電脳筆写『 心超臨界 』

成功はそれを得るために捨てなければならなかったもので評価せよ
( ダライ・ラマ )

プリミティブな教えを徹底して守り通す――稲盛和夫

2024-09-26 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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いま、社会倫理の回復を図るために、法制度などの厳格化を求める意見もありますが、私はそれよりも、この「欲張るな」、「騙してはいけない」、「嘘を言うな」、「正直であれ」というような、「人間としての正しい生き方」を示した、単純でプリミティブな教えを、まずは社会のリーダー自身が徹底し守り、また周囲に守らせるほうがはるかに有効であると考えています。


◆プリミティブな教えを徹底して守り通す――稲盛和夫

『致知』2003年1月号
巻頭の言葉「心の手入れを怠らない」京セラ名誉会長・稲盛和夫

( 前略 )

では「人間としての正しい生き方」とは、どのようなものでしょうか。それは、高邁(こうまい)な哲学や宗教からだけ学べるというものではありません。われわれは、すでに子どもの頃に、両親や教師から「欲張るな」「騙(だま)してはいけない」「嘘を言うな」「正直であれ」というような、最も基本的な規範を教えられています。そのなかに、「人間としての正しい生き方」はすでに示されています。まずは、そのような単純な教えの意味を改めて考え直し、それを徹底して守り通すことが大切です。

リーダー、たとえば大企業の社長たちに、このようなことを問えば、「一流大学を卒業し、トップにまで登りつめた自分に失礼だ」と一蹴(いっしゅう)されるかもしれません。しかし実際には、そのような大企業のリーダーが、プリミティブ(基本的)な教えを守ることができなかった、あるいは社員に守らせることができなかったから、企業不祥事が続発したのです。

実際、平成14年に日本の新聞紙上をにぎわせた、雪印や日本ハム、三井物産、東京電力などでは、業績に影響を与える事象が生じたときに、「欲張り」、企業の利益を優先しました。また、その事実が発覚しそうになったときに、「嘘を言い」、「人を騙し」、事実の隠蔽(いんぺい)に走ったのではないでしょうか。

いま、社会倫理の回復を図るために、法制度などの厳格化を求める意見もありますが、私はそれよりも、この「欲張るな」、「騙してはいけない」、「嘘を言うな」、「正直であれ」というような、「人間としての正しい生き方」を示した、単純でプリミティブな教えを、まずは社会のリーダー自身が徹底し守り、また周囲に守らせるほうがはるかに有効であると考えています。

最近発覚した企業不祥事は、氷山の一角に過ぎず、日本の社会にはまだまだ多くの不正が隠されているのではないでしょうか。そうであれば、私はリーダーを筆頭にわれわれ日本人のすべてが、先に述べたように、心の手入れを怠らず、プリミティブな教えを頑(かたく)なに守り通そうとする、生真面目(きまじめ)な社会をつくることが、一見迂遠(うえん)に思えるものの、日本を再生するための最善の策であろうと思います。日本は現在、危機的な状況にありますが、私は日本人が本来持っている、このような高い倫理観や勤勉性を取り戻すことにより、必ずや復活できると信じています。
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