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財政破綻を危惧する伊藤元重東大教授の論説は学術的に正しいか?

2010年03月02日 13時59分47秒 | 経済関連
これが東大なんだそうです。
岩本教授曰く、「モデルを示せ」だったと思うが、伊藤教授の論説ではどうなのか?本当に専門家の議論に耐えうる内容だと思うのか?
日本の経済学の学界ってのは、所詮はこの程度なんだ、ということか。

専門家が賢く正しいと妄信してやまない、日本の経済学専門家たる教授の説明というものがいかに信頼に値しないか、ということを記事に書かざるをえないのは残念だ。日本の経済学教授というのは、どの程度の能力で、彼らの寄り集まりの学界とやらがどのレベルであるのか、疑問ばかり浮かんでしまう。


先日の読売新聞朝刊に伊藤教授の書かれた論説があったが、要旨を簡単に言えば財政規律を早く取り戻せ、というものである。日本国債の保有者は、日本国内の投資家が殆どだからといって、いつ何どき日本国債の暴落が起こらないとも限らない、という警告を発しているものと思う。まあ、理屈の上では、その可能性はゼロではない。だが、日本国債を投げ売りして、何に資金を移すのか、という問題はあるのだ。

以前の貯蓄率低下の話の時と進歩がまるで見られないが、東大というのはこの程度なのだろうか。

貯蓄率低下を脅しに使う前に


結局は「日本国債の消化が難しくなるぞ=財政破綻」という短絡だ。今回の「国内投資家たちだって投げ売りするかもしれんぞ=財政破綻」というのと結論は一緒。東大の学者ってのは、どうにでも日本の財政破綻を招きたい、ということなのかもしれない(笑)。


さて、日本国債を投げ売りした国内投資家はどうするか?

民間金融機関が保有する日本国債を投げ売りしてくる、と伊藤教授は脅すわけである。確かに、理屈の上ではある話である。
だが、「国債を何に換えるのか?」ということを考えないのが不思議ではある。

「国債を売って、現金に換える」

という人がいる場合、それは大笑いだな、という話ではある。

国債を売って、日銀券に換えようというのは、ほぼ意味がないからである。ああ、売り始めの人たちだけは、現金化できるのかもしれないね。で、それはどこに持ってゆくのか?株を買うのか?外貨を買うのか?

仮に、
 国債売却→円の現金化→外貨建資産を購入
ということであるとしよう。

日本国債がヤバいらしい、ということが市場に知れ渡っていると、どうなると思うか?米国債を購入する際に、円通貨で払います、という人がいる場合、「いくらで買えるのか?」ということが問題になるのだ。日本国債が暴落中であるというのに、「円で払うよ」という人の持ってる円をどれほど信用できるのか、ということ。1ドル100円だったのが、「いやいや、200円じゃないと1ドルを渡せないぜ」というような話になってしまうんじゃありませんか?、ということだ。
つまりは、円も暴落する。日本国債が暴落するということは、同時に通貨としての円も大幅下落となる、ということ。「オレは日本国債を売って日本銀行券に資金を退避したから大丈夫だ」といった話にはなりません。国債を売却した時に、直接外貨に転換できればいいかもしれませんが、通常の取引ではそうはできないでしょう。


民間金融機関と生保会社の持つ国債がざっと300兆円とすると、これを投げ売りするということらしいですが(笑)、買い方は誰がつくのですか?

売るって、一口で言っても、買ってくれる相手がいなければ取引なんて成立しないわけで。で、投げ売りすればするほど、各金融機関の「売れ残った」日本国債の価格が下落してゆくわけで、そうすると、次々と銀行破綻とか金融機関は破綻するわな、ということになるね。

だとすれば、国債取引の一時停止とか、(量的な)取引制限をかけるとか、緊急措置をとることになるだろうし、日銀が一斉に買いを引き受けるといったことをすることになるだろう。それは、円安をもたらすし、インフレになるけれども、日本が破産するということになることはない。対外純資産は200兆円以上のプラスだからだ。円安になれば、対外資産規模は相対的に増大する。

それに、民間金融機関が300兆円分の国債を売りきって国外資産を購入するとなれば、巨大な為替介入というのと同じ効果となるし、日本人の多くが預貯金をゼロにしてまで外貨を持ったとして、それで家や車を買えるのか、ってな話なんだわ。日本人が一斉に円を捨てて、ドルを日常の取引に使うということでもない限り、300兆円を海外資産に移すなんてことのメリットは殆どないだろうね。

政府が破産すれば、国民が負担することに代わりはないので、要するに国民が責任を負うことになるだけ。国民が資金を引き揚げて政府を破産に追い込むと、その尻拭いは国民が行うので、得になることなどない。
伊藤教授レベルの思考能力しか持たない人間が圧倒的に多い場合には、この間抜けな選択を行うことになるのかもしれない。「自分だけ助かろう」と思って、全資産を外貨に移し替えてしまう、ということさ(笑)。そして、日本政府を財政破綻に追い込み、重税国家を作らせるという寸法かな?その税を国内にいる自分が払うのだとすれば、それはアホのすることだよね、ということですわな。


以前にも、散々書いてきた話である。

「銀行券ルール」と日銀の矛盾

大袈裟な「マーケット」至上主義者?の空騒ぎ


東大なら、それなりに深く考えてみるということができそうなのに、何故かそれをしない教授が大勢いる、ということなんでしょうか。これが日本の学界ってやつですか。





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5 コメント

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伊東 元重ってあれが東大教授? (恩田川 鴨次郎)
2012-04-07 07:03:49
同意見です。4月7日付産経新聞にもアホ記事を書いてます。政府から金でももらっていると考えない限りアホ過ぎます。
しかし、そんな輩も東大教授のバッジの威光があるので、それを信じる人もいる。
仰る通り、国債を銀行、生保が売るって言っても、最高信用度の資産に位置付けられているので、何に買い替えるかって言っても何もありません。現金?これは金利を産まないし。やはり金ですかね。しかし、これも価格変動リスクが大きいので、資産の5%ぐらいまでしか持てないだろうし。
伊東元重に抗議するにはどこにメールしたらいいのでしょうか?
返信する
Unknown (Unknown)
2012-06-19 11:49:05
JGBが最高信用度の国債と言っても、それは現時点での評価であって日本政府に増税の意思なしという評価をマーケットが下した時点でJGBの格下げがなされることは間違いないと思います。生保などはソルベンシーマージンを保つためにも格下げされた債券を大量に保有することはできないのではないでしょうか?
対外純資産が云々と言っても結局はJGBの評価はマーケットが決めるのです。そしてそのマーケットは日本に増税を求めて少しでも債務を減らすことを望んでいる。できない場合は格下げがなされる。現にJGBの格下げはどんどん下がっているじゃないですか。そうなれば少なくとも海外の金融機関はJGBを買い控えるでしょう。国内でJGBが消化されているうちはいいですが、債務が1500兆を越えたら国内だけでは消化しきれません。しかし海外はJGBを買わない。なぜなら投資適格外だから。そうなった場合、日本政府はデフォルトするか借り換えによる自転車操業するかしか選択肢がないのでは?そんな国の通貨は誰も欲しがらないでしょうから円が暴落する可能性だってあります。そうしたらインフレが生じます。国内経済はめちゃめちゃになるかもしれません。こういった事態が想定されるため、日本政府は少なくとも増税の意思をマーケットに示す必要があるのだと思います。
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お答えは (まさくに)
2012-06-19 16:18:21
別な記事に書いてみましたので、宜しくお願い致します。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/8371757da56e49097f23f82bf9682059

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Unknown (Unknown)
2012-11-20 11:15:57
何故、保有国債を即座に売却して別の資産に買い換える場合を想定しているのでしょうか。
保有している既発債は益出しで売却しない限り満期まで保有するのが当然なので、国債の暴落局面とは新発債の入札が不調で札割れとなる中、ジョジョに金利が上昇していく過程のことではありませんか?
利払い費が膨らめば札割れの中で新発債の発行が増え、更に需給が悪化していく悪循環に陥りますし。新発債の札割れが続くようなら、既発債の償還に支障が出てきます。
後、既発債が償還された場合、わざわざ日銀券に替えなくても日銀の当座預金に預ける事ができます。対外純資産は即座に換価できる政府資産ではありませんし、外貨準備の原資はそもそも短期証券(借入)ですから。
要するに、新発債の不調と利払い費の増加でボディーブローのように破綻へ向かっていく分岐点が存在する事への警鐘ではないでしょうか。
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遅くなりましたが (まさくに)
2012-11-25 09:49:19
お答えをかねて、別な記事に書いてみましたので、宜しくお願い致します。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/06092f198216d3be4f7bddc61819909d
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