日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

「美しい話」の話

2011-07-02 | リブレリア
絶滅危惧種
もう、命あるものとして存在しない恐れのあるもの。
楽観とは対極にある存在。

生まれ行くものがあるのなら死に絶えるものがあるという事実。
この世の理で其れに抗うものはない。
もちろん、あたし 人間とて。

生まれ行く命、死に行く命。
生まれ出る命は何より愛しく、死に絶える命ほど儚い。
人がそう言う存在なら人から生まれる全てがそうなのだと言える。
文明、文化、言葉、建築物。


そう、人の存在と同じくこんなにも多くの言葉が生まれ無くなっていることを知る。


美しい日本語
命あるものとして存在しない恐れのあるもの。
絶滅危惧種。


このところ美しい日本語の本に立て続けにであう。

澁澤龍彦 「フローラ逍遥」
著者にとって馴染みの深いフローラをエッセイと美しい図版で綴る。
フランス文学者として含蓄をフローラを切口に堪能することができる。

花ではなくflowerでなく正しくフローラ。
華やかさのなかに淡々と綴られるすぐそばにある花と日常。
郷愁やノスタルジアの中に知の新鮮さを加えた文章。
何より文章とボタニカルアートのフローラの挿絵との調和。

もう、こういう本ってなかなか出版されないのだろう。
美しい本への危惧。
本が紙であることの味。
デジタルでは興がそがれる内容の本も沢山あるんだなと思った。

言葉も同じでどんどんデジタル化してるような気がする。

興のない略語
氾濫するカタカナ語
使いまわしできる簡単な言葉の多様。
そんな言葉を多用した文章が美しいわけない。
辞書をひきながら的確に物事を言い表す特別な言葉に出会うのも
本を楽しみだと思っている。

動植物にかぎらず外来種は強く跋扈する。
固有種の繊細なことと言ったら!
言葉も同じということか。

絶滅の危惧
美しい日本語
美しい本













コメント
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