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西村幸夫風景論ノート

2008-05-01 | 気になる本
西村幸夫『風景論ノート』鹿島出版会、2008.3
 著者は景観よりも風景という広い視点で捉えています。この本はいくつかの雑誌に発表した論文を再編集したものですが、その時々の問題を整理・発展させて解決のヒントが提示されています。最初に2000年のOECDの「日本の都市政策に関する勧告」を、紹介しています。「うさぎ小屋」から「都市の魅力」を創る視点の変化があります。「都市デザインの質は都市の魅力を保持するために必要不可欠であり、都市の競争力を保持するためにも適切な規制の強化をしなければならない」ことを紹介しています。土地所有権の制限は必要ですが勧告では、地価が上がること、若しくは下げ止まることが日本経済にとって有効とあり、さらに再開発が必要としていますが、結果はミニバブルで疑問が残ります。『路地のあるまちづくり』でもありましたが、03年に建築基準法42条3項で2mのセットバックが緩和できるとあり、研究したいものです。著者の現地で実践的な経験に裏付けられた事例は、どれも説得力があります。景観法の動き、都市計画とまちづくりの違い、コモンズの復権、縦割り行政など明解であります。私の関心がある参加制度について、①討議民主主義の重要性、②参加と公開で、ステークホルダーが広範に意思決定に参加する仕組み、計画の策定過程が透明、一般市民でも意見表明の機会の保証、NPOへの育成・連携、議論の公開は傍聴者、議事録公開だけでなく、傍聴者などの意見発表の場の設置、納税者としての権利の意義など、③参加支援で、ステークホルダーの改善、建築条例への委任、硬直的な都市計画審議会の変革などである。この節は『地域再生の環境学』の再録ですが、私も主張してきたこともあり、行政マンにはぜひ呼んでもらいたいです。
(写真は4月中旬、車庫にある車のタイヤにとまった蝶で、羽化して飛びたとうとしているところです。)
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