シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

めぐりあう時間たち

2005-09-03 | シネマ ま行
作家ヴァージニアウルフニコールキッドマン自身の人生と時を隔てて彼女の作品「ダロウェイ夫人」を手にした女性、その主人公と同じ名前の女性を同時に描く。原作も読みましたが、映画も原作も「文学」として非常に優れていると思います。

この3時代に生きた女性たちの接点は何なのか?それぞれがパーティーの準備をしていることと、時代は違ってもそれぞれが生きることへの悩みを抱えている…それだけで接点と言えるだろうか?生きることへの苦悩なんてたくさんの人が抱えているし、何もこの3人をあえてからませて見せる必要はない。

ジュリアンムーアメリルストリープに共通するのは同性愛。現代のNYに生きるメリルストリープは女性と同棲しているが、エイズに冒されている元恋人エドハリスに未練があるように見える。

同性愛が許されることがなかった50年代に生きるジュリアンムーアは優しい夫のために誕生ケーキを焼いているが、本当の自分を押し殺して生きることに限界を感じているようだ。近所の奥さんトニーコレットへの妖しげなキスがそれを物語っている。

となると、ヴァージニアウルフの精神障害の理由は?彼女も同性愛に悩んでいたのか?それを示唆するような描写はない…ので、分からない。ネットで彼女について調べてみたけど、それらしいことは出てこなかった。ワタクシが無知なだけなのかな?というわけで、冒頭に書いたこの3人の接点というのはワタクシの中では分からずじまいでした…どなたか教えてくださいな

ニコールキッドマンの付け鼻をしての熱演は賞も取った事だし話題になったがワタクシはジュリアンムーアの出ているエピソードが一番好き。彼女がかもし出すことのできる独特のテンションがこの部分全体に広がっている。空気が変に張り詰めているのだ。その緊張感がたまらない。

そして、近所の奥さんを演じたトニーコレットも素晴らしいけど、もう一人注目して欲しいのは、クレアデインズ「えっ?出てたっけ?」くらいに思う人もいるかもしれない。彼女はメリルストリープの娘役で登場します。出番は非常に少ないのですが、NYに住む大学生という雰囲気が仕草や喋り口調からよく表れています。小さな役ですがやっぱり演技うまい子やなぁと唸らせるくらいの演技だと思いました。ちょっと細かいですが、注目して見てください。