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若者から金を巻き上げる奨学金制度を抜本改革せよ~育英資金こそ必要

2016年06月30日 20時02分03秒 | 政治って?
今の国の制度というのは、学生相手に高利貸業を営んでいるような、ある種のボッタクリ商法である。
どうしてかって?
国が借金する際には、史上最低金利で調子こいて資金調達できるというのに、一般の学生諸君には、その何倍もの高金利で貸し出して、そこから別方面に利益を流し込むという、鞘取り商売を公然とやっているからだ。


こうした悪しき体制について、根底から変えない限り、学生の苦境は続くだろう。いくら口で言っても効き目がないので、拙くとも独自案を提示することにした。


まず、日本学生支援機構の財務書類はこんな感じ
>http://www.jasso.go.jp/about/disclosure/zaimu/__icsFiles/afieldfile/2015/10/20/26fs.pdf

予算>http://www.jasso.go.jp/about/disclosure/zaimu/__icsFiles/afieldfile/2015/10/20/26yosan.pdf



基本的な問題として、機構はヘンな自転車操業状態である。どうしてこんなバカな制度にされたのかは不明だが、機構が躍起になって債権回収に勤しむというのは、資金の構造に問題があるからだろう、とは思う。
これまでの大雑把な仕組みとしては、以下のようなことである。


機構が借入(短期借入が年3兆8320億円のロールオーバー)
 ↓
学生に貸与(年間約1兆円超)
 ↓
学生が利払い+元本返済
政府からの交付金等
 ↓
機構が借入先へ利払い=学生から金融機関への所得移転


あと、機構の主要な収入というのが、貸与金の利息378億円+延滞金41億円ということで、延滞利息が収益源の柱と化していることだ(他方、国の運営交付金収入は僅かに126億円である)。延滞の回収というのが、機構の重要な地位を占めてしまっているビジネスなのだ、ということなのである。


長期借入金が7兆4800億円だが、借入金利を下げるべく短期借入割合を増やしているものと思われるが、それでも資金繰りは安定しているわけでない。1年内返済予定の流動負債で約1兆円である。

これら利払い負担は年360億円である。予算額では512億円を見込んでいたが、金利低下の恩恵を受けて短期借入金利負担は減少したものと思われる。


となると、貸与奨学金の金利収入はほぼトントン、延滞金部分で40億円上回るが、免除や貸倒でそれは軽く吹き飛ぶ(例えば返還免除損は309億円)ということになろう。


で、拙ブログの独自見解として、以下のスキームを提案したい。

(仮称)日本学生支援機構改革支援特別措置法
(何を言っているのか、分かり難いでしょ?霞が関命名法への皮肉ですわ。本番は、もっと別な名称でお願いします)


1)資金調達

政府が日銀に対し、政府保証債務の申込みをするか、政府保証借入書を担保に政府預金で資金を調達する。金額は30兆円である。

・政府: 借用書か政府保証債?を日銀差し入れ
・財務省: 日本国債30年債を発行し、市場で売却&30兆円調達
・日銀: 財務省の30兆円と同時に政府預金の30兆円分を市場供給

財務省から政府に30兆円の国債売却代金が入る。これを本改革案の原資とする。

市場に対しては、国債需要に応えるべく30年債の供給ができる、同額が日銀により供給されるので、吸い上げた資金は中立、と見做せる。
また、政府への直接の日銀引き受けであるとの批判を回避できるので、面倒だが30年債発行手続をする。この措置は、一般会計の措置とは別建てで行うので、通常の予算案とは異なる法案とする。


2)何故30年債発行なのか

政府や財務省が常々「財源がない」と大騒ぎするので、30年先までの予算予約と同等の意味を持たせる為である。他には取られない。上限もぴっちり決まってしまう。よって、「財源がない」説を封じる為に資金調達を考えたものである。

では、国債発行を30兆円も行って、返済はどうするんだ、ということになるわけだが、日銀の国債買入額のうち、2年債か5年債の分を年1兆円ずつ減額する。
例えば、毎年平均で2年債20兆円買入を実施しているなら、本資金調達実施後からは19兆円に減額する、ということである。その減額分は政府預金で最終的な30年債償還財源として確保する。残存期間の違いなどがあるので、どの債券購入額を1兆円分減らすか、というのは、日銀の自由であり裁量に任せる。原則としては、年1兆円減額なので、2年で2兆円を目途に調節してもらえればよい。国債が毎年1兆円程度買入消却となるわけだが、この現金を戻さず日銀がキープしておくことで、30年債の償還財源が確保できる。

マネタイズではないか、との指摘には、そうだと答えておこう。だが30年先まで財源確保の方が重要だと思うので。


3)調達した30兆円をどう使うか

さて、巨額資金を手に入れたら、どうするか?日本支援機構に30兆円が入金される。名目は政府出資金とかで資本部分に入れる。
これで借入金を一掃するのである。前述の通り、約8.5兆円の借入自転車操業になっているので、一括返済する。一部繰り上げ償還できない債券があれば、それを残すのは可。数十億円レベルだろうと思われるので、大勢に影響ない。

で、大まかに、借金8.5兆円分は減るので、30-8.5=残額21.5兆円となる。これを基金勘定20兆円と、残り約1.5~2兆円という部分(運営勘定)に分ける。毎年の資金移動というのは、実態としては、1兆円強であり、返済と借換みたいなことで、動いている。なので、2兆円規模の資金があれば、十分年度毎の運営はやっていけるだろう。

従って、30兆円は、
・借金返済 8.5兆円
・基金勘定 20兆円
・運営勘定 1.5兆円
となる。債務超過だったわけではないので、1.5兆円+これまでの資産残が運営勘定に加わることになろう。


4)基金勘定はどういうものか

当面、すぐに巨額資金が必要になるわけではない。そこで、これを貸出するのだ。かつて、政府機関が何で金融機関みたいな真似をしてるんだ、金融業に手を出すな、とか言われて、体質を変えたわけですが、これを逆手に取られてしまったので、再び逆転させるのだ。

20兆円で地方自治体貸出(or地方債購入)、政府保証債購入か借り手の振替、ということに使うのだ。現状では、地方公共団体や政府機関や高速道路会社などが金融機関借入や債券発行で資金調達してる分があるわけだが、これは少ない額ではない。

ある意味で、金融機関への「政府からの利息のプレゼント」と言ってもよいものだ。その一部を機構にぶんどって来る、ということである。機構が優先的に20兆円の資金を運用できるよう、取り計らうものとする、というのが特別法の含意である。
例えば自治体が借入か地方債で利息を0.4%払っているなら、これを0.35%に減額する代わりに、機構が優先的に貸出できる、ということにするのだ。これにより、機構の20兆円は安定的に運用できるはずだ。借り手の自治体も助かる。嫌な顔をするのは、これまでの貸し手か債券投資家たちだろうけれど、絶対額が小さいので大したことではない。

しかし、機構にとっては、小さくない。20兆円の平均年利が0.1%水準であっても、200億円の利息収入になるのだ。しかも利払いゼロで。払ってた360億円が消えて、逆に200億円もらえる立場になったら、560億円の出入りだ。これは大きい。

なので、基金勘定は、運用収益を運営勘定に繰り入れる、というのが第一の目的である。運用は全部を長期運用にしても取り崩せなくなるので、バランスが必要。2~3年先に取り崩す分は、短期運用にしておき、残りは長期で利回り追求とか。

それから、基金なのだから、30年間の財源としての意味がある。年平均1兆円の予算枠があるものと考えてよい。ただ、それだけの資金需要が直ちには生じないなら、取り崩し額は一定ではなく若干減ることがあっても可である。多くなるのは、原則としてよろしくない。


5)運営勘定はどうなるか

これまでの有利子貸与が約6兆円あり、これの返済があるだろう。ざっと6000億円。無利子貸与2兆円もあるが、返済割合とかはよく分からない。

仮に、基金取崩額1兆円+運用利益200億円が運営勘定に毎年繰り入れられるとして、この他に政府交付金や補助金等はこれまでの水準維持として約400~500億円、過去貸与分の返済6000億円が来るわけだ。

これが奨学金や教育投資の原資、ということになる。一般会計からの変動というのは、運営交付金等の数百億円部分だけである。過去の文教予算からして、困難とは考えられないだろう。

年間1.7兆円規模の財源が確保されたということである。

例えば、次のような執行が考えられよう。

①授業料の減免(全額、半額など)
保護者の所得水準に応じて、国公立大学の授業料・入学金還付等の減免措置を実施。
1人平均50万円として、50万円×10万人=500億円 でできる。

②無利子貸与 
1人当たり年60(月5)万円×30万人=1800億円

③給付型奨学金
1人当たり年30(月2.5)万円×10万人=300億円


①~③で2600億円しか、かかってない。無利子貸与を増やしても、1兆円は大丈夫だろう。


よって、基金勘定の取崩額を減額できるか、給付を増額してもよいということである。これが実現不可能だとは思えないが、どうだろうか。