電脳筆写『 心超臨界 』

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( ロバート・アンソニー )

歴史を裁く愚かさ 《 米国に日本を非難する資格はない――西尾幹二 》

2024-06-21 | 04-歴史・文化・社会
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
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■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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「軍が慰安婦を使うことは賠償すべき悪事であるという原則を立てたならば、慰安婦に関して、日本は賠償を払うと同時にアメリカに賠償を要求すべきである〔アメリカ人が応じるかどうかは別の問題である〕。日本軍は朝鮮人女性やオランダ女性を慰安婦に使ったが、アメリカ軍も占領下で日本人女性を慰安婦に使ったからである。軍が強制したのではなく、すべての面で余裕のなかった世の中で一部の女性が自発的に応募してきたのだということは考えられるし、現在の状況を基準として戦中戦後のことを道義的に判断するのには問題があるとも言えるが、そういう言いわけを日本軍の場合に認めないのであれば、アメリカ軍の場合にも認めるべきではない」(岸田秀)


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p183 )
第3章 慰安婦問題の国際的不公平
2 『朝日新聞』論説の詐術を嗤う

◆米国に日本を非難する資格はない

ドイツ国防軍の国家関与の大規模な性犯罪を以上公式文書の裏付をもって紹介したことによって、私は旧日本軍の「免罪」を企てているのではない。旧日本軍にはこのようなあからさまな法的破廉恥は証明されていないが、この種の問題で叩けば埃の出ない国はない。英米仏軍、ロシア軍、中国軍、韓国軍のいずれを問わず、戦時には戦時の論理しかないからだ。残念ながら軍事にはエゴイスティックな軍事の論理しか生まれない。だから戦争そのものを回避する努力をしようというわれわれの今の正当な願いと、戦勝国敗戦国を問わず過去の戦争で犯した罪の国際的評価には「公平」を期そうというわれわれの願いとは、決して矛盾せず、両立する。

ナチスドイツがニュルンベルク裁判で「人道に対する罪」という特別事後立法で裁かれたのは売春宿設営のゆえでも、強姦暗黙許諾のゆえでもない。国家が戦時性犯罪に日本とは比較できぬほど深く関与した上のような証拠があってなお、ドイツ政府は償いも謝罪も求められてはいない。このことは何度でも言っておく。というのも、いわゆる「従軍慰安婦」程度をもって日本をナチ国家と同一視するばかばかしい議論を米司法省が持ち出すのに前後して、日本の左翼が悪乗りし、中韓両国が利用し、厚顔にもドイツマスコミまでが囃し役に回り、今こそ日本人が他国の「妄言」を拒絶して、世界全体に向かって屹然(きつぜん)と道理を説かねばならない立場に置かれているからである。

終戦後闇米を買わない日本人はいなかった。食料管理法違反が犯罪なら、当時の日本人はみな犯罪人である。「慰安婦問題」をもって日本をユダヤ人集団虐殺国家と同一視しようとするのは食管法違反をもって強盗殺人犯に仕立てるにも等しい。

もう一つ大切なことは慰安婦問題に関して米国は日本を非難する資格がないことである。穏健な良識派の三浦朱門氏でさえ次にように証言している。

「昨年、慰安婦問題がマスコミを賑わせると、早速、全教科書がこの問題を取り上げたという。私はその教科書を一つも見ていないので、批判のかぎりではないが、願わくは、事実関係はしっかり書いてほしい。またこの問題だけが突出するのでは、いかにも不自然である。日本の売春の歴史、今の風俗産業から、援助交際の女子高校生に至るまでを書いた中で記述してほしい。
 また軍隊と性という問題としてなら、戦後の米軍が憲兵と日本の警察を動員して一定街路を封鎖して全ての女性の性病検査を行ったこと、その際、娼婦でない女性がまきこまれたことも書いてほしい。レイプもあった。
 事件のほとんどはヤミからヤミに葬られた……」(『産経新聞』平成8年8月2日付)

パンパンとかオンリーという名で呼ばれた「日本人慰安婦」が、派手な衣装と化粧でアメリカ兵にぶら下がって歩いていた風俗は、つい昨日の光景である。『りべらる』というカストリ雑誌には、若い女性が特殊慰安施設に連れて行かれて、初めての日に処女を破られ、1日最低15人からの戦場から来たアメリカ兵の相手をさせられ、腰をぬかし、別人のようになったさまが手記として残っている。

「どこの部屋からも、叫び声と笑い声と、女たちの嗚咽がきこえてきました。」「2、3ヵ月の間に病気になったり、気がちがったりしました。」「これは何年にもわたって、日本の全土にわたって行われたことの縮図だったのです。」(昭和29年11月号)

昭和24年2月、東北の農村で少女の人身売買が続出して、労働省が監督に乗り出している。戦前の話ではない。プロ野球も再開され、食糧事情もやや好転し、この同じ2月NHKのテレビ実験公開がニュースになっている。今と同じタイプの情報化社会が目前に迫っている時代に、戦前と同じ東北農村の人身売買があった。

慰安婦問題を考えるとき、私たちは複眼を失ってはならない。わたしたちは戦後を二重の意識で生きてきている。極貧から繁栄へあまりに短期間にかけ上がったので、今の若い日本人は日本の過去を過去として正しい遠近法で捉えることがどうしても出来なくなっている。例えばタイという国は都市の一部は繁栄し、農村では女の子の身売りがある。日本も戦後はずっとそうだった。最近までそうだった。そしてアメリカ兵が「日本人慰安婦」を好き勝手にもてあそんでいた。勿論彼女たちは生きていくために――田舎に置いてきた子供に仕送りするために――それを必要としていたのだが、この哀しい時代の日本のことはもう忘れられている。

私はここで岸田秀氏の次の見解に心から同意する旨を表し、拙論の結びとしたい。

「軍が慰安婦を使うことは賠償すべき悪事であるという原則を立てたならば、慰安婦に関して、日本は賠償を払うと同時にアメリカに賠償を要求すべきである〔アメリカ人が応じるかどうかは別の問題である〕。日本軍は朝鮮人女性やオランダ女性を慰安婦に使ったが、アメリカ軍も占領下で日本人女性を慰安婦に使ったからである。軍が強制したのではなく、すべての面で余裕のなかった世の中で一部の女性が自発的に応募してきたのだということは考えられるし、現在の状況を基準として戦中戦後のことを道義的に判断するのには問題があるとも言えるが、そういう言いわけを日本軍の場合に認めないのであれば、アメリカ軍の場合にも認めるべきではない。しかしもし、そういう言いわけが通用するとして、日本が、慰安婦に関して、もしアメリカに賠償を要求するつもりがないのであれば、慰安婦に関して日本も賠償を払うべきではない。」(「戦後賠償の問題」『二十世紀を精神分析する』所収)

まったく同感である。氏はまた次のようにも言っている。

「イギリスやオランダなどの旧連合国が捕虜虐待などについての賠償を正当な権利として要求してきつづけ、日本がいささかでも認めるのであれば、日本も旧連合軍の犯罪についての賠償を要求しつづけるべきであろう。国際関係は、何よりもまず、相互性と首尾一貫性を必要とする。」(同上)

私が本稿で、過去の戦争で犯した罪の国際的評価における「公平」をこそ必要、と言っているのは同じ意味である。もし「公平」の感覚が失われれば、国際間に新たな摩擦を生み、予期せぬ憎悪をかき立てることになる。平和勢力の顔をして旧日本軍の犯罪だけをしきりに言い立てる日本人は、いささか病的で、マゾヒスティックであるだけではない。そのバランス感覚の喪失は新たな感情の波風を立て、いさかいの種子を蒔き、密かに戦争の温床を育てることに役立っているのではあるまいか。
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