シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

31年目の夫婦げんか

2013-07-30 | シネマ さ行

結婚31年目のケイメリルストリープとアーノルドトミーリージョーンズの夫婦。子供は2人とも独立し夫婦2人きりの生活だったが、寝室は数年前から別々。ケイはおめかしして勇気を振り絞ってアーノルドの寝室へ行くが、「今日は疲れてるし、その~、あの~」とごにょごにょ言われてしまい退散。ケイはこのままの結婚生活を死ぬまで送るのはイヤだと有名なカウンセラー・バーナードフェルド医師スティーブカレルのカップルカウンセリングに申し込む。4000ドルもする短期集中カウンセリング。アーノルドには内緒で申込を済ませ、もうお金を払ったから一緒に来てと誘うが断られる。怒ったケイは私一人でも行くわ、と家を出ていき、アーノルドは職場の離婚経験のある同僚に妻を喜ばせるようなことをしておいたほうが身のためだと言われ渋々ついて行くことに。

このフェルド医師のカップルカウンセリングというのは、ようはセックスカウンセリング。ケイはセックスレスになってしまった2人の関係をどうにかしたいと考えている。アーノルドは現状に不満などなかったし、ケイがそんなことを考えていることすら知らなかった。カウンセラーの赤裸々な質問にアーノルドはカンカンに怒ってしまう。

たまたまなんですが、「アンコール!!」と連続で熟年夫婦ものを見てしまった。あちらはほのぼの感動系だったけど、こちらはちょっと深刻。「アンコール!!」よりは少し若いカップルだけど、熟年夫婦のセックスレスを真剣に扱っている。少し笑えるシーンもあるけど、内容としてはかなりマジ。こういうカウンセリングの実際のプロセスが語られているのかどうかは分からないけど、スティーブカレル演じる医師には一切お笑いはナシ。なので、彼のズッコケ具合に期待して行った人はガッカリしたんじゃないかなぁ。ワタクシは彼がスムースにいかにもカウンセラーって感じで話すのがいつもの彼とは違うけど、全然違和感なくて好きでした。

熟年夫婦のセックスレス問題なんて、見たくも聞きたくもないやい!って人にとっては「オエー」っていう展開です。2人でした最高のセックスについてだとか、2人で実際にはしたことのないどんな妄想をするかとか、では今晩お互いに触れ合ってみましょうとか、色々踏み込んだところを見せられ聞かされますから。ワタクシは熟年夫婦だってセックスしたいと思って何が悪い!?と思っているし、中高年・老人の性についてもっとオープンであっていいと思っているタイプなので、全然何とも思わなかったというか、いいじゃない、と思いました。

ケイがアーノルドとのセックスを復活させたいと思っているのはやはりそこに愛があるからだし、アーノルドだってめっちゃくちゃ文句言いながらもケイについて来たのはそこに愛があるから。なんとなくセックスしなくなって今更気まずいと思っていてもちゃんとカウンセリングに来たアーノルドにはまだ改善の余地があったということ。そうでなきゃあそこまでついて来ないもんね。あれ以上冷え込んでたらもう改善は無理だろうなと思うけど、フェルド医師は2人の関係が終わる手伝いもすると言っていたので、そのあたりはリアルだったと思う。フェルド医師は魔法使いでも何でもない。ただ手助けができるだけだ。

あれで4000ドルってのは高い気もしたけどあの夫婦は多少余裕のある生活をしてそうだったし、あれで2人の絆が取り戻せたならケイにとっては安いもんだったのかも。2人が取り戻したものってやっぱりセックスだけではないんですよね。それももちろんそうだし、同時に心の絆も取り戻せた、というかアーノルドがちゃんとケイの心に向き合うことができたということなんだよね。ケイだってただ欲情していたワケじゃないんだし。

今回メリルストリープはどこまでも普通のおばちゃんだったんですが、やっぱり上手だねぇ。トミーリーは「苦虫を噛み潰したような顔」ってのを辞書で引いたら出てくるよっていう顔をほとんどのシーンでしてましたね。でも照れたり、ちょっとエロ嬉しそうな顔したり、悲しそうな顔したりと普段の作品では見られない表情をたくさんしているかも。お久しぶりのエリザベスシューが良いシーンで登場したので、あの後もちょっと関わりがあるのかと思ったらあんなちょっとだけだった。

これ、本当に熟年夫婦で見に行ったらどうなるのかなー。2人の関係を見直すきっかけになるか、それとも気まずーーーーい雰囲気で帰るハメになるか…