電脳筆写『 心超臨界 』

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( H・ジャクソン・ブラウン・Jr. )

悪魔の思想 《 大内兵衛――朝鮮戦争、アメリカ犯人説/谷沢永一 》

2024-07-16 | 04-歴史・文化・社会
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わが国が北方領土にこだわるのは「ショービニズム〈国粋主義〉」であり「帝国主義」で醜く卑しい。しかし、共産主義国家・ソ連が北方領土を確保するのは「ショービニズム」でもなく、「帝国主義」ではない正常な合理主義である。だから今後はソ連側の真当(まっとう)な「外交」と「正しい政治論」に従うべきだというのでありましょう。無条件降伏論がそうであったように、北方領土問題もまた、愛国者とソ連崇拝派とを瞬時に弁別させる試金石なのですね。


『悪魔の思想』 「進歩的文化人」という名の国賊12人
( 谷沢永一、クレスト社 (1996/02)、p67 )
戦後の学界、言論界の大ボス・大内兵衛(おおうちひょうえ)への告発状
第2章 「日本は第二次大戦の主犯」と言う歴史の偽造家

  大内兵衛(おおうちひょうえ)
  明治21年生まれ。東京帝大卒。東大教授、法大総長、東大名誉教
  授を歴任。東大経済学部を左翼の巣窟にした張本人。昭和55年没。

  東京大学をはじめとする戦後日本の大学に、数えきれぬほど多量の
  「進歩的文化人」を送りこんで、鬱然たる大内山脈を築き上げた手
  配師の親玉、戦後日本の幡随院長兵衛(ばんずいいんちょうべえ)が
  大内兵衛です。世の大学教授には時として隅におけぬ政治屋がいる
  ものですが、大内兵衛は学界支配の名人でした。東大定年のあとは
  法政大学の総長として乗りこみ、学生を前に訓示して、読むべき出
  版物を指示し、雑誌は『世界』、新聞は『朝日』と、「進歩的文化
  人」の聖典(バイブル)を教えたことはあまりにも有名です。


2-5 朝鮮戦争、アメリカ犯人説

さて話をもとへもどしましょう。大内兵衛は朝鮮戦争の原因もアメリカ側にありと判定する説を立てます。

  かの朝鮮事變は、南鮮が獨立國たる資格なくアメリカの軍事基地化
  することをモメントとして起つた熱戰であつた。
                (前出「全面講和論の立場から」)

この一節においては、「南鮮」にかこつけてわが国が「アメリカの軍事基地化」している事態を指して、危険であるぞよと警告しているつもりでありましょう。しかし、はなはだ面白いことには、北鮮のほうから攻めこんだのであると暗に認めているのみならず、共産軍は「アメリカの軍事基地」のある箇所へだったら、容赦なく攻撃を加える方針であると認めている率直さです。

ソ連派が噯気(おくび)にも出さぬ際(きわ)どいところを平気で筆にするところ、この人にはどこかおっとりした憎めぬところがありますね。大内兵衛といえば「戦後民主主義の柱か、革新の黒幕か」(昭和55年5月15日『週刊文春』)と称されるほど、裾野の広い大内山脈をきずきあげて、左翼学界に君臨した大御所でしたが、人の世の興味ある理外の理として、冷徹にして明智きわまれりという型(タイプ)の人は誰にも担ぎあげられず、どこか大様(おおよう)で少しばかり抜けたところのある人が、いつのまにか大ボスになるのかもしれませんね。

それはともかく、大内兵衛はもちろん北方領土問題をめぐってはひじょうに慎重で、いつもざっくばらんな文章を書く人が、突然にはなはだしく口ごもります。

  領土問題はもちろん大切である。國民としては寸尺の地も失いたく
  ないのは至情である。そしてまた戰爭の結果は、この問題について
  の結末を中心とするものであるから、これについて國民の議論がや
  かましいのは當然である。しかしこれにも一定の約束があり、歴史
  がある。それを正しく考えそれを國民の前に決しておかないで、た
  だ、昔あれは日本の領土であったから、あれをよこせというのは、
  外交ではなく、正しい政治論でもない、それ自體完全なショービニ
  ズム(注・国粋主義)である。帝國主義である。そう國民感情論だ
  けでは、講和條約などはできない。そうではなく、そういう國民的
  要求をいままでの自國の態度と、両國間の約束と双方の將來の利害
  に照して考え合せて、その上で合理的な妥協點を見出すのが講和談
  判なのである。
                            (同前)

要するに、わが国が北方領土にこだわるのは「ショービニズム〈国粋主義〉」であり「帝国主義」で醜く卑しい。しかし、共産主義国家・ソ連が北方領土を確保するのは「ショービニズム」でもなく、「帝国主義」ではない正常な合理主義である。だから今後はソ連側の真当(まっとう)な「外交」と「正しい政治論」に従うべきだというのでありましょう。無条件降伏論がそうであったように、北方領土問題もまた、愛国者とソ連崇拝派とを瞬時に弁別させる試金石なのですね。

「日本の近代を『ドロボウ根性』と呼ぶ倒錯」へつづく
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