自分を鍛える！ 《 どこへ行っても“歓待される人”の共通点――ジョン・トッド 》

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会話の才能を磨くことほど、われわれがなおざりにしているものはない。なのに、これほど楽しさを増してくれる有益なものは他にないのである。会話の仕方を明確に心得ている人は、おおいに活用できる道具を持っているわけであり、それがあればどんなグループに入っても歓迎されるのである。


◆どこへ行っても“歓待される人”の共通点

『自分を鍛える！』
（ ジョン・トッド、三笠書房(2002/02)、p173 ）
6章　人間関係がうまくいく「話し方・交際術」

◆どこへ行っても“歓待される人”の共通点

「なんとも楽しい一日だったね」と、ある若者が、休暇中の旅行から家に帰る道すがら連れの友人に言った。

「そうだね、あんなに楽しかったのははじめてだよ。だけど、何であんなに楽しかったのかなあ。グループ全員が楽しそうだったし、楽しく別れただろう。でも僕自身は、例の見知らぬ男の話に夢中になっていて、他の人が何をしていたのか、あまり知らないんだ」

「実はぼくもそうなんだ。あの男は自分では気がついていないらしいけど、たいした会話の才能があるようだなあ」

というわけで、これが楽しい一日の秘密だったのである。つまり、ウイットに富んだ会話で人を教えたり楽しませたりできる人間がグループの中に一人いた、ということである。

会話の才能を磨くことほど、われわれがなおざりにしているものはない。なのに、これほど楽しさを増してくれる有益なものは他にないのである。会話の仕方を明確に心得ている人は、おおいに活用できる道具を持っているわけであり、それがあればどんなグループに入っても歓迎されるのである。

初対面の人でもよく注意していれば、すぐにおもしろい人だとわかる。たとえば乗り合い馬車に乗っているとしよう。相手の話に耳を傾けているうちに時を忘れ、あっという間に目的地へ着いてしまう。どうしてその人はそんなにおもしろいのか。それは、その人の話術のせいである。

会話によってお互いの考えを伝え合うことがどんなにすばらしいことか。今さら述べるまでもあるまい。いかなる境遇にある人も楽しく暮らせるようにと神が考案してくださった手段なのだ。教えたり教えられたりする。最もすぐれた手段なのである。それは神のすべての御業(みわざ)と同じく、簡単なものだ。人と人との会話のやりとりは、考えを伝達するための万人に共通な手段であり、これ以上すばらしいものはない。

さて、どうやってこの手段を最高に磨きあげ、活用したらいいのか、そこが知りたいところだ。これを知ることは誰もが大切だと思っている。