世の中、まちがってる、根拠なき反日キャンペーン。

相も変わらず根拠なき反日キャンペーンで、国をまとめようとする輩が存在する。

次世代エコカー・本命は?(55)

2015-02-13 00:00:00 | Weblog

このリチウムイオンバッテリーには、寿命と言うものがある。車を走らせると言う事は、EVの場合、このLiイオンバッテリーを酷使することになる。そのため車の使い方によってその蓄電能力(寿命)は、極端に異なってくるようだ。だから老化が進むと満充電した状態でも、所定の航続距離は走れなくなる。そのためEVの所有者からは、クレームが出てくる事になるようだ。

そのような内容のものが次のURLに掲載されているので、是非参照されん事を願う。



電気自動車の電池寿命は厳しい! リーフユーザーへ (ここを押すとホームへ戻る)

日産リーフの現状を、広く知っていただくために開設     10万キロを走行して見えたものは? 初めての方は、一番下の2ページ『① 日産リーフの航続可能距離とバッテリー劣化』から閲覧開始して頂いて、①番から順番に閲覧して下さい

http://blog.livedoor.jp/toshi_792t/ ←上記のホームページのアドレス
http://blog.livedoor.jp/toshi_792t/archives/1004561001.html  ←①のアドレス


全世界で、特にアメリカでは5万台以上が販売されているので、ひとごとながら日産リーフも問題になっていないかと心配になるが、このURLで探してみるとアメリカでもリーフはメーターを戻して改ざんしているようだ。もしそうだとしたら誠に嘆かわしい事だ。下記を参照の事。
http://blog.livedoor.jp/toshi_792t/archives/1012252072.html
http://blog.livedoor.jp/toshi_792t/archives/1009985852.html
http://blog.livedoor.jp/toshi_792t/archives/1009366966.html   

など、まだまだ沢山似たような内容のものがありますので、興味ある方は、上記ホームページにアクセスして確認してください。
メーターを戻す、と言う事は、バッテリー容量の目盛は老化と共に減ってゆくことになっているのだが、それを隠すために目盛が減らないようにプログラムを書き換える、と言う事らしい。だから満目盛でも、所定の距離を走るだけの電気容量は持っていないことになる。

次にリーフユーザー4年目の米国のアナリストのEV生活の感想を載せよう。



EV、近場専用で普及を ガソリン車より節約に
フィル・キーズ(米ブルーフィールドストラテジーズ アナリスト)

2014/7/20 7:00 ニュースソース 日本経済新聞 電子版

 シリコンバレーで日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」に乗り続けて、7月で4年目を迎えた。この経験を踏まえ、米国でのEV生活について報告しようと思う。

 リーフを購入した2011年時点では、EVはまだ珍しかった。リーフを駐車するたびに「EVの乗り心地はどうですか?」「ちょっと見せてください」と聞かれたくらいだ。

■公用の充電インフラ充実は難しい


カリフォルニア大学バークレー校在学中に交換留学で来日。日本のIT(情報技術)産業にも詳しく、技術誌やウェブサイトなどでジャーナリストとして活動。日本での勤務経験もある。

 今、シリコンバレーではEVをよく見かける。この間、近所のレストランに行った時には、自分のを含めて4台のリーフが駐車場に止まっていた。カリフォルニア州であれば、高速道路のカープール(複数の人間が乗車している車)専用車線をEVも走る権利があって、カープール車線を走るリーフの数が目立つ。地方新聞が取り上げていたくらいだ。

 リーフを購入した時点では、充電所の数はまだ少なかった。14年現在、充電所の数はかなり増えたが、それでもEVの持ち主が頻繁に訪れる場所の充電所は満車になっていることが多い。

 私は、リーフオーナー専用のフェイスブックページに参加している。そのページには「充電所にガソリン自動車が止まっていた」「充電していないEVが止まっている」といった苦情をよく見かける。EVを普及させながら、オーナーが満足に利用できる公用の充電インフラを充実させることは難しい問題のように思われる。

 リーフの運転には、だいたい満足している。やはり、騒音をほとんど出さずにスムーズに走るEVの運転は楽しい。それに、リーフは故障知らずだ。整備にかかるコストが、ガソリン自動車に比べてかなり低い。厳密には調べていないが、請求書を見る限りではリーフの充電コストは月30~40ドル程度。日本に比べてガソリンが安い米国でも、ガソリン自動車に比較すると大きな節約になっている。

 問題は、やはり走行距離だ。約3万マイル(4万8000キロメートル)を走破した13年秋に、リーフの充電容量が下がった。現在では高速道路と一般道路を走りながらエアコンをかけると、現実的には約45マイル(72キロメートル)程度しか走れない。近所の買い物や打ち合わせに行くならリーフを使えるが、やはり運転中は残りの電力が気になる。

■消費者の運転習慣を変えられるか

 走行距離が気がかりなのは私だけではないようだ。フェイスブックページでは「通勤のニーズをリーフが満たしていない」「リーフを売って別の自動車を購入した」という声が目立つ。そうした人の多くは、米ゼネラル・モーターズ(GM)のプラグイン・ハイブリッド(PHV)「ボルト」を購入しているようだ。

 米国市場にEVを普及させるには、やはり走行可能距離が壁になりそうだ。大容量の電池を持つ米テスラ・モーターズの「モデルS」のような高級車を購入できる消費者の数は限られる。比較的手ごろな価格で購入できる、リーフなど低容量電池を搭載するEVは、自宅周辺での利用に限るのが現実的だろう。

 米国なら、都市部に住む消費者ならEVを利用しつつ、遠距離の移動用に別の自動車をレンタルする生活が考えらる。郊外に住んでいる自動車2台を持つ家族なら、1台をガソリン車に、もう1台をEVにすることも考えられる。

 実際、このように考える米国人が増えているらしい。米紙ワシントン・ポストによると、14年6月末までの6カ月間に米国市場では1万2736台のリーフが売れた。だが、リーフのような走行距離が比較的短いEVを本格的に米国市場に普及させるためには、一般の消費者の運転習慣を変えさせる必要がある。そして、消費者の習慣を変えるには大変な時間と労力がかかるものだ。

[日経産業新聞2014年7月15日付]
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO74233700U4A710C1X12000/



小生も先にEVの走行可能距離が短いものであっても、自家用車の複数所有であれば、一台はEVとすることが出来ると言及したことがあったが、アメリカではすでにそのような状況が起きてきているようだ。

トヨタはLiイオンバッテリーのこのような性質を弁えていたので、敢えてLiイオンバッテリーの搭載を進めていなかったかもしれない。だから近中距離用環境車を、発売していなかったと推察できる。

その代わり、近距離用環境車としては、2013年に3輪の「i-ROAD」を発表している。

先ず2013.3.5(火)~3.17(日)の第83回ジュネーブ国際モーターショーでTOYOTA i-ROADとして発表したのが最初。

その次は、2013.10.1(火)~10.5(土)の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20130902/300563/)の幕張メッセ会場だ。

前2輪を電動で駆動し、後輪1輪で操舵する超小型電気自動車EVだ。

(続く)
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次世代エコカー・本命は?(54)

2015-02-12 00:00:00 | Weblog

この記事は2013.7月のものであるが、アメリカでの日産リーフはティッビングポイントとやらをそろそろ(現在は2015.1月だが)超えつつあるのではないのかな。

それにしても先のデータでは、プリウスのPH(E)Vが世界(USA,カナダ,日本,独,蘭,ノルウェイの6カ国)で、月2,100台も売れているとは少し驚きである。

まあ日産リーフが3年半で、世界で115,000台、アメリカで50,000台も売っているとも、一種の驚きである。トヨタもEVを単なる近距離用途の簡単な車などと思わずに、普通の車として開発していく必要があろう。


トヨタのホームページでプリウスPHVの性能を確認すると、EV走行距離は相変わらず26.4kmに留まっている。まだ2次電池を増量していない。しかも、プリウス1.31kWh相当のニッケル水素電池に比べて、プリウスPHV4.4kWhと3倍もの電力量を誇るリチウムイオンバッテリーだと説明している。これを見ると、トヨタはプリウスPHVのEV走行距離をこれ以上伸ばす気はないようだ。

まあ燃料電池車「MIRAIミライ」を発売したから、プリウスPHVのバッテリーの容量を増やさなくても、中長距離用はミライでどうぞと言う事たろうが、それには一寸無理がある気がする。いわゆる近距離(20~40km)中長距離(70km~)の間の近中距離用(40~70km)EVも必要となるのではないのか、と言う考え方だ。まあ必ずしも近距離と近中距離を分けて考える必要はないが、車と言う特性から考えると、近距離用途などと独立させて考えるのではなくて、近距離用途も近中距離に含めて考えてみる必要がある、と言う事ではないのかな。

しかしながら、トヨタは中長距離用環境車FCVミライを充てて、そして近距離用環境車としてはトヨタは開発を進めているが、近中距離用環境車としてのピュアEVを売り出す気は、今のところ持っていないものと推察される。このジャンルの環境モバイルとしては、現在ハイブリッドビークルHVPHVが存在しているから、トヨタとしてはそれほど危機を感じていないものと思われる。

トヨタはこのプリウスPHVについては、「HVに次ぐ次世代環境車の柱として位置付けています。買い物や家族の送り迎えなどはこまめに充電して電気自動車の機能で、週末などの長距離ドライブでは電池残量を気にせず安心してHV自動車として使う。そんな使い方をすれば経済性の向上や環境負荷の低減につながるのでは」(同社広報部)と言っている。

これは下記のものに掲載されていたものであるが。



試乗記:電気自動車の性能を向上させたプリウスPHV
2014年07月07日
(略)
トヨタはプリウスPHVについて「HVに次ぐ次世代環境車の柱として位置付けています。買い物や家族の送り迎えなどはこまめに充電して電気自動車の機能で、週末などの長距離ドライブでは電池残量を気にせず安心してHV自動車として使う。そんな使い方をすれば経済性の向上や環境負荷の低減につながるのでは」(同社広報部)と言っている。
(略)
http://mainichi.jp/feature/car/news/20140705mog00m020005000c.html


この時点ではまだFCVミライは発売はされていない。しかし本ブログの2014.11.26のNO.2で紹介しているように、この直前の5月末から6月初めには2014年内にFCVが発売されるニュースが流されている。それにFCVの普及には相当の時間が必要である事は十二分に理解されているので、プリウスPHVはそれまでの環境対応車として位置づけられているのであろうか。

しかしだとしたら、26.4kmの走行距離は短すぎないのかな。まあ現行プリウスのボデーを使っているので、搭載するリチウムイオン二次電池の置き場所には相当苦労しているはずで、ちっとやそっとでは電池の数を増やせないのであろう。

ちなみに日産リーフのリチウムイオン電池の写真を次に掲げるが、相当大きいものである事がわかるであろう。だから日産は専用ボデーのLEAFを開発したのである。

日産リーフの「リチウムイオンバッテリー」 重量294kg、1,188mm×1,570.5mm264.9mm

このバッテリパックを製造しているAESC(Automotive Energy Supply Corporation)によると、このパックは、セル・モジュール・バックと言う構成になっている、とそのH.Pageには記載されている。
(http://www.eco-aesc-lb.com/product/liion_ev/)

4セル×48モジュール=192セル=1パック:High energy battery pack である。そしてこのバッテリパックは、リーフの中央部の床下に搭載されている。この写真に見える白い薄い弁当箱状のものが、モジュールであろう。これが48個収まっていると言うと、このパックには次のように詰まっているのであろう。公称電圧360Vで容量は24kWh。

写真左側に縦に、22個
写真手前に横に、3個+3個+4個+4個=14個
写真の奥に横に、2個+2個+4個+4個=12個

合計モジュール48個=22+14+12、となっているのであろう。


これは下記の日産自動車のLEAFバッテリーの取り外しマニュアルに載っていたものである。

リチウムイオンバッテリー 取り外しマニュアル 日産リーフ 2010年12月
http://www.nissan-global.com/JP/ENVIRONMENT/A_RECYCLE/BATTERY/PDF/nissan_leaf_manual.pdf


この通り日産LEAFの中央部の床下に、約300kgのリチウムイオンバッテリーは搭載されている。

この絵を見ると、先に示したFCV「ミライ」のFCVスタックの搭載図と似ているように見える。


ミライのスタック搭載図は、2015.1.13~のNO.32~で示しているので参照願う。FCVも一種のEVなので、リーフのバッテリーが燃料電池に置き換わったものと思えば、構造的には全く同じものだと思われる。ただFCVは水素を燃料としているので、水素タンクを積んでいるところがPureEVとは異なっている。これがFCVが航続距離と充電(填)時間で、EVに勝っている所以である。

(続く)
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次世代エコカー・本命は?(53)

2015-02-11 00:00:00 | Weblog

まあいずれにしても「日産リーフ」はアメリカで月平均2,400台程度(=24,411÷10)は売れているので、世界で月平均3,300台の販売は納得できるものである。

参考までに日産リーフの日本での販売台数は、2014.1~5月で次のようになっていて更に売り上げを伸ばしているようだ。
(http://ev.gogo.gs/news/detail/1405409762/による。)

      日本     世界(USA,カナダ,日本,独,蘭,ノルウェイの6カ国)
日産リーフ 5,596台(1,119台/月)  22,097台( 4,419台/月
三菱PHEV  4,553台( 911台/月)  10,454台( 2,091台/月)
トヨタPHEV 1,000台( 200台/月)  10,487台( 2,097台/月)

ちなみにリーフの2013年1月~12月の日本での販売台数は、13,021台(1,085台/月)だった。
(http://u-car-guide.com/articles/news/topics/201401-03/nissan_20140328/ より)

しかし上の数字からすると、消費税が増税されても、2014年はこの数字はそれなりに増えているように思われる。使いようによっては、電気自動車も捨てたものではないのであろう。


さて先にトヨタプリウス・プラグインハイブリッド(PHEV)車の電池能力が低すぎたと言った話をしたが、それについての論考を紹介しよう。



自動車の最新技術を追う  Automotive Technology
Tech-On クルマ  和田憲一郎の一車両断
ユーザー心理を見誤った「プリウスPHV」
2013/07/05 00:00
和田 憲一郎=電動化コンサルタント、エレクトリフィケーション コンサルティング代表

 三菱自動車で電気自動車(EV)「i-MiEV」のプロジェクト マネージャーを務めた和田憲一郎氏が、注目の電動車を取り上げて分析し、クルマの現在と未来を語る連載「一車両断!」。第1回は、トヨタ自動車が投入したプラグインハイブリッド車(PHEV)「プリウスPHV」を取り上げ、PHEVの課題と未来を考える。 図1 プリウスPHVの外観
[画像のクリックで拡大表示]

 トヨタが2012年1月に発売したプリウスPHV(図1)。発売から約1年半経ったが、当初目指した年6万台以上(世界)の販売台数に達しない。2013年4月時点の累計販売台数は3万3000台程度にとどまる。プリウスPHVは革新的な商品だ。それにも関わらず期待通りに売れない原因はどこにあるのか。原因を読み解くことで、PHEVのあるべき姿が浮かんでくる。

少なくとも35km

図2 ユーザーはほぼ毎日充電しなければならない
[画像のクリックで拡大表示]

 PHEVは、CO2排出量やガソリンの使用量から見て、ハイブリッド車(HEV)と電気自動車(EV)の間に位置するクルマである。ただ間にあるという曖昧さがゆえに、ユーザーとメーカーの間で解釈の違いが生じやすい。

 プリウスPHVといったPHEVの購入を考える人は、HEVとEVのうち、どちらに近い車両とみなすのだろうか。筆者は、“EVの派生車”と考える人が多いとみる。“充電”が車両の性能に大きな影響を与えるからだ(図2)。PHEVは、充電してEV走行距離を増やすことで高い燃費性能環境性能を実現する。逆に言うと、充電しなければその恩恵を享受できない。

 PHEVをEVの一種とみなす人は、端的に言えばEVを使ってみたい人である。ただ買いたいが、短い航続距離に対する不安や充電インフラの少なさから買うのに躊躇している層でもある。そんなEVに魅力を感じる層は充電作業をどう考えるだろう。筆者がEVのユーザーとこれまで多く話してきた感覚では、比較的当たり前のこととして受け止め、煩わしいこととは考えない傾向にある。EVと充電作業はセットと言えるものだからだ。

 一方、PHEVをHEVの一種とみるユーザーは異なる。充電作業に対して煩わしいと考えて負担に感じがちだ。この層はPHEVに対してHEVより高い燃費性能と、EV走行によってHEVより静かで快適な性能に魅力を覚える層。HEVに必要ない充電作業を欠点とみなしがちだ。しかも充電はほぼ毎日必要な作業である。

 微妙な心理の違いに思えるが、筆者の経験では、PHEVを購入する決断に至るかどうかに意外と大きく効くポイントである。プリウスPHVは、そんなユーザー心理を見誤った。トヨタはHEVであるプリウスの延長にある車両として位置付けている。

 プリウスPHVのEV走行距離は短い。JC08モードで26.4kmにとどまる。これでは一般の人が1日に走る平均距離である20kmをEVモードで走れない。EVを使いたい層、つまりPHEVを購入したいと考える層にはもの足りなく映るだろう。

 JC08モードは、街乗りとも異なる上にエアコンとヒータを使わない状態で測る。状況によるが、エアコンを使いながら走るとモード値から2割は減る。ヒータを使うとさらに減る。またPHEVやEVでは車内のモニターに走行可能距離を示すが、その値は余裕分を考慮して少なめに表示する。十数km走れる場合でも、実際には10kmと表示することが多い。ユーザーはモニターの走行可能距離で航続距離を判断する。これらを考慮すると、実際に使う場合で20kmの航続距離を必ず実現するにはモード値で少なくとも35km以上にしなければならない

 最近発売された他社のPHEVを見ると、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」が60.2km(JC08モード)、ホンダの「アコードプラグインハイブリッド」は37.6km(JC08モード)と、ともに35km超に設定している。

急速充電機能がない

 プリウスPHVには急速充電機能がないことも指摘したい。トヨタは、電池の電力容量が4.4kWhと小さい上にエンジンを動かして充電できるので、住宅での普通充電機能があれば問題ないとみたのだろう。

 確かに実用上はほとんど急速充電機能を使うことはないと言える。だがユーザーの心情を想像すると、走行中に電池残量が減ると急いで充電したいと思うものだ。オプションでかまわないので用意するべきだった。実際、アウトランダーPHEVでは急速充電機能をオプションとしたが、9割以上のユーザーが購入する。

 開発者が用意しなかった理由は分かる。仕様を決定した時期は充電インフラが普及していない上、日本が推す急速充電規格「CHAdeMO」方式が国際標準になるのか不透明だった。

 ただ結果論になるかもしれないが、CHAdeMO方式を採用することをためらうことはなかった。同方式は、他国の方式と並んで2013年後半にIEC(国際電気標準会議)の規格として国際標準になる見通しだ。加えて欧州や米国では、それぞれ1000基規模で充電スタンドの設置が進む。さらに欧米の急速充電器メーカーは、欧米が進めるCombo方式とCHAdeMO方式を併用することを想定したデュアルアーム構造の検討を進めている。他の規格と競争するというよりも協調しながら併存しそうな形で、今後、CHAdeMO方式がなくなることは考えにくい状況になりつつある。

 日本では政府が1005億円を投じて充電インフラの拡充を進める。2020年までに3万7000基に拡大する計画だ。EV走行を希望する人が多いPHEVに急速充電機能を搭載しない手はない。

2015~2017年に大転換

図3 プリウスPHVの電池パック
[画像のクリックで拡大表示]

 もう一つ、航続距離が短いのに併せる形で電池容量が4.4kWhと小さいために、V2H(Vehicle to Home)機能が限定的になる点も残念だ(図3)。V2Hはクルマを蓄電池とみなすことで、住宅の電力利用の効率を高める取り組みのこと。PHEVやEVの魅力の一つとして注目を浴びつつある。

 V2Hは未来の技術ではない。既に商品化に備える段階にある。2~3年前から自動車メーカーや家電メーカーが中心になって各地で実証試験を進めており、あとは法整備や認証制度などが終わるのを待つ段階にある。

 プリウスPHVは、V2H機能を実現するには電池の容量が小さい。例えば住宅の電力をクルマの電池で賄う場合、1日分を賄うには電力事業連合会の調べによると大体10kWhいる。ユーザーの感覚として、1日分というのは分かりやすい目安だろう。4.4kWhのプリウスPHVではV2Hを限定的な形でしか実現できない。このことが商品力を高める好機を逃しているように思える。

 とはいえプリウスPHVは未知の領域に挑む革新的な商品である。読み違いが多く出てくるのは当然のことでもある。次のプリウスPHVに、今回の分析を生かせばよい話しだ。

 次を見据えるのであれば、もっとEV寄りの企画を立てるべきだ。次期車両を発売しそうな2015~2017年にかけて、クルマの電動化に関わる技術や環境が一気に整う「ティッピングポイント」がやってくると考える。ティッピングポイントとはマルコム・グラッドウェル氏が提唱した概念で、ある一定のポイントを境に、劇的に流れが傾く(tipped)現象を指す。そんな現象を予兆するかのように、最近、電動車両に関連する多くの事象が関係性を持ちながら動いているように映る。

(1)EV/PHEV用Liイオン2次電池の価格が著しく下がり始めた。EVでは2010年ごろに15万円/kWh前後だったが、最近では8万円/kWh前後、携帯電話機用と同等の3万円/kWhも視野に入り始めた。

(2)EV用Liイオン2次電池のエネルギ密度が徐々に向上し始めた。数年前の100Wh/kgから130~150Wh/kgになる。

(3)充電インフラが充実しつつある。国内では急速充電器を2020年までに約3万7000基設置する。

(4)車両と周辺インフラなどを通信でつなげる構想「V2X(Vehicle to X)」の実用化が近づいている。おそらく2014~2015年ごろ。

(5)FCV(燃料電池車)の量産車が登場。これも2014~2015年ごろ。

(6)ワイヤレス給電機能が少ないながらも市場に投入され始める。2015年前後だろう。

(7)中国やアジアの首都で大気汚染が深刻化し、先進国でガソリンスタンドが急減する。日本では過去最高で約6万軒だったところ、現在は約3万軒に半減している。

 2015~2017年ごろを境に、PHEV/EVに懐疑的だった企業も、それなしには成長戦略を描くことができなくなるとみる。トヨタも今のHEVに力を注ぐ体制からPHEV/EV/FCVの開発基軸を移していくことになるのではないだろうか。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130628/290452/?ref=ML
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(52)

2015-02-10 00:00:00 | Weblog

電気自動車を売るために企業が行った努力

まず、購入検討者の不安事項に対して、企業としてその不安の払拭に力を入れていることが挙げられる。多くの人にとって、これまでの乗りなれているガソリン車から、充電といった電気自動車固有の機能など扱いが異なる電気自動車に乗り換えるということは、勇気が必要なことだと考えられる。

これに対して日産自動車は、こういった電気自動車への質問・不安に、リーフを所有し日常的に使っている購入者に回答してもらい、リアルな声を聞いてもらうという方法をとっている。

例えば、購入検討者の中で最も懸念されていることが、航続距離(一回の充電で走行できる距離)の長さであるが、リーフのオーナーの何人かは、リーフが満充電で十分に走れる距離84マイル(134.4km)は、郊外・都市どちらの通勤でも十分であると回答している。

北米のオーナーの多くは電気自動車の近・中距離の移動には苦労していないようだ。このようにリーフは北米、特に通勤が航続距離の範囲内の顧客の心をしっかりと掴み、確実に販売台数を伸ばしていったのである。

また、この日産リーフには、日本の技術力が詰まっており、車としての走行性の満足度の高さも成功の秘訣であろう。日産リーフにはタイヤを駆動させるために、80kWのモーターに24kWのリチウムイオンバッテリーのパックが備え付けられている。

このリチウムイオン電池はノートパソコンに付属しているものと原理的には同じものである。電池はリーフの床下に埋め込まれており、家庭用の普通充電であれば8時間、街頭に備え付けてある急速充電であれば30分でフル充電することができる。

家庭で8時間で充電できるということはつまり就寝の時間で十分に充電できるということであり、この点に対するオーナーの満足度は高い。また日産リーフの内装は、すべてのゲージがデジタル画面であるなどかなり未来的である。

さらにリーフにはキーの差し込み口がなく、電源ボタンをただオンにするだけでエンジン音が無く電源が静かに入り、リーフの”ハイテク”感を一層増してくれる。

駐車時には、鳥になって上空から見るかのように360度を見渡すことができるBMWもi3という電気自動車を販売しているが、それと同様・以上にリーフも多くの技術を搭載している。こういった先進的な技術は、我々を格別な気持ちにさせてくれる。

また、このリーフで使用され少し性能が落ちた電池は、2014年4月より、太陽光電池の蓄電用(晴天時に余剰発電した電気の蓄電用)としての使用が開始されている。このように使用済み電池の有効活用の検討も行われている。

電気を中心にしたエコなエネルギー革命は、日本が生みだした日産リーフを中心に、始まったばかりだ。また、日本の技術の完成度の高さは、世界市場で上位に常連でランクインできる実力を持ち合わせており、世界の人々からの信頼は非常に厚いことは間違いない。

(Overseas reaction 海外の反応・・・抜粋)

片道12マイル(約19km)の通勤で使っているけど、電池が50%以下になったところを見たことがない。私にとっては一番の車だ。 (→片道20km足らずであれば、リーフは宝の持ち腐れとも思われるが、人にはこの余裕が必要なのであろう。)

北米では平均の車の通勤時間は25分だからそういった人達を狙ったんだね。

日本の新しい提案、この素晴らしい技術によって二酸化炭素を排出しないドライブ(ゼロエミッション)が可能となった。

http://golden-zipangu.jp/nissan-leaf/


リーフも車体中央の床下に300kgと重いバッテリーを積んでいるので、操安性が良いのは理解できるが、日産リーフの航続距離はカタログ上は、200km(最新型は228km)程度となっていいるが、アメリカでは実用上の航続距離は84マイル(134.4km)で、その範囲内での通勤での使用形態では十分な距離なのであろう。先に述べたように営業としての使用形態での最大航続距離は、50km程度なので不安があるが(2014.12.24,NO.22参照の事)、こと近距離通勤用途として限定してみれば、航続距離のカタログ値としては、200km程度(実際能力はその半分の100km以下となる)は必要なのであろう。と言うのも電気自動車は、その使い方や気候条件などで、航続距離が極端に低下してしまう。だから近距離用途でもそれなりのバッテリー能力を必要とするのであろう。そうでないと車を運転することは不安で、購入を控えてしまうのではないのかな。カタログ値が200kmくらいで、丁度日常使いでの最低の航続距離は、50~60km程度の実力値となるのであろう。だからこのアメリカでの使用形態では、十分実力値以内での使用なので航続距離不足(バッテリーの能力不足、電欠)とはならなかったのであろう。但しアメリカでは自家用車の複数所有が当たり前となっているために、小生の推測ではあるが、1台の自動車は通勤専用として使用できるのであろう。きっと中長距離の使用としては、別のガソリン車が存在している筈だ。

まあこうして見ると、電気自動車「リーフ」も先にトヨタが区分していた「近距離用途」の車なのであろう。但しその近距離が多分トヨタが想定しているような20~40km程度の距離ではなく、70~80km程度と倍増した距離を想定しなければいけなかったのであろう。実際の走行距離が30~40kmでも、能力としては100km近くは必要だったのである。そうすればお客さんは安心して電気自動車を購入するのではないのかな。近距離用途としても、余裕が必要なのである。そのためEVは費用対効果はそれほど抜群ではないのであろう。

トヨタがプリウスのPHEVとして、顧客の日常用途として調査した結果20km程度しか走っていないとして、26kmの能力で十分(?)だとしてそれだけのリチウムイオン電池を搭載して発売したが、これが全くの不評であった事はご承知の事と思う。20kmしか使っていなかったとしても、それ以上の能力がないと顧客は安心して走る事ができないのだ。


この話は後に言及するとして、次のURLにはUSAでのリーフの2014年の販売台数の状況が、載っている。それによると次のようになっている。

しかしこの数字が少しおかしいのだ。2014.1~10月の月別の販売数字合計したものと別表の掲載されている2014.1~10月の合計数字が、異なっていたのだ。



EVObsession
Nissan LEAF,Chevy Volt,&BMW i3 Dominate Plug-inCar Sales in October

2014.11.05

LEAF USA2014年月販台数→掲載グラフの数字より。
1月(1,252) 2月(1,425) 3月(2,507) 4月(2,088) 5月(3,117) 6月(2,347) 7月(3,019)
8月(3,186) 9月(2,881) 10月(2,589)=1~10月合計・24,411台

LEAFYTD2014・ USA1~10月LEAF販売台数→掲載の表に記載の数字より。22,323台

2014年1~10月月別合計=24,411台≠22,323台1~10月一覧表数字

http://evobsession.com/nissan-leaf-chevy-volt-bmw-i3-dominate-plug-car-sales-october/



このURLでの日産リーフの販売台数の数字が、上記のように異なっているのは何故であろうか。
この差は、丁度2,088台となり4月の数字と一致する。4月分を合計しなかったのではないのかな。

なおこの「EVObsession」の日本語訳は、次のURLにありますので、ご参照願う。



日産リーフ好調――にもかかわらずEVバッシングを続けるマスコミ→ここに上記のEVObsessionの日本語訳があります。
http://blog.livedoor.jp/sowerberry/archives/41325067.html  (2014年11月17日00:10)
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(51)

2015-02-09 00:00:00 | Weblog
トヨタのFCV「ミライ」、2年後には4倍強の3千台に増産 予想上回る受注で
2015.1.22 19:19

トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」

 トヨタ自動車は22日、世界初の市販型燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を2016年には現在の3倍弱年間2千台程度に、17年には4倍強の3千台程度へと増産する方針を発表した。受注が当初の想定を大きく上回っていることを受けての措置。

 供給体制を早期に整えて普及を進めたい考え。3千台体制の構築には数百億円を投じる見通し。

 ミライは現在、燃料となる水素と酸素の化学反応で電気を生み出す燃料電池や水素タンクを本社工場(愛知県豊田市)で作り、元町工場(同)で完成車に組み立てている。現在の生産能力は年間700台。増産では主に本社工場の生産ラインを増強する予定だ。

 走行中に水しか出さない「究極のエコカー」への関心は高く、国内では昨年12月15日の発売後1カ月で国内の年間販売目標(400台)の4倍弱に上る1500台を受注。「納車まで数年かかる」ともいわれる。

 今夏以降は欧米でも発売する予定で、米国ではカリフォルニア州で排ガスを出さない車の販売を義務化する環境規制が強化されることも踏まえ、17年末までに計3千台以上を販売する計画だ。こうした販売の急速な伸びを見据え、増産対応が必要だと判断した。
http://www.sankei.com/economy/news/150122/ecn1501220037-n1.html



さて当座のZEV2018年規制対策は、VWやGMのニュースを見れば何と無くEVが主力のようにも勘ぐれる。自動車各社はEVをどの様に考えているのであろうか、興味のあるところでもある。次は電気自動車の状況を見てみたい。


(7)電気自動EVの状況について


電気自動車といえば、米国のベンチャー企業のテスラーのロードスターやモデルS、それに日本の日産自動車のリーフや三菱自動車のiミーブが有名である。

テスラーについては先に言及しておいたので少し置いておいて、

特に日産のリーフは、2010/12月の販売開始以来、2014/1月に世界累計販売台数が10万台に達している。

そして2014/6月初め?には世界累計販売台数が、11万5千台に達していると言う。そしてアメリカでの販売台数も、累計5万台を達成したのである。

詳しくは次の論考を参照願う。



【EV】日産「LEAF」世界で115,000台、アメリカで50,000台の販売を達成!!

掲載日:2014年6月9日

2010年より量産を開始し、世界のEV普及の牽引役とも言える日産「LEAF」が、このたび世界115,000台、アメリカで50,000台の販売を達成しました。今年1月に10万台の大台を超えたところですので、その後、平均的には月間3,000台以上のペースで売れていることになります。また、販売台数の43%が米国を占めています。

2010/12/11(納車開始)~2014/01/20 世界販売100,000台達成(発売は2010.12.3)
2010/12~2014/06 初め 世界累計販売115,000台
               USA累計 50,000台販売

http://ev.gogo.gs/news/detail/1401006363/


これによると2014年1月下旬から5月末又は6月初めの約4ヵ月と14~15日間で15,000台の販売をこなしたことになる。4.5ヵ月で15,000台の世界販売だとすると、3,300台以上/月の販売となっている勘定となる。これはある意味すごい事である。日産「リーフ」が、月販3,300台以上を常時維持している、と言う事は、トヨタもEV電気自動車を単に「近距離用途」として片付けるのではなく、近距離の範囲を相当拡大して考えてゆく必要があろう。


北米で5万台突破!日本の電気自動車がバカ売れの理由

2014/09/04

2014年5月、米国・テキサス州に住むある家族が日産自動車の販売する電気自動車”リーフ”を買い、北米市場での販売台数は計5万台を突破した。

その5万台目の購入者であるトッド-リサ・ボルト夫妻は、リーフをテキサス州ダラスのルイスビルにあるディーラーで購入した。しかし、夫妻の友人間の間では、リーフの所有者が少なくない。夫妻の購入時期は友人達の中では遅い方だったのである。

北米で日本の電気自動車売上が好調

ボルト夫妻は2つの教会に勤めている。そこでの従業員の20人以上は日産リーフの所有者であり、自分たちを”Blessed LEAFs Clubs(神聖なるリーフのクラブ)”と呼んでいるそうだ。

ここ、ダラスフォート・ワース地区では、リーフの販売台数は日産が予想した数よりも50%も高い台数を更新している。

ボルト夫妻は

ガソリンを買わなくて済むという経済的な利点よりも、リーフの操作性の良さに感激した。家族や友達にリーフを見せると、みんなこの車がとても静かでとても乗り心地が良いと驚くんだ。我々が日常的に欲していることは、リーフで全てまかなえるし、もちろん燃料費も抑えられる。どうして今までガソリン車を使っていたのかわからないくらいだ。

と、燃料を使わないクリーンな自動車であることだけではなく、車としての操作性の良さを絶賛している。

ダラス・フォートワースヒューストン市街地は、日産リーフ購入者向けへ、2014年4月より二年間は公共施設で充電費用が無料となる” No Charge to Charge”プロモーションを行っている。米国全体でのプロモーションは、このダラスとヒューストンの試行を手本にして、後々行われる予定である。

日本の電気自動車が北米で成功を収めているのはなぜだろうか?この日産リーフの側面から見て行きたいと思う。
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(50)

2015-02-06 00:00:00 | Weblog

GMと提携しているホンダが2016年3月にもFCVを発売する予定なので、その内にGMも(ZEV規制対応も含めて)FCVやEVを発売せざるを得ないものと思われる。GMはこの他にPHEVのVoltと言うレンジエクステンダーEVを持っているので、75miles以上のEV走行が出来れば加州の2018年規制対応車としてZEVクレジットの計算が出来ることになる。しかし75miles以下でもZEVクレジットは減額されるが、獲得できるようだ。このような動きを眺めるに、GMはEVを主としてZEV規制対応車と考えているようで、FCVは様子見のような感じがする。

この新型「Volt」のEV走行距離は50マイル(約80km)だと言う。これでは完全なZEV車とはならないが、ZEVクレジットは減額して与えられることになろう。従ってGMは、EV、PHEVを中心として、FCVもやっていると言う形を見せながら、加州のZEV2018年規制には対応することになろう。



GM、次期プラグインHV車を2015年に EVで80km走行可
2015/1/15 23:00  ニュースソース  日本経済新聞 電子版
(日経テクノロジーオンライン)

2015年後半に市場投入予定の次期「Volt」

 米General Motors(GM)は、プラグインハイブリッド車(PHEV)「Volt」の次世代モデルを2015年後半に市場投入すると正式発表した。Voltは米国で最も売れているPHEVとして知られる。2010年の発表以来、初めて大幅な改良を加えることで、電動車両市場での存在感の向上を図る。

 「(現行モデルから)あらゆる性能を向上させた」――。米国最大の自動車展示会「The North American International Auto Show(NAIAS、デトロイトモーターショー)」でGMは記者発表会を開催、同社Chief Executive Officer(CEO)のMary Barra氏は自信をのぞかせた。

 性能面での向上が大きかったのが、電池のエネルギーによってモーターのみで走れるEV走行距離50マイル(約80km)まで延ばした点だ。現行モデルのEPA燃費ラベルに示された1充電当たりのEV走行距離は35マイル(56km)となっていた。実際のユーザーからのデータでは、「多くの所有者が35マイル以上を走行しており、約15%の運転車は40マイル(約64km)超だった」(GM)という。仮に40マイルを基準としても、次期VoltではEV走行距離を25%を延ばしたことになる。

 EV走行距離を延ばすため、GMは次期Voltで(1)搭載するLi(リチウム)イオン2次電池の容量を増加、(2)駆動ユニットの高効率化、(3)軽量化などの改良を加えた。

 (1)搭載するLiイオン2次電池の容量を増加では、容量を従来品から体積当たりで20%向上した電池セルを採用した。この電池セルは、韓国LG Chemと共同で開発したもの。電池セルはラミネート品で、192枚搭載する。電池はセンタートンネルと後席下に配置

 放熱性を高めるため、ラミネート型セル2枚を1組として、セルの間に放熱板を配置して「セルグループ」とした。つまり、次期Voltのセルグループを96個組み合わせて電池パックを構成したことになる。電池パックの容量は18.4kWhで、現行モデルと同様にセンタートンネルおよび後席下にT字型に配置した。

 (2)駆動ユニットの高効率化では、搭載する2つのモーターの効率を5~12%向上させた。

 (3)軽量化ではまず、前述のLiイオン2次電池パックで約9.8kg軽くしている。電池セルを288個から192個に減らせたためだ。モーターも、性能を向上させながらも約15kg軽量化したという。

 最大航続距離は676km。発電用として使うエンジンは新開発の直列4気筒ガソリンエンジンで、排気量は1.5Lである。電池の充電時間は120Vの家庭用電源では約13時間240Vの受電ステーションでは4.5時間。家庭だけでなく、外出先でも充電することを想定し、搭載するテレマティクスサービス「My Link」に、GPSを使った充電設備の検索機能を備えた。

 次期Voltの車体寸法は、全長4582mm×全幅1809mm×全高1432mm、ホイールベースは2694mm。
(日経テクノロジーオンライン 久米秀尚)
[日経テクノロジーオンライン 2015年1月15日掲載]
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO81967230V10C15A1000000/


電池セルを192枚搭載していると言う事は、数では日産リーフのLiイオン二次電池と同じ枚数となっているが、その一枚の大きさが小さいのであろう。リーフは192枚のセルで24kWhだと言うが「Volt」は同じ192枚のセルで18.4kWhなので、リーフの77%程度の実力の電池となっている。


それにしてもトヨタのFCVには、見立てよりかはるかに多い注文が来ている様だ。だから年間700台程度の生産能力では、とてもじゃないがこの注文をさばき切れなくなっている。そのため早々に能増を決めたようだ。

もともと国内販売が主たる目的に「ミライ」を開発してきたわけでもないのだが、現在は取り合えず国内対策だ。

主目的はカリフォルニア州の「ZE2018年規制」に対応させることだが、(それに向けてトヨタはFCVを開発してきたのであるから)アメリカ向けを主にしなければならない。やがては、対米向けを年間少なくとも、4,5千台程度は必要となろう。だから増産が急がれるのだ。

(続く)
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次世代エコカー・本命は?(49)

2015-02-05 00:00:00 | Weblog

VWは、e-upe-Golfと言う電気自動車を持っているので、ZEV規制は、当分はこれらのEVで対応するつもりかもしれない。しかし航続距離はというと、e-up130kme-Golf140kmだと言う。かなり短い距離だが、そのためか、エアコンなどの電装品の電力消費を段階的に落とすモードが搭載されているという。これらのEVも正に近距離用途なのだ。まあ一般的にいって電気自動車と言えば、この程度でも十分に需要があると認識しておかなければならないのであろう。トヨタもEVを近距離用途だと馬鹿にしていないほうが良いかもしれない。それなりの需要があると思われるので、ZEV規制対応だけではなくてもそれようの(近距離用と限らずに)EVを売り出すことも必要なのではないのかな。まあそうは言っても、EVの航続距離の短さにはどのメーカーでも苦労しているようだが。

GMはデトロイトモータショー2015で、航続距離320kmの電気自動車のコンセプト車を発表している。名前は「Bolt」、PHEVのボルトは「Volt」で電圧のボルト、Boltはボルト・ナットのボルトで辞書を引くと電光・稲妻の意味があるので電気自動車はBoltとしたのではないのかな。

GMも加州の2018年規制対応を、着々と進めている。もちろんEVだけではなく、FCVにも注力している。巨大企業GMも、全方位対応のようだ。



320km走れて価格3万ドルが目標のシボレー電気自動車コンセプト【デトロイトショー2015】
(Clicccar) 2015年1月15日(木)06時00分

レンジエクステンダーEV(プラグインハイブリッドカー)の新型「シボレー VOLT」をデトロイトショーで発表したゼネラル・モーターズですが、ピュアEVのコンプリートカー「BOLT」も合わせて公開しています。

燃料電池車、ハイブリッドカー、レンジエクステンダーEVと幅広く次世代環境対応車を研究、市販や公道実験を行なっている巨人ゼネラル・モーターズ。

このコンセプトカー「BOLT」は、グローバルマーケットをターゲットに開発したEVを示しています。


アフォーダブル(手頃な価格)で、ロングレンジ長距離走行可能)を目標とした「BOLT」。具体的には、3万ドル前後の価格で、200マイル約320km)以上の航続可能距離を目標に開発しているということです。

それでいて、ボディ軽量化のために、アルミ・マグネシウム・カーボンといった軽量な材料を使う予定といいますから、それらの素材におけるコストダウンと量産性にも期待が高まります。

果たして、シボレーのEVは未来のモビリティにおいて、重要な柱のひとつになるのでしょうか。
http://autos.goo.ne.jp/column/288891/article.html



GM 燃料電池で累計300万マイル(約480万km)を達成
2014/05/21 06:03 by 塚田勝弘

次世代の燃料電池電気自動車(FCEV)でタッグを組むGMホンダ。GMは2007年から燃料電池電気自動車シボレー・エクイノックス」を使い、北米で「プロジェクト・ドライブウェイ」という実証実験を119台で実施。5000人以上のドライバーから燃料電池技術の機能と運転性能に関するフィードバックを得ています。


今回、GMは燃料電池電気自動車(FCEV)の実証実験において、水素を動力源とした公道走行で累積300万マイル(480万km)を達成したことを発表しました。
GMのグローバル燃料電池エンジニアリング担当エグゼクティブ・ディレクターであるチャーリー・フリース氏は「これらの燃料電池車は、7シーズンの冬と広範囲におよぶ環境条件を経験し、現実の世界でのドライバーの要求を満たすことができることを証明しています」と語っています。


昨年 GMは、2つの燃料電池関連のコラボレーションを発表しました。 2013年7月、 GMとホンダは、2020年頃の実用化に向けて、次世代の燃料電池システム水素貯蔵システムを共同で開発するための長期的な提携契約の締結を発表。

さらにこの2社は、長期的な実行可能性や燃料電池自動車が一般ユーザーに受け入れられるために重要な燃料補給インフラを進展させるため、他の関係機関とともに取り組んでいます。

燃料電池車の開発を巡っては、GMとホンダ、トヨタとBMW、ルノー・日産連合とダイムラーとフォードなど、大手自動車メーカーの提携が進んでいますが、GMの強みは1960年代から進めてきた研究開発と実証実験にあるようです。
(塚田勝弘)
http://clicccar.com/2014/05/21/255733/


このように加州のZEV規制対応には、各社EVを主にしてFCVにも取り組んでいる。いまだこれと定まったものは無いように見える。トヨタもFCV一本槍ではなくて、EVにも注力しておく必要があるのではないのかな。
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(48)

2015-02-04 00:00:00 | Weblog

何はともあれ、ホンダのFCVの発売には目途がついたが、GMなどはどんな状況であろうか。そしてVWの燃料電池車はどうであろうか。VWのFCVの航続距離は500kmだと言う。水素タンク4本をリアに搭載している。そして現実問題として水素ステーションの構築もさることながら、水素そのものの生産が問題だと疑問を提起している。その通りだ。だからVWは水素の生産が軌道に乗らなければ、水素燃料電池車は販売を開始しないのではないのかな。VWよりもベンツの方が早く販売を開始するのではないのかな、とも勘ぐれる。2014.12.22のNO.20でベンツのNECAR 5 と言うFCVを紹介したが、これはほぼ量産段階となっている筈だ。


フォルクスワーゲンが水素で走る燃料電池車を発表 ― スポーツワゴン「ゴルフ ハイモーション」
(http://ennori.jp/)  2014年11月21日(金)19:10

(えん乗り [乗り物ニュース])
燃料電池を搭載した研究車両、フォルクスワーゲン「ゴルフ ハイモーション」がロサンゼルスモーターショーで公開された。



燃料電池は、水素と酸素を化学反応させることで発電し、水を排出する。この「燃焼を行なわない」プロセスにより、電気モーターを駆動するエネルギーが生成され、ゼロエミッションによる走行を可能にする。

燃料電池を搭載した「ゴルフ ハイモーション」は、0-100km/h を10秒で加速する。燃料となる水素は、カーボンファイバー製のタンクに貯蔵されており、水素の充填は3分で完了。走行可能距離は約500km に達する。


   前輪にモーター、後輪にFCスタックを載せる。

競合メーカーが燃料電池を搭載した専用車種を開発する中、フォルクスワーゲンは、既存の量産モデルに燃料電池を含む代替駆動パワートレインを採用する戦略を推進している。現在、同社では「パサート」をベースに、「ゴルフ ハイモーション」と同じ駆動コンポーネントを用いた研究車両「パサート ハイモーション」を何台か製作しており、米国カリフォルニア州の公道でテストを実施しているという。

フォルクスワーゲンは燃料電池車の販売開始のタイミングについては、研究開発をすべて完了し、一般の消費者が購入可能な価格帯となること、そして何よりも水素インフラの整備が必須だと述べている。それには、水素燃料ステーション広範囲なネットワークの構築だけでなく、水素そのものの生産も課題になるとしている。

http://news.goo.ne.jp/article/ennori/trend/ennori-2289.html


このVWの燃料電池車のシャシーの透視図を見ると、意外と燃料電池スタックの小型化に成功しているようだ。トヨタ「ミライ」はこの位置にニッケル水素バッテリーを搭載している。回生ブレーキからも電気を作っているから、当然それを蓄えておくバッテリーが必要となるし、燃料電池からの電気も駆動用以外の電気はバッテリーに貯めておかなくてはならないのだ。ある意味VWはトヨタが準備してくれた水素インフラに、「ゴルフ ハイモーション」を投入するつもりのようだ。VWも意外と、と言うよりも本当に狡猾なのであろう、ことFCVに関しては人のふんどしで相撲を取るつもりのようだ。VWグループのAudi社の「A7 Sportback h-tron」と言う燃料電池車はVWと共通するパーツもあるようで、市場投入はVWと全く同じ考えで直ぐにはやらないと言う。(http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20141120/389954/?rt=nocnt)


話は違うが、日中戦争の原因ともなった第2次上海事変は、中国に入り込んでいたドイツ軍事顧問団がそのシナリオを作り、中国国民党に「攻めるべき敵は日本国ただ1つ」と吹きこんでいたのである。表向きは日本と友好関係を結びながら、裏では、そのためドイツは自国の軍需産業を中国向けの武器などの輸出基地と看做して、最新式の武器やシステムを売りつけていたのである。ドイツ軍事顧問団のゼークト将軍やその後を引き継いだファルケンハウゼン将軍は、中国国民党に対日戦争の準備を、完全にさせていたのである。しかし蒋介石はそれには乗らずに共産党撲滅優先させたかった(特に日本や日本軍は敵ではなかった)が、国民党軍に潜んでいた軍幹部の隠れ共産党員の張治中(南京上海防衛司令官)が、日本を蒋介石の国民党軍と対峙させようとして、日本の上海租界を攻撃してきた事から始まってしまったものなのである。当時としてはまだ弱かった中国共産党軍への蒋介石軍の矛先をそらして、時間稼ぎをするためであった。

中国軍は上海の後方にドイツ軍事顧問団の指導で作った「ゼークトライン」と言う強固なトーチカにこもり、しかも当時としては最新式のチェコ製機関銃で日本軍に反撃したのであるが、日本は多数の犠牲を払いながらこれを撃破し日本居留地を守ったのであるが、中国軍は南京城に逃げ込み更には軍服を脱ぎ捨てて便衣兵となり日本軍へゲリラ戦を仕掛けてきたのである。しかもその司令官であった唐生智は多くの将兵の南京場内の残したまま敵前逃亡してしまったのである。しかしこの行動も織り込み済みのことで、このゲリラ活動を中国は宣伝活動のネタに使ったのである。南京では日本軍による虐殺などは一切なかったことなのであるが、これをドイツ人のジョン・ラーベ(ジーメンス社の南京支社長)やマンチェスターガーディアンの特派員であったティン・バーリらが、虐殺があったとする捏造した書物戦争とは何か」を、中国国民党中央宣伝部に頼まれて発行したのである。しかし張本人の1人であった「ジョン・ラーベの日記」には虐殺の事実は一切記載されていない。

まあ事ほど左様にドイツと言う国民は、傍から見るほど信用のおける民族ではないのであろう。ユダヤ人のホロコーストを見ればよく判る。それにあの三国干渉にもドイツは拘わっていたのであるから。
第2次上海事変などの小生のブログは、2014.10.27の「ブログ・テーマ一覧」などを参照してアクセス願う。


まあ話は横道にそれてしまったが、事ほど左様にドイツ人という人種は信用ならないものと、心得ていたほうが良い。FCVでもドイツは狡猾な手に出てくるものと、認識しておく必要があろう。

(続く)
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次世代エコカー・本命は?(47)

2015-02-03 00:00:00 | Weblog

(6)FCV・他社の状況について


さてEVに移る前に、他社のFCVの状況にも興味がある。2014.12.26の当ブログNO.24で、FCVの各社の販売開始時期を伝えている。それによるとGMと提携しているホンダ2015年度中に発売を予定し、ダイムラーとフォードと提携している日産2017年にそして独立独歩のVW2020年にも燃料電池車を投入する予定と伝えている。ホンダは当初2015年中に販売するとしていたが、社内での品質問題などにより2016年3月に販売時期を延ばしている。

トヨタとしては、ホンダには早くFCVの販売を開始してもらいたいと、切望しているはずだ。水素社会は、トヨタ一社では荷が重いのだ。



ホンダ、水素で走る燃料電池車を来年3月発売へ
デトロイト=大畑滋生
2015年1月14日18時10分

北米国際自動車ショーで展示されたホンダの燃料電池車(FCV)の試作車=米デトロイト
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 ホンダは、水素で走る燃料電池車(FCV)を2016年3月発売する。まず日本で売り出し、16年末までに北米でも発売する。米国法人のジョン・メンデル上級副社長が13日、北米国際自動車ショーの発表会で明らかにした。

特集・燃料電池車(http://www.asahi.com/topics/word/%E7%87%83%E6%96%99%E9%9B%BB%E6%B1%A0%E8%BB%8A.html)

 FCVでは、トヨタ自動車が昨年12月に発売した「MIRAI(ミライ)」に続く2車種目となる。4人乗りのミライに対し、ホンダのFCVは、システムを小型化して5人乗りにしたのが特徴だ。当初は今年中の発売を目指していたがやや遅れた

 FCVは、燃料にガソリンではなく水素を使い、空気中から取り込む酸素と反応させることで生じるエネルギーで、モーターを動かす。走行中に、水しか排出しないため、「究極のエコカー」とも呼ばれている。燃料を補給する「水素ステーション」の整備などが課題となっている。(デトロイト=大畑滋生)
http://www.asahi.com/articles/ASH1G4VQ0H1GULFA01L.html


ホンダのFCVの発売が少し遅れたのは誠に残念ではあるが、こと水素社会の早期到来を目指すトヨタにとっては、幾分目算が外れた感は免れないであろう。なんと言ってもホンダに早くFCVを発売してもらいたくて仕方がなかったのであるから、だから2014.11.18の記者発表会ではホンダにエールを送ったのである。


「ホンダよ、待っている」FCV発表会で異例エールを送ったトヨタの“真意”
【経済インサイド】 2015年1月12日(月)09:27

トヨタ自動車が発売した燃料電池車「ミライ」  

 世界初の一般向け燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売したトヨタ自動車が、ライバルのホンダに異例のエールを送っている。FCVは燃料の水素を補給する水素ステーションを全国で整備しなければならないなど、トヨタといえど単独で普及を担
うのは難しいからだ。ただ、大規模リコール(回収・無償修理)に見舞われたホンダは、品質管理を徹底するため当初予定した平成27年内に一般向けモデルを発売できない見通しで、“FCV普及元年”はトヨタの一人旅となりそうだ。

■独走の影に

 「ホンダも早く参入して水素社会の実現を一緒に盛り上げてほしい。待っている

 トヨタの加藤光久副社長は昨年11月に開かれたミライの発表会で、ライバルのホンダに対し早期にFCVを発売してほしいと重ねて要請。会場はどよめいた。

 自動車業界で唯一の世界販売1000万台を達成し、27年3月期決算も2年連続の最高益が確実視されるなど、トヨタの独走ぶりが目立っている。脱石油社会の扉を開くFCVの量産化にも一番乗りしただけに、ホンダへのエールには“王者”の余裕すら感じられる。

 ただ、ことはそう簡単ではない。開発当初は1台1億円といわれたFCVの価格を国の補助金込みで約520万円まで引き下げ、一般ユーザーの手が届くところまでこぎ着けたにも関わらず、トヨタにはFCVを思う存分生産・販売できない事情がある。それは給油所の代わりを務める水素ステーションの整備不足だ。

 エネルギー事業者10社はステーションを27年(2015年)に国内で100カ所を整備すると発表し、42年(2030年)までに5000カ所の設置を目指すが、全国3万カ所以上ある給油所に比べ圧倒的に少ない。

 ステーションがない地域の顧客に販売しても日常的に使うのは難しく、トヨタも当面は東京、大阪などステーションの整備が先行する4大都市圏に販売を限定せざるを得ない状況だ。

■ホンダ減速

 FCVと水素ステーションは「鶏と卵の関係」ともいわれ、自動車メーカーとエネルギー事業者のどちらかが赤字覚悟でまず数を増やさなければ普及は難しい。足元の準備が整う前にトヨタがミライを投入したのは、その覚悟ゆえだ。

 ただ、それでも1社が1モデルを投入しただけでユーザーが従来のガソリン車からFCVに切り替えてくれると考えるほどトヨタも甘くない。既存の給油所を利用できるハイブリッド車(HV)ですら、世界的に普及するには初代プリウスの発売(平成9年)から10年程度の歳月を要した。

 そこで普及の両輪を担うと期待するのが、トヨタと20年来にわたりFCVの開発を競ってきたホンダ
 
 ホンダは、開発当初、室内空間が広いミニバン「オデッセイ」を一人乗りにしなければいけないほど巨大だった燃料電池の小型化を着々と進め、トヨタと同様にセダンタイプのFCVの開発に成功。これまで27年(2015年)に発売するとしてきた。

 だが、ホンダは主力小型車「フィット」や車台を同じくする兄弟モデルのスポーツ用多目的車(SUV)「ヴェゼル」などのリコールが相次いだ影響で、社内の品質管理体制の抜本見直しを余儀なくされた。この結果、新車開発に半年程度の遅れが発生。昨年11月にFCVの発売時期も「27年度」と修正した。実際には28年(2016年)初頭になる見通しだ。

■死の谷越え

 化石燃料に頼らず、国内で作られる水素を使ってエネルギー需要を満たす水素社会の実現は、資源が少ない日本にとってエネルギー供給で海外から自立できる千載一遇の好機だ。水素ステーションの整備も政府が強力に後押ししており、ホンダの開発の遅れが全体のスケジュールに与える影響は必ずしも大きくはない。

 ただ、「1社だけでは成り立たない。ホンダとは協調していこうと話し合ってきた」(加藤副社長)というトヨタにとって、これから始まる普及への「長い長い道のり」(同)を共にする相棒が“遅刻”したのは誤算だ。水素ステーションを整備するエネルギー事業者からも、「早く複数メーカーがFCVを出してくれないと、商売として成り立たない」(石油元売大手幹部)と不満が漏れる。

 FCVの普及は始まったばかり。電気自動車(EV)への傾倒が目立つ日産自動車29年(2017年)には独ダイムラー、米フォード・モーターと共同開発した一般向けFCVを投入するほか、32年(2020年)以降本格普及に向けトヨタは独BMWと、ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)と量産モデルの開発を進めている。

 たとえ革新的な技術でも研究開発から量産に移行するには莫大(ばくだい)な投資が必要だ。「死の谷」とも呼ばれる本格普及までの序盤期間を王者トヨタがいかに乗り切るか。それが水素社会実現のカギを握るといえそうだ。(田辺裕晶)
http://www.sankei.com/premium/news/150112/prm1501120003-n1.html
(続く)
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次世代エコカー・本命は?(46)

2015-02-02 00:00:00 | Weblog

FCVのトヨタとEVのTesla、覇権を狙う両社がデトロイトで火花
久米 秀尚
2015/01/15 10:28

 電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)か――。

 自動車業界がガソリン安に包まれる中で開幕した米国最大の自動車展示会「The North American International Auto Show(NAIASデトロイトモーターショー)」。会場にはピックアップトラックやスーパーカーなど、ガソリンをふんだんに消費する車両がずらりと並んだ。

 だが、自動車メーカーは皆、将来的には電動車両に移行していくシナリオを持つ。今回のデトロイトモーターショーで目立ったのは、プラグインハイブリッド車(PHEVへの取り組みである。今後数年で市場投入する車両のお披露目や計画の発表が相次いだ(デトロイトモーターショーの記事一覧)。
→http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20141128/391447/

 こうした華やかな舞台の裏で、“次世代車両”の覇権を狙う静かな争いが繰り広げられていた。

図1 Tesla Motors社CEOのElon Musk氏
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 「2025年までに年間100万台を超えるEVを量産する」――。EV市場を引っ張る存在となった米Tesla Motors社。同社CEOのElon Musk氏は2015年1月13日(米国時間)、強気の姿勢を示した。モーターショーの会場からほど近いデトロイト市内で開催されている自動車関連のカンファレンス「Automotive News World Congress」に登壇、今後の見通しについて発言した(図1)。

図2 Tesla社のブース
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 Tesla社の高級セダン「Model S」は現在、販売が好調で生産が追い付いていない(関連記事)。→http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20150105/397145/

デトロイトモーターショーの会場内にも自社ブースを構え、Model Sを並べてアピールの手を緩めない(図2)。2015年にはSUV(スポーツ多目的車)の「Model X」の発売を予定し、2017年には価格を3万5000米ドル程度に抑えた「Model 3」の投入を計画している。

 販売は好調なものの、同社は経営面では赤字の状態が続いている。Automotive News World Congressのステージ上でも、費用・役員報酬控除前の一般会計原則(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)ベースの黒字化は「2020年以降になる」(Musk氏)との見通しを示した。だが、Musk氏の立ち居振る舞いからは焦りは感じられなかった。

 Musk氏はステージ登壇後に開いた記者会見でライバルとなるFCVに言及、「水素を使うFCVはばかげている」とけん制した。

図3 トヨタ自動車はFCV「MIRAI(ミライ)」をアピール
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 そのFCVはどうか。先頭を切って市場開拓を進めるのがトヨタ自動車である。デトロイトモーターショーでは、自社ブースの特に目立つ一等地に、2014年12月15日に日本で発売したFCV「MIRAI(ミライ)」を座らせた(図3)。米国は2015年秋、欧州は2015年9月に発売する計画だ。

 さらに、デトロイトモーターショーに先だって米国ラスベガスで開催された「2015 International CES」では、同社が保有しているFCVに関連する特許の実施権を無償で提供すると発表(関連記事)。同社が単独で保有している約5680件に上る特許(審査継続中を含む)を開放する。自動車メーカー各社がFCVを開発しやすい環境を整え、FCV市場を開拓する同士を募る。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20150106/397240/

Tesla社も特許を開放

 特許の無償開放という戦略を採るのはTesla社も同じ。同社は2014年6月にEVに関して保有しているすべての特許を解放し、オープン化する決断を下している。目的はやはり「後発のメーカーがより手ごろな価格でEVを市場に投入できる下地を作ること」(Musk氏)だ。
 モーターショーが開幕してからのデトロイトは最低気温が-17℃を下回るほどの冷え込みを記録している。だが、次世代車両をめぐる静かなバトルが、この街に熱気を与えていた。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20150115/399021/?n_cid=nbptec_tecml&rt=nocnt


これに対してFCVのトヨタは、北米トヨタ自動車販売(Toyoya Motor Sales,U.S.A.)のCEOであるジェームス・レンツ専務役員が記者団に対して次のように反論している、「マスク氏の製品は素晴らしい。ただEVは必ずしも長く走れるクルマではない」と。

そして、1回の充電で走れる距離の短さが課題だと指摘して、EVが1回の充電に数十分~数時間かかるのに対し、ミライの燃料補給は3分程度で終わるとし、FCVの優位性を強調している。

まあ電気自動車については、航続距離の短さもさることながら、その電池への充電時間の長さが問題だろう。しかもそれなりの設備も必要となる。人は、寝ている間に充電できるから問題ないのでは、などと寝言を言っているが、都市部のマンションなどの共同住宅では何台も充電設備と充電場所を設けるわけにもいくまい。現在立てられているマンションでは殆どが一台分の充電設備は設けていると言うが、これが一晩に一台しか充電できないとなると、共同住宅では電気自動車はもてないに等しいのではないのかな。

そんなこんなで2次電池の技術革新が待たれるところであるが、バッテリーでのブレイクスルーが起きて画期的なものや充電方法が発明されたとしたら、先に紹介したテスラとパナソニックの「ギガファクトリ」(2014.12.12のNO.14や2015.01.27~28のNO.42~43で紹介している)などは、置いてきぼり食らってしまわないのかと心配になる。

(続く)
コメント
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