シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

アンコール!!

2013-07-29 | シネマ あ行

もうこれ、ど頭に書いちゃいますけどね、テレンススタンプがちょーーーーーカッコ良い!渋くて優しくてでも偏屈で頑固じじいなんだけど、奥さんヴァネッサレッドグレーヴのことはめちゃくちゃ愛しちゃってるんだよねー。この性格のせいで息子ジェームズクリストファーエクルストンとはうまくいってなかったりもするんだけれども。テレンススタンプと言えばこれまでも渋い役者の代名詞みたいなもんだったけど、この作品がいままで見た中で一番カッコ良かったなぁ。

突然テレンススタンプ絶賛から初めてしまいましたが、、、この作品、初めて知った時テレンススタンプがこんなお涙頂戴系に出るの?と思いました。テレンススタンプにはなんかハードボイルドなとっつきにくイメージがありましたから。

内容は老人合唱団のお話です。アーサー(テレンス)の愛妻マリオンの趣味は同世代の仲間と集まってやっている合唱団、その名も「ザ・年金ズ」。アーサーは送り迎えはするものの合唱団には参加しない。以前ガンを患って以来体調が優れない妻を気遣って合唱団なんてくだらんことはやめろとさえ思っている。

ある日、練習中に倒れたマリオンはガンが再発したことを知らされる。「ザ・年金ズ」が大会の予選に参加することになり、コーチのエリザベスジェマアータートンは余命いくばくもないマリオンのためにソロを用意してくれた。見事予選を通過する「ザ・年金ズ」だったが、本大会の前にマリオンは息を引き取ってしまう。

息子と会うのも拒否して一人寂しく暮らしていたアーサーだったが、実は「ザ・年金ズ」のことは気にかかっていたし、アーサーのことを気にかけてくれるエリザベスに少しずつ心を開いていき、「ザ・年金ズ」の一員になることを決めた。

バネッサレッドグレーヴが予選で歌う「トゥルーカラーズ」がめちゃ泣けたなぁ。その前からすでに随所で泣かされていたんですけど、あの「トゥルーカラーズ」はすごく良かった。70代の人が歌うのだから声量もあまりないし、歌唱力もすごくうまいかと言われたらそうでもないんだけど、なんだろうなぁ、あのこれまで生きてきたその人の人生が表れるっていうのかなぁ、なんかこう書くとベタな気がするけど、ほんと歌って歌唱力だけがすべてじゃなくて、その人そのものが見えてしまうのだなぁという感じでした。そして、それがアーサーの「トゥルーカラーズ」をマリオンだけが知っているというシチュエーションにもピッタリ合っていて、それを恐れずに見せてというメッセージがマリオンが亡くなったあとのアーサーの行動にもリンクしていてこれまた泣けました。

すごくありふれた設定の作品だと思うんだけど、なぜか最初から最後まで泣けました。老いとか夫婦愛とか考えちゃうからかなぁ。でも全然それが暗いものではなくてこんなふうに老いていけたらいいなと思えるものなんですよね。息子との確執についてはちょっと都合が良過ぎるところはあったと思うけど。だってあんな人が自分のお父さんだったらきっと本当に傷つきながら育っていただろうし。でも彼らの雪解けが徐々に孫を介した形で描かれていたのでそれも許せる範囲だったのだと思います。

老人の合唱団については昔「ヤング@ハート」という実在の合唱団のドキュメンタリーを見たことがあって、合唱団の構成員とか選曲とかがすごく似ていたけど、あれは確かアメリカの話だったな。老人合唱団がロックとかヘヴィメタとかやるのってすごくいいな。こういうのが日本にもあればいいのになぁ。あるけどワタクシが知らないだけですかね。日本だとあんまりポップスとかロックとかはやらないイメージがあるから。

ジェマアータートンは「タイタンの戦い」や「プリンオブペルシャ」で女神さまやらお姫さま的な役ばかりしか見たことなくて今回初めての生身の人間といった感じだったんですが、すごく良かったです。彼女の特徴のある声とイギリスアクセントの英語がマッチして素敵でした。

最後の本大会のところは予定調和ってやつでしょうけど、こういう話はあれでいいんです。最後のアーサーの歌も感動したしね。テレンススタンプは歌も上手でした。孫娘の"Come on Graddad!"は予告編で見ていたにも関わらず感動しちゃいました。最後の展開に感動できるのもポールアンドリューウィリアムズ監督のそれまでの丁寧な作りのおかげだと思います。