電脳筆写『 心超臨界 』

人生の目的は目的のある人生を生きること
( ロバート・バーン )

生きるための杖ことば 《 聴雨寒更尽 開門落葉多——松原泰道 》

2024-09-10 | 03-自己・信念・努力
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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現成は現成仏(げんじょうぶつ)の約語、目前の現象に仏法が完全に成り立っているからだ(底はことばを強める助辞で無意味)。この物理的現成底に、人生の意味や自分の生き方を、科学的認識とは全く別次元でうなずきとる絶妙な英知を人間は持っている。この妙知は、教えられたり学んだりして開ける後天的なものでなく、生まれながらに先天的に万人の意識の底に埋蔵されている。ただこの妙地が開発されるか否かが、人間性の深浅を決定づけるといえよう。


◆聴雨寒更尽(雨(あめ)を聴(き)いて寒更尽(かんこうつ)き)
 開門落葉多(門(もん)を開(ひら)けば落葉多(らくようおお)し)――無可上人

『生きるための杖ことば』
( 松原泰道、全国青少年教化協議会 (2001/04)、p134 )

昨夜は、世が更(ふ)けて寒さがつのるまで雨声を聴いた。今朝門を開いてみると落葉が多かった(落葉深しとも)。山居の幽寂な晩秋の景観だ。寒更は深夜の寒さをいう。このような叙景詩を、禅者は「現成底(げんじょうてい)」と読む。現成は現成仏(げんじょうぶつ)の約語、目前の現象に仏法が完全に成り立っているからだ(底はことばを強める助辞で無意味)。

釈尊のさとりの内容は「現成底」の一語に尽きる。釈尊はこの事実を「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」とも、また「一切衆生悉(ことごと)く如来の智慧徳相を具有する」と表白された。この表白の言は、すべての現象が如来(真理)の智慧と妙徳の表象で、一切万有の草木などがそのまま仏だとする汎神論ではない。この点は特に注意を要する。

リンゴが熟して落ちる現象を見て、ニュートンは引力を発見した。この場合、目に見えぬ引力の象徴がリンゴの落下で、キリスト教思想なら“神の啓示”であろう。仏教思想ではこの事実を智慧の相(真理)という。小野道風は、カエルが失敗の数をものともせず、ついに柳のしだれ枝に飛びついたのを見て、「学問は努力にある」真理を知らされた。柳の枝とカエルの動作を、如来の慈悲の相と仏教者は合掌する。

リンゴの落ちるのも、カエルや柳の枝のたたずまいも、如来の法の現成ではあるが、リンゴもカエルも柳の枝もすべて如来そのものではない。それらは、ニュートンや道風を教えようとしているのではない。ただ宇宙の法則にしたがって生じる物理現象だ。この意味でも、万象は現成底である。

この物理的現成底に、人生の意味や自分の生き方を、科学的認識とは全く別次元でうなずきとる絶妙な英知を人間は持っている。この妙知は、教えられたり学んだりして開ける後天的なものでなく、生まれながらに先天的に万人の意識の底に埋蔵されている。ただこの妙地が開発されるか否かが、人間性の深浅を決定づけるといえよう。
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