会社法になって、用語もいろいろ変わってしまい、なかなか面倒な思いをしているのはワタシだけでしょうか?
さて、今日は増資のお話です。増資というのは「資本金の額を増やすこと」なのですが、たぶん、一般的には「新株発行」のことを意図して使われていたコトバだと思います。今は「募集株式の発行」と言うようですが。。。
今、増資の手続をしている会社さんがありますが、珍しく株主割当の方法でやっています。株主割当というのは、ご承知のとおり、既存株主さんに対し、現在の持株比率に応じて株式を割り当てる方法です。
実際、増資をする会社のほとんどが株主割当をしているのですが、手続自体は株主割当の方法をとっていません。
会社法施行前は、株主割当をするためには基準日を設けなければならず(登記は関係ないんですケドね)、適法に手続するために手間と費用がかかるというのが理由だったと推察しています。
現在は、基準日は必ずしも設定しなくて良くなりましたので、じゃあ、株主割当が圧倒的に増えたか? というと、やっぱりそうではありません。
実際にはどうするかというと、第三者割当の手続で増資をしています。たまに、「実質が株主割当なのに第三者割当でやってもいいの~?」というギモンを持たれる方もいらっしゃいますが、法律的にはOKだと思います。
モンダイは税務なのでしょうが、以前税理士さんに伺ったら、「実質が株主割当だったら、手続はどちらでやってもおんなじです。」とのことでしたので、税務的にも大丈夫のようです。
基準日のモンダイがなくなったのに、なんで株主割当にしないか? というと、第三者割当で総数引受契約をする方法が一番手っ取り早いからなんです。
総数引受契約をする場合、会社法203条、204条の規定が適用除外になるので、やることは、①株主総会で募集事項の決定、②総数引受契約の締結 だけです。超簡単!
一方、株主割当をする場合、①株主総会(または取締役会)で募集事項の決定、②株主さんに対して募集事項等の通知、③株主さんからの申込
見た目的にはあまり変わらないように思えますが、②の書面は色々書くことがあるので結構面倒です。それから、②の通知は申込期日の2週間前までに送らなければなりませんので、①の決議の日と申込期日の間が2週間ない場合は、登記の添付書類として、株主全員の期間短縮同意書が必要になります。さらに、①の決議を譲渡制限会社が取締役会で決議する場合は定款規定が必要ですので、登記の際は定款も提出しなければなりません。
総数引受契約の場合の注意事項としては、引受人が複数人でもいいのですが、「みんなで全部を引き受けます」ということが必要で、だれかが払い込みをしなかった場合は、全部がパーになってしまうことです。
以上のように、総数引受契約のほうが圧倒的に簡単ではありますが、株主総会を開きにくい会社さんであれば、原則どおり株主割当にしたほうが良いでしょうね。
ちなみに、通常の第三者割当の手続は株主割当よりも面倒なので、あまりおススメしていません。
増資の手続は微妙に変わっていて、条文を読み解くのもなかなか困難なんですよ(個人の感想)。
「従来の商法では取締役会を承認機関としていたが、現在では取締役会を設置している会社では取締役会、それ以外の会社では株主総会を原則的な承認機関とし、定款の定めにより他の機関(例:代表取締役)を承認機関とすることができる(会社法139条1項)」
代表取締に承認機関とするなら取締役会を承認機関とするとのと同じだと思いますが、役会であれば
役会の議事録が有効だし、代取だけの承認であれば
どういうものがあるのでしょうか。
ご質問は、株式譲渡の承認機関ということですよね?
代表取締役を承認機関とする場合、例えば代表取締役が1人だとすれば、その人が良いと思えば承認されたことになるので、とてもカンタンなんですよ。
取締役会だったら、会議を開かないといけないし、議事録も作らないといけませんよね。
承認したことは別に書面にしなくてもいいのですが、おそらく実務上は「株式譲渡を承認します。」と書かれた書面を作るのだと思います。
ちなみに、ワタシは代表取締役を承認機関にすることはあまりおススメしていません。最低限、取締役の過半数の一致による承認くらいはしていただきたいと思っています。
ですので、ワタシの担当している会社では、代表取締役を承認機関にしているところはないんです。よって、書面の件も想像(想定)です。
便宜上できるよ。でも実際はそういうことしていないですよね。1人の権限よりも会社組織ですから、
取締役会の決議によるだけにすればよさそうなものですけどね。
PS:過去のコメントをたどっていくにはどのように
すればいいのでしょうか。
株式譲渡の承認機関も同様で、商法の時代は取締役会だけでしたが、会社法では取締役会に限らなくても良いことになりました。
ただ、簡易な手続を採用している会社ほど閉鎖性が強く、第三者からの信用力は低くなる、という傾向があるようですね。
ワタシ自身は、特にご希望がなければできるだけ法律上の原則にのっとった手続をお勧めしています。
このブログ私みたいな素人でも役にたちますのので助かります。
今後もがんばってください。
10月でブログ開設から半年になりますので、少なくともそれまでは何とか頑張ろうと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。