豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

池上彰の「日本の課題」

2012-05-02 | 気になる本

池上 彰(2011)『日本の課題』角川書店
 著者はNHKで小学生向けのニュース解説を長年やってきました。難しいニュースを分かりすく解説するには定評がありました。今では東工大の教授になっています。本屋で見つけたこの一冊が気になりました。制度や課題は簡潔に解説するけれど、消費税は外国と比べて低いとか、財政赤字で先送りできない課題(止むなしなのか)とありました。ちょっと違うのではと思い、図書館で借りることにしました。人気の著者だけに1カ月待ちでした。全体はさすが博識で、簡潔に分かりやすく書かれています。ただ、学術書ではないにしても、参考文献や引用文献、記事もあるはずですが、そこは不明です。以下気になった点を列記します。TPPでは参加すればこうなる、しなければこうなると解説は分かります。「農産物を少数の国に頼るのは、食料不足や価格高騰などのリスクが大きい。」と、ではどうするということがないのは、物足りなさを感じます。「TPPがなくても、日本の農業はあと10年で立ちいかなくなるほど高齢化が進んでいる!」とありますが、どのみちだめなら早くTPPに参加を決めろとも読めます。円高問題も仕組みは説明されていますが、輸出が産業の貿易黒字が円高を進めてきたとかで、為替投機のヘッジファンドについて規制をかけるなどの解決策には触れていません。日本の企業は6重苦があり、法人税は外国より安いとして、法定実効税率だけの比較で、優遇税制や還付税などを含めた実質税負担を言っていません。だから空洞化が進むという財界と同じ発想に見えます。文献では藻谷の「デフレの正体」を唯一引用しています。著者も帯に「目からウロコ」と推薦の言葉を使っています。藻谷の本ではデフレは国際化でもなく、生産年齢人口の減少を一番にあげています。切り口が常識的でなく、目からウロコで池上との違いを感じます。池上は「少子高齢化が日本社会を構造的に変えていく。」として、やがては子ども一人が高齢者を1.5人支えるとして、福祉削減、消費税増税止むなしの口実と同じ理屈です。日本はなぜ借金大国になってしまったのかで、増える社会保障費と多すぎる公共投資をあげています。
だから消費税増税は必要でしょうか。単純な外国との税率比較だけです。EUでは生活費は非課税です。消費税は累進課税であり、不公平税制です。3から5%に引き上げた時も、景気が落ち込みました。大企業だけが栄えてもトリクルダウンのない時代です。企業・労働組合などの政治献金の規制や政党助成金の廃止、軍事費の削減こそが必要だと思います。日本の政治経済課題は分かりやすいですが、藻谷と違って本質的な分析がなく、常識的で寸止めになっているのは解説者としての限界でしょうか。
 写真はレモンの木で、この冬の寒さで枯れたかなと思っていたのに、芽がでてきました。いなくなった猫も5か月ぶりに帰ってきました。
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 階級都市 | トップ | トヨタテストコース裁判 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ねぇ (nene777ne@yahoo.co.jp)
2012-05-06 00:37:31
はじめまして!(o^-')o∠☆:゜*'ノヽ口― 初めてコメント残していきます、おもしろい内容だったのでコメント残していきますねー私もブログ書いてるのでよければ相互リンクしませんか?私のブログでもあなたのブログの紹介したいです、私のブログもよかったら見に来てくださいね!コメント残していってくれれば連絡もとれるので待ってますねーそいじゃ☆:;;:★:;;:☆:;;:★:;;:☆:;;:★アドレス残していくのでメールしてね!そいじゃ☆:;;:★:;;:☆:;;:★:;;:☆:;;:★
返信する
タイトルは? (amenity)
2012-05-09 21:14:58
ブログのタイトルを教えて下さい。一度内容を拝見したいです。
 
返信する
ストーカー? (amenity)
2012-05-09 21:17:27
内容と関係のないコメントなので削除しました。
返信する

コメントを投稿

気になる本」カテゴリの最新記事