電脳筆写『 心超臨界 』

敵を知り、己を知れば百戦殆うからず
( 孫子 )

人生を創る言葉 《 おお、この足の裏を見るがいい――タッカー 》

2024-06-27 | 03-自己・信念・努力
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◆おお、この足の裏を見るがいい


『人生を創る言葉』
( 渡部昇一、致知出版社 (2005/2/3)、p179 )
第5章 教育の急所――眠れる才能を引き出す

[ タッカー ]
イギリスの宣教師。救世軍の士官として当時のイギリス植民地イン
ドでキリスト教の布教活動を行った。

タッカーは、イギリス政府の司法官の地位と2千ポンドという高額の年俸を捨てて宣教師となった。そして、救世軍の一士官として、当時イギリスの植民地であったインドのボンベイに入り、キリスト教の布教活動をしていた。ボンベイの町は極貧の人たちがゴロゴロしている場所だった。そこにキリスト教を布教して、救いを与えようと考えたのである。

しかし、彼の必死の努力にもかかわらず、信者は一人もできなかった。

「こんなに自分は熱心に伝道しているのに、どうして信者ができないのだろうか。自分の信仰と努力が、まだ神様の御心に達しないのだろうか」

タッカーはそう考えた。そして、こうも考えた。

「自分はイギリス人として知らず知らずのうちにインド人に対して優越感を持って、彼等を一段低い人種として見下していたのではなかろうか。それがいけないのだ」

彼は一大決心をした。今までの服をインド服に代えて、インド式のあばら家に住み、またインド人の僧侶のように焼けつく大地を裸足のままで歩き、そしてインド人からカレー入りの残飯の施しを受ければ、それを彼らと同じように手づかみで美味そうに食ったのである。すると、上流階級に育ったタッカーの華奢(きゃしゃ)な足は、たちまち皮が破れ、肉の裂け目に砂が入り込んだ。

ある日、タッカーが疲れて路傍の木陰に倒れてうつらうつら寝ていると、そこに三人の身分の高いインド人が通りかかった。インド服を着た白人を見た彼らは、一目でこれが最近評判のタッカーであることがわかった。三人の眼は、痛々しく傷ついた足の裏に注がれた。

「おお、この足の裏を見るがいい。これほどまでにしてインド人を導こうとするこの人の宗教は、確かに真実の宗教に違いない。この人を我々の町に伴って帰って、教えを受けようではないか」

三人の間で、話がまとまった。彼らはタッカーが目を覚ますのを待って、その足許にひざまずき、自分たちの町に連れて行って、教えを受けた。これがきっかけとなって、三年後には信者の数が7百人にまで増え、キリスト教のインド布教の第一歩が築かれたのである。

宣教師の信念とは、これほど固いものなのだと教える話である。そもそもインドを植民地にしなければ、タッカーの苦しみもなかったのではないかという考え方もあるが、宣教師の中には、心の底から苦しむ人たちを救いたい、その人たちの役に立ちたいと考えた人たちがたくさんいたことは忘れてはいけないと思う。マザー・テレサにしても、その一人であろう。

そういう宗教は余計なお世話だという意見もあるが、同時に、貧民を放っておく宗教に比べれば、よりよい宗教なのではないかという考え方もあるのである。

タッカーには、彼の目に映る悲惨なインド人の生活をなんとかしたいという気持ちがあった。そのために、自らすすんで貧困の中に身を投じることができたのである。宗教家というものは、本来、そういうものなのだと思う。
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