レギュラークラスの選手が故障で長期離脱をすると、その選手の背番号を帽子のつばに書いたりするのを見かけることがあります。
それはチームメイトを思いやる気持ちの表れでしょうから否定はしませんが、その不在の穴を埋めなければならない選手までがやっているのにはガッカリとさせられます。
チームにとっては痛いことでも自分にとってはチャンスであると、そういった貪欲さを見せて欲しいというのが正直なところです。
そしてその聞きたかった言葉を、ようやく聞くことができました。
育成出身…ロッテにまた“スピードスター”出現 (6/2 スポーツニッポン)
ロッテにまたもスピードスターが現れた。
育成選手出身の岡田が「9番・中堅」でプロ初先発出場し、四回に初安打、初打点となる中前打を放った。
自慢の快足で2盗塁を決め、連夜の大勝劇の中でも光る存在だった。
お立ち台では「ドキドキでしたが、思い切ってプレーしようと思いました」と初々しくコメント。
だが、苦労人にはいい意味のふてぶてしさがある。
荻野貴、早坂の相次ぐ故障にも「チャンスの気持ちが強かった」。
栃木・作新学院高から日大に特待生で入学したが、左ひじを壊して中退。
野球をあきらめず、プロパンガスを運ぶ仕事をしながら、全足利クラブで夜間練習に励み、妻と2人の子を連れてプロ入り。
50メートル5秒6の足を買われ、昨年に支配下登録された25歳は「支援してくれた人に感謝でいっぱい」と話した後、「でもこれからが始まりです」と力強く付け加えた。
荻野貴と早坂の相次ぐ故障により岡田が抜擢をされたわけですから、岡田としてはチャンス以外の何ものでもありません。
これを他の選手が口にすると「嫌らしい」「血も涙もない」との見方をされるかもしれませんが、荻野貴の登場で似たようなタイプの自分の居場所を見失いかけていたであろう岡田の言葉ですから、むしろ苦労人の本音に清々しさすら感じます。
もちろん岡田はチームメイトへの気遣いをしているでしょうが、自分が生き残るためには非情に徹することも必要です。
そしてこの言葉を口にしたことで退路を断った形にもなりましたので、西村監督もその心意気を買って積極的に起用をしてもらいたいです。
親しき仲にも競争あり、プロはそうでなければなりません。
足を活かした野球を目指す西村ロッテにとって、荻野貴も早坂も岡田も絶対に必要な選手です。
年齢も近いこの3人が高いレベルで競い合ってこそチームの底上げに繋がりますので、今は一番出遅れている岡田がキャリアを積むことが求められる第一であり、来季に千葉マリンのフィールドを縦横無尽に走り回るスーパーマリンスリーの結成のための準備期間となる2010年であってもらいたいです。