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「アニマル・スピリット」とは何か?

2007年09月29日 18時29分14秒 | 経済関連
ケインズが書いた「アニマル・スピリット」ですけれども、これって人間の性質みたいなものを言い表していたのだろうと思いますが、実際のところどうなのか未だによく判りません。行動経済学とか心理学みたいな分野での研究というのが行われているでしょうし、そこから若干の知見はありますが、謎な部分が多いのですね。そこで、私が適当に考えてみることにしました。あくまで思いつき程度のものなので、何かに役立つかどうかも判りません。既に研究されて、答えが出ていることも多数あるかもしれません。

参考記事:
アニマル・スピリット(ちょっと追加)

「不確実性」と資産価格・2


1)目的

投資というのが、ある種の賭けのようなものに似ているような気がするので、何かのゲームの際にも人間の意思決定の代表的なパターンが顕れるのではないかと想定してみました。現実の経済活動では実験することができませんが、それに類するものでなら実験できそうかな、ということです。その為の実験ということです。実験の結果、人間の行動パターンみたいなものとか、陥りやすい罠とか、そういったものがもしあるのであれば、それが現実の経済活動に反映されてしまい、結果的に(短期的な)投資の増加や減少を招くということに繋がる可能性があります。


2)ゲームの内容

親を一人置きます。固定されていれば、人間ではなくても機械でも何でもいいです。
子を何名か参加させ、親と子の対戦という形式とし、子同士では勝負しないものとします。
トランプが割りと簡単なので、これを使います(組数は何組でもいいでしょう。一応お断りしておきますが、私自身はトランプが得意なわけでも好きなわけでもありませんので。カジノに行ったこともありませんので。笑)。

親と子に各1枚のカードを伏せて配ります。ルールは簡単で、親の目(数字の大きさ)と子の目を比較し、大きい方が勝ちということにします。但し、Aの場合は親であれば無条件で親の勝ちとします。他のカードでは引き分けとかも有り得ますが、Aだけは親の無条件勝ちということです。子がAであった場合には、ただの1です。なので、子にとっては一番弱いカードということになります。子の場合だとKが一番大きいカードです。

双方の数字を比べて大きかった方が、子のベットしたチップと同じ枚数をもらえるものとします。例えば、子が5枚賭けていて、親の目が8、子が3であると、子の賭けた5枚は親に没収されます。親の目が同じ8でも、7枚賭けていた子の目がJの時には、親から7枚もらえます。子は1000枚のチップを持ってスタートするものとし、親は無制限にチップを持つものとします。一回の勝負で賭けられるチップの枚数は10~100枚とします。また、カードが配られる前に「パス」を宣言すれば、勝負に参加しないことも選択できるものとします。
子は親との勝負を何度か繰り返し、チップが無くなれば罰を与えられるものとします。何でもいいのですが、トイレ掃除当番を1ヶ月間とか、100万円払うとか、何かの不利益を受ける、ということです。審判が終了を宣言した時ゲームは終了するものとし、チップの保有枚数が1000枚を超えていれば、それに応じて褒美をもらえます。1万円×枚数分もらえる、とか。いつ審判が終了を宣言するかは誰にも判らないものとします。


3)具体的な実験

これが一番重要になってきますが、私には実験をうまく計画することができません。心理学とか何とかの基本的な実験系を知らないので。対照に何を設定するか、とか。

本物のカジノでブラックジャックのテーブルなんかに着席して対戦する場合と、コンピュータ画面だけ見て対戦する場合では、得られる情報の質とか量に違いを生じるので、成績なんかが変わるかもしれません。親(ディーラー)の表情とか、他の参加者(子)たちの様子などでいくらか手掛かりが得られるかもしれないからです。なので、実験ではコンピュータ画面だけ見ている子が、画面の中だけに存在する親と対戦するものとしておきましょう。コンピュータの親とか子の目の采配は、純粋なランダムで現実のカードゲームと同じようなものなのか、何かの仕掛けがあって親や子の目の操作ができるものかは全くの不明なのだ、ということにしておきますか(明示しておく、というのも一つの考え方かもしれません)。もし、意図的に親が勝ちやすいように仕込まれている、とか疑われると、パスして降りる人が多くなってくるかもしれませんしね。


で、対戦の形式を分けて考えてみることにします。

①:親と子が一対一で対戦する場合
最も基本的な対戦方式です。子にとっては他の参照情報はないので、自分の感覚だけを信じて賭けるしかありません。

②:子が複数存在し対戦結果が判る場合
他の子のカードが見えないとしても、対戦結果が判ることで、参照情報を増やすことが可能になります。自分が何番目の対戦者なのか、ということに意味が出てくるでしょう。

-1:カード配布前にベットしなければならない
自分のカードの目を見る前にチップを賭けるとなれば、情報が少ないので目を見てからチップを賭けるよりも不利になりやすいのではないかな、と。

-2:自分に配られたカードだけ見ることができ、その後にチップを賭ける
カードを見てから賭けられるので、負けそうだなと思えば最小の枚数にしておくとか、いいカードの場合には多く賭けることが可能になります。見られない場合よりも有利に働くだろうと思われます。

これらの組み合わせから、条件設定を変えることができます。

・①-1
勘だけを頼りに賭けるしかないですね。この単純な実験からでも何か考えられそう。
調べてみたらいいのでは、と思うのは、連勝と連敗の時のチップの変化ですね。例えば、5連勝でチップが溜まっている状況の人をわざと作り出した時(親側からは見えているけれど、対戦者である子はそのことを知らない)、6戦目のチップを何枚賭けるか(パスを選択するか?)、とかを知りたいな、と。「そろそろ負ける頃かも」とか思う人ならパスするとか最低枚数の10枚だけ賭けるかもしれません。それとも、チップに余裕があるし、勢い重視で勝負に出てくるかもしれません。逆に、負けが込んでくると不安になってくるので、チップの枚数に何らかの変化があるかもしれません。もうそろそろ勝つはずだ、と思っていても9連敗しているなら、10戦目のチップはどのくらい賭けるでしょうか?こういう滅多に起こらない連敗をわざと作り出した時、チップの変化があるのかどうか、何戦目くらいで変化するものなのか?

・②-2
カードゲームでは多い状況かもしれませんね。
自分より前に対戦者が1人だけだとします。親の目は判りませんが、自分の札は9だったとします。前の人は負けました。さて、自分のカードにはチップをどのくらい賭けるか、ということです。このように、カード配布前に賭けたり、自分だけしかいない時よりも、参考にできる情報が多くなりますので、賭ける判断材料が多くなります。自分より前の対戦者が1人ではなく、10人いて、このうち7人が負けたとしますと、どうでしょうか。自分のカードの9だと、結構不安があるのではないでしょうか。7人も負けるということは、親には結構大きい目が入っているに違いない、という風に考える人が普通は多くなるでしょう。

これも連敗を敢えて作り出し、その時の賭けるチップ枚数にどういう変化が見られたか、とか是非知りたいんですよ。例えば、親に連続で10以上の目をわざと入れておき、子が10人とか20人とかいるけれども、その大半が3連敗を食らってしまったような状態を作ります。この3戦でみんなはかなりの枚数のチップを奪われており、その数字は画面上で表示されていて確認できるものとします。あなたは「みんなも結構やられたな」と思いながら、次の対戦について考えるわけです。で、ここから更に悪夢のような事態を演出してみます。親に総取りのカードAを3回連続で与えるとします。すると、参加していた全員はみんなチップを取られるわけです。もしあなたが20番目の人で、前の19人全員が取られている様を見ていたら、チップを何枚賭けるでしょうか?多分、最低枚数ですよね。配られた後ではパスできないので、仕方なしに10枚賭けるしかないんですよね。

こういう連戦連敗みたいな状況から、それ以降賭けられるチップというのはどうなるんだろうな、と。

逆に連勝を生み出すと、どうなるだろうな、と。割りとみんなが買っている時、チップをケチケチするだろうか?例えば同じ7のカードであっても、保有チップの枚数によって賭ける枚数に違いはあるだろうか?とか。賭ける枚数はどう変化するであろうか?連勝が続いた後ではパスを選択する人の比率には変化があるだろうか?
それとか、自分より前の人20人のうち、18人が勝利している時、あなたの目が5でも「勝てるかもしれない」と予想する人は少なくないでしょう。そうなれば、どの程度チップを賭けるでしょうか、ということですね。

もしも投資行動みたいなものがこういうのと似たような決定機構であるとすれば、何か判るかもしれないと思ったりします。


4)仮説を考えてみる

<仮説1>
1対1の対戦で、通算成績が勝っていてチップの余裕がある時には、負けてる場合に比べて多く賭けることが多くなるかもしれない。

子に配られたのが同じ6のカードであっても、持っているチップが大幅にプラスなら負けて少ない時よりも多く賭ける人が多いのではないかな、と。でも、負けを取り返そうとして、逆に大きく張るタイプの人もいるかもしれないので、実験してみないと何とも言えないですけども。もし親の強さが一定である(ごく普通のトランプと同じような場合)と、6のカードの時の期待値には変化がないので、同じ枚数のチップを賭けるのが普通だろう、ということです。なのに、勝っていると多い枚数を賭け、負けていると少なくなるというなら、それが心理的な問題なのではないかな、と。自分の持っている枚数が正の影響を与えるのではないか。


<仮説2>
自分以外の子が持ってるチップの情報が複数(できれば多い方がよい)判る時(個別の勝敗情報は不明でよい)、「みんなが勝っている」と自分の賭けるチップの枚数が増えるかもしれない。

仮に、何ターンか対戦した後で自分が1000枚(中立ということ)持っていて、周囲の人たちは7割くらいが1100枚以上保有していたりすると(若干は負けている人たちがいても構わない)、大勢としては「みんな割りと勝っている」という認識を生じ、自分が賭ける際のチップが増加したりするのではなかろうか、と。それは同じ6のカードであっても、枚数が変化するのではないだろうか、ということです。逆に、「みんなが割と負けている」という状況の時には、弱気になりがちなので賭ける枚数は減るんじゃなかろうか、と。


<仮説3>
周囲が勝っている情報が多いとチップを多く賭け、負け情報が多ければパスとか少なくチップを賭けるとかが多くなるかもしれない。

親や子のカードの目が判らず勝敗結果だけ判る時、自分に回ってくる前に例えば子の側が大幅に勝利していれば「自分もきっと勝つだろう」と考えて多く賭けることになるだろう。周囲のプレイヤーたちが勝ったという情報はとても重要であり、自分の判断に影響を与える。これが数多く積み重なると、「きっと勝てる」という自信を増強し、カードの目があまりよくなくてもチップをそれなりに多く賭ける人が増えるのではないかな。

このような増強現象が昨日触れた「sensitization」と似ており、より反応を強くするのではないかな、ということです。例えば、弱い痛み刺激が加わると、はじめのうちは弱い痛みとして感じているが、刺激が積み重なっていくと中枢神経系のsensitizationが起こり、痛み強度が増すとか痛い範囲が拡大していく、というようなことです。


<仮説4>
(追加部分です)

今度はちょっと面倒です。チップを2種類用意し、とりあえず青チップと赤チップとします。まず青チップで1対1の通常通りのゲームを20ターン程度やっておきます。で、その時点で持ってるチップ数を基準値としましょう。ここからルール変更です。持っていた青チップを全て赤チップに交換し、最終的に全ゲーム終了後に青チップに戻して精算するものとします。また、これからは各ターン毎に自分の持っているチップから1枚をショバ代(笑)として自動的に取られていくものとします。勝っても負けてもパスしても自動的に取られます。で、5ターン毎に青チップと赤チップの交換レートを画面上の何処か決まった場所に短い時間だけ表示しておくものとします。で、カードが配られると、その交換レートは見えなくなってしまうとします。

これでゲームを進めていくと、勝っている人はチップの総枚数が増えるかもしれませんが、全部をパスすると、5回対戦すれば自動的に5枚減少してしまいます。基準値が1000枚だった人は赤チップが995枚に減少していしまう、ということになります。でも、5ターン後の交換レートが1.005(赤:青=1:1.005)であると、赤チップを1000枚持ってる人は1005枚の青チップに相当し、995枚の人は1000枚(小数は切り上げとしておきます)に相当するのでパスしても特に損をしているわけではありません。

これでゲームを続けると、賭けるチップがどう変化するかを見るのです。実質的に負けていなくても、ターンを重ねるに従ってチップが減っていくので、仮説1と同じように賭けるチップが減るということが起こるでしょうか?交換レートは5ターン毎ですので、次の交換レートがプラスに出るものなのか、マイナスに出るものなのか不明であると、現時点では「青チップ換算で勝っているか、負けているか」ということは判り難いでしょう。ゲームに熱中し過ぎて交換レートを見落とす人などもいるかもしれません。賭け方は何か変化を受けるでしょうか?
これにプラスして、連敗を意図的に仕込むとどうなるでしょうか?10連敗とかを継続した後で、チップの賭け方はどうなってしまうでしょうか?


私の推測ですけれども、赤チップが賭けとは無関係に1枚ずつ減っていくので、勝ってない人にとっては「かなり負けている」のとほぼ同じ効果を持ってしまうのではないかと思います。青チップ換算での実質値を正確に判断できる人はいると思いますけれども、全員ではないでしょうね(事前に実質金利と名目金利を知っている人だけに交換レートの表示をするとか、工夫してみるといいかもしれません)。さらに連敗を与えられてしまったりすれば、かなり弱気になってしまうのではないかと予想しています。これはどういうことかと言えば、デフレが継続し、尚且つ経済環境の冷え込みが続く、ということと同じようなもので、すると賭けるチップ(=リスクのある投資)は減っていくのではなかろうか、と。

これを逆に毎ターンに1枚とか2枚ずつ子に与えていくこともできますね。交換レートを1以下にして実質的に青チップ換算にした時には増えていない、という調節も可能です。この場合だと賭けるチップはどう変化するでしょうか?少しだけですけれども赤チップの枚数が増えていく人が多くなるはずですので、多分毎ターン減らしていく場合に比べると賭けられるチップは多いのではないかな、と思います。



バブルや投資(昔でいう「財テク(死語?)」ではなく、設備投資や新規事業のような投資)抑制については、別な記事で。





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