司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

組織再編における株券提出のコト その5

2012年11月22日 | その他会社法関連

おはようございます♪

今日こそは、株券喪失登録と異議催告手続の関係です。
なんだかまだモヤモヤ~っとしていますんで、間違ってたらご指摘くださいマセ^_^;

ではまず、条文から。

会社法 第二百二十九条  株券喪失登録者が第二百二十条第一項の請求をした場合には、株券発行会社は、同項の期間の末日が株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過する日前に到来するときに限り、同項の規定による公告をすることができる。
 株券発行会社が第二百二十条第一項の規定による公告をするときは、当該株券発行会社は、当該公告をした日に、当該公告に係る株券についての株券喪失登録を抹消しなければならない。
 
え~。。。たぶん、こういうコト。
株券喪失登録をしている会社が、株式交換完全子会社であった場合は、会社法220条の異議催告手続を行うコトもできるワケです。
場合によっては、簡易な手続きを認めましょう。。。ということなんでしょうね。
ただし、株券喪失登録と220条の異議催告手続は同時に行うことができません。

どちらも株券を紛失した場合の手続きだから、どちらかの手続きによれば十分ってことなんでしょうね~。

では、どちらの手続きによるか。。。?
株券喪失登録期間の満了日よりも異議催告手続の満了日の方が早く到来する場合は、異議催告公告をすることができるワケですね。
具体的に言うと、株券喪失登録の満了日までの期間が3か月未満なら異議催告公告はできなくて(株券喪失登録期間の満了日の方が早く到来するから)、3か月以上なら異議催告公告ができる。。。ってことです。
 
そして、異議催告公告をしたら、株券喪失登録は抹消するってことになっております。
(2つの手続きが重複しないように)
 
で、ワタシは不思議だなぁ~?と思っているのは、「株券が無効になる時期」についてです。
 
(株券の無効)
第二百二十八条  株券喪失登録(抹消されたものを除く。)がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となる。
 前項の規定により株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければならない。
 
(株券の提出に関する公告等)
第二百十九条  株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を当該日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。
 第百七条第一項第一号に掲げる事項についての定款の定めを設ける定款の変更 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、当該事項についての定めを設ける種類の株式)
 株式の併合 全部の株式(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式)
 第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得 当該全部取得条項付種類株式
 取得条項付株式の取得 当該取得条項付株式
 組織変更 全部の株式
 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 全部の株式
 株式交換 全部の株式
 株式移転 全部の株式
 株券発行会社は、前項各号に掲げる行為の効力が生ずる日までに株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該株券の提出があるまでの間、当該行為によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。
 第一項各号に定める株式に係る株券は、当該各号に掲げる行為の効力が生ずる日に無効となる。
 
何か変じゃないですか?
株式交換の効力発生日に株券は無効になるよ♪(←異議催告手続きを採るかどうかにかかわらず)
と言いつつ、株券喪失登録されている株券は、1年後に無効になるよ♪ ってことですよねぇ~?矛盾してません?
219条の規定によって無効になった株券に関しては、228条の「無効」は、なし!ってことでしょうか?
すごい変なトコロで悩んでいます^_^;
 
しかし。。。これについて言及している書籍は見当たらないような気がします。。。
う~ん。。。
どうもおかしい。。。すっごい誤解しているでしょうか?
ブツブツ言いつつ。。。また来週^_^;
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組織再編における株券提出のコト その4

2012年11月21日 | その他会社法関連

おはようございます♪

本日は、株券喪失登録と会社法220条の異議催告手続きとの関係。。。ですが、まずはちょっと前置きを。

株式交換の手続きの前から株券喪失登録されている株券があった場合、これ、当然、株券提出公告をしたって、株券が提出されるワケがありません。
そして、株券喪失登録ってモノは、株券を無効にするための手続きなのですが、株券喪失登録された株券は、株式交換の効力発生日に無効になるワケですね?(会社法219条3項)

しかし、株券が無効になっても株券喪失登録は継続する。。。んですね。。。

う~。。。
ま、でも、この条文は株券提出公告を要する場合がまとめられていますんで、吸収合併と株式交換と株式移転以外のケースなら、なんとなくイメージは湧くんです。

例えば、株式併合。
いったん全部の株券を回収したうえで、株式併合後の株式数が記載された株券を発行し直す、ということになります。
つまり、旧株券は株式併合の効力発生日に無効になり、代わりに新株券が交付されるワケですけど、株式喪失登録された株主さんに対しては、株券喪失登録期間が満了するまで新株券の交付を拒むことができる。。。という仕組み。

ま、意味合いは同じなのでしょうが、吸収合併等の場合以外は、株券発行会社は株券発行会社のままなのですし、1株あたりの価値が変わるから株券は交換しないといけないのでしょうけど、あくまでも、同じ会社の株券のハナシですから、株主名簿に記載された株主が変わる。。。というコトはない。。。ですね。
つまり、株券は無効になると言いつつも、実質的には「紙」を交換するための手続きです。

でも、吸収合併や株式交換は、本当の意味で株券を無効にしちゃうんですよね~?
株式譲渡したようなモンです。
株券を提出しなくったって、強制的に吸収合併存続会社や株式交換完全親会社が株式を取得しちゃう。

ワタシのアタマが固いから、変な気がするのかも知れませんが、この辺がイマイチ納得できません。

そして、さらに、異議催告手続。

そもそも、株券喪失登録は、株券を無効にするための手続きなのですけれども、異議催告手続は株券が無効になった後のハナシです。
似て非なるモノのような気もしますし、結局、趣旨としては「本当の株主を確定する」ために行う手続きなんだから、同じようなモノ、という気もしますしね。。。

なんだか全然わからなくなっちゃった。。。^_^;
とにかく、分からないなりに頭の整理をしてみようと思っております。。。

続きはまた明日♪

コメント (6)
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組織再編における株券提出のコト その3

2012年11月20日 | その他会社法関連
おはようございます!
 
株式交換完全親会社が株券不発行の会社の場合、株式交換完全子会社(=株券発行会社)の株主が株券を紛失してしまった場合、会社は株券が提出されないことをもって、株式交換の対価の交付を拒むことができるのでしょうか。。。??
 
「拒める」なら、異議申述手続をする意味がありますが、「拒めない」のならば、異議申述手続をする意味はない。。。??

実は、ワタシは当初「拒める」と思っていたんですけれどもね。。。
だって、条文を素直に読めば、そうなるはず。。。でも、なんかね。。。具体的に考えてみると、あれ~っ?
「拒む方法」としては、完全親会社の株主名簿にその株主さんを記載しない。。。のかな?と思いますが、そうなると、株主名簿に記載された株式数の合計と発行済株式総数が合わなくなってしまいます。。。それは。。。ないかなぁ。。。。^_^;

。。。で、調べてみましたら、「株券発行会社でない存続会社等において、実際に対価の交付拒絶が問題となるのは、存続会社株式以外の現金等が対価となる場合に限定される。」とありました(「組織再編(中央経済社 森・浜田松本法律事務所[編]」P287)。
 
そして、振替株式に関しての記述ですけれども、「非振替株式⇒振替株式の場合は、会社法219条2項の適用はないと解される。」(同P297)とあります。
 
。。。ってことは、今回のように株式交換完全子会社が株券発行会社であり、株式交換完全親会社が株券発行会社でない場合で、かつ、株式交換の対価が株式交換完全親会社の株式のみである場合には、株式交換完全子会社の株主が株券を提出できなかったとしても、株式交換完全親会社は対価の交付(=株式交換完全親会社の株主名簿への記載)を拒むことができない。
したがって、異議申述手続に関しても、する意味がないってことになるのだろうと思います。
 
まぁ~ね~。。。何だかね~。。。
分かるような分からないようなハナシです。
 
確かに拒むべき「モノ」はないんですけども、それは、偶然、株式交換完全親会社が株券発行会社じゃなかった、というだけのコトですよね!?
株式交換完全親会社が株券発行会社だったり、交換対価が現金だったりすれば、結構面倒くさい手続きを経なければいけないのに、そういう偶然的な事情によって、「何にもしなくて良い」ことになってしまうんですよね?
それじゃあ、株券を発行していた意味がないんじゃないのかなぁ~~~。。。

ま、ワタシの愚痴はさて置き、とにかく、そういう結論で良さそうだったので、今回は、「もし株券を提出できない株主さんがいたとしても、特に手続きは要しない。」ということになりました。
ただし、通知書の文面はとても直接的だったものですから、「株券紛失ウンヌン」という箇所は、ちょっと表現を変更していただくことにいたしました ^_^;
 
しかし。。。このハナシ。。。
既に株券喪失登録をしている株主サンがいる場合はどうなるんだろう?とか、株券喪失登録と異議申述手続の関係はどうなっているんだろう?。。。と思いまして。。。気になりませんか?^_^;
 
起きにくいことではありますが。。。
続きはまた明日♪
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組織再編における株券提出のコト その2

2012年11月19日 | その他会社法関連

おはようございます♪
今週もどうぞよろしくお願いいたします。

では、早速先週の続きです。

株式交換完全子会社が株券発行会社であり、実際に株券を発行している場合、株主さんが効力発生日までに株券を提出しなかったらどうなるか。。。

実のトコロ、株券発行会社は珍しくないんですが、ほとんどの会社サンは、株券を発行していないか、発行していても、事前に株主さんから株券不所持の申し出をしてもらうので、今回のように株券提出公告(と個別通知)を行うケースは珍しいんです。
さらに、「株券が提出されない可能性があるけど、どうしよう。。。」っていうケースは、今までなかったような気がします。たしか。。。^_^;

そのため、通知書に記載されている文言に違和感は感じたものの、直感は当てになりませんからね~。。。
確認しておきませんとね。。。♪
未だにどうもピンと来ないトコロがあるのですけど、とりあえず条文です。

会社法 第二百十九条  株券発行会社が次の各号に掲げる行為をする場合には、当該行為の効力が生ずる日までに当該株券発行会社に対し当該各号に定める株式に係る株券を提出しなければならない旨を当該日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この限りでない。
(中略)
 株式交換 全部の株式
 株式移転 全部の株式
 株券発行会社は、前項各号に掲げる行為の効力が生ずる日までに株券発行会社に対して株券を提出しない者があるときは、当該株券の提出があるまでの間、当該行為によって当該株券に係る株式の株主が受けることのできる金銭等の交付を拒むことができる。
 第一項各号に定める株式に係る株券は、当該各号に掲げる行為の効力が生ずる日に無効となる。

「拒むことができる」ってことは、「拒まなくても良い」のでしょうけど。。。^_^;
一応、拒むことを前提にすると、株券が提出されるまで、株主さんは対価を貰えないワケですが、株券紛失等の場合にはこういう手続きが設けられています。↓

会社法 第二百二十条  前条第一項各号に掲げる行為をした場合において、株券を提出することができない者があるときは、株券発行会社は、その者の請求により、利害関係人に対し異議があれば一定の期間内にこれを述べることができる旨を公告することができる。ただし、当該期間は、三箇月を下ることができない。
 前項の規定による公告をした場合において、同項の期間内に利害関係人が異議を述べなかったときは、株券発行会社は、同項の請求をした者に対し、前条第二項の金銭等を交付することができる。(以下略)
 
つまり、株券を紛失した株主さんの救済策として、利害関係人に対して公告して3か月間の間に異議を申し出るヒトがいなかった場合は、株券の提出がなかったとしても、対価の交付ができる。。。ってことのようです。
普通、株券を紛失したら「株券喪失登録」をすることになるワケですけれども、そうなると1年待たなければなりませんから、例外的に簡易な手続きが設けられているんでしょう。

じゃ、今回もこれか???
。。。でも。。。
この「金銭等」。。。株式交換の対価は、今回のケースですと、株式交換完全親会社の株式なのですけれども、対価の交付を拒むことって、そもそもできるんでしょうか?

株券発行会社の場合は、「完全親会社の株券」を渡さないということになるのでしょうが、株式交換完全親会社は株券不発行会社ですからね。。。「拒む」のならば、株主名簿に記載しないってことかしら???

ヨクヨク考えてみると難しいです(~_~;)
続きはまた明日♪
 
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組織再編における株券提出のコト その1

2012年11月16日 | その他会社法関連

おはようございます ♪

今日は、「株式交換」における株券の提出について。

え~。。。先日実施された株式交換の案件。
株式交換完全子会社が株券発行会社でして、株主サンの数も少なくはありませんでした。
一方、株式交換完全親会社は株券不発行の会社サンです。こちらも(あんまり関係ないけど)、株主サンは大勢いらっしゃる。。。という状況。

株券発行会社はかなり減ったように思いますが、組織再編の案件では新規のクライアントサンが多いせいか、株券発行会社も特に珍しくはありません。

譲渡制限の規定などとは違って、株券発行会社って、実務上は特に支障のない会社も多いですからねぇ~。
つまり、実際、株券は発行していなくって、株主の異動もほとんどなければ、株券発行会社のままでも困らない。。。。
だとすれば、わざわざ定款変更して、登記して。。。なんて(お金もかかるし、面倒くさいし)要らないじゃん! というワケです。

そして、実際、株券を発行している会社は、株券不発行にすることの方が大変だったりするようです。
株主サンにいちいち説明しなければなりませんし、そもそも、株主サンが株券の所持を希望されていることも多いですからね~。

継続的にご依頼いただいているクライアントさんは、株券発行会社はほとんどないんですけど、これは何故か?。。。
会社法対応の定款変更をする際、「どうせ定款変更(と変更登記)するんなら、ついでに。。。」ってことだったと思っております。こういう会社サンは、本当は株券発行会社のまんまでも困らないんですよね。。。でも、会社法は「株券不発行が原則」なので、どっちでも良いんならこの際、株券不発行にしちゃおう!ってことです。

ま、この辺のことは、司法書士に相談するかどうかでも、結論は変わると思いますし、司法書士の対応も異なるってことでしょうかね~^_^;

。。。というわけで、スポットでご依頼いただく場合(←組織再編の案件が多いです)は、当事会社が株券発行会社であることは珍しくありません。

株式交換の場合、株式交換完全子会社が株券発行会社であるときは、原則としては、「株券提出公告」と「株券提出に関する株主への個別通知」が必要になりますね。
けれども、、実務上は、「公告」をするケースは稀でして、事前に株主サンから株券を全部回収し株券未発行の状況になれば、公告や通知は不要です。ちなみに、登記の際は、前者では「株券提出公告したことを証する書面」を、後者では「株券を発行していないことの証明書」を添付することになっております。

そして、今回のケース。
株券を事前に回収するのは難しい状況でしたので、珍しく、公告と個別通知をすることに致しました。
で、通知書の文案を確認したのですけれども。。。。「これは???」。。。

「株券を紛失された株主様は、その旨をお申し出ください」。。。というようなコトが書いてある。

まぁ~。。。当然といえば当然ですけども、株券を無くしちゃった場合も想定されますからね~。。。
しかし、株券発行会社の株主サンが株券を無くしちゃったら、通常は、株券喪失登録の手続きをするんじゃないか。。。?
「無くなっちゃいました♪」 「ハイハイ承知しました♪」 みたいなコトで良いのだろ~か???^_^;

続きはまた来週~♪

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