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孫崎「戦後史の正体」

2021-08-22 | 気になる本

孫崎享(2012)『戦後史の正体』創元社

 この本を読むと通説と違って、はっとすることに出くわす。その説明も理路整然としている。現代の政治・社会を考えるには、戦争の反省も重要であるが、戦後の出来事も正確に理解する必要がある。以下、気になった箇所のメモ書きである。(  )内は私のコメント。

・日本は降伏したのです。たんなる終戦ではありません。(終戦でなく敗戦である。だからアメリカの言いなりも問題である、戦後76年独立も考える時期である。)8月15日はポツダム宣言を受託し降伏した。9月2日、日本は降伏文書に署名した。降伏文書には、日本政府は『連合国最高司令部からの要求に全て従う』こととある。

・冷戦が始まると、米国は日本をソ連からの防波堤に使おうとした。

・1950年朝鮮戦争勃発。今の自衛隊の全身の「国家警察予備隊」が作られた。マッカーサーはこれを許可した。マッカーサーは朝鮮戦争をめぐる意見の対立で、トルーマン大統領から解任された。マッカーサーは、①非軍事化、②戦争犯罪人の処分、③民主化最優先、この3つの占領政策は終わった。

・アメリカ専門の学者はたくさんいるが、アメリカの圧力をテーマに書く学者はほとんどいなかった。豊下樽彦、進藤栄。

・国民だけでなく、親米の政治家にも、都合の悪いことは隠す。これが講和条約と安保条約の締結から吉田外交の伝統です。

・日本と周辺国の関係を見ても、ロシアと北方領土、韓国と竹島、中国と尖閣諸島と、みごとなくらいどの国とも解決困難な問題が残されているが、これは偶然ではない。

・ライシャワー大使は米国の表の顔です。しかし米国はそれ以外に、CIAに代表される裏工作の舞台も持っています。米国は安保騒動で「労働界や野党に工作する必要性」を学びました。

・ベトナム戦争で日本は派兵しなかった。米国は「旗幟を鮮明にせよ」、「われわれは日本を守っているが、日本は何をしてくれる」と言われてきた。(憲法9条と国民の平和運動が阻止した)佐藤首相時代、核兵器に対して日本の外務省は、「核保有国は、非保有国を攻撃しない義務を負うべきだ」という素晴らしい政策を立案している。(今はアメリカの「核の傘」に期待し、専制攻撃を言い、米軍と共に海外派兵をする安保法制ができた。)

・1971年8月15日ニクソンは貿易赤字を背景に、ドルと金との交換を停止すると発表した。

・なぜアメリカは田中首相を葬りたかったのか?私は日中国交回復が米国を怒らせたと思う。

・日本経済の低迷は1985年のプラザ合意から始まる。日本の通貨をわざと円高にして、米国への輸出に歯止めをかけた。輸出が困難になった日本企業は、海外に進出するようになり、日本経済の空洞化が始まった。レーガンはドルを切り下げると国民の支持を失うと考え、「主要非ドル通貨」でないアジアの国の通貨はそのままで、日本製品はアジア製品に対して競争力を失う。中国、韓国優位に立ち、日本企業もアジアに進出するが、日本経済の空洞化が始まった。冷戦後、どの国が米国にとって最大の脅威でしょうか。それは日本です。CIAは日本の経済力を米国の敵と位置づけ、対日工作を大々的行うようになった。1980年代末から90年代はじめにかけて、様々な日米交渉が行われた。「日米構造会議」や、「日米包括経済協議」である。(日米構造協議は日本の公共投資や規制緩和を押し付けた。さらには、武器の購入、「戦費」の提供がある。)

・同時多発テロ事件以降、米国の政策は大きく変わった。米国はアフガン戦争とイラク戦争を開始した。どちらも正当化できるか非常に疑問である。①イラクは大量破壊兵器を持っている、②アルカイダと協力関係にある。2004年には米国の公的機関が、これらを否定した。2011年イラクから撤退した。日本はイラク戦争に参加した。その理由は「米国に言われたから」それ以外の理由は無い。私は中央公論へ間接的な批判をし、賞ももらった。たとえ正論でも、群れから離れて論陣をはると干される。群れのなかにいさえすれば、間違った発言をしても、あとで検証されることはない。(アフガニスタンでも米軍は、2021年に撤退した。20年間何百兆円と使い、元の木阿弥である。戦争で平和は生まれない。中村さんの灌漑土木、農耕など生活支援の方が有効であったことは明らかである。ここも検証が必要である。)

・民主党政権をどうみるか?(省略)

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