孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

異例の台風・ハリケーンラッシュ ハワイ、フィリピン、アメリカ東部

2018-09-12 22:43:19 | 災害

(ひしめきあう台風・ハリケーン【9月11日 森さやか氏 YAHOO!ニュースより】

ひしめく台風・ハリケーン
今年は台風の当たり年のようで、日本でも先日の21号によって関空が水没し、連絡橋も破損するといった大きな被害が出ています。

世界的に見ると、今現在は台風・ハリケーンが“ひしめいている”状態で、しかも、これまでハリケーンの直撃がほとんどなかったなかったハワイが、トロピカルストーム(熱帯性低気圧)の規模ながらも直撃を受けそうなこと、フィリピン及びアメリカ東部に猛烈な強さの台風・ハリケーンが迫っていることなど、異例の状況となっています。

****台風、ハリケーン続々発生 アメリカ本土・ハワイ・フィリピン直撃へ****
いま北半球の海では、多数の雲の渦がひしめいています。台風、ハリケーンといった熱帯性擾乱の年間平均発生数は80個といわれていますが、日本時間11日(火)現在、同時に6個も発生しているのです。

そのうち2つの渦はアメリカ本土とハワイに、1つはフィリピンに上陸するおそれがあります。

【ハリケーン・フローレンス】
上品な名前とは裏腹に、フローレンスはアメリカ史上最悪のハリケーンの一つとして記録に残る可能性があります。

フローレンスは日本時間11日(火)正午時点で、ハリケーンの階級では上から2番目に強い「カテゴリー4」の勢力です。このまま勢力を保ちながら、日本時間14日(金)にはサウスカロライナ州からメリーランド州のいずれかの場所に上陸する見込みです。猛烈な風に加え、最大雨量は1200ミリにも達するとの予想も出ています。

もし予想通り、この地域に「カテゴリー4」の勢力で上陸をすれば1989年ヒューゴ(Hugo)以来のこととなります。

【トロピカルストーム・オリビア】
一方、オリビアは日本時間13日(木)にハワイを直撃する見込みです。上陸時の勢力はトロピカルストームでハリケーンよりもやや弱いものの、嵐に慣れていないハワイでは大きな被害をもたらすおそれがあります。

1950年以降ハリケーンまたはトロピカルストームがハワイに上陸したのは1959年、1992年と2014年の3回しかありません。オリビアはマウイ島やオアフ島に上陸する可能性が高まっていますが、もしこれらの島に上陸をすれば観測史上初のことです。

ハワイ知事は緊急宣言を発令し、警戒を呼び掛けています。

【台風22号(マンクット)】
果実マンゴスチンを意味するマンクット。22号はかわいい名前を持つ一方で、今年世界最強の勢力となる可能性があります。すでに台風の階級では最強の「猛烈」な勢力ですが、日本時間13日(木)には中心気圧905hPaまで発達し、15日(土)にフィリピンのルソン島に上陸する可能性があります。

もしさらに発達して中心気圧800hPa台でフィリピンに上陸すれば、2013年に壊滅的な被害を出した台風30号(ハイエン)以来のこととなります。

統計的に秋の台風やハリケーンは一年で最も被害が大きいため、これからの時期、より一層の注意が必要です。【9月11日 森さやか氏 YAHOO!ニュース】
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一般的には直撃はまれなハワイで、今年二つ目
ハワイに接近している「トロピカルストーム・オリビア」については、アメリカ国立気象局は9月11日(火) 11時時点(ハワイ時間)の情報として“最大風速60マイル/時(約96.5km/時)でハワイ諸島へ接近”としています。

96.5km/時ということは秒速で27mぐらいですから、風速としては弱い台風レベルです。

一般的にハワイは、ハリケーンの直撃が少ないことで知られています。それが、今年は・・・。

****ハワイには今年2つ目****
ハワイは先月ハリケーン・レイン(Lane)の接近により被害が出たばかりです。

レインはハワイ本島に直撃はしなかったものの、8月23日にハワイ島に最接近し、4日間で1,300ミリ以上の大雨を降らせました。これはハリケーンによる雨量としては、全米史上2番目の記録です。(中略)

オリビアはレインよりも弱い勢力でハワイに近づくことが予想されていますが、それでも直撃のおそれがある分、大きな被害が心配されます。

いつもはハリケーンが少ないのに…
一般的にハワイは、ハリケーンの直撃が少ないことで知られています。
観測開始以来ハワイ本島に上陸したトロピカルストームとハリケーンは1959年ドット、1992年イニキ(ともにハリケーン)、そして2014年イセル(トロピカルストーム)の3個しかありません。

ハワイにハリケーンが少ない理由の一つは、ハワイ周辺の海水温が低いことが挙げられます。

しかし今夏は、ハワイ近海を含めた北東太平洋の海水温が例年よりも高くなっており、8月だけで5つのハリケーンが発生しました(年平均8-9個)。

さらにコロラド州立大学のKlotzbach博士によると、先月はハリケーンの発生期間、総エネルギー共に、これまでの記録を更新したということです。【9月10日 森さやか氏 YAHOO!ニュース】
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海水温の状態などは、たまたま今年だけの現象なのでしょうか?それとも、世界的な気候変動のひとつなのでしょうか?

フィリピン 大被害をもたらした2013年30号や2016年22号と同レベルの強さに
フィリピンへ接近している「台風22号(マンクット)」、こちらは猛烈な強さです。
日本気象庁の台風情報では、ルソン島北東部に接近する15日3時の予測として中心気圧900hPa、最大風速60m、瞬間最大風速85mという数字も示されていました。

*****猛烈な台風22号、フィリピン・ルソン島方面へ移動****

猛烈な台風22号(マンクット)が太平洋上を移動し、フィリピン・ルソン島へ向かっている。米領グアムではすでに洪水や停電などの被害が出ている。CNNの気象専門家によれば、今後24時間から48時間にかけて勢力を強める見通し。

専門家からは、ルソン島北部で大雨や洪水を引き起こす可能性があるとの警告が出ている。地元当局は救援物資の準備を進めており、治安部隊も警戒態勢に入っている。

世界災害警報提携システム(GDACS)によれば、フィリピンや中国南部に住む最大4330万人に影響が出る恐れがある。

ルソン島では2016年、台風ハイマーに襲われ、1万4000軒の家屋が破壊されたほか、損傷した家屋は5万軒にのぼった。

同様の被害が出る可能性は小さいものの、フィリピン当局は米などの農作物に2億5000万ドル(約278億円)規模の被害が出る可能性があると警告している。

台風22号が現在の進路を進むと、ルソン海峡を抜け、香港やマカオに到達するとみられている。【9月11日 CNN】
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2016年の台風22号(ハイマー)も同程度の強さだったようですが、フィリピンを襲った“スーパー台風”として印象に残っているのは2013年の台風30号(ハイエン)です。

2013年の台風30号(ハイエン)については、“Weather Underground社によると、昭和54年台風第20号(Tip)の世界最低気圧870hPaを超す、860hPaを観測していたことが発表された”“(サマール島に上陸した11月)8日朝の時点での勢力について合同台風警報センターは最大風速87.5メートル、最大瞬間風速105メートルとしている”【ウィキペディア】とも。

個人的な印象としては、中心気圧が900hPa前後という“異常事態”に対し、情報伝達・理解が十分でなく、“台風慣れ”した住民は単に“強い台風”というぐらいの認識しかなかったことが、死者6,201人という大きな被害につながったのでは・・・・とも。

今回も、“異常な強さ”であることを周知徹底して、被害を少なくする対応をとってもらいたいものです。

万全の対応を指示するトランプ氏 昨年プエルトリコを襲った「マリア」への対応を自賛する異様な感覚
同様に、“異常な強さ”に発達してアメリカ東部に接近している「ハリケーン・フローレンス」

トランプ大統領は「費用はいくらかかろうとも支払うつもりだ」と、徹底した対応をとるように指示しています。

****ハリケーン「フローレンス」対策、出費惜しまず=トランプ米大統領****
トランプ米大統領は11日、大型ハリケーン「フローレンス」への対策に出費を惜しまない考えを示した。フローレンスは14日、サウスカロライナ州境に近いノースカロライナ州に上陸する見通し。


トランプ大統領はホワイトハウスで主任補佐官や連邦政府の防災担当者らと会い、会見で「費用はいくらかかろうとも支払うつもりだ」と述べた。

さらに、被害が予想される地域の住民に対しては、今回のハリケーンが東海岸で数十年ぶりの規模になるとの専門家の予測を示した上で、「恐らく全員が避難すべきだ」と述べ、「沿岸部は非常に、非常に悪い状態になるだろう」と付け加えた。

トランプ大統領は、2017年に米自治領プエルトリコで死者3000人を出したとみられるハリケーン「マリア」への対応を批判された経緯があり、今回は「完全に準備ができている」と主張した。

予報によると、上陸時のハリケーンは時速215キロメートルに達する見込み。すでに100万人が避難を指示されている。(後略)【9月12日 ロイター】
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風速“時速215キロメートル”は、秒速60mに相当します。
トランプ大統領が周囲にはっぱをかけているのは、中間選挙を控えているためで、1800人以上の死者を出した2005年の「カトリーナ」対応に失敗したブッシュ前大統領の轍を踏みたくないためです。

それにしても、2017年に米自治領プエルトリコを襲った「ハリケーン・マリア」に関するトランプ大統領の認識と地元の評価は全く異なります。

アメリカ政府の発表した死者数は64人ですが、実際は1400人以上とも、2975人とも、あるいは4645人(ハーバード大学の研究チーム調査)とも言われています。

数字は、停電や道路の分断・浸水による治療の中断が原因で死亡した者など、どこまでを含めるかによって大きく異なりますが、少なくとも「素晴らしかった」と言えるような事態ではありません。

しかも、(直接の被害は、避難態勢の問題は別にして、ある意味では“自然の猛威”のなせる業でもありますが)インフラ破壊による治療の中断で多く人々が亡くなったというのであれば、そしてそれを放置したということであれば、それはまさに大統領の政治責任です。

****トランプ氏、プエルトリコ対応を自画自賛 被災者約3千人死亡の地元は怒り****
昨年9月にカリブ海を襲ったハリケーン・マリアで2975人が死亡した米自治領プエルトリコへの政府対応を、ドナルド・トランプ米大統領が「素晴らしかった」と称賛したため、住民は強く反発している。

プエルトリコでは被災から11カ月たった先月になって、電力がようやく完全復旧した。

大型ハリケーン・フローレンスが米南部に接近する中、ハリケーン・マリアの教訓を質問されたトランプ氏は11日、プエルトリコが「島なので(マリアは)今のところ一番厳しかった」ものの、「こういうことについては今までで最高の対応だったと思う」と答えた。

大統領はさらに、「FEMA(連邦緊急事態管理庁)と捜査当局とみんなが、プエルトリコの知事と一緒になってやった仕事は、素晴らしかったと思う。プエルトリコ(対応)は見事な、あまり話題にならない大成功だったと思う」と続けた。

被災当初からトランプ政権の対応を厳しく非難してきた中央都市サンフアンのカルメン・ユーリン・クルス市長は、「死者3000人が成功だったと思うなら、どうしようもない。神様、助けてください」とツイートし、今回の大統領発言は「泣きっ面に蜂」だと批判した。

クルス市長は先月末、プエルトリコ自治政府が公式死者数をそれまでの50倍にあたる2975人に修正して発表した際、トランプ政権のお粗末な救援対応は「政権にとって汚点」だと強く非難していた。

自治政府のリカルド・ロッセロ知事は11日夜に声明で、マリアは「現代のプエルトリコにとって史上最悪の自然災害だった。基本インフラが壊滅し、数千人が死亡し、多くが今も苦しんでいる」と述べた。

さらに、「植民地と連邦政府の関係が『成功』していると呼べるなど、あり得ない。合衆国の米国人が享受する不可譲な権利の一部が、プエルトリコ人には認められていないからだ」と反発した。【9月12日 BBC】
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現地では前々から激しい大統領批判がありますが、それでも平気で「素晴らしかった」と言う感覚が、常人とは異なります。

おそらく大統領やその岩盤支持層にとっては、プエルトリコなどは“本当のアメリカ・アメリカ人”とは認識されておらず、どんな被害があろうがほとんど気にならないのでしょう。

しかし、ノースカロライナ州などアメリカ本土東部で被害が出れば、プエリトルコのようにはいきませんので、「費用はいくらかかろうとも支払うつもりだ」といった反応にもなるのでしょう。
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