電脳筆写『 心超臨界 』

天才とは忍耐するためのより卓越した才能に他ならない
( ルクレール・ビュフォン )

読むクスリ 《 時間哲学――森健三 》

2024-08-04 | 03-自己・信念・努力
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時間には、量と質とがあるんです。量とは、いま何時何分か、ということですね。この時計は子供のおもちゃのようですけれど、もちろん、きちんと量をはかることができます。それとは別に、時間には質があります。たとえば、5分間という時間を、大人はタバコを吹かしたり、お酒を飲んだりして、ぼんやり過ごしてしまうことがありますね……


◆時間哲学

『読むクスリ(PART2)』
( 上前淳一郎、文春文庫、p108 )

日本ウィルソン・ラーニング社長の森健三さんは、ミッキー・マウスの絵が入った腕時計をいつもはめている。

「どうしてそんな、おもちゃみたいなのを、しているんですか?」

きちんと背広を着た四十代なかばの社長が、といぶかしく思うのだろう。若い女性からはしばしばたずねられる。

森さんは、よく聞いてくれた、という顔で笑いながら答える。

「時間には、量と質とがあるんです。量とは、いま何時何分か、ということですね。この時計は子供のおもちゃのようですけれど、もちろん、きちんと量をはかることができます」

「はあ……」

「それとは別に、時間には質があります。たとえば、5分間という時間を、大人はタバコを吹かしたり、お酒を飲んだりして、ぼんやり過ごしてしまうことがありますね」

「そうですねえ」

「ところが、その同じ5分間に子供は、アリが食べものを運ぶのを見て感心し、花に止まるチョウの羽根の美しさに心をふるわせ、鳥の鳴き声に、どんな鳥がどこに隠れているのだろう、と耳をそばだてることができます」

「わかりますわ」

「つまり、同じ5分間でも子供にとっては、大人よりはるかにその内容が充実している。質がいいのです。なぜなら、子供は感受性が強く、なんでもないものを見聞きしても深い感動を覚えることができるからです。そこから自分の世界をつくることさえ、子供はできるのですよ」

「はい」

「私はその子供の感受性を持ち続けていたいのです。ひとと同じ5分間を無駄にせず、質の高い5分間をいつも持ちたい、そう願って、子供がはめるこの時計をしているのです」

「そうだったんですか」

     *

日本ウィルソン・ラーニングは、アメリカのミネアポリスに本部をおくウィルソン・ラーニング社と対等出資でつくられた。

行動科学に基づいて、企業向けに教育や調査プログラムを開発、あるいは実施している会社である。

アメリカの親会社が設立されて初めて手がけた仕事は、ディズニーランドの総合プランづくりだった。

現会長のラリー・ウィルソンが、ウォルト・ディスニーと相談を重ねながら「いかにしてひとを楽しませるか」を徹底的に追求したのだ。

大人も子供も理屈抜きで楽しめるディスにーランドが完成したとき、ディズニーはミッキー・マウスの腕時計をウィルソンに贈った。

不思議そうな顔をするウィルソンにディズニーは、森さんがいま若い女性たちにするのと同じ“時間の量と質の哲学”を披露したうえで、いった。

「どうか、いつまでも子供の感受性をわすれないで仕事をして下さい」

ウィルソンは感動した。このひとはいまも子供の感受性を失わないでいる。だから、ディズニーランドという前代未聞の発想ができたのだ、と納得した。

ウィルソンはただちに、同じミッキー・マウスの腕時計を全社員に配った。以後今日まで、新入社員はまずこの時計をもらう。

世界13カ国に駐在している社員の腕にも、同じものがはめられている。どこにいても子供の感受性を忘れず、質の高い時間を持つために。

腕時計は日本の合弁会社にも送られてきた。森さんがしているのは、そのひとつだ。
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