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中国の実質GDPはいくらが妥当なのか?

2010年04月04日 17時55分03秒 | 経済関連
米国は、中国の為替操作国認定を当面は「うやむや」にしておきたい、という意向のようです。ガイトナーがヘタレだから、とか、そういう理由ではないでしょう。もっと外交的かつ政治的な理由からでしょう。裏でいうと、中国側が何かについて若干の譲歩を示したから、ということなのではないかと勝手に推測しています。
ま、これは別にいいですが。

テレビとかの報道なんかでは、「中国に抜かれる!」とかいう大袈裟なご意見をよく目にするわけですが、だから何だっていうの?こういう気質の人たちばかりだと、隣の家の亭主の給料が上がって、「隣の御主人は給料が倍になって羨ましわ。アナタの稼ぎは抜かれたわよ」とか嫌味を言う奥さんみたいなもんですか(笑)。いいじゃん、別に。
稼ぎが増えて良かったね、でいいじゃないの。そんな程度のものを、いちいち比べて気にしてたら、生きていけないだろよ。病気になるぞ?

人口規模と国土面積だけ考えたって、どう見ても中国の方がデカイんだから、多くても当たり前なんだって。それは普通さ。他人を気にする前に、日本は自分たちはどう生きるかということを考えた方がいい。他人を気にしている場合ではない。


で、問題のGDPなんですが、名目GDPばかりが取り上げられるから、よく判らないんですよね。長期系列とかも、基準年がどこかということで、変わってくるだろうし、データの信頼性とかも関係するだろうしね。

ジェトロや日本の政府統計などから判る部分を挙げておくと、次の通り。

《名目GDPのドル換算値と現地通貨ベース値》

年 (10億$)  (千万元)  
98  1019.5  
99  1083.3
00  1198.5    992146
01  1324.8    1096552
02  1453.8    1203327
03  1641.0    1358228
04  1931.6    1598783
05  2235.9    1832175
06  2657.9    2119235
07  3382.2    2573060
08  4327.0    3006700
09  4910.0    3353530

※但し、
1.09年は現地通貨ベースのみの公表データであったので、1ドル=6.83元の平均レートの想定で4兆9100億ドルと推計
2.98年と99年は現地通貨ベースの名目GDPは調べてない


この名目額の増加の仕方を見れば、一見して「ああ、随分と多いのだな」ということが判るはずです。問題は、名目額だけが公表されているものの、実質額は正確に判らない、ということなのですね。

次は、実質GDP成長率と消費者物価指数、そして、名目GDP(元ベース)の増加率を並べてみる(名目の増加率は、(01年GDP-00年GDP)/00年GDP×100の%表示)。

 実質成長率  CPI    名目増加率

00   8.4    0.4    ―
01   8.3    0.7    10.5
02   9.1    -0.8    9.7
03   10.0    1.2    12.9
04   10.1    3.9    17.7
05   10.4    1.8    14.6
06   11.6    1.5    15.7
07   13.0    4.8    21.4
08   9.0    5.9    16.9
09   8.7    ?     11.5

こうなっているので、合わないような感じなんですよね。インフレ率は不正確、とか、統計調査そのものが全般的に不正確とか、そういうことなんでしょうか?
うーん、どうなんだろ。


実質額について、スタートの額が00年の9兆9214.6億元と仮定して、人民元ベースで01年以降の上記実質成長率で計算してみると、05年で15兆6739.3億元、09年でも23兆4404.3億元、ということにしかならないんですよね。名目値の33兆5353億元とは大幅にかけ離れており、公表されている33兆元超と比較すると、約69.9%でしかないわけです。つまり、約3割は底上げされた名目値なんじゃないのか、という話ですね。

よく世銀なんかの数値とかで、購買力平価というのもあるわけですが、確かに一部の大金持ちには該当しているのではないかと思えるが、本当にこんな程度なのだろうか、ということは思いますね。インフレ率が低い、というのも、香港、上海、北京などの大都市部でもそうなのかといえば、かなり違うように思えるからです。香港は香港ドルがあるから若干違いはあるが、それ以外で考えても、都市部の物価上昇率や賃金上昇率は数%などという水準ではないように思われる。

だとすると、名目GDPが大きいというのは、こうしたインフレ率による嵩上げの結果、というのと(物価上昇率が低く算出されている)、実質GDPは思いのほか小さく、中国全土での統計ということで、格差が大きいだけなのではないのか、という予想が否定できないのではないかな。
大都市部は、高いインフレ率と名目GDPを牽引する経済、しかし実情というのは実質GDPが低いままなのではないのか。全土に均等化してゆけば、それは確かに消費者物価の上昇率が低下する、ということになるのではないかなと。

因みに、実質額が23.4兆元程度であれば、6.83元のレートで計算した場合だと、3.432兆ドルにすぎないので、日本と比べてもかなり小さい経済、ということになると思うが(笑)。


以前に記事を書いた時にも、データを見て計算したと思うが、ネットで調べただけだったので、忘れた。
どうすれば、日本はデフレを脱却できるか?~その5

ただ、00年から08年とか09年という倍率を見ても、当方の予想数字で大体合っているような気がするけどね。平均で年率10%成長を続けたとしたって、やはり名目GDP値の増大の仕方はあまりにおかしい、ということは判るわけだから。

なので、嵩上げされた名目値だけを見ても、あまり意味はない。
実質GDPが23.44兆元に過ぎないのだとすると、円換算(1元=13.3円として)でも312兆円くらいに過ぎない。これは日本経済の大きさの約6割程度でしかない、ということである。ただ中国の場合には、日本と違って、極々少数の金持ちに富が集中している。それは、最も憎むべき共産主義の敵であるはずの、資本家階級の連中、ということである。共産党独裁国家の憂鬱は、まさにここにあるのだ。

本来打倒すべき資本主義の犬である大金持ちは、世界の長者番付のトップに並ぶほどであり、その人間がいることで中国経済の繁栄を支えているという皮肉である。
共産主義という欺瞞は、統制の為に用いられるだけであり、ごく一部の金持ちが特権を享受するという、中国では数千年前から繰り返されてきたことが、今もまさしく起こっているというだけに過ぎないのである。これが悲しいかな、現実なのだ。


まあ、政治的な話は別として、実質に目を向けるべきなのではないか、と改めて言っておきたい。




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