シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

時計じかけのオレンジ

2005-09-06 | シネマ た行
この作品を見たのはもうかなり前のことだと思うけど、その頃スタンリーキューブリックに対してはすごく難解なイメージがあった。なんか評判を聞いてそう思っていただけなんだけど。この作品を見るとワタクシには大して難解には思えなかったし、「2001年宇宙の旅」なんかに比べると見やすい作品とも思えた。

悪いこと三昧の主人公マルコムマクダウェルが仲間の裏切りによって捕えられ、強制的に更正するように無理やり残虐な映像を見せられ、それに嫌悪感を抱くように教育される。そして、最終的に更正したかに思われたが…

製作年度は古い(1971年)がテーマは普遍的というかそれ以上にその当時に将来を予見したようなテーマとなっている。現在、先進国で実験がされている犯罪者の社会復帰プログラムに通じるものがある。今、現実的に行われようとしているプログラムの「倫理上の問題」というものをすべて無視してとっぱらってしまったようなやり方を映画の中ではしているのだ。だからこそ、面白い。

製作年度が古いがゆえに、どうしても今見るとチープに見えてしまうようなところがなきにしもあらずだけど、その辺は全ての映画に共通することで、その当時であれば斬新だったんだろうなと想像しながら見て欲しい。映像技術の進歩は日々めざましいものがあるから、その辺は仕方ないとしても映画自体の面白さは色あせないものだ。

結局、言わんとしていることは何かとか「悪とは?善とは?人間とは?」みたいなところまで掘り下げていくとやたらに哲学的なことを考えないといけないような気になってくるけど、特にそんなことをムリに考えなくてもこの作品は素直に娯楽として面白いんじゃないのかなぁ。最後の主人公のセリフにゾッとする。その瞬間のエンターテイメント性のために全編があると考えるだけでもワタクシはいいと思う。