ISOな日々の合間に

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ローマ人の物語 単行本37巻 最後の努力(下)

2010年01月21日 | お楽しみ
JRやANAなどで移動の際、折に触れ読んできたこの単行本も、単行本全15巻の13巻分に相当する文庫本が終わろうとしている。残りの文庫本の発行予定は、単行本第14巻「キリスト教の勝利」の分が2010年、最終の15巻「ローマ世界の終焉」分が2011年と予告されている。この文庫本を読み始めたのは決して早い時期ではないが、いつの間にか追いたことになる。

オリエントのパルティアやペルシャからの侵略、ライン川を北方や東方から越えてくる蛮族、ドナウ川を超え奥深く侵略する蛮族など、東方と西方両面での危機への対応。それに伴う国土の荒廃や軍備増強のための増税による国力の衰退。政治上の知恵袋であったはずの元老院と皇帝との意思の疎遠、制度疲労などにより皇帝の絶対専制君主制への移行。

以下の刊の帯にあるサワリを読むだけでもローマ帝国の衰退の流れを垣間見ることが出来る。

No.31「終わりの始まり・下」:「それにしても、内戦はやはり悲劇である。犠牲になった個人にとっても悲劇だが、「国家」にとっても悲劇である。これさえ起きなければ、ローマ帝国という「共同体」に貢献できた多くの有能な人材が、ただ単に敗者になったというだけで消されてしまう。(中略)それを避けるためには、帝位の世襲という、ローマ人が飲み下すのに慣れていないことまでした、マルクス・アウレリウスの悲願がいまさらのように思い起こされる。

No.34「迷走する帝国・下」:「…ティベリウスが考え、ドミティアヌス帝が工事をはじめ、ハドリアヌス帝が鉄壁化し、マルクス・アウレリウス帝が補強することで、二百五十年もの歳月ローマ帝国を守り続けてきた「ゲルマニア防壁」は、三世紀も後半に入ったこの時期を境に、その機能を停止したのである。ネッカー河もシュヴァルツヴァルトも、再びゲルマン民族が闊歩する地帯に戻ったのである。」

No.37「最後の努力・下」:「歴史家の中には、ローマ史の叙述を、コンスタンティヌスの時代の到来とともに止めてしまう人が少なくない。(中略)確かに、共和政・帝政を通じてローマ的とされてきた多くの「特質」は、コンスタンティヌスが統治するようになって、決定的といっても良いくらいに失われた。だが、これらは既に三世紀から崩れはじめ、ディオクレティアヌスの改革によってもはや後戻りは不可能なまでに変えられていたのだ。」