§5-2 WGIP——GHQが推進した精神劣化政策
WGIP;War Guilt Information Program(戦争犯罪情報宣伝計画)
◆WGIP番組(洗脳放送)をたれ流したNHK
占領期に日本人に先の戦争に対する罪悪感を植えつけるために、ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム(War Guilt Information Program。以下WGIPとする)が実施されたことは江藤淳の『閉ざされた言語空間』(文芸春秋1989年)や櫻井よしこの『GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く』(小学館文庫2002年)などですでによく知られているが、その中心的メディアがNHKだった。戦後は以前にもまして紙が不足していたので、日本国民にとってラジオが重要な役割を果たしていた。
◇WGIP番組をたれ流したNHK
『NHK解体新書』
( 有馬哲夫、ワック (2019/10/21)、p96 )
「検証 民法誕生」(朝日放送1995年放送)というテレビ・ドキュメンタリーがある。ドキュメンタリー工房のプロデューサー鈴木昭典が綿密なアメリカ取材に基づいて製作したもので、私はそのヴィデオを彼からいただいた。
この中に占領期に日本のマスコミ、及び民間人の検閲を行ったCCD(民間検閲支隊)や日本放送協会(1946年からNHKという呼称を使用、以下ではこれを踏まえたうえですべてNHKとする)を支配下においてラジオ番組を放送させたCIE(民間情報教育局、日本のマスコミと教育を改造した)の将校たちが登場する。
占領期に日本人に先の戦争に対する罪悪感を植えつけるために、ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム(War Guilt Information Program。以下WGIPとする)が実施されたことは江藤淳の『閉ざされた言語空間』(文芸春秋1989年)や櫻井よしこの『GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く』(小学館文庫2002年)などですでによく知られているが、その中心的メディアがNHKだった。戦後は以前にもまして紙が不足していたので、日本国民にとってラジオが重要な役割を果たしていた。
この番組には、NHKのWGIP番組を制作していたGHQの将校が登場する。その一人でCIE(民間情報教育局)のハーバート・ウィンズは、「あれはアメリカの『マーチ・オヴ・タイム』(アメリカのラジオ・ドキュメンタリー番組)をモデルに作った。マッカーサーにも台本を見てもらった」と語っている。
だが、この番組では、これらのNHKの番組を日本人に戦争に対する罪悪感を植えつける意図で作ったとはいわなかった。
ところが、彼のあとに番組に登場する彼の上司でアジア課長のウィリアム・ロスなどは、実にあっさりと、「あれは日本人に戦争に対する罪悪感を植えつけるために我々が作ったものだ」と認めている。当時のNHK職員は、それを承知でこれらの番組の制作をサポートし、放送していたということだ。
江藤淳の前述書は1989年にすでに出版されていたが、鈴木が取材していた1994年のあたりは、WGIPに今日のような注目は集まっていなかった。しかも江藤はアメリカの知人からもらったWGIP文書をもとにこの計画について書いているが、実施にあたった将校に会ったことはなかった。おそらく鈴木はWGIPを担当した将校たちにこのプログラムの意図について問いただした唯一の日本人だろう。
私はCIEやCSS(民間通信局。国際通信の解体、放送法の準備を行った)の将校にも聞き取り調査を行っているが、彼らは守秘義務を盾にどんな政策やプログラムを行ったかなどはなかなか語ってくれなかった。だから、鈴木の先見性とインタヴューアーとしての能力には敬服するしかない。
鈴木は数々の名作ドキュメンタリー番組を残して、2019年1月31日に89歳で天寿を全うした。私にCIEやCCSの将校、とくにCIEのヴィクター・ハウギー、フランク馬場、CCSのクリントン・ファイスナー分析課長代理の連絡先を教えてくれて、占領史研究の足掛かりを与えてくれたのは彼であった。ここの場を借りて、心から感謝と哀悼の意を捧げたい。
WGIP;War Guilt Information Program(戦争犯罪情報宣伝計画)
◆WGIP番組(洗脳放送)をたれ流したNHK
占領期に日本人に先の戦争に対する罪悪感を植えつけるために、ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム(War Guilt Information Program。以下WGIPとする)が実施されたことは江藤淳の『閉ざされた言語空間』(文芸春秋1989年)や櫻井よしこの『GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く』(小学館文庫2002年)などですでによく知られているが、その中心的メディアがNHKだった。戦後は以前にもまして紙が不足していたので、日本国民にとってラジオが重要な役割を果たしていた。
◇WGIP番組をたれ流したNHK
『NHK解体新書』
( 有馬哲夫、ワック (2019/10/21)、p96 )
「検証 民法誕生」(朝日放送1995年放送)というテレビ・ドキュメンタリーがある。ドキュメンタリー工房のプロデューサー鈴木昭典が綿密なアメリカ取材に基づいて製作したもので、私はそのヴィデオを彼からいただいた。
この中に占領期に日本のマスコミ、及び民間人の検閲を行ったCCD(民間検閲支隊)や日本放送協会(1946年からNHKという呼称を使用、以下ではこれを踏まえたうえですべてNHKとする)を支配下においてラジオ番組を放送させたCIE(民間情報教育局、日本のマスコミと教育を改造した)の将校たちが登場する。
占領期に日本人に先の戦争に対する罪悪感を植えつけるために、ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム(War Guilt Information Program。以下WGIPとする)が実施されたことは江藤淳の『閉ざされた言語空間』(文芸春秋1989年)や櫻井よしこの『GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く』(小学館文庫2002年)などですでによく知られているが、その中心的メディアがNHKだった。戦後は以前にもまして紙が不足していたので、日本国民にとってラジオが重要な役割を果たしていた。
この番組には、NHKのWGIP番組を制作していたGHQの将校が登場する。その一人でCIE(民間情報教育局)のハーバート・ウィンズは、「あれはアメリカの『マーチ・オヴ・タイム』(アメリカのラジオ・ドキュメンタリー番組)をモデルに作った。マッカーサーにも台本を見てもらった」と語っている。
だが、この番組では、これらのNHKの番組を日本人に戦争に対する罪悪感を植えつける意図で作ったとはいわなかった。
ところが、彼のあとに番組に登場する彼の上司でアジア課長のウィリアム・ロスなどは、実にあっさりと、「あれは日本人に戦争に対する罪悪感を植えつけるために我々が作ったものだ」と認めている。当時のNHK職員は、それを承知でこれらの番組の制作をサポートし、放送していたということだ。
江藤淳の前述書は1989年にすでに出版されていたが、鈴木が取材していた1994年のあたりは、WGIPに今日のような注目は集まっていなかった。しかも江藤はアメリカの知人からもらったWGIP文書をもとにこの計画について書いているが、実施にあたった将校に会ったことはなかった。おそらく鈴木はWGIPを担当した将校たちにこのプログラムの意図について問いただした唯一の日本人だろう。
私はCIEやCSS(民間通信局。国際通信の解体、放送法の準備を行った)の将校にも聞き取り調査を行っているが、彼らは守秘義務を盾にどんな政策やプログラムを行ったかなどはなかなか語ってくれなかった。だから、鈴木の先見性とインタヴューアーとしての能力には敬服するしかない。
鈴木は数々の名作ドキュメンタリー番組を残して、2019年1月31日に89歳で天寿を全うした。私にCIEやCCSの将校、とくにCIEのヴィクター・ハウギー、フランク馬場、CCSのクリントン・ファイスナー分析課長代理の連絡先を教えてくれて、占領史研究の足掛かりを与えてくれたのは彼であった。ここの場を借りて、心から感謝と哀悼の意を捧げたい。