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建築基準法、建築士法などの改正案について(2)

2006-04-15 | 都市計画・まちづくり
今回の改正案は日経アーキテクチャーのHP「構造計算偽装特集」(104)によれば、「建築基準法は、(1)確認検査の厳格化、(2)指定確認検査機関に対する監督の強化、(3)指定構造計算適合性判定機関に関する規定の整備、(4)建築基準適合判定資格者の登録の厳格化、(5)罰則の強化――などが改正案の主な内容」です。「建築士法は、(1)職責、(2)建築士免許の絶対的欠格事由の拡充、(3)建築士の免許および試験に関する規定の見直し、(4)建築士の業務の適正化、(5)建築士事務所の登録拒否事由の拡充、(6)建築士事務所の業務の適正化、(7)罰則の強化――などが改正案の主な内容」です。日経アーキテクチャーでは他に、「日本建築学会の中間報告」(99)で、責任があいまい、限界耐力計算法の問題」など指摘しています。さらに民間確認の「安い、早いを優先」(69)で、設計者の声が掲載されています。
 改正案の内容について、愛媛新聞(4・6)では、「この防止策では安心できない」としています。「法改正の最大のポイントは建築確認制度の見直しだった。耐震強度偽装事件で構造計算書の偽造を見逃したイーホームズなど国が指定、指導監督する民間の指定確認検査機関のあり方だ」。宅地建物取引業法改正案で、評価できる点もあるが、「売り主が倒産しても購入者に対する賠償責任を果たすことができるよう、売り主への加入を義務付ける保険制度の創設は先送りされてしまった。」ことは問題としています。
 日本共産党国会議員団「建築基準法改正案等の審議にあたっての提案」(HP)では、「問題の核心は、規制緩和によって・・建築確認・検査を民間まかせにし、チェック体制も整えないままコスト最優先の『経済設計』を可能にした。」としています。「1、建築確認・検査制度を抜本的に改善で、「民間検査機関を非営利法人とし、検査業務は地方自治体からの委託によって行なう」としています。細目で、責任を自治事務であるから地方自治体とし、確認申請を自治体が行なうとあり、基本的には責任がはっきりし賛成ですが、現実的には非営利団体では不可能で、自治体の人員増ができるかでしょう。「(3)ピアチェックの義務付け」は法案と同じ方向ですが、書類の保管は電子文書にしないと不可能です。この導入は国の指導により行なっていますが、費用だけかかって実現していません。工事監理者や施工者が中間検査の写真などを、マンションなどの管理人に保管させるシステムの方が現実的だと思います。「2建築基準の(1)耐震基準引き上げ」で、東京都などの1.25倍の行政指導について同感ですが、地方の自治体では地域係数の根拠資料をつくる財政と技術を持っていないので、マニュアルや財政支援などが必要です。「(2)構造計算プログラム見直しについて、「ブラックボックス」化していることから見直しは当然だと思います。「3建築士の独立性を確保」で、建築士の報酬を適切にするのは当然ですが、「増えすぎた」建築士と、工事監理費の正当な代価を払う制度が必要です。設計事務所での勤務は低賃金、長時間労働で、自立しても仕事が確保できないのが悩みではないでしょうか。「4瑕疵保証制度について」宅地建物取引業者の説明責任、売主などの瑕疵担保責任保険への加入義務、欠陥か否かの立証責任は企業側などは、現実的で具体的な効果のある提案です。企業の政治献金を受ける政党は賛成しないでしょう。「5住まいは人権で、今国会では『住生活基本法案』は住宅供給を市場まかせにする」ことや、「建設業界の重層的下請け構造を是正する」課題も基本的な解決をしないと、国民の住宅への不安は消えません。
 住宅は消耗品でなく国民の生活の基礎であり、社会的共通資本としてストックすべきものではないでしょうか。
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建築基準法、建築士法などの改正案について(1)

2006-04-15 | 都市計画・まちづくり
姉歯構造建築士の構造計算偽装が、民間検査機関による確認で建築物の安全性が問題となりました。その後自治体でも偽装見逃しが発覚し、大きな社会問題となっています。その背景には規制緩和による企業の経済利益優先があります。今回の改正案は国交省の社会資本整備建築分科会の、建築行政のあり方の中間報告案をベースにしています。建築行政のチェックの強化と建築士の罰則強化で一歩前進ではありますが、基本的問題に踏み込んでいないと思います。日弁連は建築行政のあり方の中間報告案に対して、建築物の安全性確保のため早急に講ずべき施策として以下の6つの事項で、意見(2・15)を出しています。
1.建築確認申請に際して提出すべき図面を質量ともに十分なものにする。
2.すべての建築物について中間検査を義務づける。
3.指定確認検査機関制度を廃止し、住宅検査官制度(仮称)を導入する。
4.建築士の建築業者からの独立性を実現する。
5.住宅供給にかかわる建築業者、住宅販売業者、建築士等に対する罰則を強化する。
6.住宅供給にかかわる建築業者、住宅販売業者、建築士等に、住宅建設に関する損害賠償責任保険への加入を義務づける。
 コメント 日弁連は欠陥住宅の問題を早くから取り組んでいます。指定確認検査機関制度導入時にも問題を指摘し、アメリカなどが実施しているインスペクター(「住宅検査官制度」)を主張していました。それが3の事項だと思います。また、4の「建築士の建築業者からの独立性の実現」も重要な指摘だと思いますが、いずれも今回の改正案にはありません。
(写真はイメージ; アパートの6階からの景色で下の子どもが確認できます。地方都市の共同住宅のヒューマンスケールはこれくらいの高さが限度では)
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