電脳筆写『 心超臨界 』

真の発見の旅は新しい景色を求めることではなく
新しい視野を持つことにある
( マルセル・プルースト )

政府の対応には言葉失う――西尾幹二教授

2020-03-06 | 04-歴史・文化・社会
 「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
    そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する。
  ( 心が臨界質量を超えるとは → http://tinyurl.com/5kr6f
    ( 東京裁判史観とは → https://tinyurl.com/ugz9qah
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《 いま注目の論点 》
日本を「感染大国」に仕立てる中国――石平さん
英国は同盟を揺るがすな――産経新聞
防疫より中国に忖度したのか――古森義久さん
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

政府の対応には言葉失う――西尾幹二・評論家
【「正論」産経新聞 R02(2020).03.06 】

小中学校や高校などを一斉に休校とする緊急方針について、2月29日、安倍晋三首相は記者会見を行った。クルーズ船を横浜港に係留して以来、政府には明らかに初動ミスがあった。「隔離」とは人間の集団を日本社会から切り離して船内に「封鎖」することではない。切り離された人間を日本社会の囲いの中に迎え入れ、合理的に管理することである。政府は明らかにその政策に失敗した。

◆国民守る気迫があるか

米国や豪州のように陸軍基地や無人島が用意されていない。そもそも「隔離とは何か」という概念が確立されていない。かくて横浜港のクルーズ船は、軍隊で包囲された震源地・武漢と事実上、同じタイプの逼塞(ひっそく)空間となってしまったのである。

船内の乗客乗員約3700人全員のウイルス検査が直ちに実行されるものと予想していた国民は多くいて、検査のスピードと処理能力が韓国に著しく劣る事実を知らされ、なぜ?と訝(いぶか)しんだ。国会で加藤勝信厚生労働大臣は保健所が仕事の依頼に応じてくれないからだ、と平然と述べ、謝罪はせず、専門の医師たちを怒らせた。

保健所はタテ割行政により厚労省の管轄下にあるのではないか。大臣が自分の不始末に気がつかず他人(ひと)ごとのように無表情に語るもの言いは、不安な国民を一段と不安にした。何といっても加藤大臣には覇気がない。国民の健康と生命を守ろうとする意志、オリンピックを含む国家の計画を一身で背負う瀬戸際に立たされている役割だという気迫が感じられない。

安倍首相の緊急記者会見は恐らく見るに見かねての応援という意味もあったろう。後から総理大臣としての怠慢の責任を問われる可能性を未然に防ごうという奸知(かんち)もあったかもしれない。総理には明らかに事件全体に対する失敗の予感がある。慌ててもいたし焦ってもいた。すべての責任は自分にあり、だから今後は全部自分がやったのだということを見せようともしている。それはいい度胸だ。

少なくとも今までとは違って、せめて自分の号令の届く範囲に絞って思い切って一歩踏み込んだことは評価されてよい。しかしここでも初動における取り返しのつかない前提の読み間違いがあった。

◆逆に中国から入国制限され

春節の折の中国人群衆大移動の前に武漢肺炎は広がり始めていた。1千万人都市の武漢が強制封鎖される直前、人口の半数は脱出したようだ。その頃日本は呑気(のんき)に構え、中国人の入国禁止をできるのにしなかった。米国はいち早く手を打った。近頃では何と逆に中国が日本人の中国への入国を制限し始めた。日本で人が自由に往(い)き来(き)するのを映像で見て日本は無警戒で危ないと中国人が騒ぎ立てているという。あべこべである。だが日本政府はなぜか腰が重い。中国人の訪日者数は1月が1日平均2万4千人、2月は減ったものの1日800人である(佐藤正久参院議員ツイッターによる)。

一般国民と違って首相も厚労大臣も詳しい情報を知っての措置だから、国民の生命を犠牲にしての長く続いた中国人歓迎政策は謎であり、政治的に不気味な闇を蔵している。学校閉鎖というのは底に穴があき浸水が始まっている船にたとえられる。穴をふさぐのが先決なのに、甲板に漏れ出た若干の水を全員でかき出しましょう、と船長が号令かけているような間抜けな話なのである。私の目には「神だのみ」に見える。

◆日本人の意志問われる

何か起こる度に突きつけられるわが国の「備え無し」の現実のうそ寒さは防衛、外交、通商だけの問題ではない。教育、医療、労働、公衆衛生の分野にも深く関わることは今度の件でも明らかになった。攻めること弱ければ、守ることも弱い。大切なのは攻める意志である。私の最新刊『国家の行方』の巻頭文「問われているのは日本人の意志」をご繙読(はんどく)賜りたい。

強者が頭を下げてくると怒りも嫌悪も忘れる日本人の弱さは、中国から仕掛けられるプロパガンダに弱い。日本に一言の謝罪もなく、あたかも病気は日中共同責任であるかのごとき言辞を弄(ろう)する中国人の謀略にまんまとひっかかる日本の政治家がいる。

自民党の二階俊博幹事長は29日、中国の外交担当トップの楊潔篪(ようけっち)政治局員と会談し、日中両国で広がる新型ウイルスの終息に向け協力を確認した。楊氏は日本に防護服5千着とマスク10万枚を提供すると伝え、「双方の信頼関係はこういう困難があったからこそ深まる」と述べ、二階氏は「終息したときにはお礼の訪中をしたい」と応じた(産経)。

日本が今一番警戒しなければいけないのは、欧米をはじめ世界が日本と中国を混同することである。特に恐ろしいのは世界政治を動かしている米国議会とそれを支える米国大衆の動向で、彼らは日中韓の区別がつかない人々なのだ。ルーズベルトと蒋介石が歩み寄って握手した時代の悪夢が甦(よみがえ)ってくる。「日中友好」はこのままいけば取り返しのつかない轍(わだち)にはまりかねない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆お勧め情報【 拡散希望 】
 日本が東京裁判史観の呪縛から解き放たれるために

「東京裁判史観」
「WGIPの洗脳にかかったままの日本」
「今も生きているプレス・コード」
「GHQ焚書図書」
「公職追放が『敗戦利得者』を生み出した」
「『進歩的文化人』という名の国賊12人」
「真珠湾攻撃の真実」
「南京大虐殺というプロパガンダ」
「歴史教科書問題から生まれた近隣諸国条項」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イスラムと中国は「古代」を... | トップ | 戦後の歴史教育 《 伝記を否... »
最新の画像もっと見る

04-歴史・文化・社会」カテゴリの最新記事