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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

コンゴ  いまも繰り返される虐殺、増加する難民

2009-02-20 21:36:19 | 国際情勢

(コンゴ東部・北キブ州 UNICEFによる子供と女性のためのEmergency shelter
“flickr”より By Julien Harneis
http://www.flickr.com/photos/julien_harneis/1353712127/)

アフリカ・コンゴから内紛・難民に関するニュースがいくつかはいっています。
いまコンゴでは、ふたつの武装勢力の活動が問題になっています。
ひとつは北部・北東部で活動している「神の抵抗軍(LRA)」、もうひとつが東部で活動している「ルワンダ解放民主軍(FDLR)」です。

「神の抵抗軍(LRA)」は87年から、ウガンダ北部で子ども兵誘拐や住民の殺害を繰り返してきました。
一時は、国連主導の和平交渉が進展し、あと一息のところまでいきましたが、指導者のコニー容疑者への国際刑事裁判所から逮捕状をめぐって交渉が決裂。
06年ごろからは、拠点をコンゴに移しています。
参考:08年7月13日ブログ「国際刑事裁判所の逮捕状  スーダン、ウガンダそしてアメリカ」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080713
08年3月30日ブログ「ウガンダ  “子供による、子供に対する戦争” “夜の通勤者”」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080330

【クリスマスの虐殺】
****コンゴでLRAが865人虐殺 国際人権団体が報告書*****
コンゴ北東部で08年12月24日から09年1月17日にかけ、ウガンダの反政府組織「神の抵抗軍(LRA)」が住民865人を虐殺したとして、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)」が報告書を出した。
報告書「クリスマスの虐殺」によると、現場はスーダン国境付近。12月25日にはファラジェという町のキリスト教会で、コンサートに来た住民が約200人のLRAの集団に襲われ、143人が死亡、160人が誘拐された。その西約250キロの町ドルマと周辺13村は、25日からの3日間に次々襲撃され、約300人が死亡。クリスマスの集まりが狙われ、住民はゴムチューブなどでしばられ、なたやこん棒でなぐり殺されたという。

コンゴ、ウガンダ、南部スーダン自治政府は合同でLRA掃討作戦を始めていたが、HRWはコンゴ政府が住民を守るための対策をしていない、と批判。また、08年11月に国連安全保障理事会が決めた、コンゴ東部の平和維持部隊(MONUC)への3千人増派の早期実施を求めている。【2月19日 朝日】
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“住民はゴムチューブなどでしばられ、なたやこん棒でなぐり殺された”・・・悲惨としか言いようがありません。

【「後ろ盾」に裏切られた武装組織】
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)」は、「ルワンダ解放民主軍(FDLR)」による住民被害も報告しています。

****コンゴ東部で住民100人殺害=ルワンダの武装勢力-人権団体****
コンゴ民主共和国(旧ザイール)からの報道によると、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは13日、同国東部でルワンダのフツ族系反政府武装勢力が住民100人以上を殺害したとの調査結果を明らかにした。
実行したのは武装組織「ルワンダ解放民主軍(FDLR)」。同組織は1994年のルワンダ虐殺事件以降、コンゴ東部に逃れて同地を拠点としている。同地域では先月下旬から、コンゴとルワンダ両軍が共同で武装勢力の掃討作戦を本格化させているが、これに対する報復攻撃とみられる。【2月13日 時事】
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上記記事にある“コンゴとルワンダ両軍が共同で武装勢力の掃討作戦を本格化させている”ということについては、次の記事があります。

*****コンゴ・ルワンダ合同軍が大規模空爆、40人以上死亡*****
コンゴ(旧ザイール)からの報道によると、コンゴとルワンダの合同軍が12日、コンゴ東部で大規模な空爆を実施、フツ族系武装組織のメンバー40人以上が殺された。1月下旬からの合同軍の作戦は、コンゴ東部に新たな火種を生みかねない状況にある。

空爆されたのは、94年のルワンダ虐殺への関与が疑われるルワンダ解放民主軍(FDLR)の拠点。民間人の被害状況は不明だ。合同軍は13日、コンゴ東部に駐留する国連平和維持部隊(MONUC)がFDLRの攻撃を受けそうになったため、空爆したと発表した。合同作戦は今月いっぱい続けるという。

FDLRは従来、コンゴ政府の支援を得ているとされ、ルワンダ政府が批判してきた。昨年のコンゴ東部での激しい戦闘を受けて、両国が関与した解決策への国際社会の圧力が高まり、協調に転じたとみられる。ルワンダ政府が支援するとされているツチ族系武装組織「人民防衛国民会議」の指導者ヌクンダ氏も、1月下旬にルワンダで逮捕された。
「後ろ盾」に裏切られた形のこれら武装組織の反撃が心配される。ロイター通信は、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の情報として、フツ族武装組織が1月下旬から民間人100人以上を報復で殺害したと報じた。【2月13日 朝日】
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コンゴ政府に近いフツ族のルワンダ解放民主軍(FDLR)、ルワンダ政府に近いツチ族の人民防衛国民会議(CNDP)という図式が崩れ、コンゴ政府とルワンダ政府が共同して武装勢力の押さえ込みに出ているようです。
参考:09年1月23日ブログ「ルワンダの虐殺から十余年、隣国コンゴで続くフツ・ツチの抗争」
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090123

【増大する難民】
こうした内紛の結果、大量の難民が発生しています。

****コンゴから南部スーダンへの難民が急増 UNHCR****
2009年02月18日 12:46 発信地:ジュネーブ/スイス
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は17日、紛争が激化しているコンゴ民主共和国(旧ザイール)北東部から南部スーダンへ流入する難民が1万5000人に膨れあがっていると発表した。

国連によると、前年10月時点での南部スーダンへの難民数は5000人程度だった。しかしコンゴ北部で活動するウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」が、コンゴ軍、ウガンダ軍、南部スーダン軍による合同掃討作戦を受けて攻撃を活発化させていることもあり、難民の移動に拍車がかかっている。
UNHCRのロン・レドモンド報道官によると、LRAは多数のグループに分裂し、それぞれがコンゴ北部の広範囲を移動しながら村落を襲撃しているという。  
南部スーダンの住民の話によると、武装勢力は南部スーダンでも活発に活動しており、略奪を繰り返しているという。ラスから9キロ離れた街で12人が拉致されたという情報もある。

一方、前年8月以来紛争が激化しているコンゴ東部の北キブ州、南キブ州からは、同地に住むルワンダ人が紛争を逃れて本国へ帰還する動きが加速している。本国へ帰還したルワンダ人は前年は8000人だったが、今年に入って6週間で3000人に達しているという。こうしたルワンダ人の中には、1994年のルワンダ大虐殺後に同地へ避難した人々もいるという。
また、コンゴの北キブ州からウガンダへ逃れたコンゴ人難民は、前年8月以来4万7000人に達している。【2月18日 AFP】
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コンゴから難民が流入するスーダンは、ダルフールという深刻な紛争地を抱えて、膨大な国外難民が発生しています。
普通に暮らしているが武装勢力に襲われ住民が棍棒やなたで殺される、襲撃を恐れる住民が国境を越えて避難する・・・日本の常識では考えられないようなことが、日常的現実として繰り返されています。


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