電脳筆写『 心超臨界 』

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( マルクス・アウレリウス )

不都合な真実 《 気候変動問題は安全保障問題――森本敏 》

2024-05-03 | 05-真相・背景・経緯
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カーボン・ニュートラルは技術革新なくして達成できない。各国は争ってイノベーションに投資と国家予算の投入を図り、さらに、大幅な外資導入が進む。それにより技術先進国には超スマート社会ができるとしても、技術革新に成功した国と技術を持っていない国の格差は広がっていく。気候変動は格差を生む。これを解決するためには相当の途上国支援の輪を広げなければならない。それが円滑にいかないと格差は不満を呼び、不満が暴力になり治安が悪化する。気候変動問題は今後、深刻な安全保障問題に発展するであろう。


◆気候変動問題は安全保障問題――森本敏・拓殖大学
(「正論」産経新聞 R03(2021).02.08 )

〈 バイデン新政権の思惑 〉

バイデン新大統領は就任直後、パリ協定に復帰する措置をとった。ケリー元国務長官を気候変動問題担当大統領特使に任命し、NSC(国家安全保障会議)のメンバーに加え、4月には気候変動主要国サミットを開催するなど、バイデン政権は気候変動問題を最優先課題の1つにしている。

それは米国にとって気候変動が環境問題だけではなくて国家安全保障であるとの認識に基づくものである。

パリ協定の趣旨は2050年頃までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すことである。

これを目標にしてグリーン・イノベーションを進めると情報社会から超スマート社会になり、モノからサービスへと大きく転換する社会が出現する。クリーンエネルギー産業が盛んになり、投資も増加し、技術革新やインフラ整備が進むであろう。

さらにエネルギー安全保障資本やサプライチェーンの流れ、経済成長や雇用、気候変動に関する国際協力など世界経済に多大な影響を与える。

この脱炭素化はまず、自動車から始まる。バイデン政権は50万カ所に充電施設を作り、公用車65万台を電気自動車(EV)にする。2035年までに電力部門を脱炭素化し、新規の石油・ガス採掘を禁止して、気候変動に4年間で2兆ドルを投資するという。

日本では昨年10月に菅義偉首相が2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボン・ニュートラル)を目標とする方針を掲げ、2兆円の環境投資することを明らかにした。

政府は今夏、エネルギー基本計画の見直しを行う。今のところ、2050年の電源構成を再生エネルギーを5~6割、原子力とカーボンリサイクルの合計を3~4割、水素・アンモニアを1割とすることを1つの選択肢として議論を始める。

再生エネルギーは、太陽光や洋上風力などの技術革新を進めるとしても天候条件もあり不安定なエネルギーである。

〈 基盤電源として原子力 〉

水素・アンモニア燃料や蓄電池の技術開発も進んでいるが、基盤電源としての原子力を維持するためには、原発を新・増設するか、リプレースする必用がある。

自動車はすでに、HV(ハイブリッド車)が流行しているが、今後、10年程度でFCV(燃料電池自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)になり、EVとなる。技術開発が進むにつれて充電装置などのインフラ整備が必要となる。

また自動車を構成する部品も減り、生産構造も変化する。EVの戦闘車両(戦車・装甲車など)を採用するかどうかは機能や整備・補給上の問題などを考慮しても時間がかかるであろう。

船舶はすでに液体水素・アンモニアを燃焼させてタービンを回転させる大型船舶の開発が始まっている。技術開発が進めば、やがて小型船舶もゼロエミッション(二酸化炭素等排出ゼロ)船舶になるであろう。

米国のように空母や原子力潜水艦など原子力推進の艦艇もあるが、巡洋艦・駆逐艦などでは原子力船はない。日本では、海自艦艇に原子力船舶はない。しかし、今後、大型艦艇などを装備する場合、二酸化炭素を排出する艦艇保有することには限界がくるであろう。

航空機でもすでに電動航空機の開発が進んでおり、10年後には電動モーターによって飛行する航空機が運航される日が来るであろう。蓄電池と高効率モーターの開発がカギであるが、電動戦闘機の開発に困難が伴うに違いない。

〈 中東やロシアも影響 〉

このように、防衛装備の開発や技術開発についてはカーボン・ニュートラルが大きな影響を与える。気候変動に伴う災害や国際協力活動についても同様ある。米国ではすでに気候変動が国家安全保障や国防に与える影響について評価分析が行われている。

化石燃料の使用が大幅に制限されると中東産油国やロシアは国家財政や国内経済に苦しむであろう。すでに近年、原油の需要は下降状態にあり、原油価格の低迷も続いている。シーレーン(海上交通路)も変化する。国家の歳入のほとんどを原油やガスに依存している国は国内の経済不振、統治の安定状況が起こりかねない。

カーボン・ニュートラルは技術革新なくして達成できない。各国は争ってイノベーションに投資と国家予算の投入を図り、さらに、大幅な外資導入が進む。

それにより技術先進国には超スマート社会ができるとしても、技術革新に成功した国と技術を持っていない国の格差は広がっていく。気候変動は格差を生む。

これを解決するためには相当の途上国支援の輪を広げなければならない。それが円滑にいかないと格差は不満を呼び、不満が暴力になり治安が悪化する。気候変動問題は今後、深刻な安全保障問題に発展するであろう。
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