シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

レ・ミゼラブル

2012-12-25 | シネマ ら行

これも「ホビット」同様、ずっとずっと楽しみに公開を待っていた作品です。まずアンハサウェイが新作のために髪を切ったというニュースがあって、それもショートカットとかいうのではなくて写真を見るとトラ刈り状態。彼女は「レ・ミゼラブル」のフォンテーヌ、ヒュージャックマンがジャンヴァルジャン、アマンダサイフリッドがコゼットを演じるという。しかも、それがミュージカルだっていうんだから、もうそれからは楽しみすぎてしょうがなかったです。ワタクシ、昔はミュージカルって嫌いだったんですけど、最近結構好きだな。歳取ったせいなのか?

何より、先にレコーディングをしてあとで口を合わせて撮影するやり方ではなく、撮影しているその場で歌って収録したというのも期待感を大きくさせる一因でしたし、キャスティングは現在の映画界で考えられる最高のキャスティングと言えるということも大いに気持ちを盛り上がらせる一因でした。

ヒュージャックマンはもともとミュージカルやってた人だし、アマンダサイフリッドは「マンマミーア」やその他で歌唱力は証明済み。アンハサウェイって歌えるの?って思ったら、お母さんはミュージカル女優だったんですね。いつか自分もこの役をやりたくてボイストレーニングはずっと受けていたとか。彼女が歌う「I Dreamed a Dream」は予告編で聞いた時から涙が出そうでしたが、本編で見るとより一層素晴らしく、口をぽかんと開けて見入ってしまう歌い上げっぷり。エモーショナルなシーンで涙を流しながら痛々しげに歌う姿に心が震えました。あれほどのシーンをノーカットで撮り切ってしまうというのは非常に勇気がいったんじゃないかと思いました。

ジャンヴァルジャンを執拗に追い続けるジャベール警部にラッセルクロウ。ラッセルクロウ???あの無骨なイメージの?ジャベール警部ってあんまり歌うパートないの?と思ってたら!ごめんよ、ラッセル。あなたがあんなに朗々と歌うことができるなんて想像だにしなかった。彼が自殺の前に歌う「Javert's Suiside」という曲はジャンヴァルジャンが歌う「What Have I Done?」と同じメロディで二人のアイデンティティについての想いを歌います。

コゼットと一目惚れの恋に落ちるマリウスにはエディレッドメイン。彼も最近映画の出演が非常に多い若手だけど、なんと歌も非常にうまい。貧乏弁護士でありながら、実はええとこのぼんぼんという雰囲気もエディレッドメインにぴったりでした。

そのマリウスに恋しているコゼットを虐待して育てていたテナルディエ夫妻サシャバロンコーエンヘレナボナムカーターの娘エポニーヌサマンサバンクスは今回もしかしたら一番の注目株になったかも?マリウスがコゼットに恋してしまったことを知り、恋に破れたエポニーヌが歌う「On My Own」は本当に切なさがこもっていて、もらい泣きしてしまいそう。彼女に決まるまでは様々な有名な歌手や女優の名前が候補に挙がっていたようですが、彼女に決めて完全に正解でしたね。

アマンダサイフリッドに関しても歌唱力は証明済みと書きましたが、それでもあんなに高音が出せるとは思わなかった。トムフーパー監督が「天使の歌声」と評していたのがよく分かります。

ジャンヴァルジャン以外にここまで挙げたキャストたちは、みんなだいたい平等に助演といった感じですが、ジャンヴァルジャン演じるヒュージャックマンはもちろん断トツに出演時間が長い。そのヒューが当然一番存在感があり、歌声も素晴らしくこの長い映画をぐいぐいと引っ張っていきます。ジャンヴァルジャンという複雑な要素を持ち合わせた男を歌声だけで、きちんと表現していく力は素晴らしかったです。

彼らメインキャストの他にも革命を引っ張るアンジョルラスアーロントヴェイトも良かったなぁ。彼はこれから映画に出演してくれるでしょうか。これからの彼の動向に注目していきたいです。二人の子役ももちろん歌が上手だったな。他の囚人、女工、売春婦、群集を演じる人々もミュージカルのキャストから選ばれているから全員が素晴らしい。

歌が素晴らしい素晴らしいと何度も書いてしまいましたが、もう本当にそれだけ何度も書いてしまうほどに素晴らしかったです。そして、それプラス壮大なカメラワークで映画ならではのスケール感を楽しむこともできました。最後の総キャストで歌う「Do You Hear the People Sing?」のシーンなどは舞台では味わえない迫力でしょう。

ほぼすべてのセリフが歌というタイプのミュージカルなので、拒否反応を示す人は全然ダメだと思いますが、そうでない方はぜひご覧になってほしいです。上映時間は2時間38分と長いですが、まったく長さは感じない心を揺さぶられる名作を今年の最後に見ることができて非常に幸せでした。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿