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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

北方領土問題  独創的で型にはまらないアプローチ、政治が決断

2009-02-18 21:37:18 | 国際情勢

(麻生首相の政権基盤も相当怪しくなっていますが、メドベージェフ・ロシア大統領、この人の権限がどれほどあるのかもよくわかりません。
“flickr”より By World Economic Forum
http://www.flickr.com/photos/worldeconomicforum/374718127/)

戦後はじめて日本の首相としてサハリンを訪れた麻生首相は、18日午前、サハリン州ユジノサハリンスクでメドベージェフ大統領と会談を行いました。
麻生首相は北方領土問題について、「新たな、独創的で型にはまらないアプローチで、我々の世代で解決すべく、具体的な作業を加速しようということで一致した」、「4島の話は向こう(ロシア)が2、こっちが4ではまったく進展しない。日露間すべてに引っかかっている問題だ。政治が決断しなければいけない」と語っています。
また両首脳が、プーチン首相の5月の訪日でも合意したことを明らかにしています。

一般的には、北方領土問題の実質的進展については、これまでの経緯、また、権限を持つプーチン首相が譲歩に否定的とも見られていることもあって、悲観的な見方が強いようです。

常識的にはそういうことでしょうが、個人的には解決の可能性がまったくないとも思っていません。
従来のしがらみに囚われ、自分の主張がいれられることだけを求め、対立の姿勢を崩さないままでは何も変わりません。
逆に言えば、そうしたしがらみをいったん捨てて、相手に相手の立場・主張もあることを前提に、何がお互いにとって得策なのかを考えれば新たな発想も生まれる余地はあるのではないでしょうか。

【中国・ロシアの領土問題の事例】
昨年7月、ロシアのラブロフ外相と中国の楊潔外相が中露間の東部国境に関する追加議定書に調印し、未解決のまま残されていたアムール川(中国名・黒竜江)とウスリー川の中州の国境線が画定しました。
かつて69年にはウスリー川の中州ダマンスキー島(珍宝島)をめぐって武力衝突さえ起した両国が、平和裏に問題を決着させたことは非常に感慨深いものがありました。

この合意は、ロシアが実効支配していた領土の一部を中国に「割譲」するかたちとなっています。
これは異例のことですが、プーチン政権は、地元ハバロフスク地方の議員の反対に対し、地元への経済支援と強権で反発を抑え込んで実現させました。
「極東の発展には中国との関係強化が不可欠」という考えも背景にあったとみられています。

“ソ連崩壊に伴って極東部が激しい人口流出に見舞われた中、経済発展と人口増加の著しい中国との国境を画定させることがロシアの安全保障上、重要だったことが大きい。ロシア側にはまた、欧米諸国に対抗して国際政治上の地位を回復するうえで、中国との協調関係が得策と判断された事情もある。中国側も、需要の急増する石油・天然ガスなどエネルギーの供給源として、ロシアとの友好関係を重視した。”【08年7月22日 産経】

結局、不毛の対立より、関係改善を選択した指導者の“決意”でしょう。
具体的には、係争地を面積でほぼ等分する方策がとられました。
こうした互いの利益を重視した関係改善策の延長として、例えば今日のニュースで伝えられるよなことがあります。

****ロシア:中国に20年間石油供給 250億ドル融資見返り****
中露両国は17日、中国がロシアに対し250億ドル(2兆3000億円)を融資する見返りとして、ロシアが20年間にわたり中国に対し石油を供給する長期契約に合意した。これにより東シベリアの原油を太平洋岸に輸送する「太平洋パイプライン」の中国支線の建設など、2国間のエネルギー協力事業が加速するとみられる。(中略)
両国は昨年10月、東シベリアのスコボロジノから中国・大慶まで延びる同パイプライン中国支線の建設で基本合意したが、融資条件など条件交渉が長引いていた。ロシアでは経済危機の影響を受け、ロスネフチ、トランスネフチ両社とも資金不足に陥っており、パイプラインの建設続行に際して、中国からの融資を求めていた。
【2月18日 毎日】
***********************

【ロシアの関心を極東へ】
日ロ関係で見ると、今回会談の表向きの目的である、日本企業も参加する石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」液化天然ガス(LNG)製造工場が稼働します。
LNG出荷のうち、約65%が日本向け、残りは韓国と米国に出荷されるそうです。
開発段階で、ロシア政府から環境法違反などを指摘され、主導権がロシア側に強引に奪われるといったこともありましたが、日本にとっても資源輸入先の多チャンネル化は重要な問題です。

一方、ロシアは、原油価格の下落で政府が見込んでいた歳入が3分の2の水準となったことを受けた予算の再編成作業について、政府支出を削減するか、金融危機対策費を削減するか、難しい選択を迫られているとも伝えられます。【2月16日 ロイター】
また、ロシアの国内総生産(GDP)が09年、ドル換算で20%のマイナス成長となる見通しで、クレジットリスクが高まる恐れがあるとの見方も出ています。【2月18日 ロイター】
麻生首相ならずとも、ロシアの関心を極東に向けさせる好機であると考えます。

【例えば、面積ニ等分案など】
“独創的で型にはまらないアプローチ”が何を意味するのかは知りませんが、麻生首相の「4島の話は向こう(ロシア)が2、こっちが4ではまったく進展しない。」といった発言からすると、中ロ間でとられたような面積による二等分方式も想定されているのでしょうか。
四島を面積で等分し、歯舞、色丹、国後島と択捉島の南部を日本領とする考え方です。

もちろん日本側に批判は多々あるところであり、ロシア側もおいそれと乗れない案でしょうが、別にこの案に限らず、要は解決へ向けた“意志”があるかないかの問題です。
国内からの批判を避けるためには、今までどおり自己主張し、結局相手がこれを認めないから進展しない・・・そうした対応を繰り返せばすむ話ですが、それでいいのか?という問題です。

【変革の意志】
“チェンジ”“変革”という言葉は非常に魅力的な言葉です。
しがらみを捨てる覚悟を持てば、今まで到底不可能に思えたことも現実のものになる可能性があります。
反米の先頭を走るチャベス・ベネズエラ大統領ですが、アメリカ国務省のデュギッド副報道官代行は17日、国民投票で大統領や国会議員の再選制限を撤廃したベネズエラについて、「われわれは引き続き前向きな関係の維持に努める」との見解を示し、関係修復の道を閉ざしていない考えを明らかにしています。
イランのアハマディネジャド大統領は17日、同国の国営テレビとのインタビューで、米国が真に政策の転換を行えば、米国とイランおよび同地域との関係を変えることは可能だと改めて強調しています。

どれが本心で、どれが口先だけなのかはともかく、変革の意志があればこうした関係改善も不可能ではありません。
プーチン首相の来日は5月とのことですが、「政治が決断しなければいけない」という麻生首相の決断を期待したいものです。
ロシアだけでなく、日本経済もガタガタで余力を失いつつあります。
お互い不毛の対立を続けている場合ではないと思うのですが。
ただ、麻生首相がその時期までもつのか、はなはだ心もとない政局になっていますが。

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コソボ  独立から1年、熱狂からさめて厳しい現実

2009-02-17 22:16:32 | 国際情勢

(今年正月 コソボの首都プリシュティナの夜を彩る新年を祝う花火
“flickr”より By AMWRanes
http://www.flickr.com/photos/awelch/3155381583/)

昨年2月17日、セルビアからの独立を宣言したこコソボは、独立から1年を迎えます。
欧州においてもコソボ独立以降、グルジア問題やウクライナのガス騒動など日々新たな問題が発生しており、また、いまや全世界の関心が世界不況に向かっているなかで、正直なところコソボに向けられる関心はあまり多くないようです。
最近ではその状況についての記事を目にすることも殆どなくなりましたが、さすがに1年経過ということで、昨日珍しく下記の記事がありました。

****コソボ:独立1年…向上しない市民生活 無法状態の地域も*****
コソボは17日、セルビアから独立を宣言してから1年を迎える。コソボ人で構成される「コソボ治安部隊」が発足し、米国や欧州など主要18カ国の大使館開設が進むなど、防衛や外交の面でも新生国家の体制を整えつつある。しかし失業率は40%を超えるなど人々の生活は向上せず「独立後も暮らしはよくならない。期待が膨らんだ分、失望は大きい」と落胆の声も漏れている。

多数派アルバニア人とセルビア系住民がイバ川をはさんで分かれて住む北部ミトロビツァ。民族分断を象徴する町で、民族間の交流を促進する地元住民団体「コミュニティー建設ミトロビツァ(CBM)」のバルデータ・イドリズィ代表は「生活を取り巻く環境は悪くなる一方だ」と表情をくもらせた。
今もたまに爆発騒ぎが起こる。1月初めにセルビア系住民が住む北側で、アルバニア系住民が営む店舗2戸が火災に遭った。消火に当たった消防士3人が負傷し「爆弾による火災」との憶測が広がった。ナンバープレートがない乗用車が公道を走り、銃や麻薬の密輸など組織犯罪が横行する。イドリズィ代表は「民族対立は関係ない。北側では、司法の空白による無法状態が続いている」と嘆く。

双方を隔てる橋を人々が頻繁に行き交うようになった。しかし、治安維持は、北大西洋条約機構(NATO)軍のコソボ駐留部隊に頼り、民族衝突が繰り返されないように警戒を続けている。国際社会からの支援の担い手は、国連から欧州連合(EU)に移ったものの、セルビアやロシアはコソボ独立を承認せず、形式上は国連暫定統治が続いたままだ。

コソボのサチ首相は12日、自治体関係者を前に「コソボ独立が、だれかの脅威になることがあってはならない」と強調し、セルビア系を含めた多民族国家としての結束を呼びかけた。しかし、セルビアのタディッチ大統領は14日、セルビア北部ノビサドで「コソボの独立を認めない。セルビアは、コソボに住むわが同胞の権利を守る」と語った。【2月16日 毎日】
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コソボの経済的困難は独立以前からのものですが、独立前TVのニュースで見た、コソボ独立を訴える若者達が「独立さえすれば、この状況は改善される」と人々に熱く語っていた映像を思い出します。

コソボを国家として承認した国は、昨年末段階で、米国や日本など53カ国にとどまっています。
更に、国際的関心も低下したなかで、セルビアとの対立は依然改善せず、経済的苦境は深刻さを増していく・・・おそらく国民の間でも一時の熱気がさめていく・・・そんな様子が窺える記事です。

治安に関しては、昨年12月9日から、国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)から司法・警察分野の権限を引き継ぐEUの文民支援隊が活動を開始しています。

****コソボ:EU文民支援隊が活動開始****
支援隊は2000人規模で、司法・警察分野を中心に、コソボ政府を支援、行政担当者に助言し、汚職や組織犯罪を防止できる行政機構の確立を目指す。しかし、セルビアが反発したため、EU支援隊の活動開始は遅れ、当初予定されたコソボ憲法施行時の6月から半年遅れとなった。
コソボのサチ首相は8日、「EU支援隊がコソボ全土で活動できることを期待する」と述べた。セルビア系住民居住区では「中立的な立場を守る」とされるEU支援隊に、アルバニア系住民の一部が反発を強めていることを意識した発言だ。【08年12月9日 毎日】
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更に今年1月には、コソボ独自の“軍”も発足しました。

****コソボ:独自の軍が発足 セルビア側は反発****
AP通信などによると、昨年2月にセルビアからの独立を宣言したコソボで1月21日、独自の軍が発足した。セルビア側は「違法」(イェレミッチ外相)と強く反発している。
国際社会の監督下での独立を勧告したアハティサーリ国連事務総長特使案に基づくもので、2500人規模でスタート。
当面は小火器で武装し、自然災害時の救援活動などを行う。コソボに1万5000人が展開する北大西洋条約機構(NATO)などの監督下に置かれる。【1月22日 毎日】
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少しずつ国家としての枠組みは整備しつつあるようですが、セルビア系住民との対立という基本問題が全く進展せず、世界不況で余裕を失った国際社会からの支援も多くは期待できない状態で、当分は厳しい現実に向き合わねばならないことが予想されます。
経済的困難に対する不満が、多数派アルバニア系住民と少数派セルビア系住民の衝突という最悪の結果にならないことを願います。


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アメリカ・オバマ政権  アフガニスタン問題で、対テロ戦略見直し

2009-02-16 20:47:53 | 国際情勢

(アフガニスタン・パキスタン問題で、イギリスのミリバンド外相(左)と会談するアメリカのホルブルック特使(右)
それにしても、ミリバンド外相は若いですね。43歳だそうです。次代の労働党指導者のひとりとか。
“flickr”より By Foreign and Commonwealth Office
http://www.flickr.com/photos/foreignoffice/3255525602/)

【ふたつの顔を使い分けるパキスタン】
イラクよりアフガニスタンを「テロとの闘い」の主戦場と位置づけるオバマ大統領のもとで、就任後もタリバン勢力の支えとなっているパキスタン北西辺境州の部族支配地域への越境攻撃が続けられています。

****米軍無人機爆撃で25人死亡 パキスタン北西部****
パキスタン北西部で14日、隣国アフガニスタン駐留米軍の無人機によるとみられるミサイル爆撃があり、地元テレビによると、イスラム武装勢力ら少なくとも25人が死亡、24人が負傷した。爆撃されたのはベイトラ・メスード司令官が率いる武装勢力の実効支配地域。同司令官をムシャラフ前政権は、07年のブット元首相暗殺事件の首謀者と名指ししている。【2月14日 共同】
*******************

こうしたアメリカの越境攻撃に対し、パキスタン側は「越境ミサイル攻撃は治安を悪化させる」と中止を要請しています。
ただ、アメリカに対しては、秘密裏に一定にこうした行動を許容しているとも言われています。

****パキスタン大統領:米に越境ミサイル攻撃の中止を要請*****
米CBSテレビ(電子版)によると、パキスタンのザルダリ大統領は15日放送予定の同テレビとの会見で、「越境ミサイル攻撃は治安を悪化させる」と述べ、オバマ米大統領に対し、改めて攻撃の中止を求めた。ザルダリ大統領は「武装組織は国内各地に勢力を伸ばしている」と認めながらも、「我が国の掃討作戦は他国のためのものではない」と強調してみせた。【2月16日 毎日】
********************

アメリカの越境攻撃が国内反米世論を刺激して、テロ等による治安悪化を招いているというのは事実です。
ただ、パキスタン自身のタリバンやイスラム武装勢力への対応は、本音のところどちらを向いているのか、わかりにくいものがあります。
部族支配地域のイスラム武装勢力とも、これまでも和解したり、交戦したり、対応が一貫していませんが、再度和平協定を結ぶような報道がなされています。

****北西辺境州の武装勢力、州政府と和平協定に調印へ=パキスタン*****
パキスタンの北西辺境州スワト地域で、イスラム法の秩序の確立を目指している武装勢力は、16日にも州政府との間で和平協定に調印する見通しだ。
州政府は地元の武装勢力指導者スーフィ・モハマド師との間で、同地域でのイスラム法の施行について協議している。州政府のフサイン報道官は15日、AFP通信に対し、「協議は極めて前向きで、スワトの住民はまもなく良い知らせを耳にしよう」と語った。(中略)
フサイン報道官は「ホティ州首相が16日にペシャワルで政治指導者、宗教指導者、それに部族指導者の会合を開く。この会合で合意が成立すれば、州首相はメディア向けに詳細を発表する」と語った。同報道官は同会合について、スワト地域におけるイスラムの法制度確立が中心に話し合われると述べるにとどまり、詳しいことは明らかにしなかった。【2月16日 時事】
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タリバンとの関係においても、パキスタンの軍統合情報部(ISI)がその生みの親であり、今なおタリバンとの繋がりがたびたび指摘されます。
一方で、昨年9月以来、親イスラム過激派の職員140人がISIを除名されたともいわれます。

宿敵インドと関係が深いアフガニスタン現政権がタリバンによって弱体化するのは、パキスタンにとって好都合と思われているとも言われます。
また、いずれアメリカはこの地から出て行く訳で、アメリカとタリバン双方にいい顔をしようとしている・・・とも。
【2.18 Newsweek 日本版】
しかし、国内でのテロ活動につながる動きには厳しく対応する・・・というところでしょうか。

【「対テロ戦略の再考」を求めるアフガニスタン】
タリバンが支配地域を拡大していると言われるアフガニスタンでは、相変わらず自爆テロの被害が絶えません。

****カブールで自爆テロ、死傷者多数 テロリストと銃撃戦も*****
アフガニスタンの首都カブールの官庁街で11日、自爆テロが発生し、多数の死傷者が出た。一時、司法省の建物にテロリストが立てこもったが、銃撃戦の末、射殺された。少なくとも8人が犠牲になった模様だ。
地元警察などによると、自爆テロは少なくとも2カ所で発生し、教育省などがターゲットになった。銃撃戦となった司法省では2人のテロリストが射殺されたほか、複数の政府職員が死傷した模様だ。
これとは別に、カブールから北に8キロほど離れたカルカナでも自爆テロが起き、約10人が死亡した。
地元メディアによると、反政府勢力タリバンが犯行声明を出した。タリバンのムジャヘド報道官は「7人の自爆テロ要員を送り込んだ」と話したという。 【2月11日 朝日】
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アフガニスタンのカルザイ大統領は、「対テロ戦略の再考」を求める内容のオバマ米大統領宛の手紙を、アフガニスタンを訪問したホルブルック特使に託したと明らかにしています。
空爆による市民の犠牲の防止や武装勢力タリバンとの和平交渉などへの理解を求めたものとみられています。【2月16日 毎日】

オバマ大統領はパキスタンとアフガンの訪問を終えたホルブルック特使の報告を待ち、アフガン新戦略を発表するとされておますが、アフガニスタンもこの見直し作業に参加を表明しています。

****米大統領、対テロ戦略見直しへのアフガン参加を歓迎****
オバマ米大統領は、米国の対アフガニスタンおよびパキスタン政策の見直し作業にアフガニスタンが参加を表明したことを歓迎した。アフガニスタンのカルザイ大統領と、ホルブルック米特別代表(アフガニスタン・パキスタン担当)が明らかにした。

見直しは、先週オバマ大統領が指示したもので、軍事・非軍事部門にわたって行われる。見直しは、4月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議までに完了する予定。
カルザイ大統領は「オバマ大統領が対テロ戦争の戦略見直しにアフガンが参加することを受け入れてくれたことに、深く深く感謝する」と述べた。
先週にはパキスタンもこの見直しへの参加を表明している。【2月16日 ロイター】
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【アフガニスタンのベトナム化】
【2.18 Newsweek 日本版】が、かつてのベトナムと現在のアフガニスタンの類似性をあげています。
アメリカが救うはずの国が分裂しており、とても国家とは呼べないこと。
無能で腐敗した政府が国民の支持を失っていること。
敵は外国の侵略者と戦うことに馴れていること。
国境を越えれば潜伏できる拠点があること。
アメリカにとって出口が容易に見つかりそうにないこと。
“戦闘”に勝っているのに、“戦争”に勝利できないこと。

オバマ大統領はアフガニスタンへの増派を行うようですが、それで問題が解決するとは誰も考えていません。
ゲーツ国防長官も増派は現地の反感を強めるだけで「アフガニスタンでの目標設定には慎重を期すべきだ。現地の人々が米軍を“解決策”ではなく、“問題”とみなす懸念がある」と語っているそうです。【2.18 Newsweek 日本版】

更に、アメリカ国内では金融危機・世界不況の克服が国民の関心事で、アフガニスタン情勢への関心が薄らいでいます。
こうした状況での、アフガニスタン・パキスタンも参加した“対テロ戦略見直し”で、どういう方針・出口戦略が出てくるのか注目されます。

一時はドロ沼に見えたイラクからは何とか抜け出せそうで、傀儡と思われていたマリキ首相が力をつけつつありますが、アフガニスタンではどうでしょうか?


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イタリア  安楽死阻止に向けた緊急政令審議中の死去

2009-02-15 12:31:31 | 世相

(ベルルスコーニ政権による延命措置停止差し止め法案に反対する集会・・・ではないでしょうか。イタリア語なので定かではないですが。
“flickr”より By Stefano Minguzzi - stefanominguzzi.com
http://www.flickr.com/photos/newbrainframes/3261994901/)

先日イタリアで、ある女性の安楽死をめぐり、政治・宗教を巻き込んで(あるいは、政治・宗教に巻き込まれて)社会は大きく揺れ動きました。

****安楽死論争の女性が死去=17年間の植物状態の末に-伊*****
イタリアからの報道によると、17年前に交通事故に遭い、植物状態になったエルアナ・エングラロさん(38)が9日、同国北東部ウディネの病院で死去した。エングラロさんをめぐっては、植物状態になった人の安楽死を認めるか否かで、政界やカトリック教会を巻き込んで論争になっていた。

長年にわたりエングラロさんの介護に当たってきた父親は、娘の死ぬ権利を認めるよう訴えを提起。昨秋には破棄院(最高裁に相当)で、植物状態からの回復がないことや、生前に本人が安楽死の意思表示をしていたことなどから、延命措置の解除を認める判決が下された。

これに対し、右派のベルルスコーニ政権は6日、延命治療の継続を求める政令を閣議決定。ただ、左派のナポリターノ大統領が署名を拒否して、政令は無効に追い込まれた。
このため、上下両院で過半数の議席を握るベルルスコーニ政権は政令を法案に切り替えて、9日に上院での審議を開始したが、入院する病院は延命措置解除に着手していた。【2月10日】
************************

エングラロさんの死去は、エングラロさんを死なせるべきではないとして上院で延命措置停止を差し止めるための緊急法案が審議されているさなかでした。

イタリアはローマ法王庁を抱える国ですので、その意向が社会に強く影響します。
ローマ法王庁のロザノバラガン保健従事者評議会議長(保健相)は「人の手を介して亡くなったのであれば、犯罪とみなし続ける」と病院の対応を批判しています。
こうした事態を受け、ウディネ地検は病院からカルテを押収するなど捜査を開始したと報じられています。

一方で、保守派のベルルスコーニ首相に対しては、この問題を政治問題化しているとの非難の声があがっているそうです。

安楽死に関しては多くの識者が議論している問題であり、万巻の書が書かれているところで、そうした抽象的な議論には全く疎い私が口をはさむことは何もありません。
ただ、延命措置に関する事例は自分たちの身のまわりでもときおり見聞きする、あるいは実際にその関係者になる問題でもあり、世間話の延長として、この種の話を仲間内で話す機会も多くあります。

そんな会話で殆どの人が口にするのが、「自分はそんな延命措置をしてまで生きたいとは思わない」ということです。
私自身もそのように思っています。
もっとも、そのとき「そうは言っても、自分自身がそういう場に置かれると、それでも生きたいと思うかもよ・・・」といつも付け加えますが。

人の命を人の手によって絶つことの根源的問題もあります。
また、安楽死的なものが認められる場合、そうした措置が一般的となり、本人の意思が必ずしもはっきりしないようなケースについても、周囲の人々の意思で死が決定されるような風潮を生むことも考えられます。

しかし、“植物状態”(このような言葉が適切かどうかはわかりませんが)に陥った時点、現在の医療技術では回復の見込みがほぼなくなった時点で、すでに人の力が及ぶところから離れたと解すべきではないでしょうか。
後に残された時間は、本人及び周囲の人々が死を受け入れるために心の準備をする猶予時間みたいなものでしょう。
その猶予時間が1ヶ月なのか1年なのかは様々でしょうが。

多くの事例の中には、うかがい知れぬ本人の意思に沿わないケースも出てくるかもしれませんが、そもそも、病気・事故・犯罪・・・殆どの人の死において、生きたいと願う本人・家族の意思に反して死は人に襲い掛かるものです。
本人が死を望んでいるかはっきりしないから・・・というのが延命措置を続ける絶対的な理由にもならないようにも思えます。

今回のエングラロさんのケースでは、静かに向かえるべき死が、政治的な思惑によって混乱のなかに投げ込まれた・・・そうした後味の悪さが残ります。


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ジンバブエ  新内閣発足するも、厳しい先行き

2009-02-14 16:55:49 | 国際情勢

(WHOは、昨年8月以降のジンバブエにおけるコレラによる死者数は3397人、感染者数は6万9317人になったと発表。過去15年間ではアフリカで最悪の事態となっています。
かつては豊かだったジンバブエですが、10人に8人が失業するという経済危機により、医療制度は崩壊。粗悪な医療施設や公衆衛生がコレラのまん延を助長しています。【2月10日 ロイター】
写真は新たにつくられた医療キャンプのようですが、医療チームが到着したとき、患者達は汚物まみれで床に横たわり、死体と新たに運び込まれる患者が混在している状態だったそうです。
“flickr”より By Teseum
http://www.flickr.com/photos/teseum/3231671982/)

【副農業相予定者の逮捕】
昨年3月の大統領選後混乱が続いたアフリカ・ジンバブエ情勢については、1月31日ブログ「インフレとコレラ ようやく連立成立か」で、野党・民主変革運動(MDC)のツァンギライ議長が、ムガベ大統領との連立政権に参加すると発表したことを取り上げました。
(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090131)

“一応”そうした方向で、13日、旧野党勢力を含む連立政権の閣僚らが就任宣誓し、新体制がスタートしました。

****ジンバブエ:新内閣が発足****
旧単独与党「ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線」(ZANU-PF)を率いるムガベ大統領と旧最大野党「民主変革運動」(MDC)党首のツァンギライ新首相らが閣僚ポストを分け合い組閣。
現地からの情報では就任宣誓した閣僚は当初予定より多い36閣僚。ZANU-PFは国防相、外相を確保。
MDCからは財務相、保健・児童福祉相などが任命された。また新副首相に就任のムタンバラ氏率いるMDC分派から3閣僚が誕生した。
また、同日、MDCが副農業相に任命したベネット氏を当局が逮捕した。容疑は不明だが、ベネット氏はムガベ政権が推進してきた白人農地を強制収用し、黒人農家に再配分する「農地改革」により、農地を奪われた元農場主の一人。 【2月14日 毎日】
**********************

拘束されたベネット氏はMDCの財務担当者を務めていた白人農業従事者ですが、ムガベ大統領の殺害を計画していたとの容疑をかけられ南アフリカに亡命。
先月、3年ぶりに帰国して副農業相に就任することが予定されていました。

ムガベ政権は、自らの失政を人種問題にすりかえ糊塗する形で、白人農場主の土地を暴力で強制的に収用し黒人に与える黒人化政策・農地改革を推し進めており、そのことが経済崩壊・歴史的なハイパーインフレーションの原因にもなっています。
また、この人種差別的政策は、イギリスなど欧米諸国との軋轢をも生んでいます。
そうしたことから、黒人農家への再配分により農地を奪われた白人元農場主の副農業相起用は、ツァンギライ新首相の政策転換をうかがわせるものとして注目されましたが、ムガベ大統領側はこれを認めなかったようにも見えます。

【ムガベ大統領権力維持 続く欧米対決姿勢】
ムガベ大統領は旧宗主国・イギリスなど欧米諸国との対決姿勢を依然続けており、連立発足に向けた合意文書では、欧米による制裁の契機となった白人農場主からの土地強制収用が事実上容認されています。
このため、最重要課題である経済改革に向けて必要な欧米の制裁解除と援助増額、投資についても、その実現は困難とも報じられています。

****ジンバブエ:復興の見通し立たず ムガベ大統領が権力維持****
ムガベ大統領による独裁が続いていたジンバブエで11日、野党党首が首相に就任、連立政権が発足した。背景にはインフレが年率2億%を超えるなど経済が破綻(はたん)、コレラで3400人超の死者を出すなど国民が困窮を極め、危機打開を迫られた事情がある。周辺国の強い勧めで妥協を重ね、連立政権を発足させたものの、大統領は権力を維持、欧米を批判する姿勢を緩めておらず、欧米の制裁を解き、復興する見通しは立っていない。

ジンバブエ(人口1334万人)では国連推計で約700万人が緊急な食糧支援を必要とする。昨年8月からのコレラ感染者は約7万人だが、病院は機能していない。開校する公立学校は2割以下で、職を得られる人は10人に1人だ。国外脱出も後を絶たない。
こうした惨状に加え、南アフリカなど南部アフリカ開発共同体諸国が大統領に妥協を促したことで、連立政権が発足した。

新政権は経済改革を最重点課題としている。これには欧米の制裁解除と援助増額、投資に頼らざるを得ない。
しかし、連立発足に向けた合意文書では、欧米による制裁の契機となった白人農場主からの土地強制収用が事実上容認されている。また、ムガベ大統領は旧宗主国・英国など欧米諸国との対決姿勢を続けており、このまま欧米が制裁を解除するのは難しい情勢だ。
首相に就任した最大野党「民主変革運動」(MDC)ツァンギライ議長は逮捕や暴行をたびたび受け、野党の政治犯がいまだに多数、拘束されたままだ。欧米の記者が逮捕されたり、入国を認められない状況も続く。新政権が民主化・自由化に取り組むかも、欧米の制裁を解除するカギとなりそうだ。【2月11日 毎日】
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【スタートしたものの、遥かな道のり】
経済再建、コレラ対策、民主化・自由化・・・どれも緊急かつ重大な課題ですが、ムガベ大統領が権力を維持したまま、これら問題へメスが入れられるかはなはだ疑問です。
スタートしたばかりの連立政権の今後の存続すら危なく感じられます。

不毛の対立を続けていたずらに時間を浪費してきたこれまでに比べれば、格段に事態は進展した・・・と考えるべきなのでしょうが・・・。

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スリランカ  LTTE掃討作戦による混乱

2009-02-13 21:39:32 | 国際情勢

(スリランカのビーチで遊ぶ子供 こうした南国ののどかなイメージとLTTEとの内戦という現実がうまく結びつかないところがあります。
“flickr”より By ImageBang!
http://www.flickr.com/photos/imagebang/82883035/)

【人間の盾】
25年に及ぶ内戦の終結をめざし、政府軍による少数派タミル人武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)の掃討作戦が続くスリランカですが、人道的な問題も含む混乱が拡大しています。

追い詰められたLTTEは民間人を戦闘地域に留め置き、政府軍の攻撃を避ける「人間の盾」として利用しているとも言われています。
政府軍によれば、戦闘地帯には約10万人の民間人が存在しているそうです。
そしてLTTE弱体化によってこれら民間人の脱出も始まっており、政府軍は8日、LTTEの支配地域から避難した民間人が4日以降だけで約1万500人に達したと発表しています。【2月9日 時事】

海峡を渡り人種的に共通する南インドに逃れるタミル住民も大勢います。
“インドに逃れたタミル人難民は83年の内戦開始以降約31万人に上り、現在も毎月200人前後が密航船で海を渡る。同州には114の難民キャンプがあるが、インド政府は国際的な介入を嫌って国連などの支援活動を認めていない。”【2月12日 毎日】

政府軍支配に入ると外出禁止令によって仕事も出来なくなり、食糧にも事欠く状況になることが上記記事に記されています。

****スリランカ:タミル人、内戦逃れ決死の海峡越え…難民証言****
「政府軍の外出禁止令で仕事もできなくなり、食料が底をついた。母は砲弾に当たって死んだ。すべての家財道具を売って密航料を工面するのに、ためらいはなかった」
ラメシュワラムの難民キャンプで暮らすスティーバさん(26)は語った。

年収を超える4万スリランカルピー(約5万円)を密航組織に渡し、妻(26)と3歳の息子を連れて1月17日夜、北部の村を脱出して小型ボートに乗り込んだ。
密航者は26人で、ボートはすし詰め状態だ。転覆事故は頻繁に起きる。スリランカ海軍の監視網にかかれば、刑務所行きだ。船がマナー海峡に浮かぶ六つの小島に隠れながら、約12時間でラメシュワラムに漂着した時、妻と涙を流して抱き合った。

昨年秋まで、村はLTTEが事実上支配していた。しかし政府軍が掌握した後、3人以上で歩けば即逮捕され、生活は壊滅した。妹は政府軍に連行された夫の帰りを、幼子2人と待つと現地に残った。スティーバさんは「もう暴力はたくさんだ。なぜ、こんなにひどい状況になったのか」と声を震わせた。
地域にはLTTEの支持者も多く、難民はLTTEへの非難は口にしにくい状況だ。「LTTEも政府も早く戦闘をやめ、生活を元に戻してほしい」。難民の一人は語った。【2月12日 毎日】
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9日には、病院が砲撃され多くの死者が出ていますが、この砲撃がLTTEによるものか、政府軍によるものかは定かではありません。

****病院砲撃され患者16人死亡=スリランカ北部****
赤十字国際委員会(ICRC)は10日、政府軍と反政府武装組織タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)との戦闘が続くスリランカ北部のプトゥマタランで9日に病院が砲撃され、患者16人が死亡したと発表した。犠牲になった16人は別の施設から避難してきていた。ICRCは誰の仕業かについては具体的に触れていない。【9月11日 時事】
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一方、同じ9日、北東部ムライティブ郊外の避難民キャンプでLTTEメンバーとみられる女性が自爆し、少なくとも28人が死亡、90人が負傷したと報じられています。

【英特使にスリランカ反発】こうした混乱が続く事態に対して、イギリスは特使派遣を発表しましたが、スリランカ政府は強くこれに反発しています。

****スリランカ、英特使の任命受け入れを拒否=「内政干渉に等しい」と反発****
スリランカのボゴラガマ外相は12日、英政府がブラウン前国防相≪写真≫をスリランカ特使に任命したことについて、「スリランカ政府としては英政府の一方的な措置だと判断しており、この任命を受け入れないことを決定した」と語った。
同外相は「スリランカの内政問題への介入に等しい。独立国家に対して無礼である」と怒りをあらわにし、「英国との関係に大きな影響がでるかもしれない」と警告した。外相は「英国の措置は全く役に立たない」としたものの、報復として何らかの措置を取るかどうかについては明言しなかった。

英外務省は対立を解消するため協議を進めていると発表したが、ボゴラガマ外相は「この問題で英政府とさらに協議することはない」と述べた。
英首相府はこれより先、ブラウン氏の役割について、スリランカ北部の差し迫った人道状況や紛争の恒久的な終結をもたらす政治的解決に向けたスリランカ政府の取り組みに力を注ぐと説明していた。首相府は声明で、「ブラウン氏は特使として、スリランカ政府、スリランカのすべての地域社会の指導者、国際機関、広範な国際社会と密接に協力する」と述べていた。【2月13日 時事】
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イギリスはかつての宗主国ですが、スリランカに対する最大の支援国が日本です。
日本国内では、経済対策に関する中身の議論そっちのけで、小泉某がどう言った、麻生某がまたおかしなこと言ってる・・・そんな話ばかりです。
ましてや、スリランカ情勢なんて誰の注意も引きません。

イギリスの思惑がどこにあるのかも知りませんし、結果的にスリランカ政府の神経を逆撫でしているようですが、日本も金を出しておけばいいということではなく、なんらかのアプローチをする立場にあるように思えます。
なお、昨年1月のスリランカ政府による停戦破棄のときは、日本は明石康・政府代表(スリランカ問題担当)をスリランカに派遣しています。(結果は出ませんでしたが。)





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スーダン  国際刑事裁判所(ICC) バシル大統領への逮捕状発行か

2009-02-12 21:26:52 | 国際情勢

(ダルフール難民の少女 “flickr”より By hdptcar
http://www.flickr.com/photos/hdptcar/638614562/)

【依然続くダルフールの惨状】
ひと頃ほど関連記事を目にすることが少なくなったスーダン・ダルフール地方での紛争ですが、2003年の衝突からこれまで約20万人が死亡し、250万人が家を追われたと推測されています。

更に、2004年6月3日の国連事務総長の公式統括によれば、1956年の独立以来、1972年から1983年の11年間を除く期間に、200万人の死者、400万人の家を追われた者、60万人の難民が発生しているとされています。【ウィキペディア】

西部ダルフール地方では、スーダン政府軍とスーダン政府に支援されたアラブ系の「ジャンジャウィード」と呼ばれる民兵が非アラブ系住民の大規模な虐殺を行っていると国際的に批判されていますが、スーダンと隣国チャドが互いに反政府勢力を支援しており、代理戦争的な様相も呈しています。

最近の報告としては、子ども・女性を含む数千人が誘拐され、強制労働を強いられたり、性の奴隷にされたりしていると報じるものもあります。

****ダルフール、数千人が誘拐され奴隷に 慈善団体が報告****
スーダン・ダルフール地方の慈善団体連合会「ダルフール・コンソーシアム」は17日、政府軍や民兵組織がこれまでに同地方で子ども・女性を含む数千人を誘拐し、強制労働をさせたり、性の奴隷にしているとする報告書を発表した。
報告書によると、誘拐されるのは大半が女性や少女で、性的暴行を受けたり強制的に結婚させられたりしており、首都ハルツームに連れて行かれて兵士たちの性の奴隷や家政婦にされるケースもあるという。一方、誘拐された男性や少年は農場で強制的に働かされており、その証拠を今回初めてつかんだとしている。
今回の報告に対し、スーダン政府からコメントは出ていない。政府軍の報道官は、報告の内容は荒唐無稽(むけい)だとしている。【08年12月18日 AFP】
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【ICC 逮捕状】
こうした状況で、国際刑事裁判所(ICC)は昨年7月、スーダンのバシル大統領に対し、ダルフール地方での大量虐殺と「人道に対する罪」、戦争犯罪など10の容疑で逮捕状を請求しました。
モレノオカンポ主任検察官は、昨年12月3日の国連安全保障理事会で、「大量虐殺、難民キャンプ内とその周辺でのレイプは依然として行われており、人道支援も妨害されている。毎月5000人以上の避難民が命を落としている」と、スーダン政府の非協力姿勢を批判しています。【12月4日 AFP】

一方、バシル大統領は11月1日、西部ダルフール地方の紛争で一方的な「停戦」を宣言し、反政府武装勢力に武装解除を呼びかけました。この停戦宣言は、国際社会の批判をかわし、訴追を逃れる狙いがあるとみられていました。

逮捕状請求はICC予備裁判部で審査されていましたが、このほど逮捕状発行が決定たとの報道がありました。

****国際刑事裁、スーダン大統領への逮捕状発行を決定=米紙報道****
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、国際刑事裁判所(ICC)がスーダン西部ダルフール地方での大量虐殺(ジェノサイド)をめぐってスーダンのバシル大統領に対する逮捕状を出すことを決定したと報じた。同紙によると、判事が挙げている同大統領に対する正確な罪は明らかにされていない。
ICCのモレノオカンポ主任検察官が昨年7月、予審裁判部に対し、ダルフールにおけるジェノサイド、人道に反する罪、戦争犯罪などでバシル大統領に対する逮捕状を請求していた。

同紙は国連当局者の話として、逮捕状発行の決定は潘基文・国連事務総長に伝達されており、数日以内にICCから正式に発表される予定であると伝えている。同紙の報道について国連の岡部万里江副報道官は「事務総長が何の決定も受け取っていないことを確認できる。そうした伝達を受け取るとは予想していないし、そうした伝達を受け取らないのが普通である」と述べた。
今月の国連安全保障理事会の議長国である日本の高須国連大使は「安保理はまだ報告を受けていない」と語った。またスーダンのモハマド国連大使は「この件については知らされていない。われわれにとっては驚くことではないし、気にもならない」と話した。【2月12日 時事】
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【懸念される逮捕状の影響】
現職の国家元首に対する逮捕状発行は2002年のICC発足以来初めてのことです。
記事の“そうした伝達を受け取るとは予想していない”とは、どういう意味なのか理解しかねます。
圧力をかけてなかったことにしてしまうということでしょうか。それともニューヨーク・タイムズ報道がガセだとということでしょうか。

ダルフールの惨状に関して、スーダン政府及びバシル大統領に大きな責任があるのは言うまでもないところですが、これを硬直的なICC逮捕状という形で追求するのが現実的かどうかについては疑問があります。
一旦発行されると、交渉の進展に併せて政治的にこれを取り下げるような対応は困難となります。

ウガンダの「神の抵抗軍」についても、和平がもう一歩でまとまりかけるところまで漕ぎ付けましたが、首謀者ジョセフ・コニーに対するICC逮捕状の存在が交渉の進展を阻害する形になっています。
逮捕されるとわかっていれば、交渉に応じる者もいなくなります。

スーダンでは、ダルフールの主要反政府組織「正義と平等運動」(JEM)との和平協議がようやく始まったという報道もあります。

****スーダン:ダルフール紛争の和平協議始まる*****
AP通信によると、スーダン西部ダルフール地方の紛争をめぐり、スーダン政府とダルフールの主要反政府組織「正義と平等運動」(JEM)との和平協議が10日、カタールの首都ドーハで始まった。政府とJEMが直接交渉を行うのは初めて。スーダン政府と反政府勢力各派との和平協議は、リビアやタンザニアなどで行われてきたが、主要組織のJEMは参加していなかった。【2月11日 毎日】
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こうした交渉への逮捕状の影響が懸念されます。

また、国連は昨年8月時点で、スーダンの南・北部の平和維持のため国連スーダン派遣団(UNMIS、約1万人)を派遣。さらに、ダルフールの平和維持のため国連・アフリカ連合(AU)合同平和維持部隊(UNAMID)7600人と警察官1500人が展開しており、最終的に約2万6000人規模にする計画です。
逮捕状が現実のもとなると、スーダン国内における国連関係者とスーダン政府の間の緊張も高まります。

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中国  欧州・アフリカへの外交攻勢で存在感を誇示

2009-02-11 16:32:09 | 国際情勢

(2日、共同記者会見する温家宝首相とブラウン英首相 “flickr”より By Foreign and Commonwealth Office
http://www.flickr.com/photos/foreignoffice/3247611288/)

【「自信の旅」】
国内的には悪化する雇用情勢、深刻化する干ばつ被害、不動産価格暴落の懸念など問題山積の中国ですが、外交面では先月末の温家宝首相の欧州歴訪、更に今月10日からの胡錦濤国家主席の中東・アフリカ5カ国訪問と、“大国”としての存在感を誇示する攻勢を強めています。

*****関係強化へ「自信の旅」=27日から欧州歴訪-中国首相******
中国の温家宝首相は27日から1週間の日程で、スイス、ドイツ、スペイン、英国と欧州連合(EU)本部を歴訪する。金融危機克服への共同対応や経済交流拡大を確認し、「中・欧間の協力進展に向けた自信を誇示する旅」(呉紅波外務次官補)としたい考えだ。

中・欧関係は、昨年12月に当時EU議長国だったフランスのサルコジ大統領がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談したことに中国が反発して冷却化。予定された中国・EU首脳会議も延期となった。今回の訪欧ではフランスは含まれておらず、欧州各国との関係強化を通じてフランスをけん制する思惑もありそうだ。
こうした中、中国国内では「米国発の金融危機や気候変動問題などで欧州は依然強い発言権を握り、中・欧の戦略的パートナー関係をなおざりにはできない」(国際問題専門家)との声が上がっている。異例の春節(旧正月)休暇中の外遊で対欧関係重視を誇示する狙いとみられる。【1月26日 時事】
************************

2日、イギリス・ケンブリッジ大学で講演中の温家宝首相が、「なぜ大学がこの独裁者に平伏できるのか」などと叫ぶ者に靴を投げつけられるハプニングもありました。
中国国内のネットでは、英雄視されたブッシュ大統領のときとは打って変わって“卑劣な!”といった批判を呼び起こしたようですが、中国国営メディアはこの事件について報道を控えるか無視するかのどちらかで、政府間では問題にしない対応がとられました。

【関係強化をはかる英仏】
ブラウン英首相は2日、温家宝首相と会談後、中国の景気浮揚への取り組みを活用して1年半以内に対中輸出を倍増させたいと、対中国関係を強化していく方向を発表しています。

****対中輸出の倍増を目指す=英首相****
ブラウン首相は「金融危機に対処するための景気刺激策の一環として中国が発表した建設、インフラ部門のプロジェクトから、英企業は恩恵を受けるだろう」と述べるとともに、「中国は世界経済の健全性を回復する一つの方法として、自国の内需を拡大することを決定した」と指摘した。そのうえで「これはインフラ、医療、産業の発展につぎ込む資源を中国が一段と必要としているということだ」とし、「英企業にとってはこうした分野の契約から恩恵を受ける大きな好機となる」と強調した。
温首相は「今回の欧州5カ国歴訪中に150億元(約1962億円)相当の貿易契約に調印した。欧州からモノとサービスを購入するためのチームを派遣する」と語った。同首相はさらに、「中国が経済成長を維持できれば、金融危機に直面している世界全体に最も大きく貢献することになる」と述べた。【2月3日 時事】
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昨年12月にサルコジ大統領がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と会談して以来関係が悪化し、今回の欧州歴訪でも訪問国に入っていなかったフランスも、ラファラン元首相が中国を訪問し軌道修正を図っています。

****中国・温首相、仏元首相と会談 両国、歩み寄りの動き****
中国中央テレビによると、温首相は「現在の中仏関係は困難に直面しているが、責任は中国側にはない。相互尊重や内政不干渉といった基本原則を曲げることはできない」と指摘。これに対して、ラファラン氏は「チベット問題は中国の内政問題であり、フランスは中国の核心的な利益を害するつもりは毛頭ない」と答えたという。
ラファラン氏は昨年4月にも、北京五輪の聖火リレー妨害問題でこじれた関係を修復するため、サルコジ大統領の特使として訪中した経緯がある。中国外務省の姜瑜副報道局長は10日の定例会見で、ラファラン氏を「長年にわたり両国の友好に尽くし、多大な貢献をしてきた」と改めて評価しており、今回も歩み寄りの動きとみられる。【2月10日 朝日】
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こうした動きを“中国への擦り寄り”と呼ぶかどうかはともかく、英仏ともに中国の存在を無視できない実情が窺われます。

【資源外交からの脱却】
一方、胡錦濤国家主席は10日から8日間の日程でサウジアラビアのほか、マリ、セネガル、タンザニア、モーリシャスのアフリカ4カ国を公式訪問しています。

****胡主席 アフリカ4度目歴訪 金融危機 “大国”の存在感誇示*****
胡主席のアフリカ訪問は2003年の就任後4度目だ。外務、商務の閣僚2人も先月、アフリカ諸国を歴訪した。中国はアフリカ諸国との関係を「新型戦略的関係」と位置付けており、金融危機への対応から援助外交への関心が薄れている日米欧のすき間を突く形でアフリカ諸国との経済関係を強化し途上国の代表として影響力を飛躍的に高めることを狙っている。
今回の胡主席のアフリカ歴訪は07年2月の8カ国訪問に次ぐものだ。

中国外務省の姜瑜報道官は、一連の対アフリカ外交について、「新しい戦略パートナー関係を深く発展させる」と表現した。
これは、これまでのアフリカ外交が欧米諸国から「石油など資源獲得を重点にした資源外交であり、中国製品を売りつける新植民地主義だ」と批判されたことを踏まえ、今後は「医療、教育、農業、インフラ、公共施設など社会発展につながる支援や、アフリカ人民の雇用と生活水準向上につながる支援を重視する新たな形」(外務省幹部)を探っていくことを意味している。
援助や借款を与える見返りに石油・鉱物資源を受け取る資源外交が根本的に変化するのかは不明だが、金融危機でアフリカ経済が打撃を受けている現状を踏まえ、胡主席はこれまでよりも積極的に援助や債務免除を打ち出す構えだ。また中国はアフリカ諸国の輸出を支援するため、すでにアフリカ31カ国から輸入する繊維、農産物など10種類以上の製品にゼロ関税を実施しているが、その対象範囲をさらに拡大させる方針だ。

中国とアフリカ諸国の貿易額は、2000年の106億ドルから昨年には前年比45%増の1068億ドルと10倍に膨らんだ。直接投資額は中国側の統計がまちまちだが、すでに累計で数十億ドルから100億ドルの規模とみられ、援助対象国も48カ国に広がっている。
日米欧の対アフリカ支援が減少傾向にあるなか、胡主席は援助拡大を進めることで、4月にロンドンで開かれる主要20カ国・地域(G20)金融サミットで、途上国代表の“大国”として存在感を誇示するための布石の意味もあるようだ。【2月5日 産経】
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就任後4度目というのは、相当の力のいれように思えます。
従来型の資源外交パターンから脱却するのかどうかはわかりませんが、そういうことを意識するようになったということだけでも“変化”のようにも見えます。
また、アフリカ諸国における中国の存在感が更に高まることは間違いないようです。

【東アジア世界の将来像】
日本では、最大の貿易相手国という深い経済的関係・戦争だけでなく有史以来の長い歴史・交流にもかかわらず、中国に対する信頼感・親近感がかつてなく低下しています。
中国が人権問題・政治体制をはじめ日本とは異なる多くの問題を抱える国であることは事実ですが、いたずらに“上から目線”の優越感や対抗意識にとらわれず、その大きな存在を直視したうえで新しい東アジア世界の将来像を構築する必要があるように思えます。

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経済ナショナリズムと外国人排斥 インドネシアからの介護士受入れ

2009-02-10 21:09:19 | 世相

(スイスで大きな力を持つスイス国民党のポスター 言葉はよくわかりませんが、“外国人連中の好き勝手にさせるのか?否!”といったような感じでしょうか。
“flickr”より By rytc
http://www.flickr.com/photos/rytc/3265636617/)

【広がる保護主義】
公共事業に米国製品の使用を義務付けるアメリカの「バイ・アメリカン」条項については、2月1日ブログ“懸念される「バイ・アメリカン」条項”でも取り上げたところです。
バイデン米副大統領は「自由貿易主義者の一部には保護主義の前兆ととらえる向きもあるが、私はそうは思わない」と、「バイ・アメリカン」条項に関する議会下院の決定を擁護しています。

その後、オバマ大統領の修正方針に基づき、上院で「国際協定順守義務との整合性を考慮する」との一文が付け加えられましたが、条項削除には至りませんでした。
景気後退の深刻化で米国は、自国優先の姿勢を強めており、条項の運用、解釈次第では保護主義に傾斜する可能性があります。【2月8日 毎日】

1929年からの世界恐慌下、アメリカが多くの品目の関税を大幅に引き上げる法案を成立させたのをきっかけに、保護主義の動きが世界中に拡大。景気悪化を更に深刻化させた上、第二次世界大戦の引き金になったとされています。
保護主義の台頭を懸念する世界貿易機関(WTO)は9日の会合で、直接的なアメリカ批判は避けましたが、経済危機への対応を急ぐ各国が保護主義的な動きを強めないよう、国際的な監視体制を強化することで一致しました。

こうした保護主義的な動きはアメリカ以外でも広がっています。
“フランス・サルコジ大統領は5日夜の会見でチェコにある仏シトロエン社の工場を例に挙げ、「仏市場で売るための車をチェコの工場で製造するのは、(仏国民の雇用を奪うため)認められない」と表明。これに対し、欧州連合(EU)議長国チェコのトポラーネク首相は「こうした保護主義的発言はEU内での摩擦を助長する。モノやサービスの移動の自由はEUの基本原則で、チェコへの工場進出は企業の自由意思だ」と強く抗議した。”【2月7日 毎日】

9日サルコジ大統領は、金融危機の余波で不振に陥っている自動車業界を救済するため、優遇利率による融資の形で総額78億ユーロ(約9300億円)規模の新たな公的支援を行うと発表しましたが、この公的融資は自動車業界が仏国内の生産拠点と雇用を維持することが条件になっています。

【外国人排斥の極右思想】
保護主義は単に経済問題に留まらず、経済ナショナリズムと外国人排斥を主張する極右思想が結びつく流れも見えてきています。

****深まる世界同時不況、台頭する経済ナショナリズム
世界的な景気後退が進む中、各国の労働者らが賃金の安い外国人労働者たちを敵視する傾向が高まっており、暴力事件や極右政党の台頭につながる危険があるとアナリストや組合関係者が警鐘を鳴らしている。(中略)

■高まる反発、身の危険感じる労働者も
前月、英国北東部イミンガムのリンゼー石油精製所で行われた非認可ストライキは、イタリア人やポルトガル人の契約労働者の雇用に抗議するものだった。
EU各国の企業の経営者らが労使紛争の激化に身構える中、ストライキは全英20か所の石油・ガス精製所に飛び火。新規雇用の半数を英国人労働者に割り当てるとの妥協案により、ようやく収束した。
身の安全に不安を感じた一部のポルトガル人労働者は、帰国。彼らは、英国人の同僚から人種差別を受けたと主張している。

■各国で保護主義が台頭
一方、フランスでは自動車業界への融資計画をめぐって、外国に新規に工場を建設するメーカーを融資枠から外すとニコラ・サルコジ大統領が発言した。
米国では、失業率の上昇に伴って、技術力の高い外国人労働者の流入に対する反感が高まり、反移民団体が就労ビザの発行中止を求めるテレビコマーシャルを流した。
マレーシアは、工場での外国人労働者の雇用を禁止する措置を取った。

■極右思想に対抗できるかは政府次第
こうした中、労働組合側は、人種差別思想を持った組織が雇用の不足に便乗し、労働力の輸入に対する反発を煽る目的で、労働運動を乗っ取ろうとしているとの懸念を表明している。
歴史的に見て、不況時には、特に失業率が高い地域で、極右組織が支持を獲得する傾向がある。大恐慌時の1930年代には、欧州でファシズムが強固な支持を築いた。 
こうした極右勢力は、地元労働者の不満を移民への敵対意識につなげ、時には襲撃を扇動することもある。ドイツのイエナ大学の社会学者、クラウス・デーレ教授は、「極右組織が外国人労働者問題に乗じて勢力を広げるのを防げるかどうかは、政権与党の手腕にかかっている」と話している。【2月9日 AFP】
*****************************

派遣切りや雇い止めが問題となっている日本でもそうですが、国内経済状態が悪化すると先ず立場の弱い外国人労働者がその影響で雇用を失うことになります。
国内に家族的な支援のない彼等は失業という事態で、犯罪・違法行為に走るものも出てきます。
そうした“外国人の犯罪”は、外国人一般に対する警戒・敵視に容易に繋がっていきます。

【インドネシア介護士 高すぎるハードル】
先日1月28日、日本とインドネシアが結んだ経済連携協定(EPA)に基づいて来日したインドネシア人の介護士およそ100人が半年間の日本語研修を終え、全国各地の受け入れ先の施設に向いました。
多くのTV番組でその様子を放映していましたが、大きな希望を持って来日し、努力を重ねて日本社会に溶け込もうとしている彼等が、日本への失望と敵意を抱いて帰国するような事態にならないよう願っています。

それにしても4年以内の国家資格取得という条件は実質的に1回しかチャンスがなく、高すぎるハードルのように思えます。
また、現在日本で行われている6カ月の日本語研修のうちの4ヶ月について、インドネシアでの研修に変更することで日本・インドネシアが基本合意しました。
金融危機の影響などを踏まえて、日本の財政的負担を軽減するため日本側が申し入れたそうです。
いくら教材・教師を日本側が保証するとは言っても、言語はその地で暮らしてはじめて身につくものです。
これで、ハードルはますます高くなりそうです。
財政危機とは言いますが、20年後、30年後を考えた戦略があってもいいと思うのですが。

TVである方が言っていましたが、あまりハードルが高くなると、最初からまともに対応する気はなく、別目的で来日するような者が出てくるかも・・・という懸念もあります。


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イラン  ハタミ前大統領、大統領選挙へ名乗り 高いハードル

2009-02-09 21:26:25 | 国際情勢

(ハタミ前大統領 “改革派”ということで期待を抱かさせますが、問題は実行力と政治システム・環境です。“flickr”より By andycarvin
http://www.flickr.com/photos/andycarvin/52766493/)


【ハタミ前大統領 出馬へ】
イランは、核開発問題でのアメリカとの対立やヒズボラやハマスなど中東の政治勢力への影響などの面で、国際関係の動向に大きくかかわっています。

そのイラン大統領選挙(今年6月)への立候補がうわさされている人物として、昨年11月5日ブログ「もうひとつの大統領選挙」で早々と取り上げた際に、現職アフマディネジャド大統領のほか、改革派ではカルビ元国会議長とハタミ前大統領、保守派ではラリジャニ国会議長やガリバフ・テヘラン市長の名前を挙げていました。
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20081105

改革派の一番手と見られているのはハタミ前大統領ですが、立候補への強い意欲を示しながらも、正式表明に踏み切れずにいました。
“保守強硬派のアフマディネジャド大統領再選の可能性が高く、期待するほどに「ハタミ待望論」が高まらないからともみられる”とも“ハタミ氏は今回、ムサビ元首相を擁立して自身は「次の次」を目指しているとのうわさもある。大統領は3選できないため、アフマディネジャド大統領が出馬できなくなるからだ。”とも報じられていました。【2月5日 毎日】

そのハタミ前大統領がようやく選挙戦へ名乗りをあげたようです。

****イラン大統領選 ハタミ前大統領、正式に出馬表明****
イランのハタミ前大統領(65)が8日、6月に予定される大統領選に出馬すると正式に表明した。再選をめざして出馬が確実視される保守強硬派のアフマディネジャド大統領に挑む有力候補になる。米欧に敵対姿勢を取り、国際社会の要求に反して核開発を続けるイランが対外融和路線に戻る可能性が出てきたことで、選挙への注目度が上がりそうだ。
ハタミ師は同日夜、テヘラン市内で政治組織「闘う聖職者たち」の会合に出席。支持者からの要請に応える形で演壇に立ち、「ここに大統領選に出ることを真剣に宣言します」と述べた。

改革派指導者のハタミ師は2度の大統領選で圧勝し、05年まで8年間大統領を務めた。対外融和と「言論の自由」など民主化を志向することで知られ、異なる文化・宗教間の融和を唱える「文明間の対話」は国際的に評価された。ただ、任期中にめざした改革は、司法権力を握る保守派の言論弾圧などで挫折した。
ハタミ師はこれまで、再登板に向けた出馬には慎重な姿勢を取っていたが、最近になり、周囲の説得に応じて出馬を決意していた。
改革派系では既に「国民の信頼」党のキャルビ師が大統領選出馬を表明しているが、話し合いで保守派に挑む候補を一本化する余地を残している。【2月9日 朝日】
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ハタミ前大統領が政権復帰を狙う背景には“選挙を控え国民の一番の関心事は、暮らし向きだ。05年にアフマディネジャド政権が発足して以来、インフレは加速し、今は年率約30%に達する。アフマディネジャド大統領は地方を精力的に巡回し、膨大な石油収入を国民の多数を占める低所得者層に投じてきた。こうした「バラマキ政策」が一方でインフレに拍車をかけ、特に中間・富裕層の不満の高まりにもつながっている。”【2月5日 毎日】ということがあります。

しかし、逆に言うと、アフマディネジャド大統領が地方巡回や「バラマキ政策」で庶民的人気が高いのに対し、ハタミ前大統領は宗教的・政治的見識はともかく、わかりやすさ・庶民性には若干欠けるきらいもあるとも言われています。

【保革一騎打ちか?】
記事にもあるように、すでに選挙戦に名乗りをあげている改革派のカルビ元国会議長が立候補を取りやめ、改革派がハタミ前大統領で一本化されると、アフマディネジャド大統領とハタミ前大統領の保革一騎打ちの流れも出てきます。

改革派は昨年年3月の国会議員総選挙では、監督者評議会に立候補者数百人が失格とされ選挙戦のスタートラインにも立てなかったことから、今年の大統領選に望みをかけていると言われています。

アフマディネジャド大統領は、過労のため集中治療室(ICU)で治療を受けたりして健康面に問題があるとも言われていましたが、今年1月来日した大統領側近で政権ナンバー2の地位にあるサマレハシェミ大統領上級顧問が「大統領自らが出馬を決断した」と再選出馬を明言しています。
アフマディネジャド大統領は出馬にあたり、最高指導者ハメネイ師の支持を取り付けているとも言われています。【2月9日 AFP】

【高いハードル】
勝敗の行方については、庶民的人気を誇るアフマディネジャド再選の見方が強い中、情報省が内密に実施した世論調査で両者の支持率は拮抗したとの情報もあるとか。【2月5日 毎日】
“「チェンジ(変革)」を求める国民の声も出ており、「ハタミ待望論」がどこまで高まるかが、選挙戦の行方を大きく左右する”とも【2月9日 毎日】
日本や欧米諸国とは違って、こうした国での慈善の調査・予測はかなり大雑把なところがあります。
ただ、やはりハタミ前大統領には高いハードルがあるようにも見えます。

仮に、ハタミ前大統領が改革派をまとめて、また、国民の「チェンジ(変革)」を求める声に後押しされて政権を獲得したとしても、更に高いハードルがあります。
前回の任期中にも、保守派の抵抗にあってハタミ政権・議会が求める法案がストップをかけられ、思うような施策を実行できず、国民からも見放された経緯があります。

イランの政治システムは、“悪の枢軸”などと呼ばれる割には、日本や欧米諸国同様、国民の意向で大統領が決まるという、思いのほか“民主的”な側面があります。
ただ、大きく違うのは最高指導者の存在と、監督者評議会です。

監督者評議会のメンバー12人のうちイスラム法学者6人を最高指導者が、残り6人の一般法学者を最高司法権者が指名します。
監督者評議会は国会議員選挙や大統領選挙立后者の審査を行うほか、議会に対し拒否権を持ち、憲法・イスラム法に反すると判断された法律は議会に差し戻されます。
こうした保守派の牙城を抱えたまま、改革派がどれほどの政策を実現できるかが危ぶまれます。

そうは言っても、アフマディネジャド大統領かハタミ前大統領かで対米関係など大きくかわるでしょうから、選挙戦の成り行きが注目されます。

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