豊田の生活アメニティ

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建築基準法改定の議論

2006-04-08 | 都市計画・まちづくり
H10.5.15建設委員会議事録より抜粋しました。アメリカの圧力で規制緩和がもとめられました。建築基準法の改定は民間での確認機関、海外材の輸入緩和、性能規定化などです。
○高市委員
確認対象法令に合っておりましたら民間はどんどん確認をおろしていくと思うのですけれども、事業によっては周辺住民の反対運動も起こってくると思います。私の地元の奈良市でもマンション建設とか葬儀場建設の反対運動が起こっているのですが、現在は確認をおろす立場ですから、もちろん市長さんや市役所の皆さんが対応を続けておられます。強引な事業主でしたら、わざと確認には民間機関を利用しまして、周辺の環境に配慮しないといった危惧も出てくると思うのです。
○小川政府委員
 建築物が被害を受けた場合の原因については、設計に起因する場合、施工に起因する場合あるいはその後の保守管理に起因する場合、いろいろございます。したがって、原因を見きわめるのは非常に難しいという現実の問題はございますが、仮に明らかに確認あるいは検査のプロセスにおいてミスがあった、それが結果として直接的な引き金になって建築物に損害が生じたというふうな場合には、当然のことではございますが、建築確認、検査を依頼した建築主と請け負ったところには契約関係があるわけでございますから、当然のことながら民事上の損害賠償責任は発生すると思います。
○瓦国務大臣
 今回の本法の改正は、戦後二十五年以来の大改正でございますし、高市委員にとりましては一まさに銘木の産地でございますから、いろいろ御心配の点もあろうかと思います。
 建築基準の性能規定化によりまして、委員御指摘のとおり、海外の建築材料・部材の我が国への市場参入、これが円滑化される、かように考えられます。また、住宅につきましても、木造軸組み住宅と、海外資材を活用するいわゆる輸入住宅との間で競争が増加する可能性がある、かように認識をいたしております。
○小川政府委員
 仕様規定と性能規定の両者の関係でございますが、一つには、仕様規定というのは、制度運用が硬直的だという面はございますが、非常にわかりやすいというメリットが一方にございます。一方、性能規定というのは、技術的には相当程度難しい点があろうかと思いますが、日進月歩の技術革新には速やかに対応できるというメリットがございます。
○中島(武)委員
 今度の改正案は、一九五〇年の法制定以来の最大の改正であります。ところが、九七年の三月の建築審議会答申に見られますように、政府は、国民の財産権のうちでも重要な住宅を初めとした建築物の安全性の確保を、自己責任原則なる概念を持ち出して、専ら個人の責任に帰そうとしているのではないかと思うのですね。
○中島(武)委員
 今お答えがありましたけれども、今規制緩和をにしきの御旗にして、住宅や町づくり、これはどんどんいろいろな規制を緩和していくということをやっておりますけれども、私はこう思うのですね。阪神・淡路の大震災があった、これの教訓に照らしても、必要な規制は行うというふうにして国民の命と財産を守る、このことが国の重要な責任である、こう考えております。
 まず最初に伺いたいのは、建築確認、検査の民間開放、この問題にかかわって指定確認検査機関についてなんです。この民間機関の指定の基準は、この法律によりますと、確認検査員が一定数以上いること、それから業務実施計画が適切であること、そして業務を的確に実施する経理的基礎があること、それから役員、職員の構成や兼業が業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること、これらのことをうたっております。
 ところで、このような基準で中立公正な民間機関となる保証というのはどこにあるのでしょうか。
○小川委員
それほど恣意性がどうこうという業務では本来ないと私どもは思います。
その場合の公正さ、中立さというのは、組織として特定の企業から支配力を及ぼされない、役員構成の面においてあるいは資本の出資関係において特定の企業の支配力が及ばないというふうなのがチェックポイントの一つだと思います。それからもう一つは、そこに従事する職員がみなし公務員というふうな形で守秘義務があり、違反した場合には公務員並みの罰則があるというふうな形での制度を構築しております。したがいまして、その意味で、これだけの準備をしたときに、なおかつ公正さがというふうなことは、私は、これ以上の制度上の担保措置というのは、制度として議論する限りは恐らくないのだろうと思っております。
○中島(武)委員
 例えば、株式会社である指定確認検査機関、これは営利を目的とするというところからいえば、当然競争が激しくなってくるのじゃないかということが考えられるのですね。そうすると、競争が激しくなった結果、安かろう悪かろうという検査になりはしないか。極端な場合を言えば、手抜き検査ということが横行するのじゃないか。
○中島委員
自治体の方ではどういうふうにやってきたかというと、独自に町づくり条例とかそれから開発指導要綱とかそういうものを定めて、その生活環境を守る措置を行ってきたのですね。それで、建築確認申請が出る、それで建築物の建築予定を事前にキャッチできる、そのことによってトラブルがありそうな場合はそれを未然に防ぐ、こういうのが自治体の要綱とか条例の一番基本的なところでありますし、事前協議制はそのことを最も端的にあらわしているものだと思いますし、役割を随分果たしていると思うのですね。
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耐震偽装の論点

2006-04-08 | 都市計画・まちづくり
民主党のお粗末なメール事件で国会が空転し、小泉政治の失政の4点セットがうやむやにされてしましました。4点セットとは、防衛施設庁の官製談合事件、BSEのアメリカ牛肉輸入、ライブドア事件、耐震偽装です。森永卓郎はこの背景の共通項に、「対米全面服従外国」をあげています。建築関係に携わる私としては、建築士法の罰則強化では問題の本質をすり替え、国民の生命財産を守ることができないと考えます。そのことは4月5日のNHKのラジオで、法政大学の五十嵐さんも述べていました。論点は、「問題は姉歯だけでなく建築士法の罰則強化で解決しない、早く安くが癌、責任がうやむや」などでした。それ以前に慶応大学の金子勝さんもラジオで見解を述べていました。金子さんの方が体系的であるので、その概要を紹介します。建築基準法の「民間主事制度」導入になった背景は、アメリカの規制緩和の圧力であり、その議論は平成10年5月15日の国会の建設委員会議事録を、検索して読めばよく分かります。中でも自民党の高市議員と日本共産党の中島議員が的を得ています。
 金子さんの論点メモ(聞き取り)
1 規制緩和、民間委託の「小さな政府」は効率・コストダウンにならない。
 目先の利益、政官財の癒着がある。
2 民間機関に確認申請が、7~8割になっている。
 早く安くの競争が問題を起こす。指定検査機関は、民間の1/2まで業者が出資、さらにチェック機能で2/3まで出資できる。天下り、政治献金の温床となる。
3 責任があいまい(不良債権も同じ、責任を問わない。)
 問題解決に時間がかかる。アスベストも30年前の制度の欠陥である。
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屋台

2006-04-08 | 市民生活・企業都市
大林町に5軒ほどの屋台が残っていますが、営業していると思われるのは3店のようです。旧長崎屋ビルの中にも「屋台」村がありますたが、数年でなくなりました。
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「居住福祉」

2006-04-08 | 気になる本
早川和男「居住福祉」岩波新書、1997年
 この本は1995年の兵庫県南部地震の後に書かれたもので、既に10年近くになります。しかし、著者の「住居は人権、福祉の基礎」とういう基本理念は、現在にも通じます。それどころか、小泉構造改革は市場万能主義で、小さな政府、自己責任論で社会格差は拡大しています。著者は神戸大学に在籍していたこともあり、神戸市の都市経営論や住民参加論を別の本で厳しく批判しています。以前、著者の「住宅貧乏物語」(1979年)を読みかけたことがありましたが、最後まで読み通せませんでした。この本は著者の集大成といえる共著の「居住福祉の論理」(1993年)を、平易にまとめたものと言えます。バリアフリーの福祉街づくりを考えるときに、最も重要なことは障害者も含めて住民参加の民主主義を、どこまで理解し実践できるかに尽きると思います。以下、気になったポイントを述べ、今月のテーマ「福祉まちづくり」をまとめとします。
 1 序章で、ノーマライゼーションの潮流を、「住み慣れたまちとコミュニティの中で人生を継続することが心身の状態を安定させ生きる意欲を持たせ暮らしを支える」と認識しています。神戸の地震では社会的弱者の住宅の貧困と、郊外での仮設住宅が被害を拡大したといえます。高齢者に限らず、「お金を出さなくても憩える家の近くの森林公園、さまざまな人の集まる楽しいコミュニティなど、物理的・社会的居住環境がすべての人びとの暮らしを支える」という状態をつくる重要性を強調しています。さらに、「住環境の持つ役割と人間形成に与える影響は大きい」として、孟子や論語を引用し「日本の封建領主は、山紫水明の地を写した庭園を城中につくり」、環境が美しくなければ智も仁も養われないという思想の論理展開は説得力があり、賛同できます。このことは企業がどれだけ経済成長しても、居住環境が良くならなければ地域住民の豊かさを実感できないということではないでしょうか。
 2 第1章「阪神淡路大震災に学ぶ・生活と公園」の1つに、神戸市は市民一人あたりの公園面積は15㎡ですが、「長田区では1.61㎡しかなかった」と指摘しています。これが、居住地の近くに仮設住宅を設けられなかった原因でもあります。豊田市も公園面積が1人当たり10㎡を越していますが、市街化区域ではその半分程度です。
 「防災は役所の『防災対策課』だけの仕事ではない」。「防災とは、日常から市民のいのちと生活を大切にする自治体であるか、政府であるか、そのことにかかっている。そのためには、もちろん主権者である市民が、安全を保障する生活環境の実現を常に要求し、居住政策の策定に参画していかねばならない。」ということは、最も学ぶべき教訓であろう。
3 第2章「健康と住居」では、シックハウスの対策を7つあげています。しかし、建築基準法では抜本対策でなく、室に換気扇を設けることを義務付け、問題の本質を見失っています。同じようなことはアスベスト対策でも言えます。
4 第3章「高齢者と居住福祉」では、日本の住宅政策で「住宅の供給を市場原理に委ね、若干の低所得者向けの公営住宅など供給の『弱者対策』の発想」となっています。豊田市でも市営住宅の入居待ちは、現在200世帯ほどあります。公営住宅法の改悪により所得制限が下げられ入居が困難となっています。そして、「低所得者、高齢者、母子家庭、生活保護世帯が集まる地域がつくられ」、コミュニティが形成されなくなります。いわゆるソシアルミックスの問題が課題となっています。「福祉のまちづくりも物理的なバリアの解消にとどまっている。住居の保障、居住地の安定、コミュニティの維持、生活・医療・福祉施設のネットワーク、道路公害の防止、静けさや正常な空気、美しい町並みなども居住福祉要因である。」と、定義づけています。自治体内部ではハード部門とソフト部門の連携が望まれますが、縦割り行政の弊害克服は容易ではありません。豊田市では行政経営会議や調整監、専門監など幹部職員の増大で、現場からの政策調整は機能が空転していると思えます。
5 第4章「居住福祉原論」では、住居は社会資産という主張をしています。宇沢弘文の「社会的共通資本」と同じ発想でしょう。神戸の地震では住宅は個人資産で、改修費用に補助金は出せないという政府の見解でした。それなのに、大銀行には公的資金を沢山使いました。住宅やまちを消耗品でなく、ストックとして子孫に受け継ぐ理念が、長期的にも効率的な財政運営だということでしょう。「老人の福祉施設を減らし、高齢者が在宅で元気に暮らす」という発想は政府にもありますが、住宅の質や居住環境の改善に投資するまちづくり思想が、財政方針にはありません。
 6 第5章「居住福祉の挑戦」では、都市思想家で最も有名なハワード、コルビジェ、マンフォードに触れています。日本の事例では、江戸川区の「待つ福祉から出かける福祉」を評価しています。豊田でも公明党議員が「出前福祉」を主張されていて支持しますが、予算や人員配置要望に欠けていて政策の一貫性がありません。
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