電脳筆写『 心超臨界 』

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( アナトール・フランセ )

日本史 古代編 《 欧米人が天皇を理解できない理由――渡部昇一 》

2024-06-30 | 04-歴史・文化・社会
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有史以前のシャーマニズムの中心者の、血のつながった子孫が、今なおGNPでトップ・クラスの近代国家の元首(憲法の表現では国民統合の象徴)であるという例は、ほかには絶無なのであるから、善かれ悪しかれ万邦無比である。天皇の問題をわれわれが考える場合にも、また外人に説明する場合も「有史以前から」という視点が必要である。


『日本史から見た日本人 古代編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/04)、p51 )
1章 神話に見る「日本らしさ」の原点
――古代から現代まで、わが国に脈々と受け継がれたもの
(3) 「日本の神」と「ゲルマンの神」の同質性

◆欧米人が天皇を理解できない理由

これに反して日本は、仏教などがはいったにもかかわらず、天皇の系図が切れないできている。もしイギリスで11世紀に(ノルマン征服によって)アルフレッドの王朝の血が跡切(とぎ)れないで今まで続いてきたら、彼らの王室に対する感じ方は、われわれの皇室に対する感じ方に、うんと似ていたであろう。

ともかく日本は、西洋でいえば1世紀ごろにローマの史家タキトスが描いたゲルマン社会の根本体質を失うことなく、現代の「大国」になったのであるから、欧米人に不可解なことがいろいろあっても仕方がないのである。

有史以前のシャーマニズムの中心者の、血のつながった子孫が、今なおGNPでトップ・クラスの近代国家の元首(憲法の表現では国民統合の象徴)であるという例は、ほかには絶無なのであるから、善かれ悪しかれ万邦無比である。

天皇の問題をわれわれが考える場合にも、また外人に説明する場合も「有史以前から」という視点が必要である。近ごろの日本史年表は、たいてい紀元500年ごろの継体(けいたい)天皇(第二十六代)から皇統をはじめているようである。それでも1470年ぐらい続いているわけだ。

しかし記紀の暗示するところに従えば、史料が残されている時代の前にもずっと続いていたとしか考えられない。

ある種の論者のように、7000年ぐらい前から続いていたと言う勇気はないが、那珂通世(なかみちよ)、久米邦武(くめくにたけ)、辻善之助(つじぜんのすけ)というような重厚な大家の推定に従って、いわゆる“日本”が建国されたのは、ほぼ2000年前と言ってよいであろう。

2000年前には、近代の欧州で発生したような合理主義や唯物論はなかった。したがって、近代的な政治学論理で断ずれば、天皇の存在は当然ながら論理に合わないところが出てくる。それはたとえて言えば、最も合理的、経済的な高速自動車道路を図面の上に引いたら、どうしても樹齢2000年の老木がじゃまになるというケースに似ている。その木を伐(き)れば合理的に直線のコースになる。残したかったら多少迂回せねばならぬ。

つい最近も、これと似た問題が日光の太郎杉で起こった。天皇の問題は、太郎杉の問題と一脈かよっているようだ。
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