきています。

2008-02-16 22:43:42 | Weblog
 風邪の症状というのは、寝起きの朝がもっとも状態が悪く、だんだん良くなっていって寝るときには明日にはよくなっているかも、と期待させるほどになります。でも、翌朝ひりつきいがらっぽい喉、詰まった鼻、重いまぶたにぼんやりした頭、はいつものことかもしれませんが、とにかくああまだ治ってないんだな、ということをまざまざと意識させられる状態で、寒い中仕方なしに布団から這い出すのです。さすがにもう2週間以上も症状を抱えておりますといい加減いやになってくるのですが、ここ2,3年、どうも一度患うとなかなか完治するまでに時間がかかってきているような気がいたします。昨年も、一年を通じて比較的体調良好な日々を送った昨今珍しい都市ではありましたが、それでも具合の悪くなるときはあって、そのときもやはり完治するまで半月は優にかかっておりました。年々身体が弱ってきているのかもしれませんね。たとえば、一昔前は冬コミの一般入場待機列に早朝から並んでもびくともしませんでしたし、その後帰りは東京から大垣までの臨時の快速夜行電車の4人がけ垂直背もたれ硬質シート満員御礼なやつに乗って一晩揺られた上、その足で朝から京都を歩き回って次作のための取材をやったり、なんてことを当たり前にしておりましたが、今それをやれといわれても、まず身体が持たないとしり込みするでしょうし、その後の疲労の蓄積とその快復に要する時間と費用が脳裏に浮かび、あまりに割が合わないと検討することすら厭うでしょう。そういえばここ3年ばかり、夜行バスにも乗っておりません。まだ長距離の鈍行列車の旅は楽しんでおりますが、それもあと何年できるか、と思うと、少しさびしさを覚えないでもありません。ううむ、長引く病に少々気分も滅入り気味なのかも。あんまりよくない傾向ですね。とっとと寝て、明日は少しでも快復してくれることを祈るといたしましょうか。
 そういえばそろそろ携帯を本気でどうするか考えないといけないのですが、tukaからの乗換えで特典満載のauにするか、なんとなく維持費用が安くなりそうな感じのソフトバンクにするか、どちらかに決めようと思っています。今週は風邪が治らない中、あまり出歩きたくないので、送りつけられてくる案内や新聞広告、サイトの情報などを見るだけにして、何とか来週中に体調を整え、店頭に出向いて決めたいと思います。メールアドレスは確実に変わりますし、場合によっては電話番号も変わるでしょうから、携帯新調を伝えるべき連絡先のリストも整理する必要がありそうですね。

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毒でも危険物でもないのに回収するだなんて。

2008-02-15 22:23:05 | Weblog
 今日くらい昼間が暖かいと、つい春ももうすぐそこまで来てるんじゃないか? などとつい期待してしまいます。実際には、明日朝未明に降雪が予想されており、今夜もこれまで同様寒い夜になりそうな塩梅で、明日には、「昨日あんなに暖かかったのに・・・」と恨めしげに白く埋まった外を眺めているやも知れません。ただ、年明け以来これくらい暖かく感じた日は無かったように記憶しておりますので、こうしてこれからは温かい日と寒い日が交代にやってきて、少しずつ春を迎えるのでしょう。・・・それにしても今年は雪が多いです。

 さて、仙台市にあるコープ東北が企業と共同開発した缶コーヒーを、このたび、自主回収するのだそうです。平成5年から平成19年までに、東北6県の生協などで販売された本数807万缶。年50万本を超える量が売られたわけですが、うちどれだけ回収できるんでしょうか。その回収の理由が、中身がインドネシアの豆100%だというのを、「ブラジル産をブレンド」と表示してあったからなのだそうで、それでどうして回収しなくてはならないのか、素直に言って私には大変疑問に感じるのです。表示に偽りがあった、というのは事実に違いないのでしょうけれど、毒が混入していた、とか缶の構造上の問題で怪我をしたりする事故が懸念されたりとか、実は中身はコーヒーではなかった、いうのならともかく、それまで15年にわたって売られ、おそらくはそのほとんどが消費されているに違いないものを、今更回収する必要などあるとは私には思えません。それに、回収してどうするつもりなのでしょう? ひょっとして、「インドネシア豆100%」と表記しなおして販売するつもり、なわけでもないでしょうから、きっと廃棄処分するつもりなのでしょう。何本集まるかは判りませんが、実にもったいない話です。そもそも中身はちゃんとコーヒーだったわけですし、容量がどれくらいかは知りませんが、一本60円の商品でしかありません。ブラジル豆が入っているかどうかで、どれほど品質に差が生じ、それが価格に反映したりするというのでしょう? 
 ここは責任ある人がちゃんと頭を下げればそれですむ問題なのではないのでしょうか。その上で、お詫びに1週間ポイントを倍増する、とか、正真正銘ブラジル産コーヒー豆使用の缶コーヒーを破格値で特売するとかすれば、それで十分じゃないかと思うのです。
 どうも偽装食品とかが世間を騒がせている昨今の風潮は、あまりに過敏で極端な動きになっている気がしてなりません。コープ東北の会員になっている方々、自主回収なんて馬鹿なことはおよしなさい、と生協に言って下さる方はおられませんでしょうか。

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聖ウァレンティーヌスのよき日に、かっこうよりささやかな贈り物をお届けします。

2008-02-14 21:41:17 | ドリームハンター麗夢
今日はチョコレートの日?、ということなのですが、私としては、新皇 平将門公が亡くなった日、というほうが先に頭に浮かびます。これは私が歴史趣味のヒトだから、ということもあるのですが、私の麗夢長編小説第2作になる「悪夢の純情」で、なかなか筆が進まなかったところ、この日が将門公の命日であることを見つけて以来、一気に仕上げまで書き進められた、という故事に基づきます。その辺りの事情について、もしご興味ある方は、詳しくは表サイトの長編小説に「悪夢の純情」を掲載しておりますのでそちらを参照いただきたいのですが、あれほどの生みの苦しみと悦楽を味わったのは、後にも先にもあの作品が一番だったように、今では思います。
 でも、世間的にはそんな日であることを知るヒトはまず見受けられません。職場で聞いてみても、多分大東亜戦争開戦記念日や降伏文書調印の日よりも知名度は低いでしょう。このブログをご覧いただいている方々でもしご存じないようでしたら、この機会にちょっとした薀蓄の一つとして見ておいてくださればよろしいかと存じます。

 さて、この間予告いたしましたとおり、先ごろようやく完成を見たアニメーションを公開したいと思います。一応バレンタインデーを記念して、と申しておりますが、内容はまったく今日とは関係ありませんので、あしからずご了承ください。
ではどうぞ、と申し上げたいところなのですが、このファイル、およそ3MBのサイズになり、このブログでもそのまま公開できません。そこで、ここまで来てまことにお手数をおかけいたしますが、以下のアドレスにアップしてありますので、どちらでもお気に召したほうをダウンロードしてください。中身は同じものです。

ウィンドウズメディアプレイヤー用:
http://www5.kcn.ne.jp/~cuckoo/media%20folder/anime/rem_sta03-1.wmv

AVIファイル:
http://www5.kcn.ne.jp/~cuckoo/media%20folder/anime/rem_sta04.avi

なお、かっこうは天性の音痴ですので、音は入っておりません。ここは申し訳ないですが、元ネタを思い浮かべ、各自頭の中で補完してください。おそらくそう大きなずれはないと思います。
 なお、wmvファイルは、無圧縮のAVIファイル(170MBを超えました)を作って、それをウィンドウズメディアエンコーターというソフトで変換しましたので、多分メディアプレイヤー9以上で見られるはずです。
 また、AVIファイルの圧縮コーデックはffdshowというのを使っています。何でも、これ一本入れておけば、DivX 3/4/5、XviD、WMV、MPEG-1、およびMPEG-2 movieなどなどが再生できるのだそうです。もしAVIファイルのほうでご覧になれない場合は、適当にぐぐっていただくか、以下のアドレスを参照の上、コーデックを入手してもらえば、見られるようになる、と思います。

ffdshow入手先:
http://cowscorpion.com/Codec/ffdshow.html

それでは、この8ヶ月あまりの苦闘の足跡を、ご覧いただきたいと存じます。ついでに感想などいただけたら大変うれしいところです。また、どうしても見られない、という場合がありましたら、ご報告願います。何とか見られるよう、こちらでも努力してみますので。

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14.死神の陰謀 その6

2008-02-13 22:10:58 | 麗夢小説『ドリームジェノミクス』
「しむら? あ、あの男が死夢羅なの 」
 思わず声を漏らした蘭に答え、それを肯定するイメージが、露わとなった敵意を伴って三人の脳髄に届いた。それに呼応してガラン、と三人の脇の瓦礫が崩れ落ちた。はっとそちらに視線を走らせる三人の頭に、目眩を覚えるほど一段と力強さを増した敵意が流れ込んできた。だが、三人の喜びはその目眩を吹き飛ばすに充分であった。掌に載るほどでしかない小さな姿ではあったが、雄々しくも四つの足を瓦礫に踏ん張るその姿は、三人のこれまでの苦労を労うかのような輝きを伴って、三人の目に飛び込んできたのである。
「アルファ! ベータ!」
 二匹は軽く尻尾を振って、三人の呼びかけに答えた。その時だけ強烈な敵意が弛み、再会を言祝ぐ明るいイメージが三人に飛ぶ。だが、同時に死夢羅が微笑んだ途端、アルファ、ベータは改めて低いうなり声を上げ、厳しい視線で交錯する高原と死夢羅を睨み付けた。一方死夢羅は、自分を見つめる一〇本の視線に気づいたのか、一段とおどけるような笑みを刻んだあと、芝居じみた苦しげな声を出した。
「・・・み、見事・・・だ・・・高原・・・」
 苦しげな歯ぎしりとともに、息も絶え絶えな死夢羅のつぶやきが高原の耳に流れた。
 勝った。
 急速に力が減衰し、ほとんど死夢羅に寄りかかるようにして立ちながら、高原は間違いなく確信した。これで好美も浮かばれる・・・。その死夢羅も肉体を支える闇の力を失ってしまえば、もう消滅するより無い。高原は、憎き相手の最後を見届けようと、辛うじて顔を上げて、死夢羅を見た。
(?・・・何故こいつは笑っているんだ?・・・)
 突然、傷口から噴き出る瘴気が、渦を描いて死夢羅を取り巻いた。突風にも似た圧力に、高原の身体が思わずのけぞる。見ると、今にも二つに分断され、倒れようとしていた左半身がそのまま何事もなかったかのように直立し、死夢羅の右手が、腹まで達した高原の剣を上から鷲掴みにしていた。
「惜しかったな、高原」

 高原の驚愕をあざ笑うかのように、死夢羅はぐいと肉体に食い込む巨大な刃を持ち上げた。渾身の力を込めて袈裟懸けに斬り落とした剣が、いともあっさりと抜き取られていく。やがて、肩口からその大剣を抜き取った死夢羅は、ほこりでもはじくようにその剣を左に放り出した。ずん!、と重量に相応しい地響きを伴って、剣の切っ先が床に突き刺さった。
「・・・な、何故だ?」
 腹から肩へ、急速に復元していく死夢羅の姿を見つめながら、高原は思わず声を漏らした。確かな手応えがあった。驚異的な力を誇る相手だけに、この一撃だけでとどめを刺せなかったことはあり得るかも知れない。だが、最低でも、しばらくは再起不能になるだけのダメージを与えたはずだ。少なくとも、あのように平気な顔で傷口を復元していくなど、あっていいはずがないのだ・・・。
 ほぼ完全に肉体を元通りにした死夢羅は、こりをほぐすように二度三度と首を回し、半ば呆然としている高原に笑いかけた。
「なかなか効いたぞ、高原。これが真に正しき光の力であったなら、さしものわしも危うかったかも知れぬな」
「ど、どう言うことだ」
「お前は確かにDGgeneの発現を高め、その力を駆使してわしを斬った。だが、お前の心はどうだ? 憎しみに満ち、復讐だけを望むどす黒い闇に染まっているのではないか? それではわしを斬ることは出来ぬ。いや、逆にお前のそのおどろおどろしい復讐の念がたぎるほど、それはわしの力となるのだよ。判るか高原。今のお前は、いかに力を揮って見たところで、わしに傷一つ付けることも出来ぬのだ」
 言い終えると死夢羅は、堪え切れぬように胸を張って大笑した。
(そ、そんな!・・・愛する者を奪われたこの怒り、恨みが駄目だというのか? 復讐を望んではいけないと言うのか? 何故だ! 何故なんだ!) 
 そんな高原の心に答えるかのように、死夢羅は笑いを収めた。
「さて、そろそろ余興も幕としよう」
 死夢羅のマントが翻って、遂にその右手が突き出された。高原の目に、その手に握られた危険な大鎌のきらめきが映る。同時に奔騰した死夢羅の瘴気が、弱まった高原の結界領域を瞬く間に悪夢へと塗り替えていった。ほぼ同時に高原の重厚な甲冑が、力の象徴でもあった巨大な剣と共に宙に溶けた。今や高原は、ほとんどの力を消耗し尽くし、元のややぞんざいに着こなした白衣姿へと戻っていた。
「お前は、わしの記憶に残すに相応しい面白い男であったよ。では、さらばだ!」
 死夢羅の右手が無造作に振り上げられ、一閃の光芒を残して、鎌の切っ先が高原の胸を走り抜けた。強烈な衝撃に高原の身体はひとたまりもなくはじけ飛び、二度三度と床を跳ねると、美奈達の膝元まで転がってようやく止まった。
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タミフル耐性インフルエンザがヨーロッパではやっているのだとか。

2008-02-13 22:09:00 | Weblog
 今日はこの冬一番の寒さ、という触れ込みでしたが、少なくとも私の周囲はもっと寒い日があったように感じます。毎朝見ている国道の電光掲示板でも、今朝の気温はマイナス1℃でしたが、今年はこの表示がマイナス3℃になったのを見たことがあります。ただ、朝はそれほど寒いとも思いませんでしたが、帰りはいつに無く寒さを覚えました。職場近くのアメダスの気象データをみても、観測点の気温が現時点ですでに氷点下を割り込んでおります。この分だと明日朝は一体どれだけ凍えることになるのか、想像するだに身震いしてきそうです。それに道中路面の凍結が不安ですし。氷の上に載ったときの恐怖はそうそう味わいたくないものですので、明日は慎重にラインを見定めつつ、急がないよう時間に余裕を持って出たいところです。

 さて、私の風邪は相変わらずのどの辺りでわだかまっておりますが、こういつまでも寒いと、ただの風邪よりインフルエンザが怖くなってきます。年度末を迎えつつあるこの時期、熱で1週間近くを生産性がた落ちの無駄にできるほど余裕も無いので、可能な限り感染することのないようにしたいと思うのですが、幸いと申しますか、たとえばインフルエンザの特効薬タミフルを製造販売している中外製薬のサイトなどを見てみましても、奈良県のインフルエンザ流行度合いは低めの状況で推移しているようです。それに私自身普段の生活状況からみて人ごみにまぎれたりするような機会はほとんどないので、それだけでも感染の危険性は低くなりそうに思います。まあ油断は禁物なのであまり安心ばかりもしてられませんが、そういえばヨーロッパでは今タミフル抵抗性のインフルエンザウィルスが高い頻度で出現しているのだそうです。タミフルの作用は、ウィルスが感染した細胞で増殖し、次の細胞を目指して飛び出していこうとするのを邪魔することでウィルスがそれ以上増えないように抑えることで発揮されているそうですから、ウィルスのほうがその邪魔を排除するか潜り抜けるかする技を身につけつつある、ということなのでしょう。でもどうしてヨーロッパなんでしょうね。いにしえのスペイン風邪のように、世界的流行の震源地として今またヨーロッパが注目を集めていたりするんでしょうか? 当時よりもはるかに人の往来が速く激しい現代のことですから、広がりだしたらあっという間かもしれません。これはますます山から下りられそうにありません。

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早くも続きを計画? でもどうしようかな?

2008-02-12 22:45:31 | ドリームハンター麗夢
 朝からのどの痛みが少々強くなりまして、毎食後きっちり風邪薬を飲んでおりましたら、眠気がとれなくてちと厄介でした。まあおかげさまで痛みは昼過ぎには治まったのですが、どういうわけか、夕方ごろからのどに何かつかえているような感じがして、お茶などをごくり、と飲んでみても一向にとれる気配がありません。多分痛みが麻痺しているだけで、違和感はもともとの風邪の症状としてあったんでしょうね。これはもうどうやっても取れそうに無いのであきらめましたが、明日はこの冬一番の寒さになる、という予報も出ている中、なかなか治ってくれそうに無いのが業腹な感じです。

 さて、アニメ完成から一日たちましたが、早くも手持ち無沙汰、と申しますか、時間を少々もてあます状況になっているのに気がついて、苦笑いしております。これまで生活の一部とさえいえた作業がなくなってしまうと、こんなにも気が抜けるものなのですね。私は、定年後の自分の姿を想像して、軽く戦慄を覚えました。生来の怠け者らしくここはぼけっとしていればいいはずなのですけれど、習慣というのは恐ろしいもので、そんな基本姿勢すら無視するほどの飢餓感を覚えさせてくれます。
 そこでというわけで、もし仮にこの続きを製作するとしたらいつごろどこまでできそうか、元のアニメを見ながら簡単に検討してみました。昨日完成したものは、ざっと全体の三分の一を少し切る程度になります。その制作期間は8ヶ月でしたので、単純に計算すると、100%完成させるにはあと16ヶ月、今から始めたとしたら来年の6月完成となり、全体を通してみたら丸2年かかる、ということになります。さすがにそんなに時間をかけるわけにも行かないのですが、ただ、実のところこれはかなり乱暴な計算で、アニメの中身を見てみると、実は今回手がけた部分が一番手間のかかるパートだったことが判ります。複数の人間が異なる動きをしたり、画面いっぱいの星を毎回描き替えていったり、と、がんばっても一日1枚描けるかどうか、なんていうこともままあった部分が大半を占めているのです。それに対して、この後のパートは、基本的に1シーン1人。繰り返し動作も多く、そのカット数の割りに、描く必要のある絵は案外少なくできます。したがって、この後はおそらく最低でもこれまでの半分程度、うまくすると四分の一か三分の一の時間でこなすことができそうな塩梅です。すなわち、今からスタートしたとしたら、次の1/3は多分ゴールデンウィークごろまでに一定の成果が上がり、残りは、夏コミ、には間に合わなくても、夏のコミックトレジャー(9月7日)にはひょっとしたら間に合うかもしれません。
 ううむ、これは思い切って挑戦してみようか。キリのいいところまではやったのだから、この甘々な想定どおりに行かなかったときはすんなりあきらめるという手もあるし、次の三分の一は前々からちょっとやってみたい気もしないでもなかったし・・・。
 まあ基本的にどんなことでも計画しているときが一番楽しく、幸せな気分に浸れるものなので、今しばらくはそんな妄想に脳みそを糖蜜漬けしてみましょう。そのうちひょっとして本気になったりするかもしれませんし。でも、本当に完成したらコミトレのいい出し物になりそうだし・・・(笑)。

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ようやく完成しました。

2008-02-11 21:53:13 | ドリームハンター麗夢
 今日は結局昨日やりきれなかった画像のリサイズを朝から進め、動画編集ソフトで全ての静止画を読み込んで、とりあえず午前中にフルタイムのテストバージョンを作りました。それを何度かプレビューしながらおかしな点をチェックして、発見された異常箇所を精査の上、関係する静止画を特定、それを、必要に応じてイラレ原画までさかのぼって修正、最終出力用ファイルを作り直した上で再度プレビュー、というのを繰り返し、夕方までには何とかアップできる完成品が出来上がりました。およそ25秒、419枚のセルからなる作品です。例によって、某SNSで先行公開、このブログでは、バレンタインデーに公開いたします。このところ、クリスマスや正月など、イベント向けにCGの1枚も描くことなくただひたすらこのアニメ製作に傾注してきましたので、せっかく近々によいイベントごとが控えているのですから、その記念ということで出したいと思います。
 さて、このアニメ、昨夏6月25日に、ひとつやってみようか、と思い立ってから実に232日。ざっと8ヶ月経ての完成は、出来のよしあしはともかくとして、まあよく途中で投げ出すことなくやりとげたものだ、と我ながら半ばあきれるほどに感心してしまいます。毎日こつこつと、といっても、実際には仕事、ならまだマシなほうで、気が乗らなかったり他の楽しみにかまけていたりすることも多くて、それがまた時間がかかった理由でもあるのですが、それでもたとえわずかずつでも進めていけば、いつかは出来上がるときもある、ということを、しみじみと実感しているところです。
 ただ問題は、さて明日から何をしようか、というこの虚脱感をどうするか。怠け者の癖に貧乏性な私としては、これまで自由時間の大半をさいてきたことが無くなるという事態を迎えて、やることが無くなる手持ち無沙汰に今から少々の不安を覚えていたりしております。まあ当面はちょうど年度末を迎えるにあたり、なにやら様々な書類を量産しなくちゃならない立場でもありますので、しばらくは仕事漬けも悪くないかとも思うのですが、人生それだけでは味気ないので、いずれまた何か始めたいとは思います。それが、このアニメの続きの製作になるのか、構想して永らく放置している小説の執筆になるのか、はたまた何か別の興味引かれることになるのか、はわかりませんが、このブログにでも、つらつら思い浮かぶあれやこれやを書き留めておけば、先々の楽しみをいずれ決められる時が来ることでしょう。
 とりあえず今日は自分に、ひとまずお疲れ様、ということにいたしましょう。

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14.死神の陰謀 その5

2008-02-10 22:08:23 | 麗夢小説『ドリームジェノミクス』
「さて、夜明けと共に鳩共を放す準備をしないとな。この世に終わりを告げるのが平和の象徴とは、本当にお前のセンスにはほとほと感心するわい。あの娘も鳩が使われると知れば、泣いて喜ぶだろうて」
 死夢羅の一言が、凍り付いていた高原の呪縛を断ち切った。和風美人を絵に描いたような、煙る笑顔が脳裏に浮かぶ。そうだ。好美は鳩が好きだった。だからこそ数ある鳥から鳩を選んだんだ。単なる平和の象徴と言うだけではない。にっくき夢魔を亡ぼす先兵として、好美のために私が選んだんだ・・・。忘れかけていた憤怒が、腹の底からしびれていた高原の脳を蹴り上げた。全身に再び気力が充実し、高原は吠えるがごとく叫んだ。
「待ていっ!」
 叫びと共に、怒りの炎が高原から死夢羅へとまっすぐに走った。死夢羅は振り返りざま咄嗟に脇へ飛び退いた。さすがに危険を覚えたのであろう。それほどの怒りと憎しみが、形となって灼熱の炎に燃えたぎっていたのである。
「ほほう? まだそんな力を残していたとはな」
 死夢羅は半身になりながら、横目で高原をうかがった。
「貴様を、貴様を討ち滅ぼすまでは、我が怒りのおさまる時きはない!」
 再び高原が腰を据えて剣を構えた。全精力を切っ先に集中し、うつむき加減に佇む死夢羅に向ける。死夢羅は肉眼を残す右目だけで様子をうかがいながら、ぼそりと言った。
「だが、そろそろ時間切れだろう? 高原」
 !
 突然、高原の剣ががくんと床を舐めた。額にどっと冷や汗が吹き出し、息荒く剣を杖代わりに床に突き立てる。先にも増して燃え上がった戦意が急速に萎え、高原は自身を襲う不調に喘いだ。さっきの怒りが、燃え尽きる前の蝋燭の火その物だったのか? もう少し、あと一太刀でいい。保ってくれ、俺のDGgene! 高原はようやく息を整え、よろける膝を叱咤して立ち上がった。
「怒りの余り力を浪費しすぎたな。そんな状態で、一体何が出来る?」
 死夢羅のせせら笑いに、高原も弱々しく笑みを返した。
「・・・まだ、まだだ」
 高原は静かに息を吐き、残りの力を振り絞った。途端に建物を覆う高原のフィールドに変化が生じた。さっきまで隣の建物まで覆い尽くしていた結界が、死夢羅と自分を含む半径数メートルにまで一気に縮小したのである。死夢羅は敏感にその事を感じ取ると、物憂げに高原に言った。
「なるほど、結界を畳んで負担を軽くしたか。だが、所詮薬で無理矢理増幅した力だ。お前の脳細胞はもはやまともに反応してはおるまい?」
「・・・そんな余裕は、我が太刀を受けてから見せるがいい・・・」
 ゆらり。
 その構えはこれまでの高原の姿とは大きく異なっていた。どっしりと大地に根を生やしたような重厚さが失われ、今にも落としそうに剣先をだらりと床にはわせるその姿は、やもすればそのまま倒れて眠り込んでしまいそうにも見える。恐らく、その巨大な剣を構えるだけの力も今は残っていないのだろう。だが、情念の炎だけは、全身を揺らめかせるほどに燃え立っていた。恨み、怒り、憎しみ。これまでの高原の人生を彩ったエネルギーがほむらだってその身体を包み込み、かつてない巨大な力が、高原に宿ろうとしていた。
「ふふふ、心地よいなお前の波動は。よかろう、見せて見ろ。お前の力を」
 死夢羅は高原に振り向いた。
「死夢羅、・・・、覚悟!」
 瞬間、高原の姿が一閃の光となって消えた、と意識する間も無く、凄まじい烈風が吹きすさび、死夢羅のマントがちぎれんばかりにはためいた。さしもの死夢羅も目を細めて立っているのがやっとという中、突然現れた白銀の甲冑が、死夢羅の黒と交錯した。その瞬間、はじめて死夢羅の顔が驚愕と苦痛に引きつった。巨大な剣が、死夢羅の左肩から腹の真ん中辺りまでを見事に断ち割り、その傷口から、鮮血のごとく漆黒の瘴気が吹き出したのだ。
 高原渾身の一撃は、そのついでとばかりに強烈な烈風の渦を呼んで周囲の瓦礫をも吹き飛ばし、気を失っていた三人の意識に、手荒い往復ビンタを浴びせかけた。仰向けに倒れていた美奈と蘭がうめき声を上げて上体を起こし、うつ伏せになって二人をかばっていたハンスが、頭を振りながら四つん這いになって起きあがる。意識がはっきりするにつれて、束の間互いの無事を喜んだ三人は、間もなくまだこの「悪夢」が醒めないばかりか、一段と凶悪度を増して繰り広げられていることに気づかされた。「何よ・・・あの男・・・」
 蘭はほとんど身体が二つに分断されかかっている漆黒の長身を見て呟いた。美奈、ハンスもごくりと息を呑んで、高原の背中とそのシルクハットからはみ出した銀髪を見つめた。その黒ずくめの老人が何者なのか、三人とも知らなかった。だが、美奈だけはその姿を過去に二度だけ見たことがある。高原の禁断の夢。その中で女性の首を大鎌ではね飛ばした死神の姿と瓜二つなのだ。が、こうして目の当たりに見る、その姿は、高原の夢の中では感じなかった強烈な威圧感を、美奈に覚えさせた。その圧力は蘭とハンスもはっきり感じ取っている。自分達は知っている。この男が何者なのかを・・・。そんなもどかしい戸惑いに、はっきりしたイメージが割り込んできた。
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もう少し、もう少しと自身を励ましつつ、延々続く単調作業をこなし続けております。

2008-02-10 22:07:09 | Weblog
 昨日の雪は、小春日和の陽気に昼までには大方消えてしまいました。今日の天気を見ていると、昨日の見る間に世界が白く埋められていった様子がうそのようです。できればこのまま春まで一息に進んでもらいたいところですが、まあ世の常というものは、やはり寄せては引いてを繰り返す波打ち際のごとく、揺れ動きながら少しずつ満ちてくるのでしょう。2月もはや三分の一を過ぎたわけですし、いま少しの辛抱です。

 さて、のどが痛くなってきたりおなかを壊したり、と月並みな風邪の症状に襲われつつも、何とか作業を続行して、アニメ原画のリサイズを半分くらいまで進めました。まあ多分出るだろうな、と予測してはおりましたが、イラストレーター画像をフォトショップ形式に置き換える過程で、原画のミスに気がついたり、レイヤーの上下の間違いに気づいたり、変換作業時のミスでおかしな画像が出てきたり、というようなバグフィックス作業がそれなりにあり、結構時間が取られてしまったのでした。何とか寝るまでに残りのリサイズを終えて、明日朝からは動画作成に取り掛かりたいところですが、やはり昨日の見積もりは思い切り甘かったようだ、と少々反省もいたしました。昨日このブログをつけている時は、ひょっとしたら今時分には動画の動作テスト位していたりするかもしれない、と思っていたのですから。まあこちらも今しばらく、隠忍努力が欠かせないようです。

 連載小説「ドリームジェノミクス」は、今日と次で死神登場の回を終え、最後のクライマックスへと突入します。暖かくなるころには、そろそろ次をどうするか考えないと。

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アニメーションのイラレ原画がついに完成しました。

2008-02-09 22:42:53 | ドリームハンター麗夢
 今日の雪はなかなかにすごかったです。
 朝のうちはさほどでもなかったのに、そのあと降ること降ること。真昼間にアスファルトが真っ白になっていくのを見たのは何年振りでしょう? 聞けば大阪でも5センチの積雪があったとか。こちらでは10センチくらいでしょうか。これが3連休初日でよかったです。結局雪は夕方までには止みましたけど、おそらくは明日朝には凍てついて非常に滑りやすい道になっていることでしょう。もし今日が連休最後の休みの日でしたら、明日の通勤に非常な苦労を強いられたことは想像するに難くありません。天気予報では、明日以降は空模様も快復してくれるそうですから、休み明けには、我が深山中の職場でも、道はすっかり溶けて通れるようになっていることでしょう。

 さて、そんな天気でもありましたので今日は一歩も外には出ず、ひたすらアニメ作りに精を出しておりました。そのおかげなのか、ようやくにしてイラストレーターで描き続けてきた原画が、本日全て完成しました。その数419枚。昨夏からこつこつ描きためてきたのが、ついに終わったのです。後は、一枚一枚中身をチェックしながらマスク処理してフォトショップ形式に画像変換し、それを更にフォトショップでサイズ変更して一つのフォルダにまとめ、動画作成ソフトにて一枚一枚順番を間違えないように並べて、動画にするだけです。というものの、極たまにイラレで作った絵に不具合が見つかったり、マックが機嫌損ねてすぐにフリーズしたり、といったこれもまた結構な手間がかかる問題もぱらぱらと出てきますので、結局今日の段階では、およそ半数をイラレ形式からフォトショ形式に変換したところで時間切れとなりました。続きは明日に持ち越しですが、もっとも順調に行けば、明日夜には最終テストバージョンでアニメが動いてくれているかもしれません。幸い今回は3連休と時間に余裕がありますので、遅くなってもあさってには動くものが出来上がることでしょう。さて、見事無事に動いてくれますかどうか、これまでのテストバージョンはまずまずだったので心強いとはいえますが、こればかりは実際に動かしてみないと判りませんから、最後の瞬間まで不安は尽きないでしょう。何はともあれ後は単純作業を繰り返すのみ。根気が削げないよう適宜息抜きもしながら、文字通りのラストスパートに突入です。

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麗夢の連載決定! が公式発表されました。

2008-02-08 22:41:06 | ドリームハンター麗夢
 昨日の雪はほんの30分ほどしか降ってなかったようで、早いか遅いか、どちらかにずらして行動していれば、あのようなひどい目にはあわなかった可能性がありました。まさに一番危ない時間帯に走り出してしまったという、己の不明を悔いるばかりな出来事でした。今朝は、山すその下のほうまで白く化粧している葛城山の様子にかなり動揺いたしましたが、懸念していたような状況には幸いにしてならず、意外に積雪も凍結もしていないただ濡れているだけの路面に、ほっと胸をなでおろしました。ただ、場所によりかなり濃い霧が出て視界が妨げられるのが厄介といえば厄介でした。まあこれくらい、雪道や凍結した道路を走る怖さに比べれば、物の数でもありません。

 さて、昨日は命からがら帰り着いた恐怖に頭がいっぱいで、肝心な話を一つするのを忘れておりました。
 先ごろ、ヴァルキリーハードに掲載された「ドリームハンター麗夢」がめでたく連載が決まった、というニュースです。
 その話自体はすでに昨年末御大じきじきにうかがっておりましたが、正式にしかるべきところから発表されるのをまっていたのでした。それがこのほど、ドリームハンター麗夢公式サイトで告知されましたので、こちらでもその話題を取り上げた次第です。
 掲載先は、同じ出版元の出す別の雑誌で、「二次元ドリームマガジン」という隔月出版の雑誌です。漫画雑誌というよりも小説がメインで、中身は確か18禁な本だったんじゃないか、と思うのですが、まあそんなことはこの際よろしいでしょう。なんといってもようやく公に麗夢の漫画が連載されるのですから。
 今のところ出版元であるキルタイムコミュニケーションの公式サイトにはまだ告知されておりませんが、なにぶん隔月発行の雑誌ですし、次号宣伝の暁には、何らかの記事が出るのではなかろうか、と期待しているところです。
 今後、公式発表以外に続報が入って、公開可能な話でしたら改めてここで告知させていただきましょう。多分その時分には雪で頭がいっぱいになるような事態にはならないだろうと思いますし、書き忘れるなどというような大馬鹿野郎な結果にはならないと思います。

 麗夢の新作が、たとえ漫画とはいえ表立ってついに動き始めた年明け。さて、年末にはどんなお話が生まれていることでしょうか。願わくば新作アニメ、なんていうことになってたりしたら言うこと無いのですが。まあ夢はしばらく暖めるだけにしておいて、まずは連載決定を祝し、始まったら大いに盛り上げて、先々の楽しみを増やすよう努力するといたしましょう。

 
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もう、さすがに冬がいやになってきました。はやく春にならないものでしょうか?

2008-02-07 22:32:54 | Weblog
 今日の通勤は冗談抜きで命がけでした。
 行きは行きで、昨日の夜に降った雨で濡れた路面が凍結し、ところどころ白く不気味に輝く中を、スリップしないよう細心の注意を払いつつ走ることを余儀なくされました。
 でも、本番は帰りでした。
 すっかり暗くなった職場を出たときは、どんより曇ってたものの、数秒に1粒、はらりと雪のかけらが舞い落ちる程度でしかなかったのに、山を降りて進むにつれて細かな粉雪が舞い飛ぶようになり、このあたりの主要幹線道路である国道に出た辺りからそれが激しくなり始め、それから5分も行かぬうちに、前がほとんど見えない吹雪の中を走っておりました。かつて経験したことのない猛吹雪、というといいすぎかもしれませんが、とにかくヘッドライトには大粒の牡丹雪がこれでもか! とばかりに群れを成して飛んでくるのしか映らず、その影で申し訳程度にかろうじて道の姿が見えるばかり。しかもバイザーに雪が付着して、内側は呼気と内外の温度差で曇ってくるし、外側は文字通り目隠し状態になるし、で、ものの数十秒で、目をつぶって走っているのとさして違わない状態に陥っておりました。とにかくバイザーの雪を手でぬぐいながら速度を落として先に進みましたが、街まで降りてくる30分ほどは、まさに生きた心地がしませんでした。しかもそんな天気にもかかわらず、灰色のコートを着た初老の男性が背中を丸めながら歩いているのです。私がそれに気づいたのは、ほとんどすれ違いに並んだ瞬間でした。前にいるのにまったく気づかなかったのです。幸いスピードを極力抑えていたことと、日ごろから歩行者や無灯火自転車を警戒して道の真ん中辺りを走ることにしていた習慣のおかげで、接触事故を起こさずにすみました。しかしあの天気の中、あんな闇に溶け込むような姿で歩くなど、もうひいて下さい、と車にお願いしているようなものです。せめて懐中電灯を持つなり、ライトを反射するものをかばんや服につけるなりしてくれないと、そのうち事故にあうことになるんじゃないでしょうか。
 そんな生きた心地もしないままかろうじてうちまでたどり着きましたが、ジャケットは前側だけ雪で真っ白に変色し、バイクから降りた瞬間、どさっと音を立てて雪の塊が身体から剥がれ落ちました。さっそくグローブやジャケットをストーブの火で乾かしましたが、面白いように湯気が立つのが見えるほど、すっかり濡れそぼっておりました。
 帰りはまだ気温が高かったせいか、アスファルトの道まで白く染まるようなことはありませんでしたが、今晩あの調子で降り続いたりしたら、明日朝は確実に積もることでしょう。何とか速やかに止んで、その上朝までにあらかた地面が乾いてくれないものか、と切に願う次第です。


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14.死神の陰謀 その4

2008-02-06 23:03:38 | 麗夢小説『ドリームジェノミクス』
 にわかに戦意を露わにした高原に対し、死夢羅は得物の大鎌を出すでもなく、相変わらず隙だらけのまま、にやにやと笑みを崩そうとしなかった。
「わしは、お前の計画を邪魔するつもりはない。いや、大いに支援してやっただろう」
「この期に及んで何を訳の分からないことを・・・」
 高原は聞く耳持たぬとばかりに気を剣先に集中した。その時である。高原の目の前で、再び死夢羅の姿が奇妙にぶれ、唐突に背が縮み、肉付きと顔色が良くなって、頭髪が後退した。更に衣装まで、黒マントのタキシード姿から、格子縞のはち切れそうなスーツ姿へと変化した。
「ごきげんよう、高原博士」
 それは、ドリームジェノミクス社とナノモレキュラーサイエンティフィックの設立運営資金を提供した資産家、嶋田輝の姿に他ならなかった。まりが転がるような甲高い声やちょび髭を右手でいじる癖が、全く本人とうり二つである。
「愚かな・・・。今更そんな変身で私の目は誤魔化されはせんぞ!」
 すると嶋田の好々爺とした微笑みが、突然嘲りを伴った不快な笑いに豹変した。
「まだ判らないかね、高原博士?」
「?」
 高原の大脳前頭連合野に、不安の色をしたクエッションマークが点滅しはじめた。それを振り切るように高原は言った。
「何が、言いたい?」
 努めて冷静さを保つよう、高原は口調を抑えた。だが死夢羅は、その音色の微妙な硬さにほくそ笑んだ。
「判らないかね? そうか、判らないのか・・・」
 初めは堪えるような押し殺した含み笑いが、次第にボリュームを上げて高原の鼓膜を不快に乱打した。
「これはいい! あの三人に偉そうに説教を垂れていたお前が、まぁだ判らないと言うのかね! まさに傑作だな!」
「黙れ! 何を言おうともはや貴様に生き残る術はない! ここで貴様を粉微塵にうち砕いてから改めて夢阻害因子をばらまけば、貴様等夢魔共もそれで終わりだ!」
「まだあの鳩共の持つ改変鳥インフルエンザウィルスが、自分の作ったものだと信じているのかね、高原博士?」
「何っ?!」
「やはり、自分の見える世界以外はまるで鈍いな。しょうがない、いつまでも話が見えていないようではわしも楽しめぬからな。教えてやろう。お前の研究資金は、この「私」が出してやったのだ」
 資産家の丸い身体を凝視して、それがどうした、と高原は言おうとした。が、その瞬間、高原は、嶋田輝の姿をした死夢羅が一体何を言っているのかを唐突に理解した。三顧の礼で自分を迎え、ここの施設を提供した好々爺の正体を、今突然に理解したのだ。だがそれは、あまりに受け容れがたい屈辱に満ちた内容だった。毎夜怒りを忘れぬようあの悪夢を再現し続け、憎しみと闘志をかき立て続けたその相手が、自分の研究を全面的にバックアップしてくれた恩人だったとは! 内心の驚愕が、剣先の震えを生み出した。心のどこかで、惑わされるな、これも奴の手だ、と警告する理性の声が囁いたが、事実の破壊力は、その程度で再建できるほど生やさしくはない。高原の気が見る間に輝きを失うと共に、嶋田輝の身体を中心とした暗黒の瘴気の力が、急激に増していった。
「お前は夢の遺伝子やドリームガーディアン遺伝子、それにナイトメア遺伝子を研究した。夢魔が人間に取り憑く経路もかなりの部分まで明らかにした。だが、お前は何よりもまずドリームガーディアン遺伝子の発現阻止を第一に考えてくれただろう。吉住の進言、即ちわしの要求に従って。おかげでわしは、充分余裕を持って、夢遺伝子阻止因子の代わりに、DGgene阻止因子を持たせたインフルエンザウイルスを、吉住明に用意させることが出来た。あとはわしの掌で踊っているとも知らず、寝る間も惜しんで仕事に邁進する愚か者を見物していればよかったと言うわけだ。これはこれでなかなかの娯楽だったぞ」
 確かに、この事業における最大の障害が、自分以外のドリームガーディアン能力を持つ者達だと注意を喚起したのは吉住明だった。マイクロニードルによる抑止法を提案したのも吉住だ。だが、自分でもそれは考えていた。特にもっとも自分に近い力を持つ少女、綾小路麗夢が、最大の障害になりかねないと危惧していたのだ。だからこそ、少々アクロバットなやり方で自らその能力を封印するために行動した。だが、その事を改めて死夢羅から告げられた今、高原は本当にその考えが自分の発案に基づくものなのかどうか、自信を持って断言することが出来なくなった。死夢羅の笛に合わせて舞っていたと言う事実が、高原を支えていた強固な自信に致命的な傷を付けていたのである。
「おかげでわし自身も知りたかった夢の謎の一端を、お前が解いて見せてくれた。より効率よく、全ての愚かな人間共に悪夢を届ける方法も準備できた。あの厄介な小娘に邪魔されることなく、だ! 高原、全てお前の研究と協力のおかげなのだよ!」
 死夢羅はその傷へ丹念に塩をなすり込むように言葉を続けた。
「ああ、もちろんウイルスの毒性も強力なものに改変したぞ。これで多くの人間が高熱を発しながらおぞましき悪夢のうちに死ぬことになろう。それを乗り越えて、辛うじて生き残った者共にも、際限ない悪夢に取り込まれる絶望の未来が残されている。これで、永劫続いた光と闇の最終戦争が、闇の勝利で確定されるのだ。感謝するぞ高原」
 死夢羅は、一人呆然と立ちすくむ高原を残して、階段に足を向けた。
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