いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

ゼファーと不透明市場

2008年07月19日 18時53分56秒 | 経済関連
私のような末端の人間には、「雲の上の世界」みたいなことを知る機会はない。ゼファーという会社が「東証1部上場」であるにも関わらず、何の前触れもなく倒れてしまうなどという事態は、素人目で見るせいもあるかもしれないが、明らかに異常であるとしか思われない。


ゼファーの株価がやけに高いな、ということに気付いたことはあったよ。05年頃ですけど。
Yahooファイナンス - 8882t

不動産セクターで数銘柄売買したことはあって、その時「検索」で引っ掛かってきていたから。でも、上がり過ぎだわな、と思ったので、買うことはなかった。

04年以降の業績を見れば判るであろうが、年度を追うごとに好業績で、株価上昇があったものと思われる。04年3月期では売上高542億円、利益22億円だったものが、07年3月期にはそれぞれ約1280億円、63.6億円と2倍以上の成長を見せていた。期間中の04年9月には株式が5倍分割され、06年1月には455000円の上場来高値をつけていた。サクセスストーリーを絵に描いたような会社であったのに、急転直下、民事再生ということになってしまったんですね。08年3月期には、建築基準法改正という「官製不況」の影響をモロに受けていたこともあって、売上高約1092億円、利益約12億円と大幅に業績が悪化していた。

ここで注目するべきは、一度も赤字になっていない、ということですね。しかも、08年3月期には配当もきちんとされていたわけです。09年3月期の大幅赤字予想があるとしても、いきなり民事再生というのは一体全体どういうことなのであろうか、と誰しも疑問に思うのではありませんか?

あるとすれば、完全に「メッキがはがされた状態」というものを「金の出し手」が知っていた、ということなのではありませんか?
そうでもなければ、これほど連続好業績できていた会社が突然資金調達に窮しますかね?過去5年間に一度も赤字でなく、配当も大幅に増やしてきていたのに、何故会社の資金繰りが立ち行かなくなるような「脆弱資本」なのでしょう?不思議ですよね?

この会社は有利子負債の比率が大きく、08年3月期で総資産約1862億円のうち57.4%にあたる1069億円が有利子負債であった。他の不動産会社などとの比較は必要かもしれないが、この額や比率が売上高や資産に比してそれほど大きいものでないのであれば、資金調達は可能ではないかと思われるが。逆に、あまりに有利子負債比率が高いのであれば、好業績であったにせよ手元資金を積み上げるまでは配当をもうちょっと我慢してもらいましょう、ということにならないのは何故なのだろうか?経営陣が愚かだったからなのか?放漫経営だったからですか?本当にそうなんですかね。

05年9月には第三者割当で新株発行しているようだし、普通社債の発行を数回に分けて行っているようだ。これって、金を市場から調達して「どこかに抜いていく」(誰かの元へと還流されていく)為のものではないでしょうけど(笑)、こんだけ直接資金調達しているのに、返済負担が重すぎてデフォルト、っておかしいでしょう。それも「たったの2年くらいで」、ですからね。


07年に発行された普通社債の利率は、僅か2.94%だった。

UPDATE1 ゼファー8882T、期間3年国内SB発行条件を決定=利率2.94% マネーニュース 最新経済ニュース Reuters

1年後に民事再生に陥る企業が調達する資金が、たったの3%弱程度で可能なんですか?(笑)
これが、今年6月になると、「27.073%」という超高利回り(*)債券に化けているんですよ(マネックス証券のニュースによる)。
おかしいと思いませんか?

(*):
ちょっと話がズレますが、上限金利規制問題の時、中小企業だって30%の金利くらい払えるんだ、だから上限なんかいらない、とか主張していた輩はいたわけですが、普通社債がジャンク同然の利率(それでも30%未満みたいですけどw)になって払えずにデフォというのは、いいお手本ですな。折角ですから、新たに社債発行して、30%だろうが50%だろうが資金提供してやれよ、とは思うね(爆)。そんな貸し手(引受手)がいるなら、ですけどね。

近藤産業とかいう子会社の破産が今年5月にあったらしく、そこからは深刻な経営危機に陥ったものと思われる。この子会社がどういう経緯でゼファーに「組み込まれたのか」というのが重要なカギだろうと思う。06年に子会社化して、あっという間に破産ですか?
こりゃ、ゴミをくっつけられたんじゃないかとしか思えないわけですが。



もしも私が絵を描くとすれば、こんな感じ(実在企業とは一切関係ありません)。

①ちっぽけな不動産会社(とりあえず「Z」と呼ぼう)を見繕う。
②会社Zの株を買っておく。
③会社Zが売る不動産をジャンジャン買う。
(買い資金はREITや陰ファンド等から調達)
④会社Zの業績がやたらと良くなり、株価上昇。
⑤更に業績を拡大させ1部指定替えに。株式分割でウマ~
⑥会社Zの売上高アップの為に買い続け、業績拡大。
⑦別働隊の株買い部隊に分割後買わせて上げ演出
⑧新株発行で売却できる株数を増やしておく。
⑨高値圏に来たら、売り抜け。ウマ~
⑩後は自力で頑張ってくれ、会社Z。

要するに、会社を大きくしてあげるお手伝いをしてあげましたよ、ということかと(笑)。指定替えとか、株式分割とか、新株発行とか、社債発行とか、そういうのを一切合財色々と皆で面倒みてあげて、売上高上昇にも貢献してあげて、株式を売り抜けたら後は自力でどうぞ、ということではないでしょうか。売り抜けられなかった人もいると思いますけれども、一応大株主はSBI の持株会社であろうということのようです。誰かが誰かに騙されて、「掴まされちゃった」ということではないんですよね?



近藤産業とかいう得体の知れない会社を子会社化する意味というのが、まるで判らん。処理に困っていたゴミを一箇所に集めて、それを抱かせたまま何処かの会社に押し込めよ、ということで回されてきたかのようです。このような事態は、前にも少し見た記憶がありますよね。
コレです>リーマン提訴の謎

マンション等不動産は転売したり、色々なルートで処分したりして資金はある程度回収できたはず。なので、不動産を買い進めること自体は、さほど困難ではないだろう。例えば賃貸し予定ということで一括で買い上げ、空室だろうと入居予定が埋まらない状態だろうと関係なく、買い進めればいいだけだから。うまくいけば、不動産の転売益があったかもしれないし。その一方で、会社業績がやたらと良くなるから株価は上がるし、社債で資金調達さえ可能だろう。大株主として「SBI」の後ろ盾がついているのだろう、という市場への安心感を与える効果もあったろう。


売上高規模が小さければ、可能だったと思えるね。サクッと処理できなかった不動産なんかは、どこかの筋を使って抱えさせたりして、その代わりといってはナンだが、残りもののゴミを一緒に詰め込んだ会社を「子会社化」させ適当に処理してくれ、ってなことですかね。株の売り抜けさえ成功すれば、相当の儲けがあったに違いありません。不動産買い上げのコストなんかを上回る利益があったのではなかろうか、ということです。



いずれにせよ、東証の責任は重大だろうと思いますね。一般投資家を完璧に欺いているのと同じようなものではありませんか。社債の格付け機関にしても、株のレーティングを出していた証券にしても、どこも「倒産危機」みたいなことにはしていなかったのではありませんか?


過去数年の実績が無配でもなければ、赤字でもなく、それが突如倒れるとなれば、どう考えたってオカシイのではありませんか?これは投資家を騙したのと同じですよ、と言っているのです。こんな一部上場企業が許されると思いますか?東証社長は詫びの会見でも開いたんですかね?少なくとも、説明する重大責任はあると思うけど。そんなニュースは見た記憶がないね>東証
以前は例の西室とかいう信頼できそうにない会長だったと思うが(今もそうなの?)、西室時代にはライブドア事件をはじめ、今回のゼファーといい、一部上場企業が「ロクでもない結果」を招いているんだよ。そういう責任をまるで感じていないことこそが、大問題なのだよ。市場を管理、監督する立場にありながら、「誰かの金儲け」のお先棒を担ぐマヌケどもが、東証を牛耳っているせいなのかもしれんがね。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。