世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

世界自動車大戦争(83)

2020-03-03 00:00:00 | Weblog

ニュース解説 2019/07/01 05:00
「LSEV」こそEVの本命、トヨタの電動化戦略の“裏”を読む
私はこう見る、元トヨタのエンジン技術者・愛工大客員教授の藤村俊夫氏(後編)
近岡 裕=日経 xTECH

 2019年6月7日にトヨタ自動車(以下、トヨタ)は「EVの普及を目指して」と題した電動化戦略を発表。「電動車を世界で550万台以上販売し、そのうち電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)を100万台以上とする」という目標達成の時期を、2030年から2025年に早めた。元トヨタのエンジン技術者で愛知工業大学客員教授の藤村俊夫氏は、この主因をハイブリッド車(HEV)の拡販と見る。そして、トヨタのEV開発について見るべきは、超小型EVへの参入だと語る。

関連記事:EVは「見せ球」にすぎない トヨタの電動化戦略、5年前倒しのワケ

前編において、トヨタの電動化戦略に関する計画の5年前倒しを支える主因はHEVであり、同社はEVには思ったほど力を入れていないという見立てを聞いた。世間が騒ぐほどEVは売れないということか。

藤村氏:ガソリンエンジン車の代替である現行のEVについては、そうだ。世界の主要都市における深刻な大気汚染対策の一環で売れることはあっても、都市部以外に広くEVが売れることはないだろう。
藤村 俊夫氏
愛知工業大学工学部客員教授(工学博士)、 元トヨタ自動車、PwC Japan自動車セクター顧問をはじめ数社の顧問を兼任(写真:都築雅人)

 特に大型のEVに関しては「市場投入しても仕方がない」というのがトヨタの本音のはずだ。大型車に向くのはFCVの方だと同社は考えている。だからこそ、例えばFCVのショーファーカー(高級車)「LEXUS LF-FC」を開発したのだ。FCVの燃料と燃料タンクを合わせた質量は、ガソリンタンクのそれと大差ない。これに対し、現行の大型EVはいわば「電池輸送車」だ。仮に、車両重量(質量)をガソリンエンジン車と等しくするには、現行の電池のエネルギー密度(180Wh/kg)を20倍以上に高める必要がある。全固体電池が実用化されても、エネルギー密度は3倍の500Wh/kg程度にとどまる。依然として、現行のガソリンエンジン車との乖離(かいり)は大きい。

 技術的な合理性を踏まえると、大型SUV(多目的スポーツ車)のEVの「現実解」は、HEVでありPHEVである。このことは前編でも述べた通りだ。

高級車のFCV「LEXUS LF-FC」
次世代のフラッグシップカーをイメージしたコンセプトカー。トヨタが2015年の東京モーターショーで公開した。(出所:トヨタ)
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驚くべきは、超小型EVの開発

では、今回の発表は見どころなしということか。

藤村氏:そうではない。今回の発表には驚くべき点がある。それは、トヨタが超小型EV(マイクロEV)の開発を宣言したことだ。全長約2500×全幅約1300×全高約1500mmで2人乗りの、軽自動車よりも小さなクルマだ。最高速度は60km/hで、満充電した際の航続距離(1充電航続距離)は約100km。通勤や買い物などの日常の近距離移動向けのクルマである。注目すべきEVは、この超小型EVの方だ。

トヨタが開発に本腰を入れ始めた超小型EV
2020年に発売すると発表。2人乗りで最高時速は60km/h、1充電航続距離は約100km。左端の車両の外観デザインが発売予定に近いもの。左から2番目の黒色の車両はビジネス向けコンセプトモデル。(写真:日経 xTECH)
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 というのも、中国で今、低速小型EV(Low Speed EV、以下LSEV)が急速に普及しているからだ。中国では2018年にEVが78.8万台売れたが、実はその半数をLSEV(登録車)が占めている。それ以外に実は、違法なLSEV(非登録車)が登録車の台数以上あるとも言われている。

中国市場の新エネルギー車(NEV=EV+PHEV)の販売台数の推移
2018年のEVの販売台数は78.8万台だが、このうちの半数をLSEVが占めている。(作成:藤村氏)
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 LSEVは2人乗りで、容量が5kWh程度の交換式電池を使う。最高速度は60km/h以下で、1充電航続距離は50~100km程度だ。スペックに多少の違いはあったとしても、超小型EVはLSEVと本質的に同じだと考えてよい。トヨタがEVとして力を入れたいのは、この超小型EVのはずだ。中国でLSEVの販売が急増していることを、トヨタが知らないわけがない。間違いなく、中国市場にも超小型EVを投入すると私は見ている。事実、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独ダイムラーも中国企業と組むなどして超小型EVの開発を進めている。

 LSEVはシェアリングビジネスにも有効であり、新興国に限らず先進国でも潜在的な需要がある。つまり、MaaS(Mobility as a Service)への活用も含めて重要な位置付けになる可能性があるのだ。だからこそ「EVの本命はLSEVだ」と、かねて私は主張してきた。今回トヨタが超小型EVのビジネス向けコンセプトモデルまで発表したのを見て、「やはり、そうか」と合点がいった。

関連記事:パリ協定のCO2削減目標は満たせる、その技術的シナリオ(後編)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00478/00011/

 技術的な評価を踏まえると、EVはLSEVという市場に活路を見いだすことが理にかなっている。今回トヨタは日本市場に投入すると言っているが、中国をはじめ世界各国に展開できるはずだ。

 ただし、今回トヨタが発表した超小型EVは、中国市場で販売するには“高級”過ぎる。もっとシンプルで安価なLSEVにしなければ中国では受け入れられないだろう。中国市場で販売する場合は現地ニーズに合ったLSEVにすべきである。

LSEVは今後、どれくらい売れると見るか。

藤村氏:2030年において、EVの世界販売台数は545万台で、中国市場に限ると342万台になると私は予測している。そして、中国市場で売れるEVのうちの8割、すなわち274万台が2030年に中国市場で売れるLSEVだと私は見込んでいる。

 なお、先述の通り、電池は交換式が普及するだろう。交換式であればユーザーは充電時間を気にする必要がないし、電池の技術的な進化を取り込めるからだ。当然、トヨタも交換式電池の利点については頭にあるはずだ。

電池の囲い込み大作戦へ

この5年前倒しの計画はトヨタの狙い通り達成可能か。

藤村氏:課題は電池だ。達成できるか否かは、電池をいかに調達できるかにかかっている。これまでトヨタと一緒に電池を開発してきたパナソニックとプライムアースEVエナジーに加えて、東芝やジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)、豊田自動織機、さらには中国のCATLBYDまで広げてトヨタが協業するのはこのためだ。

 企業別平均燃費(米CAFÉ、中国CAFC)規制トヨタの特許無償公開によってHEVがより一層売れるようになり、米国カリフォルニア州のZEV(Zero Emission Vehicle;無公害車)規制と中国のNEV(New Energy Vehicle;新エネルギー車)規制への対応でPHEVの販売台数が増える。これらに加えて超小型EV(LSEV)も市場投入し、規模は小さいかもしれないが通常のEVも造るとなると、非常に大量の電池が必要になる。

関連記事:「次世代ハイブリッド完成の自信」か、トヨタの特許無償提供
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/01910/

 搭載する電池容量の目安は、HEV向けが1kWh程度、PHEV向けが10kWh程度、LSEV向けは5k~10kWh程度だ。10kWhの場合には5kWhのリチウムイオン2次電池(HEV向けはニッケル水素が主流になると見る)を2個にして使うとしても、パナソニックとプライムアースEVエナジーの供給量だけではとても足りない。

PHEV「プリウスPHV」の駆動用電池
容量8.8kWhで68.2kmのEV走行ができる。(出所:トヨタ) [画像のクリックで拡大表示]

 ただし、全固体電池をはじめ電池の共同開発をトヨタと行うのは、今後もパナソニックとプライムアースEVエナジーだけだろう。両社以外の電池メーカーとの協業は、あくまでも電池の調達量を確保するためだけの関係と見る。中国の電池メーカーと協業するのはもちろん、中国市場でHEVやLSEV、PHEVが売れるとトヨタが予測しているからだ。

 いずれにせよ、今回トヨタが打ち出した、電動化戦略に関する計画の5年前倒しの鍵を握るのは中国だ。HEVの拡販も、LSEVの普及も世界最大の市場である中国で大きく進むからである。

ただ、トヨタ自動車は小型車づくりが苦手だと聞く。コンパクトカーではなかなか利益を上げられないのが悩みだと副社長も言っていた。それなのに、LSEVのような小さなクルマを造れるのか。

藤村氏:その点については、ダイハツ工業とスズキという、小さなクルマづくりが得意なメーカーとトヨタは組んでいる。自社で造りにくいということであれば、得意な会社に任せるという選択肢をトヨタは選ぶかもしれない。
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/02482/?P=1


何だが世界自動車戦争の動向は、思わぬ方向へと進んでいるようだ。
(続く)
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1 コメント

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キャスティングボート (サムライグローバル)
2024-08-03 20:25:21
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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